労働基準法・第35条の休日ルールと守るべき理由を詳しく解説

目次

はじめに

目的

本章では、労働基準法第35条で定められた「休日」のルールをやさしく紹介します。法律の専門家でなくても分かるように、用語をていねいに説明し、実務でよくある疑問に答えることを目的とします。

対象読者

・会社の人事やシフト担当の方
・アルバイトやパートで働く方
・労働時間や休日について知りたい一般の方

この記事で分かること

・法定休日とは何か、具体的な付与ルール
・法定休日と法定外休日の違い
・違反した場合のリスクや罰則
・アルバイト・パートへの適用と企業が守るべき理由
・シフト作成での注意点や実務のヒント

読み方のポイント

章ごとに実例を交えて説明します。初めての方は第2章から順に読むと理解が深まります。具体的なケースだけ知りたい方は、目次から該当章に飛んでください。

労働基準法第35条の条文とその意味

条文(原則)

労働基準法第35条は、使用者は労働者に対し毎週少なくとも1回の休日、または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない、と定めています。この休日を「法定休日」と呼びます。

趣旨と目的

この規定は、働く人の心身の健康を守り、生活の基盤を確保するためにあります。連日の勤務や長時間労働を避け、休養と生活時間を確保することが目的です。

具体的な意味(わかりやすく)

  • 「毎週1回」とは、1週間ごとに最低1日の休みを設けることです。
  • 「4週4日」とは、4週間で合計4日の休みがあればよいという選択肢です。
    どちらか一方を満たせば、この条文の要件は満たされます。

実務での注意点

休日は労働をさせない日を指します。休日に出勤させる場合は別途の取扱いが生じますので、就業規則や雇用契約を整備してください。

飲食店で週6日シフトを組む場合、労働者には週1日の休みを与えるか、4週間で4日の休みが必要です。こうした配慮で過重労働を防げます。

法定休日の具体的ルール(週1日・4週4日)

基本ルール

原則として、事業主は労働者に「週に1日以上」の休日を与える必要があります。これは労働者の心身の回復を目的とする基本的なルールです。例えば、毎週日曜日を休日にする運用が典型です。

4週4日の例外

例外として「4週間で4日以上」休日を与えれば、必ずしも毎週1日ずつでなくても構いません。つまり、1カ月単位で合計4日の休日が確保されていれば法律上は認められます。この扱いで、繁忙期に休日をまとめ、閑散期に多く休日を振り分ける運用が可能です。

具体的な例

・毎週1日ずつ:各週に1日で合計4日、問題ありません。
・まとめて付与:週1〜3で0日、週4で4日を付ければ合計4日で法律上は要件を満たします。ただし、長期間の連続勤務は望ましくありません。

注意点

条文の趣旨は労働者の健康保護です。連続勤務が続く場合は労務管理上の問題になります。休日日数は記録しておき、従業員の健康や過重労働の兆候には速やかに対応してください。

法定休日と法定外休日の違い

定義の違い

  • 法定休日:労働基準法第35条で事業場ごとに最低週1日の休日を設けることが定められた日です。会社はこの規定を満たす必要があります。
  • 法定外休日:会社が就業規則や慣行で定めた休日で、法で必須とされるものではありません。

賃金の扱い

  • 法定休日に働かせた場合は、通常賃金の35%以上の割増賃金(最低135%)が必要です。
  • 法定外休日に働いた場合は、その時間が法定労働時間を超えるなら時間外労働として25%以上の割増賃金(最低125%)が適用されることがあります。法定労働時間内での労働なら割増が不要な場合もあります。

具体例で見る違い

  • 例1:時給1,000円の従業員が法定休日に1時間働いた場合 → 最低1,350円支払う必要があります。
  • 例2:法定外の会社休日に普段休みを取っている日に1時間働き、その分が週の労働時間の上限を超える場合 → 最低1,250円になる可能性があります。

注意点(実務上の扱い)

  • どの扱いになるかは就業規則や労使協定、実際の労働時間の計算次第で変わります。給与計算が複雑になるため、就業規則に明確に定めておくと安心です。

よくある誤解

  • 「会社が休みにしていれば必ず法定休日扱い」は誤りです。会社の休日が法で定められた休日であるかどうかを確認してください。

違反した場合の罰則

罰則の概要

労働基準法第35条を守らず法定休日を与えないと、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。2025年6月1日から懲役刑は廃止され、拘禁刑に変更されました。条文の違反は刑事罰の対象となりますので軽く考えないでください。

変更点(2025年6月1日施行)

以前は懲役または罰金でしたが、刑名が拘禁刑に変わりました。実務上は短期間の自由の制限を伴う刑罰という意味で、違反の重大性は引き続き高いです。

誰が罰せられるか

原則として使用者(会社の代表者や経営者等)が対象です。法人に対しては罰金が科されるケースが多く、個人事業主や責任者は刑事処分の対象となることがあります。

具体例と行政対応

例:従業員に週1日の法定休日を与えず長期間勤務させた場合、是正指導や立ち入り調査、悪質な場合は送検につながります。労働基準監督署は相談・通報を受け付けますので、記録(出勤簿やタイムカード)を残すことが重要です。

