はじめに
本書の目的
本書は、離職票の原本に関する基本的な情報と、実務で直面しやすい手続きについて分かりやすく解説することを目的としています。離職票の原本がどのように扱われるか、紛失した場合にどう対応するか、電子申請された場合の原本の取り扱いなどを網羅します。
読者対象
- これから離職票を受け取る方
- 離職票を紛失した方
- 企業の総務や労務担当者
本書で扱う主な項目(概要)
- 離職票の原本とは何か(紙・PDFの違いを含む)
- ハローワークでの発行プロセス
- 紛失時の再発行手続きと必要書類の具体例
- 電子申請によるPDF形式の原本の扱い方
使い方の目安
各章は実務で使える手順と注意点を中心にまとめています。手続きの流れを確認したい場合は、該当章の手順部分を順にご覧ください。
離職票の原本とは
概要
離職票は、ハローワークが雇用保険の手続きのために発行する公式な書類です。企業が電子申請を行った場合、ハローワークはPDF形式の書類を交付します。このPDFが「原本」として扱われ、従業員に渡せる正式な離職票になります。
なぜPDFが原本になるのか
ハローワークが発行した電子文書は、発行元の証明が付された公的な書類です。紙に印刷したものも内容は同一で、実務上はPDFか紙かで効力が変わりません。したがって、ハローワーク交付のPDFをそのまま原本として取り扱えます。
企業の取り扱い方法(具体例)
- 企業が電子交付PDFをダウンロードして保存します。
- 保存したPDFを社員にメールで送付したり、必要に応じて印刷して手渡します。
- 例えば、退職後すぐに失業給付申請が必要な場合、メールで受け取ったPDFをプリントしてハローワークに提出できます。
保管と注意点
企業は交付PDFを安全に保存してください。ファイル名や発行日が分かるようにしておくと、再発行や問い合わせの際にスムーズです。
ハローワークにおける離職票原本の発行プロセス
提出から発行までの基本的な流れ
企業は退職者の離職証明書を所定の期限内にハローワークへ提出します。ハローワークは書類を受け取り、記載事項に不備がないか確認します。問題がなければ離職票(原本)を作成・発行します。
企業の役割
企業は正確な離職証明書を期日までに提出する責任があります。氏名や雇用期間、離職理由などが正確であると、発行がスムーズです。記載に誤りがある場合は修正の依頼が来ます。
ハローワークの審査と発行
ハローワークは提出書類を審査し、必要に応じて企業へ確認します。確認後、離職票を作成して原本を発行します。発行までの日数は地域や繁忙期で変わるため早めの提出が望ましいです。
受け取りと送付方法
通常、発行された離職票は一度企業に送付され、企業が退職者へ渡します。企業経由で届くため、受取方法を事前に確認すると安心です。
電子申請の場合
電子申請では原本がPDFで作成されます。PDFは正式な原本として扱われ、印刷して使用できます。企業とハローワーク間のやり取りが効率化され、発行が早まることが多いです。
離職票原本の紛失時の対応方法
離職票を紛失したときは、再発行を速やかに行うことが大切です。以下に代表的な3つの方法を分かりやすく説明します。
① 会社が所轄ハローワークで再交付申請
- 手続きの流れ:会社が所轄のハローワークに必要書類を提出して再交付を申請します。ハローワークが確認後、原本を作成・発送します。
- 必要書類:会社の代表者印、離職者の氏名・生年月日・離職日が分かる資料(雇用台帳など)、会社の身分証明。
- メリット:会社側で手続きが完了するため、退職者本人の手間が少ないです。会社に連絡して依頼するだけで進みます。
- 所要時間の目安:数日〜数週間(ハローワークの混雑状況や確認作業により変動)。
② 退職者本人がハローワーク窓口で即日申請
- 手続きの流れ:本人が窓口で再交付を申し出ます。身分確認と簡単な申請書の記入で対応できれば当日交付される場合があります。
- 必要書類:政府発行の写真付き身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード等)、離職時の会社名・離職日が分かる情報。
- メリット:窓口で直接手続きを行えるため、早く原本を受け取れます。急いでいる場合に便利です。
- 所要時間の目安:当日〜数日。
③ 郵送またはe-Gov(電子申請)での申請
- 手続きの流れ:所定の申請書を郵送するか、e-Govを通じて電子申請します。本人確認書類の写しや必要書類を同封します。
- 必要書類:申請書、身分証の写し、返信用封筒(郵送の場合)、電子申請では利用者識別や電子署名が必要な場合があります。
