はじめに
本記事の目的
本記事は「離職票」と「入社日」の関係をわかりやすく説明するために作りました。転職時の手続きや失業保険の受給要件、社会保険や年金の切り替え、企業の実務担当者が注意すべきポイントまで、実際の場面を想定してまとめています。
誰に向けた記事か
- 転職を控えた方(離職手続きや受給の流れを知りたい方)
- 人事・総務担当者(離職票の扱いや記載内容を正しく理解したい方)
- 転職エージェントや支援機関の担当者
本記事で得られること
- 離職票の役割と発行手続きの流れ
- 入社日と離職日の関係が受給に与える影響
- 空白期間の扱いと注意点
- 実務でよくあるトラブルとその対処法(記載例つき)
読み方のおすすめ
各章は独立して読むこともできます。まず「離職票とは何か」を確認し、具体的なケース(入社日が決まっている場合や空白期間がある場合)に進むと理解が深まります。分からない点は会社の人事やハローワークに相談してください。
離職票とは何か?基本的な役割と発行の流れ
離職票とは
離職票は、退職した事実と離職理由を示す公的な書類です。主にハローワークで失業給付(雇用保険)を受ける際の必須書類になります。病気や家族の都合など理由に応じた区分が記載されます。
主な役割
- 失業給付を申請するための証明書類になる。例:給付開始手続きで提出します。
- 離職理由は給付の可否や給付開始時期に影響します。たとえば自己都合退職と会社都合退職では給付開始までの待期が異なります。
発行の流れ(簡潔)
- 退職発生→会社がハローワークへ申請。
- 会社が必要書類を退職後、原則「退職日の翌々日から10日以内」に提出。例:3月1日退職なら3月3日〜3月12日が目安。
- ハローワークが書類を受理し処理→離職票を会社へ返送。
- 会社が本人へ郵送または手渡しで交付します。
発行にかかる時間の目安と注意点
発行までの目安はおおむね2週間です。繁忙期や書類不備、会社の手続き遅延で前後します。離職票が届かないと失業給付の申請が遅れるため、届かない場合はまず退職先に確認し、必要ならハローワークへ相談してください。
離職年月日と入社日の関係
離職年月日とは
離職年月日とは、会社との雇用契約が実際に終わった最後の日、つまり退職日を指します。離職票にはこの日付が記載されますので、まずはその日を正しく確認してください。
社会保険の資格喪失日
社会保険(健康保険・厚生年金)は原則として離職日の翌日を資格喪失日とします。例:最終勤務日が5月31日なら、資格喪失日は6月1日です。雇用保険の手続きも離職日を基準に進みます。
入社日が重複した場合の影響と具体例
入社日が離職日と重なると、雇用保険や社会保険で二重加入や手続きの混乱が起こる可能性があります。具体例:A社の最終勤務が5月31日で、B社の入社日を5月31日にすると、保険資格の重複や給与計算のずれが生じやすくなります。通常は、入社日は離職日の翌日以降に設定するのが安全です。
退職と入社の間に空白期間がある場合の対応
空白期間があると、その期間は国民健康保険・国民年金への切り替え手続きが必要です。手続きは市区町村役場で行います。会社を辞めたら速やかに離職票を受け取り、資格喪失日を確認してから転職先と入社日を調整してください。
実務上の注意点(チェックリスト)
- 離職票の離職年月日を確認する
- 社会保険の資格喪失日(離職日の翌日)を把握する
- 転職先に入社日を伝え、日付を確認する
- 空白期間があれば市区町村で保険・年金の手続きを行う
- 不安があればハローワークや社会保険事務所に相談する
上記を順に確認すれば、手続きでの混乱をかなり防げます。
入社日が決まっている場合の離職票の必要性
要点
転職先で入社日が確定している場合、失業手当(基本手当)を受給しないのが一般的です。失業給付は「すぐに就職できる状態」であることが要件のため、入社日が決まっていると対象外となります。
なぜ受給できないのか
失業給付は求職活動を続けながら就職可能な状態にある人を支援する制度です。入社日が決まっていると、給付対象の「待機・求職」状態ではないため、受給資格を満たしません。
離職票の取り扱い
離職票は必須ではありませんが、念のため保管しておくことをおすすめします。例えば、入社後に過去の雇用期間や保険加入期間の確認が必要になる場合が稀にあります。
転職先での手続き
一般的に、転職先で雇用保険加入手続きをする際に前職の離職票は必要ありません。入社後の健康保険や厚生年金の手続きも通常は会社が行います。とはいえ、会社が求める書類は職場によって異なるため、念のため案内に従ってください。
離職票が必要となるケースと申請の注意点
概要
失業給付を受ける際は、離職票(1・2)を基本書類としてハローワークへ提出します。その他に、マイナンバーカードや写真、通帳(振込先)の準備が必要です。離職票がないと受給の手続きが進まないため、早めに確認してください。
