はじめに
この文書の目的
アルバイト・パートで働く方向けに「離職票」に関する基本をわかりやすくまとめました。離職票をもらえるか、手続きや必要性、失業保険との関係、届くまでのあいだの働き方などを丁寧に解説します。
読者対象
・コンビニ、飲食、販売、清掃などで働くアルバイト・パートの方
・退職時に離職票が必要か迷っている方
・失業保険の申請を検討している方
本書の構成と使い方
全7章で、まず基本的な考え方を示し、次に具体的な条件や手続き、記載内容、届くまでの対応まで順に解説します。実務的な例を交えて説明するので、自分の状況に当てはめて読み進めてください。
注意点
制度の細かな運用は自治体や事業所により異なる場合があります。本書は一般的な案内です。必要に応じてハローワークや勤務先に確認してください。
アルバイト・パートでも離職票はもらえるのか
概要
条件を満たせば必ずもらえます。アルバイトやパートといった雇用形態に関わらず、一定の条件を満たしていれば誰でも離職票を受け取る権利があります。雇用保険の被保険者であれば、正社員と同様に発行されます。
誰が対象か
雇用保険に加入している人が対象です。たとえば、週の労働時間や雇用期間の要件を満たして雇用保険に入っていた場合、離職時に離職票が交付されます。被保険者でなければ原則として発行されません。
具体例
- 週20時間以上で継続して働いていたパートのAさんは離職票を受け取れます。
- 短期の単発アルバイトで雇用保険に入っていなかったBさんは対象外となります。
受け取り時の注意
事業主が離職後に所定の手続きをしてハローワークへ書類を送ります。通常は離職後数週間で届きますが、遅れることがあります。事業主が発行しない場合は、まず事業主に確認し、それでも対応がなければハローワークへ相談してください。
離職票をもらうための条件
基本の要件
離職票は雇用保険の給付を受ける際に必要な書類です。受け取るための最も基本的な要件は、「勤務先が雇用保険に加入していること」です。事業主があなたを雇用保険に加入させていなければ、離職票は発行されません。
法律上の加入義務(分かりやすい基準)
雇用保険の加入義務は次の条件で生じます。
– 1週間の所定労働時間が20時間以上
– 引き続き雇用される見込みが31日以上ある
この2つを満たす場合、事業主は雇用保険に加入させる義務があります。短期のアルバイトでも、この基準を満たせば離職票を受け取れます。
具体例で確認
- 週4日×1日5時間=週20時間 → 加入対象になります
- 週3日×1日6時間=週18時間 → 加入対象になりません
- 契約期間が30日だけの短期バイト → 見込みが31日未満なら加入対象外です
複数の勤務や加入漏れがある場合
複数の職場で働く場合、それぞれの勤務が個別に基準を満たせばその勤務先で加入義務が生じます。もし加入されていなかった場合は、まず勤務先に確認し、改善されないときはハローワークに相談してください。
注意点(発行の流れ)
退職・解雇などで勤務が終わると、事業主が離職票を作成しハローワークに送付します。その後、ハローワークから本人に届く仕組みです。雇用保険加入の有無が最も重要なポイントです。
離職票が必要な人と不要な人
離職票が必要な人
- 退職後に失業保険(失業給付)を受け取る予定がある人
- 例:仕事を辞めてしばらく求職活動をする人、新しい職がすぐ決まっていない人
- ハローワークに失業の手続きをして給付を受けたい人
- 離職票を提出して受給資格の確認を受けます
離職票が不要な人
- 退職後すぐに次の職場で働き始める人
- 例:退職前に転職先が決まっており、空白期間がない場合
- 失業保険を受け取る意思がない、あるいは受給対象でないと分かっている人
- 例:自営業を始める人、年金受給などですぐ収入がある人
受け取っておく選択肢
- 万が一に備えて離職票を受け取っておくと安心です。手続きは会社が行うことが多いので、受け取れない場合は会社に依頼してください。
離職票取得の具体的な手続き方法
