第1章: はじめに
目的
この資料は「離職票が勝手に届くのか」という疑問に答えるために作成しました。結論から言うと、離職票は自動的に個人に届く書類ではありません。失業給付を受けるためには、事業主とハローワークの間で所定の手続きが必要です。本資料はその流れや届かない場合の原因、対処法を分かりやすく説明します。
対象読者
- 退職したばかりの方
- 退職手続きや雇用保険に不安がある方
- 人事・総務担当者で手続き方法を確認したい方
本資料の構成(概要)
- 第2章:なぜ離職票が自動で送られないのか
- 第3章:離職票が届くまでの一般的な流れ
- 第4章:届かない主な原因とその背景
- 第5章:届かない場合の具体的な対処法
- 第6章:特殊なケースと注意点
- 第7章:離職理由の記載についての注意点
読み方のヒント
まず第3章で手順を把握し、該当する原因があれば第4章と第5章を参照してください。必要に応じて人事やハローワークへ早めに連絡することをおすすめします。
離職票は自動的に送付されない理由
概要
離職票は、失業給付(雇用保険の手続き)で必要になる書類です。会社が自動で送るものではなく、労働者が交付を希望して初めて発行されます。退職前に希望を伝えないと、受け取れないことがあります。
なぜ自動で送られないのか
- 個人の意志を尊重するため:すべての退職者が離職票を必要とするわけではありません。企業側は本人の希望に基づき対応します。
- 書類の正確さを確認するため:離職理由や給与情報を会社側で確認して記載する必要があり、本人の確認を得ることで誤記を防ぎます。
いつ・誰に伝えるか
- 伝える時期:退職の意思表明と同時か、退職が決まった時点で早めに伝えましょう。
- 伝える相手:人事担当者、総務、直属の上司のいずれかに依頼します。
伝え方の例(簡潔)
- メール例:「離職票の交付を希望します。送付先は○○です。よろしくお願いします。」
- 口頭例:「離職票をお願いします。郵送先は○○です。」
注意点
- 住所変更や届出の不備があると送付が遅れます。郵送先を必ず伝えてください。
- 交付申請がないと会社は手続きを進めません。早めに明確に伝えましょう。
離職票が届くまでの通常の流れ
1. 退職直後(会社が行うこと)
退職すると、会社は雇用保険に関する書類を作成してハローワークへ提出します。会社が書類を作成し、必要な押印や署名を終えることで手続きはスタートします。特に会社側の記載漏れや確認があると処理が遅れます。
2. ハローワークでの処理
会社から届いた書類をハローワークが受け取り、内容を確認して離職票を作成します。内容に不備がなければ離職票を発行し、会社経由または本人宛てに発送します。混雑時は処理に日数がかかることがあります。
3. 一般的な日数の目安
通常は退職から約2週間程度で離職票が届くケースが多いです。例:月末で退職した場合は、翌月中旬ごろに届くことが多いです。会社の対応やハローワークの混雑状況で1〜3週間程度の幅が出ます。
4. 届け方と受け取り時の確認事項
離職票は会社が本人に手渡すか、本人宛てに郵送されます。届いたら記載の氏名、生年月日、退職日、離職理由を必ず確認してください。誤りがあれば早めに会社またはハローワークへ連絡してください。
5. ケース別の注意点(具体例)
- 会社が書類をハローワークへ送付していない場合:会社に提出の有無を確認します。
- 書類に記載漏れがあった場合:ハローワークで差し戻され、再提出後にさらに日数がかかります。
- 休業や長期休暇と重なった時:会社の担当者が不在で遅れることがあります。担当者に確認してください。
離職票が届かない主な原因
1. 会社側の手続き漏れ
会社が離職票作成や提出を忘れることがあります。例:担当者が退職や異動で引き継ぎが不十分だった場合。まずは会社の総務や人事に確認してください。
2. 会社の意図的な未対応
賃金トラブルや離職理由を巡る対立で、会社が手続きを遅らせることがあります。書類提出を拒んでいる可能性がある場合は、記録(メールやメモ)を残し、必要なら労働基準監督署やハローワークに相談します。
3. ハローワークの手続き遅延
ハローワーク側で処理が滞る場合があります。特に4月〜5月中旬は手続きが混雑しやすく、通常より時間がかかることがあります。問い合わせで処理状況を確認しましょう。
4. 住所変更や郵送トラブル
退職後に住所を変えた、転居届を出していない、受取人不在で返送されたなどで届かないことがあります。郵便受けや転送サービスの状況も確認してください。
5. 書類の不備や情報不足
