はじめに
本書の目的
この調査は、離職票に関する重要なポイントを分かりやすくまとめたものです。離職票の発行期限・有効期限・失業給付の申請期限を中心に、発行の流れや退職理由による扱いの違い、届かないときの対処法まで丁寧に解説します。
誰に向けた内容か
- 退職準備をしている方
- 失業給付の申請を考えている方
- 企業の人事担当者
分かりやすい具体例を交えて説明しますので、初めて手続きをする方も安心して読めます。
本書の使い方
各章で手続きの順序や必要書類、よくあるケースを紹介します。まずは本章で全体像をつかみ、必要な章を順に確認してください。
用語について
専門用語はできるだけ避け、出てくる場合は具体例で補足します。疑問があれば、その章に戻って確認してください。
離職票の発行期限について
要点の確認
離職票そのものに「発行期限」はありません。ただし会社には、退職日の翌日から10日以内に離職証明書をハローワークへ提出する義務があります。会社がこの手続きを行うことで、ハローワークが離職票を発行できます。
手続きの流れと所要時間の目安
- 会社が離職証明書をハローワークに提出(退職日の翌日から10日以内)
- ハローワークでの審査・離職票の発行(通常1~5日)
- 会社が離職票を受領して本人へ郵送(会社の処理で数日かかることも)
このため、退職から離職票到着まではおおむね2〜3週間が一般的です。
具体例
正社員Aさん:退職日が3月1日→会社が3月5日に提出→ハローワークで3月8日発行→会社が3月10日発送→3月12日到着、という流れが考えられます。
受け取りが遅れる場合の対応
到着が遅いと感じたら、まず会社に提出状況を確認してください。会社が手続きを済ませているか、ハローワークに提出済みかを尋ねます。確認で不明点が残る場合は、最寄りのハローワークへ直接相談すると進捗が分かります。
注意点
会社が離職証明書を提出しないと離職票が発行されません。退職後は早めに確認し、必要なら書面で催促すると安心です。
離職票の有効期限について
離職票自体の有効性
離職票そのものに「使用期限」はありません。書類は退職後も形として残り、提出や確認に使えます。たとえば再就職活動や過去の雇用記録の確認で提示できます。
失業給付を受けられる期間
重要なのは失業給付の受給期間です。受給申請は退職日の翌日から1年間に行う必要があります。この期間を過ぎると原則として失業給付を受けられなくなります。例:退職日が2024年3月1日なら、2024年3月2日から1年以内に手続きしてください。
離職証明書と発行期限
離職証明書の保管期限は4年で、離職票は退職から4年間まで発行可能です。つまり離職票は退職後も数年は再発行できることがありますが、受給手続きは1年以内に済ませる必要があります。
注意点(実務的な対応)
・退職後は書類を早めに確認し、ハローワークでの手続きを優先してください。
・離職票が手元にない場合は勤務先に発行を依頼し、発行可能期間を確認してください。
・不明点は最寄りのハローワークへ相談してください。
失業給付申請時の期限について
基本ルール
失業給付を受けるには、離職日の「翌日」から1年以内にハローワークへ離職票を提出する必要があります。期限を過ぎると原則として給付を受けられません。請求は早めに行ってください。
期限の数え方(例)
例えば、退職日が3月31日の場合は翌日の4月1日から1年以内に提出します。実務上は余裕をもって手続きを進めると安心です。
受給期間延長の条件と手続き
妊娠・出産・病気・ボランティア活動などで「30日以上」働けない事情がある場合、受給期間を最長4年まで延長できます。延長を希望する場合は、ハローワークに事情を説明し、所定の証明書類を提出して申請します。
必要書類と注意点
主な証明書は医師の診断書、出産に関する証明書、活動先の証明などです。申請先のハローワークによって細かい書類や手続きが異なることがありますので、事前に問い合わせて確認してください。期限と証明の準備を忘れずに行いましょう。
離職票と離職証明書の関係性
違いのわかりやすい説明
離職証明書は会社が作成してハローワークへ提出するための書類です。一方、離職票はハローワークが離職証明書の内容を確認して発行する、求職者が失業給付の手続きで使う書類です。つまり会社→ハローワーク→労働者、という流れになります。
提出期限と流れ(簡潔に)
- 会社は退職日の翌々日から10日以内に離職証明書を作成・提出します。
- ハローワークが内容を確認して離職票を発行します。
- 労働者は離職票を受け取り、失業給付申請などに使います。
会社の役割
会社は正確に離職理由や在籍期間、賃金等を記載します。誤りがあるとハローワークで照会が入るため処理が遅れます。
労働者の対応
離職票が届かないときはまず勤務先に確認してください。会社が提出したかどうかを尋ね、必要ならハローワークへ相談します。記載内容に疑問があれば会社とハローワーク双方に確認します。
具体例
自己都合で退職したAさん:会社が期限内に離職証明書を提出→ハローワーク発行→Aさんが失業給付申請。
会社側の手続き漏れで離職票が遅れると、給付申請が遅延します。
チェックポイント(簡単)
- 会社が提出済みか確認する
- 記載内容に誤りがないか確認する
- ハローワークへの問い合わせ先を控えておく
必要な場合は、会社とハローワークの双方に早めに連絡してください。
離職票の種類と内容
離職票には主に2種類あります。どちらも失業給付の手続きで大切な書類です。以下で中身と注意点をわかりやすく説明します。
離職票-1(振込先などの受取情報)
離職票-1には給付金を受け取るための振込先情報や本人の基本情報が記載されます。銀行名・支店名・口座番号・名義の誤りがあると給付の受け取りが遅れます。記載内容を見て、口座を変更している場合は早めにハローワークへ連絡してください。例:会社が旧姓のまま記入していると振込ができないことがあります。