企業が取るべき対応

法定休日を必ず確保し、シフトや出勤記録を整備してください。短期的なコスト節約で休日を与えないと、刑事罰・罰金に加え従業員の信頼失墜や離職を招きます。問題があれば早めに労基署に相談してください。

アルバイト・パートにも適用

適用範囲

労働基準法第35条の休日規定は、正社員だけでなくアルバイトやパートにも適用されます。雇用形態や勤務時間の長さにかかわらず、使用者は法定の休日を確保する義務があります。

具体例

  • 週3日勤務のパートでも、週に最低1日の休日を与える必要があります。固定の休みが難しい場合は4週で4日の休日を確保する方法を取れます。
  • シフト制で毎週の固定休がない場合でも、4週間で合計4日の休日が確保されていれば要件を満たします。

実務上のポイント

  • 法定休日に出勤を求める場合は、代休の付与や割増賃金などで補償する必要があります。どちらにするかは就業規則や労働契約で明確にしておくとトラブルを防げます。
  • 雇用契約書やシフト表に休日の取り扱いを書き、アルバイト・パートにも分かりやすく説明してください。

トラブルを避けるために

記録を残し、労働者に事前説明を行うことが大切です。疑問がある場合は労働基準監督署や社会保険労務士に相談してください。

企業が法定休日を守るべき理由

労働者の健康維持

法定休日を確保すると、従業員は心身を回復できます。例えば、連続して勤務すると疲労が蓄積し判断力が落ちます。休息を与えることで病気や過労を防ぎ、欠勤や長期療養のリスクを下げられます。

労働災害の防止

十分な休息がないとミスや事故が増えます。建設現場や工場、運転業務では、休みの確保が安全管理に直結します。休日を守ることで労災発生を減らせます。

法的リスクと金銭的損失の回避

法定休日を守らないと、割増賃金の未払い、是正指導や罰則、労働紛争につながります。訴訟や行政処分は企業にとって大きな負担です。

社会的信用の維持

休日を軽視する職場は取引先や求職者の信頼を失いやすいです。労働環境が整っていることは採用や取引面での強みになります。

生産性と人材の定着

過度な連続勤務は生産性を下げ、欠勤や退職を増やします。長期的には採用・教育コストが増大します。休日を守ることで、安定した業務遂行と人材の定着を促せます。

企業が取るべき具体的対応(簡単な例)

・シフトに必ず法定休日を組み込む
・勤怠データを定期的にチェックする
・業務量を調整して負担を平準化する

これらを実行すれば、従業員の安全と企業の持続的な成長を両立できます。

シフト作成・労務管理での注意点

連続勤務の配慮

4週4日ルールでも、従業員が長く続けて勤務しないよう配慮します。たとえば、週4日出勤が続いても連続勤務日数が6〜7日になると疲労がたまりやすく、生産性や安全に影響します。連続勤務を最長何日にするかを就業規則や現場ルールで明確にしてください。

休日の定め方

法定休日は必ずしも曜日で指定する必要はありません。月ごとやシフトごとに定めても構いません。ただし、事前に従業員に周知しておくことが重要です。例:月初めに各自の法定休日を通知する方式。

管理と記録の重要性

実際の労働日数・休日数を正確にカウントしてください。タイムカードや勤怠システムにより出勤・休暇を記録し、法定休日の有無を自動集計するとミスが減ります。休出や振替休日の扱いも明確に記録します。

実務のチェックリスト(例)

  • 週・4週ベースでの出勤日数を月次で確認
  • 連続勤務日数の上限を設定
  • 法定休日を誰がいつ決めるか明文化
  • 勤怠データで法定休日のカウントを自動化
  • アルバイト・パートのシフト調整ルールを統一

これらを踏まえ、現場の声を取り入れながら柔軟に運用すると現実に即した労務管理が実現します。

まとめ

労働基準法第35条は、すべての労働者に最低限の休日を保証する重要な規定です。本記事で触れたポイントを簡潔に振り返ります。

  • 法定休日は「週1日」または「4週で4日」のいずれかを満たす必要があります。休みを与えないと賃金の割増や罰則が発生することがあります。

  • 法定休日と法定外休日は性質が異なります。法定休日は法律で定められた最低ライン、法定外休日は会社独自の追加休暇です。

  • アルバイトやパートも第35条の対象です。雇用形態に関係なく休日ルールを守る義務があります。

  • シフト作成や労務管理では、週ごとの休日日数の確認、繁忙期の代替要員の確保、記録の保存が有効です。具体例としては、交代制勤務でのローテーション表や急な欠員時の代替リストの作成があります。

企業は法定休日を守ることで、労働者の健康を守り、トラブルや罰則のリスクを減らせます。まずは就業規則の確認と実務でのルール徹底から始めてください。困ったときは労基署など専門窓口に相談すると安心です。

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