記入漏れや身分証・退職日などの誤りで差戻しになる場合があります。不備があると再作成に時間がかかるため、会社にどの項目が問題か尋ね、速やかに対応を促してください。
6. その他の事情
代理人への委任が必要なケースや、差出人名が会社名で届き不審に思い破棄されることもあります。家族や同居者にも届いていないか確認し、心当たりがない場合はハローワークに相談してください。
離職票が届かない場合の対処法
1) まずは社内に問い合わせ
離職票が届かないときは、まず人事担当者や上司に連絡して手続き状況を確認します。電話で要点を伝え、メールでも記録を残すと安心です。問い合わせ時は「いつ発送予定か」「ハローワークへの提出は済んでいるか」を尋ねてください。
2) ハローワークに相談する
会社からの対応がない、または回答が曖昧な場合はお近くのハローワークに相談します。ハローワークから会社に連絡してもらえることがあります。相談時には退職日、会社名、担当者名を伝えると手続きがスムーズです。
3) 仮手続きについて(自己都合退職者向け)
自己都合で退職した方でも、条件を満たせばハローワークで仮手続き(受給に向けた暫定的な手続き)を進められる場合があります。詳細はハローワークで確認してください。必要書類が揃えば申請を進められることがあります。
4) 準備しておく書類と情報
・退職日が分かる書類(雇用契約書、退職届の控えなど)
・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
・雇用保険被保険者番号が分かれば伝えると早いです
5) それでも届かないときの手段
・ハローワークから会社へ働きかけてもらう
・再度書面で催促する(記録を残す)
・必要なら内容証明郵便で正式に催促することも検討してください
6) 注意点
離職票が届かない状態でも、放置せず早めに行動すると手続きが滞りにくくなります。疑問点はハローワークに相談してください。
離職票が送付されない場合の特殊なケース
概要
会社が意図的に離職票の手続きを行わないケースがあります。退職時の嫌がらせや報復が背景になることもあり、早めの対応が必要です。
会社が故意に行わない状況の例
- 退職後に書類を渡さない、手続きを遅らせる
- 離職理由を書き換えようとする
- 直接の連絡を拒む、圧力をかける
まず取るべき行動(優先順位)
- まずは冷静に書面やメールで請求する。記録を残します。
- 内容証明郵便で交付を求めると効果的です。
- それでも応じない場合はハローワークへ相談してください。受給手続きに必要な代替対応を教えてくれます。
証拠の残し方
- メールやLINEは保存、送受信日時を明確に
- 会話は日時・内容をメモ、可能なら録音(録音が法的に問題ないか確認を)
- 証人や第三者のメモを残す
相談先と役割
- ハローワーク:雇用保険の手続き指導、代替措置の案内
- 社会保険労務士(社労士):書類請求や手続き代行の助言
- 弁護士:嫌がらせや意図的拒否への法的対応(交渉・訴訟)の相談
- 労働局や労働組合:紛争解決支援
法的対応の可能性
相手が故意に手続きを拒む場合、交渉や内容証明、労働審判・訴訟などの選択肢があります。早めに専門家に相談して対応方針を決めることをおすすめします。
最後に
離職票は失業給付の受給に重要です。できるだけ早く行動し、やり取りの記録を残してください。状況が複雑なときは、専門家の支援を受けましょう。
離職理由の記載内容に関する注意点
離職理由は給付に直結します
離職票に記載される「離職理由」は失業給付の受給開始時期や給付日数に直接影響します。たとえば会社都合(解雇や事業所の都合)と記載されれば待期期間や給付制限が短くなることが多く、自己都合だと給付開始が遅れる場合があります。
記載を確認するポイント
- 区分:会社都合か自己都合かを確認します。具体例として「解雇」「契約満了」「自己都合退職」など。
- 発生日:退職日や解雇日が正しいか確認します。
- 補足欄:事情が書かれている場合は内容を読み、事実と合っているか比べます。
訂正を求める手順
- まず会社に訂正を依頼します。メールや書面でやり取りし、記録を残してください。例:「会社都合に訂正してください」と伝える。
- 会社が対応しない場合はハローワークに相談します。離職票の内容で受給に疑義がある旨を説明し、必要書類(退職届、契約書、やり取りの記録など)を提出します。
注意点
- 訂正は早めに行ってください。受給手続きの際に問題になることがあります。
- 口頭だけでなくメールや書面での記録を残すとトラブル回避に役立ちます。


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