労働基準法 第26条の基本ルールと罰則対応を詳しく解説

目次

はじめに

労働基準法第26条とは

労働基準法第26条は、会社の都合で従業員が働けなくなったときに、会社が支払う休業手当について定めた条文です。たとえば、機械の故障や原材料の欠乏で工場が止まった場合、会社の理由で労働者が働けないのであれば、会社が一定の賃金を支払う義務があります。目的は、働けないことが労働者の責任でない場合に、生活を守ることです。

なぜ知っておくとよいか

休業手当は労働者の権利であり、会社の義務です。現場でよくある例を挙げると、受注が急に減って一時的に仕事が無くなった場合や、工場の安全点検で一時的に操業を停止した場合などが該当します。こうした場合に、会社が支払うべきか否かを判断する基準や計算方法を知っておくと、トラブルを避けやすくなります。

本書の読み方(全体の案内)

以降の章では、条文の趣旨、会社側の責任を判断するポイント、休業手当の支給額の基本ルール、似ている制度との違い、違反したときの罰則について、分かりやすく具体例を交えて説明します。まずは全体像をつかんでください。

条文の趣旨

法文の要点

労働基準法第26条は、使用者の責めに帰すべき事由で労働者が働けないとき、使用者がその期間中に休業手当を支払う義務を定めています。支払額は平均賃金の60%以上とされ、これは会社都合で働けなくなった労働者の生活を守るための最低基準です。

目的と意義

目的は労働者の生活保障と雇用の安定です。会社の都合で仕事がなくなった場合でも、労働者の収入の一部を確保し、突然の生活不安を和らげます。

どんな場合に適用されるか(具体例)

  • 受注減で工場を一時閉鎖したとき
  • 会社側の判断で業務を停止したとき
  • 設備故障で作業が継続できないとき
    これらは労働者が働く意思・能力を持っているにもかかわらず、使用者側の事情で働けない例です。

適用されない場合の概略

労働者本人の過失や故意による休業、病気で働けない場合は原則適用外です。詳しい判断基準は次章以降で説明します。

補足(支給額の性質)

休業手当は最低水準で、使用者は契約や就業規則でより高い額を定めることができます。

使用者の責に帰すべき事由

定義

「使用者の責に帰すべき事由」とは、労働者が働く意思と能力があるにも関わらず、使用者(会社)の都合で就労させない場合を指します。働けるのに仕事を与えられない状況がここに当たります。

具体例(分かりやすく)

  • 経営悪化で仕事量が減り、出勤させる仕事がない場合
  • 機械の故障や定期メンテナンスで生産ラインが止まった場合
  • 資材が届かず、製造できない場合
  • 行政の指導や許認可の問題で操業を停止した場合

どれも労働者側の問題でなく、会社側の事情が原因です。

使用者の主な対応

  • 代替業務の提示や配置転換を検討する
  • 事情を明確に伝え、労働者と協議する
  • 必要な設備投資や資材手配で早期復旧を図る

こうした対応を尽くしても就労させられない場合、労働基準法上の休業手当の支払い義務が生じることが一般的です。

労働者が気を付ける点

  • 出勤可能であることを明確に伝える
  • 代替業務の提案に柔軟に応じると復帰が早まる可能性がある
  • 個別の事情は雇用契約や就業規則も確認する

以上が「使用者の責に帰すべき事由」の主な考え方と対応例です。

支給額の基本ルール

支給額の計算式

休業手当は、原則「平均賃金 × 60%以上 × 休業日数(または時間)」で計算します。事業主はこの最低割合を下回らないように支払います。事業主がこれより多く支払っても問題ありません。

平均賃金の算定方法

平均賃金は原則、直前3か月間に支払われた賃金総額をその期間の総日数で割って求めます。給与、手当、歩合など通常の賃金を含めます。一時的な精算や返金は除外する場合があります。

部分日や時間単位の扱い

1日未満の休業は時間単位で按分して計算します。平均賃金を1日あたりや1時間あたりに換算し、それに60%以上を乗じて休業時間分を算出します。

短期雇用や変動が大きい場合

雇用期間が3か月未満の場合は、実際に働いた期間で平均を取ります。賃金が大きく変動する職種では、過去の支払い実績に基づき公平に算出します。

具体例

  • 例1(1日単位): 直近3か月の賃金合計が90万円、期間の総日数が90日なら1日当たり平均賃金は1万円。休業5日なら1万円×60%×5日=3万円が最低支給額です。
  • 例2(時間単位): 平均賃金が1日1万円、1日の所定労働時間が8時間なら1時間当たり1250円。休業4時間なら1250円×60%×4=3000円が最低額です。

注意点

賞与や臨時の手当の取扱いは項目ごとに異なるため確認が必要です。事業主と労働者で計算方法を明確にし、記録を残しておくとトラブルを避けられます。

休業手当と休業補償の違い

概要

労働基準法の休業手当(会社都合の休業)と、業務上の災害に対する休業補償は目的も根拠条文も異なります。前者は使用者の責任で働けない期間の賃金補填、後者は労働災害に伴う生活保障です。

違いのポイント

・根拠条文:休業手当は労基法第26条、休業補償は労基法第76条(業務上災害の場合)に基づきます。
・対象:使用者の都合で発生した休業か、業務災害かで区別します。

支給額の違い(簡単な説明)

休業補償はご提示の通り平均賃金の60%を基準とします。休業手当は使用者が負う義務であり、一般には平均賃金の一定割合が目安となります(詳細は第4章参照)。

具体例で確認

・機械の故障で工場が止まり出勤できない→休業手当。
・作業中に負傷して働けない→休業補償(災害性が判断基準)。

注意点

どちらか一方が優先するわけではありません。事実関係を正確に整理し、どの制度が適用されるかを判断することが大切です。

違反した場合の罰則

罰則の内容

会社都合で休業させたにもかかわらず休業手当を支払わない行為は、労働基準法第26条の違反に当たります。違反すると労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科される可能性があります。罰金は刑事罰であり、事業主に直接の負担が生じます。

労働者が取れる主な対応

  1. 労働基準監督署への申告・相談
  2. まずは労基署に相談できます。事実関係を調べたうえで事業所に指導や調査が入ることがあります。
  3. 民事上の賃金請求
  4. 未払いの休業手当を賃金として裁判所に請求できます。簡易な手続きとして労働審判を利用することも可能です。

実際の手続きと注意点

  • 証拠を集めてください(給与明細、出勤記録、休業指示のメールや文書)。
  • まずは会社に支払いを求める旨を伝え、応じない場合に労基署や法的手続きに進みます。内容証明郵便で請求する方法が有効です。

具体例

例えば、平均賃金が1日8,000円の人が5日間会社都合で休業した場合、支払われるべき休業手当は原則として平均賃金の60%相当(※会社の取り決めや実務で変わる場合あり)で計算し、支払いがないと労基署への申告や民事請求の対象になります。

不払いが続くと刑事罰だけでなく、未払い賃金の回収手続きや会社への信用低下など実務的な不利益も生じます。早めに証拠を整え、相談窓口を利用してください。

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