初心者も安心して理解できる源泉徴収票入力の基本ポイント

目次

はじめに

目的

本資料は、源泉徴収票(給与支払報告や税務手続で用いる書類)の入力方法と記載項目を、はじめての方にも分かりやすく段階的に説明するために作成しました。各欄に何を記入するか、どのような資料が必要かを具体例を交えて解説します。

本書の構成

第2章から第11章まで、実際の記入順に沿って説明します。対象者の情報入力、支払金額、控除後の金額、各種控除、源泉徴収税額の計算、配偶者・扶養親族、住宅ローン控除、支払者情報の順です。

読者へのお願い

源泉徴収票を作成する際は、給与明細、年末調整で使った控除証明書、マイナンバーなど準備しておくとスムーズです。分からない用語は具体例で補足しますので、安心して読み進めてください。

読み方のポイント

各章で実際の記入例を示し、間違いやすいポイントを解説します。まずは全体の流れをつかみ、必要な書類を揃えてから順に作業してください。

源泉徴収票とは何か

定義と役割

源泉徴収票は、企業が従業員に支払った給与から所得税をあらかじめ差し引いたことを証明する書類です。年間の支払金額や所得控除額、源泉徴収税額などを集計して記載します。

主な記載項目

  • 年間の給与等支払金額
  • 社会保険料等の控除額
  • 給与所得控除後の金額
  • 所得控除の合計額
  • 源泉徴収税額

目的と使い道

従業員は確定申告や年末調整でこの書類を使います。税務署は企業から提出されたものをもとに確認します。

交付と提出

企業は従業員交付用と税務署提出用の2通を用意します。従業員には通常年末から翌年始めに交付します。

簡単な例

年収500万円の従業員なら、年間支払額が500万円、そこから社会保険料や給与所得控除を差し引いた金額と源泉徴収税額が記載されます。

注意点

記載ミスがあると年末調整や確定申告で手続きが遅れます。金額は正確に集計してください。

基本的な作成準備

準備する書類

源泉徴収票を作る前に、次の書類をそろえます。給与明細(1月〜12月)、賞与明細、年末調整関係書類(保険料控除証明書など)、支払調書や支払履歴。実物がない場合は、給与台帳や会計ソフトの出力で代用できます。

集計する主な項目

  • 年間給与支払額:月給の合計と賞与を足します。例:月給25万円×12か月+賞与50万円。
  • 所得控除関連:社会保険料、生命保険料、地震保険料、配偶者・扶養控除の有無を確認します。
  • 源泉徴収税額:給与から差し引かれた税金の合計を確認します。

年末調整書類の確認ポイント

年末調整で提出された控除証明は漏れや重複がないか見直します。保険料控除証明は発行元と金額を照合し、勤め先で把握している支払額と一致させます。

国税庁の入力フォーマットを使う

国税庁が提供する入力用フォーマット(e-Taxや提供のExcel形式)を利用すると手入力ミスが減ります。フォーマットに沿って金額を入れるだけで、必要な欄が自動で整います。

パソコンで作成する際のポイント

  • 順序立てて一項目ずつ入力する。まず年間支払額→控除額→源泉徴収税額の順に集計します。
  • 出力前に控除証明と突き合わせて再確認する習慣をつけます。

よくある注意点

  • 給与と賞与を分けて管理している場合は合算忘れに注意してください。
  • 社会保険料の金額が給与台帳と控除証明で異なるときは、支払先に確認します。

対象者(支払いを受ける者)の情報入力

概要

源泉徴収票の上部には、支払いを受ける者(従業員など)の基本情報を正確に記載します。ここで使う住所や番号は作成日時点の情報を用います。

入力項目

  • 住所:現住所を省略せずに記載します。例)東京都渋谷区○○1-2-3
  • 受給者番号:会社が付与する内部管理用の番号(社員番号など)
  • 個人番号(マイナンバー):税務署提出用の書類にのみ記載。従業員交付用は記載不要です
  • 役職名:課長、主任など職位を正式名称で
  • 氏名:戸籍に沿った氏名をフルネームで記載