離職票が必要な代表的なケース
- 退職後に失業手当を受けたいとき
- 前職と次職の間に空白期間があり、その間に給付を受ける場合
- 失業状態にあると判断される期間の認定が必要なとき
例えば、3月末に退職して4月中旬まで求職活動をする場合、失業手当を申請するには離職票が必須です。
被保険者期間の合算について
前職と次職の雇用保険加入期間を合算して受給日数を計算するには、空白期間が1年未満である必要があります。1年以上空くと原則として合算できませんので、転職のタイミングを確認してください。
紛失・再発行の手続き
離職票は再発行が可能です。紛失したときはまず前の勤務先に再発行を依頼します。前職と連絡が取れない場合は、最寄りのハローワークで状況を相談してください。ハローワークが手続きの案内や必要書類を教えてくれます。
申請時の注意点
- 離職理由の記載が受給に影響します。内容に不明点があれば早めに確認しましょう。
- 提出書類に不備があると手続きが遅れます。写しや原本の指定を確認してください。
- 給付対象になるまでの待期期間や手続き日程があるため、退職後は速やかにハローワークへ行くことをおすすめします。
必要なときに困らないよう、離職票の有無と保管方法を事前に確認してください。
離職票の書き方・記載事項のポイント
記載必須項目
- 氏名・住所・生年月日(本人確認)
- 被保険者番号・事業所番号
- 離職年月日(雇用契約が終了した日)
- 算定対象期間(失業手当の基準となる期間)
- 賃金支払基礎日数・賃金額(支給総額、控除の有無)
- 退職理由(自己都合/会社都合の区分)
記載上の注意点
- 最終出勤日と離職年月日は違う場合があります。たとえば有給消化や欠勤があっても、雇用契約が続いていた最後の日が離職年月日です。
- 算定対象期間は正確に記載してください。期間の誤りは受給額や給付開始日に影響します。
- 賃金支払基礎日数は、給与支払いの対象となった日数で計算します。例:1か月の所定労働日が20日で欠勤2日なら基礎日数は18日です。
記載後の確認ポイント
- 被保険者番号・事業所番号の入力ミスに注意する
- 金額や日付は源泉徴収票や給与明細と照合する
- 作成後は写しを保管し、必要があれば従業員に確認してもらう
正確に記載することで失業給付の手続きがスムーズになります。質問があれば具体例を教えてください。
社会保険・年金の切り替えと転職時の注意点
退職と入社の間に空白があるときの基本
退職日と入社日に1日でも空白があれば、その間は会社の健康保険や厚生年金の適用外になります。例:退職が8月31日で入社が9月5日なら、9月1〜4日は自分で手続きを行う必要があります。
国民健康保険・国民年金への加入手続き
市区町村の窓口で国民健康保険(国保)と国民年金(国年)に加入します。手続きは本人が行い、窓口で保険料や納付方法の説明を受けます。加入手続きは速やかに行うと安心です。
転職先での保険適用と被扶養の利用
転職先の健康保険・厚生年金は原則として入社日から適用されます。配偶者の被扶養者に入れる場合は、収入要件等を満たせば保険の整理で空白を避けられます。必要書類を早めに確認しましょう。
準備しておくと良い書類
退職証明書、離職票、健康保険資格喪失証明書、年金手帳(基礎年金番号がわかるもの)、本人確認書類、印鑑などを用意してください。
手続きの流れ・注意点
- 退職後はまず資格喪失証明書を受け取る。 2. 市区町村で国保・国年の加入申請。 3. 転職先入社後は新しい保険に切り替え申請。保険料は空白期間分を自己負担します。書類不備で手続きが遅れると負担が長引くため、早めの準備をおすすめします。
よくあるQ&Aと実務上の注意点
Q&A(よくある質問)
Q1: 離職票に有効期限はありますか?
A1: 離職票自体に期限はありません。ただし、失業手当(基本手当)の申請には原則として退職日から2年以内の期限があります。
Q2: アルバイトでも離職票は出ますか?
A2: 雇用保険に加入していたなら発行されます。加入要件に当てはまるかは勤務時間や加入状況で変わります。
Q3: 紛失したときはどうすればいいですか?
A3: ハローワークへ相談すると再発行手続きの案内を受けられます。勤務先に再発行を依頼する場合もあります。
実務上の注意点
- 退職前に離職理由や記載内容を確認しておきましょう。記載ミスは給付に影響します。
- 退職後は早めにハローワークで求職申込を行うと手続きがスムーズです。
- 雇用保険の加入状況や被保険者番号を控えておくと手続きが速くなります。
- 離職票に不明点があれば、まず勤務先に問い合わせ、解決しないときはハローワークに相談してください。


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