離職票に記載される被保険者期間の重要ポイント解説

目次

はじめに

目的と重要性

この章では、離職票に記載される「被保険者期間」についての全体像を分かりやすく説明します。被保険者期間は失業給付の受給日数や受給資格に直接影響しますので、正しく理解することが大切です。

本記事の構成

本記事は以下の内容を順に解説します。第2章で基本定義、第3章で算定対象期間の計算方法、第4章で受給要件との関係、第5章で離職票の記入ルール、第6章で資格喪失日との違い、第7章で企業側の手続きと期限、第8章で支給日数への影響を扱います。

想定する読者

転職・退職を控えた方、離職票の内容に疑問がある方、人事・総務担当の方を想定しています。専門用語はなるべく避け、具体例で補足します。

読み方のポイント(具体例)

被保険者期間は「雇用保険に加入していた実際の期間」です。たとえばAさんが2018年4月から2020年3月まで働き、雇用保険に加入していた場合、その期間が被保険者期間に当たります。本記事を順に読めば、離職票の見方や企業への確認方法が分かるようになります。

被保険者期間の基本定義

定義

被保険者期間とは、雇用保険の被保険者として在籍し、実際に賃金の支払いが発生した期間を指します。離職日からさかのぼって1か月ごとに区切った各月において、賃金支払基礎日数が11日以上あれば、その月を1か月分としてカウントします。

カウントの仕方(具体例)

  • 例1: ある月の出勤や有給で賃金基礎日数が15日なら、その月は1か月として算定します。
  • 例2: 月の途中で入社し賃金基礎日数が10日なら、その月は被保険者期間に含めません。

有給休暇・欠勤の扱い

有給休暇を取得して賃金が支払われている場合は、基礎日数に含めて計算します。無給の欠勤や育児・介護休業など賃金が支払われない期間は、原則として被保険者期間に含みません。

注意点

雇用保険の被保険者であったかどうかは、雇用契約や事業主の保険手続き状況に基づきます。給与台帳や出勤簿で賃金支払基礎日数を確認しておくと、正確に算定できます。異なる就業形態や休職の扱いは個別判断になりますので、不明な点は管轄のハローワークに相談するとよいです。

被保険者期間算定対象期間の計算方法

対象期間の基本

被保険者期間算定対象期間は、失業給付などの算定の基礎となる期間です。原則として「離職日から遡って2年間」を対象とします。特定受給資格者や特定理由離職者(会社都合など)の場合は「離職日前1年間」が対象になります。

離職票への記入方法(ひと月ごと)

離職票には、離職日から1か月ごとに区切って賃金支払の有無を確認します。各月の賃金支払基礎日数が11日以上の月を、新しい方から順に12か月分記載します。

例:離職日が8月15日なら、8月16日〜7月15日、7月16日〜6月15日…と1か月ずつ遡ります。

11日未満の扱いと補足

途中に賃金支払基礎日数が11日未満の月があっても、被保険者期間が合計で12か月以上になるようにさらに遡って記載します。つまり、条件を満たす12か月分がそろうまで続けます。

注意点

・計算は日付で正確に区切ること
・派遣やパートで勤務形態が変わった場合も、支払日数を基に判定します

分かりにくい箇所があれば、具体的な離職日や勤務状況を教えてください。

失業保険受給要件との関係

受給要件の基本

失業保険を受け取るには、被保険者期間の要件を満たす必要があります。自己都合退職の場合は「直近2年間で合計12か月以上」、会社都合退職の場合は「直近1年間で6か月以上」が目安です。退職理由で必要期間が変わります。

被保険者期間の数え方

被保険者期間は、実際に賃金が支払われた月を基準に数えます。休職中で賃金が支払われていない月や、雇用保険の適用がされていない短期の勤務は対象外です。短時間労働でも賃金が支払われていればカウントされます。

具体例で理解する

例1:自己都合で退職した人A
・直近2年間に、給与が出た月が合計13か月あれば受給要件を満たします。
例2:会社都合で退職した人B
・直近1年間で給与のあった月が6か月あれば受給対象になります。

注意点と確認方法

・育児や長期休職で賃金が止まった期間はカウントされないことが多いです。短時間勤務に切り替わった場合は、賃金の有無を確認してください。
・被保険者期間の正確な記載は離職票に反映されます。疑問がある場合は、ハローワークで該当月の扱いを確認してください。

離職票に記載される被保険者期間の記入ルール

基本ルール

離職票の「被保険者期間算定対象期間」欄には、離職日から遡った期間を明確に記入します。隣の「賃金支払基礎日数」欄には、各月ごとにその月の賃金支払基礎日数を記載します。日付や日数は正確に書くことが重要です。

