はじめに
本書の目的
この章では、年金手帳や基礎年金番号に関する基本的な立ち位置を分かりやすく説明します。2022年の制度改正により、年金手帳は新しく発行されなくなり、代わりに「基礎年金番号通知書」が用いられる点を押さえます。日常の手続きでどのように関係するかを最初に確認してください。
対象となる方
初めて年金関連の書類に触れる方、就職や転職で手続きが必要な方、家族の年金を確認したい方に向けた内容です。専門用語はできるだけ避け、具体例を交えて説明します。
本書の構成と読み方
続く章で、交付時期、手帳の色や形の変遷、受給開始時期と支給スケジュール、受給手続きの具体的フローを順に解説します。まずは基礎年金番号通知書の役割を理解し、その後の章で手続きの流れを実際にたどってください。
年金手帳の交付時期
概要
年金手帳は従来、基礎年金番号を知らせるために用いられてきました。ここでは交付されるタイミングの変遷と、現在の取扱いを分かりやすく説明します。
制度変更前の交付時期
かつては、20歳の誕生日を迎えた人に市区町村や年金機関から年金手帳が送られてきました。自営業や学生など国民年金の加入者は概ね20歳前後に一律で届きました。一方、厚生年金に加入する会社員は、入社時の届出や企業からの報告順に応じて年金手帳が配布されることが多く、交付時期にばらつきがありました。たとえば4月入社の人でも、企業の手続きが遅れれば手帳の到着が遅れることがありました。
2022年4月1日以降の扱い
2022年4月1日以降は年金手帳の新規発行が廃止され、基礎年金番号を記した「基礎年金番号通知書」が送付される仕組みになりました。これにより、20歳の時点で従来の年金手帳が届かない理由が明確になります。通知書は加入手続きに応じて送られますので、個別の手続き状況で届く時期が変わることがあります。
実務上の注意点
・加入手続きや転職の際は、勤務先や市区町村に基礎年金番号の確認を依頼してください。
・紛失した場合や番号の確認が必要なときは、年金事務所に問い合わせると対応方法を教えてくれます。
（この章ではまとめを設けていません）
年金手帳の色と形態の変遷
概要
年金手帳は、発行時期によって色や形態が変わっています。手元にある年金手帳や通知書で、自分がいつ発行された物かを確認できます。以下に分かりやすくまとめます。
色と形態の変遷（年表）
- 昭和49年〜平成8年（1974〜1996年）: オレンジ色の冊子タイプ。厚手の紙でできた手帳です。
- 平成9年〜令和4年3月（1997〜2022年3月）: 青色の冊子タイプ。基礎年金番号が導入され、個人ごとに管理されます。
- 令和4年4月以降（2022年4月〜）: 黄色のカードタイプの通知書。従来の冊子ではなく、カード様の簡潔な書面で届きます。
基礎年金番号の導入と管理
平成9年（1997年）から基礎年金番号を一人に一つ割り当て、年金記録を統一して管理する仕組みになりました。これにより、職場が変わっても同じ番号で記録を追えます。番号は年金手帳や通知書に記載されています。
見分け方と確認のポイント
- 手元の色や形でおおよその発行時期が分かります。
- 番号がわからないときは、日本年金機構に照会できます。本人確認書類が必要です。
- 冊子が古くて傷んでいても、記録は番号で管理されていますので、再発行や照会で対応できます。
年金の受給開始時期と支給スケジュール
概要
年金は年6回、偶数月の15日に、前月と前々月の2か月分がまとめて支給されます。15日が土日や祝日の場合は、直前の平日に振り込まれます。
支給のしくみ（わかりやすく）
支給日は毎年決まっており、偶数月の15日が基本です。その日に銀行口座へ2か月分が入金されます。たとえば4月15日なら2月分と3月分を受け取ります。振込日は国のルールに従うため、個別に変わることは原則ありません。
2025年の支給日（例）
- 2月14日
- 4月15日
- 6月13日
- 8月15日
- 10月15日
- 12月15日
受給開始時期についての注意点
受給開始は受給資格が確定し、必要書類や口座登録が完了した時点から始まります。新しく年金を受ける場合は、申請手続きの処理状況によって初回の振込が次回の支給日に間に合わないことがあります。口座情報や書類に不備があると支給が遅れるので、早めに確認してください。
支給が確認できないときの対応
支給日を過ぎても入金がない場合は、まず振込先口座の登録内容を確認してください。登録が正しい場合は、お住まいの年金事務所や日本年金機構に連絡し、手続きの状況を照会してください。必要書類の不備や処理遅延が原因であることが多いです。
年金受給の手続きフロー
1. 準備
年金支給開始には日本年金機構から届く「年金請求書」の提出が必要です。請求書が届いたら、本人の印鑑、振込先の銀行口座が分かるもの（通帳の写しやキャッシュカード）、本人確認書類（運転免許証など）を用意します。勤務先で手続きを代行する場合は、事前に職場に確認してください。
2. 請求書の提出時期と期限
請求は誕生日前日以降に行います。提出期限は誕生月の末日までです。誕生日が1日の場合は前月末日が期限になります。期限を過ぎると支給開始が遅れる場合があるため、早めに提出してください。
3. 提出方法
請求書は同封の返信用封筒で郵送するか、最寄りの年金事務所・窓口に持参して提出します。勤務先を通じて提出する場合は、必要書類を職場へ渡してください。
4. 請求後の流れ（目安）
- 提出後1～2か月で「年金裁定通知書（年金証書）」が届きます。ここで支給額や開始月を確認できます。
- さらに1～2か月で支払い案内（初回振込日など）が届き、実際の受給が始まります。
- 一般的に初回支給日は誕生月の2～3か月後になることが多いです。
5. よくある注意点
- 書類に不備があると処理が遅れます。必要事項は丁寧に記入してください。
- 振込口座は本人名義を用意してください。代理手続きは別途書類が必要です。
- 不明な点は同封の問い合わせ先か最寄りの年金事務所へ相談してください。
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