書き方の手順

  1. 社内の人事情報で住所と受給者番号を確認します。
  2. 氏名と役職は就業時の登録情報と照合します。
  3. 税務署提出分にのみ個人番号を記載し、従業員交付分には記載しません。

チェックポイント

  • 表記ゆれを避けるため、会社で統一した様式(全角・半角、敬称等)を使ってください。
  • 個人番号は厳重に管理し、必要な場合のみ記載・送付してください。
  • 作成日時点の情報と一致しているか最終確認を行ってください。

具体例

  • 住所:東京都新宿区西新宿1-1-1
  • 受給者番号:A12345
  • 個人番号:(税務署提出用にのみ)123456789012
  • 役職名:営業部長
  • 氏名:山田 太郎

注意事項

  • 住所や番号に変更がある場合は、次回以降の源泉徴収票で更新してください。発行後の訂正が必要な場合は、会社の人事または税務担当に相談してください。

支払金額の入力

説明

支払金額欄には、1年間にその支払者が実際に支払った給与の総額を記入します。ここには所得控除や源泉徴収税額を差し引かない「総支給額」を書きます。

含める金額

  • 基本給、残業代、時間外手当
  • 賞与(ボーナス)
  • 通勤手当(課税となる部分)や各種手当(家族手当・役職手当など)
  • 現金で支払った給与類

除外するもの

  • 交通費などの実費精算(経費精算)
  • 事業主負担の社会保険料や厚生年金など、会社が負担する金額

記入方法(手順)

  1. 給与台帳、支給明細、振込履歴を用意します。
  2. 1年間に支払った各月の総支給額と賞与を合算します。
  3. 合計金額を円単位で支払金額欄に記入します。小数やマイナスは使いません。

具体例

年間の総支給額が4,000,000円であれば、そのまま「4,000,000」と記入します。途中入社や退職がある場合も、実際に支払った金額を記載します。

注意点

  • この金額は当該支払者が支払った金額を記入するため、複数の雇用主がいる場合はそれぞれ別の源泉徴収票に各支払者分を記載します。
  • 不明点は給与担当者と照合して確認してください。

給与所得控除後の金額の入力

概要

給与所得控除後の金額は、年収(支払金額)から給与所得控除を差し引いた額です。源泉徴収票ではこの金額を正確に入力します。金額は課税対象となる給与所得の基礎になります。

計算の流れ(簡単な手順)

  1. 支払金額(年収)を確認します。給与支払明細や年末調整の集計を使います。
  2. 支払金額に応じた給与所得控除額を調べます。控除は支払金額の区分ごとに定められています。
  3. 「支払金額 - 給与所得控除額」を計算して、控除後の金額を出します。0未満なら0とします。

入力時のポイント

  • 金額は円単位で入力します。端数は切り捨てるのが基本です。
  • 複数の勤務先がある場合は、それぞれの支払者ごとにこの欄を作成します。
  • 自動計算ツールを使う場合でも、控除の区分が最新か確認してください。

例(支払金額4,000,000円)

支払金額:4,000,000円
給与所得控除額(該当区分):1,240,000円
控除後の金額:4,000,000 − 1,240,000 = 2,760,000円
この2,760,000円を源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に入力します。

最後に

計算ミスを防ぐために、控除額の根拠資料(給与明細や計算表)を保管してください。誤入力に気づいたら早めに修正手続きを行いましょう。

所得控除額の合計額の入力

所得控除額の合計欄には、その年に適用できるすべての所得控除を合算して記入します。主な例として、社会保険料控除(健康保険・厚生年金など)、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅借入金等控除などがあります。誤記や重複を防ぐため、各控除の証明書類をそろえてから作業してください。

入力手順(わかりやすく):

  • 準備: 社会保険料の領収書、保険会社の控除証明書、住宅ローンの控除証明書などを用意します。
  • 各控除の額を確認: 証明書に記載の金額をそのまま書き写します。計算が必要な場合は証明書の指示に従ってください。
  • 合算する: すべての控除額を合計して「所得控除額の合計」に記入します。