1. 退職時に会社へ明確に依頼する
退職する際は、口頭だけでなく書面やメールで離職票の交付を依頼してください。法律上、労働者が希望すれば会社は離職票を発行する義務がありますが、こちらが意思表示しないと手続きが進まないことがあります。
2. 記録に残る依頼方法(例)
- メール:件名「離職票交付のお願い」、本文に氏名・退職日・振込先(必要なら)と交付希望を記載します。
- 退職届に一筆添える:紙で残るため後の確認がしやすいです。
例文(簡潔):
「お世話になります。〇年〇月〇日付で退職しました、氏名です。離職票の交付をお願いします。交付はメール(PDF可)または郵送でお願いいたします。」
3. 退職後のハローワークでの流れ
退職後はお近くのハローワークで求職の申し込みをします。窓口で離職票を提出すると、失業給付の手続きが開始します。身分証明書と印鑑を持参してください。
4. 受け取りが遅れる・発行されない場合の対応
会社に再度連絡し、発行予定日を確認してください。それでも対応がない場合はハローワークに相談できます。最終手段として労働基準監督署や労働相談窓口へ相談することも可能です。
5. 手続きで気をつけるポイント
- 依頼は必ず記録が残る方法で行う。
- 離職票が届くまでにハローワークでできる手続き(求職申込みなど)を確認する。
- 会社からの案内や封書は保管しておくと後で役立ちます。
離職票に記載される主な情報
勤務期間
離職票にはその事業所で働いた開始日と終了日が記載されます。例として「2019/4/1〜2023/3/31」のように、正確な期間が示されます。受給資格判定で重要です。
退職理由(離職原因)
自己都合・会社都合など退職の種類が明記されます。たとえば自己都合退職や解雇、契約期間満了などです。退職理由により失業手当の給付開始日や給付日数が変わります。
賃金(給与)額
退職前の直近数か月の給与額や総支給額が記載されます。基本手当日額の算定に使われるため、金額は重要です。ボーナスの扱いについても欄がある場合があります。
被保険者期間・加入状況
雇用保険に加入していた期間が明示されます。被保険者期間が一定以上あると受給資格を満たしますので確認してください。
離職日・基準日
実際の離職日と、給付計算で使う基準日が載ることがあります。これにより給付開始時期が決まります。
備考・事業主の意見欄
事業主が記入する特記事項や、事情の説明がある場合があります。不明点があればハローワークで確認しましょう。
離職票が届くまでの間のアルバイト
はじめに
離職票が届く前にアルバイトをしても、基本的には問題ありません。生活費をまかなうために一時的に働くことは有効です。ただし、失業保険を受給する可能性がある場合は、いくつか注意点があります。
アルバイトしてもよいか
離職票が届く前で、まだ失業保険の受給期間に入っていなければ、アルバイトは可能です。例えば週に数回のカフェバイトや単発の仕事であれば、収入を得ながら就職活動を続ける人は多くいます。
失業保険と「就労の意思と能力」
失業保険を受給するには「働く意思と能力があるが就職できない状態」であることが必要です。アルバイトをしても、引き続き就職活動を行い、求職の意思を示せることが重要です。
待期期間中の注意
待期期間中にアルバイトをすると、その日は待期期間に含まれません。つまり、待期日数が満たされるまで受給開始が伸びる可能性があります。受給開始のタイミングを確認したい場合は、ハローワークに相談してください。
受給中の手続きと報告
受給中に働く場合は、必ずハローワークへ報告します。働いた日や収入を正確に伝えないと、給付に影響が出ることがあります。給与明細や出勤簿は必ず保管してください。
実務的アドバイス
- アルバイトの勤務日や収入は記録する
- 離職票が届いたら早めにハローワークへ
- 不安があればハローワークで相談
これらを守れば、離職票が届くまでの間も安心して働けます。


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