賃金支払基礎日数の記入方法

賃金支払基礎日数とは、その月に賃金計算の基礎となった日数です。毎月の出勤日数だけでなく、給与が月給制で支払われる場合は休業日や週末も含めて記載します。日給や時給の人は、実際に賃金が支払われた日数(出勤日)を記入します。

完全月給制の場合の扱い

完全月給制(毎月固定の給与を受け取る場合)は、その月の日数(たとえば31日、30日、28日)を基礎日数として扱います。休日や有給休暇も含めて記載してください。

被保険者の種類ごとの記入ルール

  • 一般被保険者・高年齢被保険者:離職日以前の算定対象期間を遡って記入します(雇用期間に応じた期間を正確に示す)。
  • 短期雇用特例被保険者:離職した月を1か月目として、そこから順に暦月を遡って記入します。月単位での整理が基本です。

記入時の注意点

誤記や空欄があると受給手続きが遅れます。わからない場合は、勤務先の総務かハローワークに確認してください。数字は年月日や日数を省略せず正確に書くことを心がけてください。

具体例

  • 例1(完全月給制、9月20日離職):9月は9月分の基礎日数を月日で記入(通常は30日)、8月は31日、7月は31日、という具合に記載します。
  • 例2(時給・出勤日数で支払う場合):9月は出勤日が15日なら「15」、8月が20日なら「20」と記入します。

不明点は早めに確認し、正確に記入することをおすすめします。

雇用保険資格喪失日との違い

定義の違い

離職年月日は、雇用契約が正式に終了した日です。雇用保険資格喪失日(以下、資格喪失日)は、被保険者としての資格を失う日を指します。原則として資格喪失日は離職年月日の翌日になります。

日付の扱い(例)

  • 例1: 最終出勤日が3月31日で雇用契約も3月31日終了→離職年月日=3月31日、資格喪失日=4月1日。
  • 例2: 有給休暇を消化して6月20日〜6月30日休んでいても、雇用契約終了日が6月30日なら離職年月日は6月30日、資格喪失日は7月1日となります。

注意点と確認方法

欠勤や有給の扱いで混乱しやすいので、離職票に記載された離職年月日・資格喪失日を必ず確認してください。記載と実際の雇用契約終了日が異なる場合は、まず勤務先に確認し、解決しないときはハローワークに相談してください。

適切な日付確認は、失業給付申請や年金・税の手続きにも関わりますので、早めにチェックすることをおすすめします。

企業側の手続きと提出期限

手続きの流れ

企業は、退職者が出たら「雇用保険被保険者資格喪失届」を作成します。退職日の翌日から数えて10日以内に、最寄りのハローワークへ提出してください。書類は会社の総務や人事が作成し、印鑑や署名をそろえて提出します。

提出期限の具体例

例:退職日が3月31日の場合、提出期限は4月10日です。期限に遅れると退職者の失業給付手続きに影響が出るため、必ず守ってください。

必要な書類と記入ポイント

  • 資格喪失届本体(正確な退職日、雇用保険被保険者番号、被保険者期間の記載)
  • 会社の印鑑・担当者連絡先
    被保険者期間の計算は特に注意して記載してください。計算ミスがあると、受給要件を満たしていても給付が受けられないことがあります。

誤りがあった場合の対応

誤りに気づいたら速やかにハローワークへ連絡し、訂正届や再提出で修正します。可能な限り書面での記録を残し、退職者にも修正の旨を通知してください。

実務上の注意点

  • 提出の証拠(控え)は必ず保管する
  • 電子申請が利用可能な場合は活用すると期限管理が楽になります
  • 疑問があれば早めにハローワークへ相談してください

以上を守ることで、退職者の給付手続きが円滑に進みます。

失業保険支給日数への影響

概要

被保険者期間は、失業保険(基本手当)の支給日数を決める重要な要素です。被保険者期間が長いほど支給日数が増える傾向がありますが、離職理由や年齢も合わせて判断します。

支給日数の決まり方(簡単な流れ)

  • まず被保険者期間の長さを確認します。これは直近の一定期間に保険に加入していた月数です。
  • 次に離職理由を確認します(会社都合か自己都合かなど)。
  • 最後に離職時の年齢により該当する基準表をあてはめます。

計算のポイントと具体例

  • 基本的な考え方は「被保険者期間が長いほど支給日数が多い」です。
  • 例:ご提示の通り、就職困難者で被保険者期間が1年未満かつ45歳未満の場合は150日、1年以上なら300日の給付となります。

実務上の注意点

  • 被保険者期間の判定方法や離職理由の扱いで支給日数が変わることがあります。
  • 不安があればハローワークで具体的な該当日数を確認してください。必要書類や証明で日数が確定します。

(この章では計算の考え方と注意点を中心に記載しました。実際の判定は公的機関の基準表に従ってください。)

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