離職票-2(退職理由と直前6か月の賃金情報)
離職票-2には退職理由や退職直前6か月分の賃金の記載があります。これらは給付の可否や給付日数・金額を決める重要な材料です。例えば、直近6か月の給与が給付額の基礎になりますので、給与が抜けていないか必ず確認してください。
誤りがあった場合の対応
誤記載を見つけたら、まず勤務先に訂正を依頼します。それでも対応が難しい場合はハローワークで相談すると手続きの方法を教えてくれます。両方の書類は申請時に必要なので、大切に保管してください。
退職理由による給付期間の違い
概要
退職理由によって失業給付の開始時期や給付日数が変わります。ここでは自己都合退職と会社都合退職の違いをわかりやすく説明します。
主な違い
- 待機期間:いずれも7日間の待機期間があります。つまり申請してから7日目までは給付が始まりません。
- 給付開始の遅れ(自己都合のみ):自己都合退職では待機期間の後に原則3か月の給付制限が付きます。つまり実際の給付開始はさらに3か月後になります。
- 給付期間と給付額:自己都合退職は給付期間が短く、給付額も相対的に低くなる傾向があります。会社都合退職は待機期間後すぐ給付が始まり、最大で330日など長い給付期間が認められる場合があります。
具体例
- 例1(自己都合):自分から退職した人は、申請後7日経過→さらに3か月の制限→その後に給付開始。結果的に受け取れる日数は短くなります。
- 例2(会社都合):解雇や会社の都合で離職した人は、7日経過後すぐ給付開始。長期の給付が認められる場合があり、生活の支えになりやすいです。
確認ポイント
- 離職票の「離職理由」欄を必ず確認し、ハローワークで扱い(自己都合か会社都合)を聞いてください。扱いが異なると給付開始時期や日数が変わります。ご不明な点はハローワークで相談してください。
離職票がもらえる条件
離職票を受け取るための基本条件と具体例を分かりやすく説明します。
1. 雇用保険に加入していること
離職票は雇用保険(失業給付の手続きに使う書類)に加入している人が対象です。事業主が被保険者として手続きをしていることが前提です。
2. 加入対象の具体例
- フルタイムで働く人
- アルバイト・パートで週20時間以上働き、契約期間が31日以上見込まれる人
- 派遣や契約社員で被保険者になっている人
3. 対象外の具体例
- 週20時間未満の短時間労働者
- 雇用期間が31日未満の短期契約者
これらの人は雇用保険に入っていないことが多いです。例外はあるため、自分の雇用契約を確認してください。
4. 退職前に確認すること
在職中に雇用保険に加入しているか、給与明細や雇用契約で確認しましょう。離職票は原則として事業主が作成・郵送しますので、退職時に会社に請求してください。必要な場合は早めに確認すると安心です。
離職票が届かない場合の対処法
まず会社に確認しましょう
離職票が届かないときは、まず勤務先に問い合わせます。人事や総務、退職時に連絡した担当者に「離職証明書をハローワークに送付したか」「送付日」「控えがあるか」を具体的に尋ねてください。やり取りは電話だけでなくメールや記録に残る方法で行うと後で証拠になります。
ハローワークに状況確認する
会社から送られているかどうかはハローワークで確認できます。最寄りのハローワークに本人確認書類と退職日、会社名を持参して相談してください。離職票の発行手続き状況や到着予定を教えてもらえます。
会社が対応しない場合の対応策
一定期間(目安:退職後10日〜2週間)経っても届かない場合は、会社に再度催促してください。催促しても無反応なら、内容証明で送付を請求する方法があります。それでも解決しない場合は労働基準監督署や労働相談窓口に相談しましょう。必要なら労働局や弁護士に助言を求めてください。
そのほかの注意点
離職票がなくてもハローワークで求職申し込みはできますが、失業給付を受ける手続きには離職票が必要です。問い合わせの日時や担当者名、やり取りの内容は必ず記録してください。記録は後の手続きで役に立ちます。
まとめ
離職票に関する期限は複数あり、それぞれ役割が違います。ここでは大切な点を分かりやすくまとめます。
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最も重要な期限:失業給付の申請は「退職日の翌日から1年以内」です。給付を受けたい場合はこの期限を優先して確認してください。例:退職の翌日が2024年1月2日なら、その日から1年以内に手続きします。
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離職票の発行期限:法的に決まった発行期限はありません。多くの企業は退職後できるだけ早く送りますが、遅れることもあります。
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離職票の有効性:離職票自体に“有効期限”はありません。ただし、給付申請の期限内にハローワークで手続きをする必要があります。
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受け取れないときの対応:まず会社に確認し、改善がなければハローワークへ相談してください。必要書類や対応方法を案内してもらえます。
早めに動くことが何より大切です。離職票が届いたら記録を残し、期限に余裕を持ってハローワークで手続きを進めてください。ご不明な点があれば個別に相談してください。


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