- メリット:来所が難しい場合に利用できます。記録が残るので追跡がしやすいです。
- 所要時間の目安:1週間〜数週間。
どの方法でも、まずは所轄のハローワークへ連絡して案内を受けることをおすすめします。書類不備を防ぐため、事前に必要書類を確認してください。
再交付申請時に必要な情報
概要
離職票の再交付申請書には、以前発行された離職票の交付年月日と交付番号を記入する欄があります。申請内容は正確に記入すると再交付がスムーズに進みます。
記入必須項目
- 被保険者番号(わかる範囲で正確に)
- 氏名(現氏名と旧姓がある場合は両方)
- 生年月日
- 退職年月日(年と月)
- 勤務先の事業所名・所在地(できるだけ詳細に)
- 以前の離職票の交付年月日・交付番号(不明なら空欄や「不明」と記入)
- 再交付理由(紛失・汚損など簡潔に)
記入時のポイント
- 情報は読みやすく正確に書くと手続きが早く終わります。
- 交付番号がわからない場合は、退職時の会社名や退職年月日を丁寧に記載してください。ハローワークで照合できる場合があります。
- 代理で申請する場合は委任状と代理人の本人確認書類も必要です。
添付書類と提出方法
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)
- 代理申請時は委任状と代理人の身分証明
- 郵送や窓口提出が可能です。事前に窓口に問い合わせると安心です。
電子申請された離職票の原本再送付
概要
企業が電子申請で作成した離職票の原本は多くの場合PDFで保存されます。紛失したときは、勤務先に再印刷やPDFの再送付を依頼できます。本人の同意があれば、メール添付のPDFでもハローワークへ提出可能です。
再送付を依頼する前に準備すること
- 退職日、社員番号または在籍時の氏名を確認する。具体例:退職日が2024年3月31日のように明記する。
- 本人確認のため、必要なら本人確認書類のコピーや本人からの同意メールを用意する。
依頼方法(手順)
- まず人事・総務担当に連絡してPDFの有無を確認します。電話で簡単に確認しても良いです。
- PDFがあれば、メール添付または郵送での再送付をお願いする文章を送ります。例文を下に記載します。
- 受け取ったPDFは保存と印刷を行い、ハローワーク提出用に用意します。
依頼の例文(短め)
「お世話になります。〇〇(氏名)です。離職票(退職日:YYYY年MM月DD日)を紛失しましたため、保存されているPDFの再送付(メール添付または郵送)をお願いできますでしょうか。本人の同意はあります。よろしくお願いいたします。」
注意点
- 企業がデータを一定期間で削除している場合、再送付できないことがあります。期限は企業ごとに異なります。
- ハローワークでの受付可否は窓口で確認してください。通常はPDFを印刷した原本で問題ありません。
よくある質問
Q: 電子データだけで手続きできますか?
A: 本人が同意していれば、印刷した原本として使えるケースが多いです。窓口で念のため確認してください。
再発行手続きの実務ポイント
必要書類の準備
- 再交付申請書:ハローワークで入手またはダウンロードします。黒ボールペンで丁寧に記入してください。
- 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど、原則として写しと原本の確認が必要です。
記載・確認する情報
- 離職票番号、退職日、雇用保険被保険者番号、事業所名・所在地。事前に会社の人事・総務で照合してください。
提出先と管轄の確認
- 提出先ハローワークは事業所所在地または本人の居住地で管轄が変わります。所在地を基にハローワーク窓口で確認しましょう。
書類一式の整備と提出方法
- 窓口提出:受領印のある控えを必ず受け取ります。
- 郵送:簡易書留や配達記録で送付し、返信用封筒と切手を同封しておくと返送がスムーズです。
- 電子申請:利用できる場合はハローワークの案内に従い、提出データの保存と送信履歴を確保します。
実務上の細かな注意点
- 記入は黒ボールペンで読みやすく。訂正は二重線で訂正印を押す等、ハローワークの指示に従ってください。
- 写しを必ず控えとして保管し、提出日・担当者名などを記録します。
- 不足があると再申請になるため、提出前にチェックリストで最終確認してください。


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