具体例: 社会保険料 1,800,000円、生命保険料控除 100,000円、地震保険料控除 60,000円、住宅借入金等控除(その年に適用される金額)500,000円の場合、合計は2,460,000円です。これを合計欄に記入します。

注意点:
– 同じ控除を二重に計上しないこと。
– 証明書に基づく金額を優先すること。
– 不明な点は税務署や税理士に確認してください。

正確に入力することで、所得税の計算が適正になります。

源泉徴収税額の計算と入力

計算式

源泉徴収税額は次の計算式で求めます。

課税所得 × 所得税率 − 控除額

計算の結果がマイナスになる場合は0円として扱います。円未満は切り捨てるのが一般的です。

計算手順(順を追って)

  1. 課税所得を確認します。給与所得控除後や各種控除反映後の金額です。
  2. 所得税率を確認します。税率は給与の金額や扶養状況で変わるため、会社の源泉徴収税率表を参照してください。
  3. 控除額を確認します。税率表に対応する控除額を使います。
  4. 計算式に当てはめます。掛け算してから控除額を引き、円未満を切り捨てます。

具体例

例:課税所得に対する計算で、仮に課税所得×税率の結果が200,000円、控除額が21,900円なら
200,000円 − 21,900円 = 178,100円
この金額を源泉徴収票の源泉徴収税額欄に記入します。

入力時の注意点

  • 計算根拠(課税所得・税率・控除額)は記録しておきます。後で確認が必要になるためです。
  • 計算結果が0円の場合も空欄にせず0円と記入します。
  • 年末調整や扶養の変更があると税額が変わるため、その都度見直してください。

配偶者・扶養親族情報の入力

控除対象配偶者の有無

最初に「控除対象配偶者がいるか」を記入します。いる場合は配偶者の氏名とその年の所得金額を必ず記入してください。所得額は配偶者の源泉徴収票や確定申告書を確認します。

記入する項目と意味

  • 配偶者の所得金額:配偶者が一年間に得た合計の所得です。ここを基に配偶者控除や配偶者特別控除の該当を判断します。
  • 配偶者控除・配偶者特別控除の額:該当する控除額をそれぞれ記入します。該当の有無と金額は所得金額に応じて変わります。
  • 基礎控除額・所得金額調整控除額:本人に関係する控除ですが、配偶者の状況で影響が出る場合があります。表示がある欄に従って入力してください。

扶養親族の数と内訳

扶養する親族の人数を記載します。扶養親族ごとに氏名、続柄、生年月日(または年齢)、その年の所得の有無を記入します。年齢区分や学生・老人扶養などで控除額が変わるため、正確に書いてください。

記入の流れ(簡単な手順)

  1. 配偶者の有無を選ぶ。いる場合は氏名と所得金額を確認して入力。
  2. 該当する配偶者控除・配偶者特別控除の金額を記入。
  3. 扶養親族の人数と各人の詳細を入力(氏名・続柄・年齢・所得の有無)。
  4. 不明点は配偶者や扶養親族の源泉徴収票を参照し、数値を確認してから確定してください。

注意点

  • 配偶者・扶養親族の所得額は正確に記入してください。申告内容に基づき控除が決まります。
  • 書類によっては区分が細かいため、迷ったら所轄税務署や税理士に確認してください。

住宅借入金等控除の入力

概要

住宅借入金等特別控除の欄には、控除対象者の氏名などの内訳と、申告する控除額を正確に記入します。必要書類に基づき、年ごとの控除額と年末借入残高を一致させて入力してください。

入力する主な項目

  • 控除対象者の氏名(契約者と異なる場合は続柄も記載)
  • 年末時点の借入金残高(年末残高証明書の金額)
  • その年の住宅借入金等特別控除額(該当年度分)
  • 借入開始年月日、金融機関名や貸付金の種類

書類の準備と確認

  • 年末残高証明書は金額の根拠になります。これに基づき記入してください。
  • 初年度は登記事項証明書や売買契約書の写しが必要になる場合があります。

共同名義・共有の場合

共有や連帯債務の場合は、持分割合に応じて按分してそれぞれの内訳を記入します。たとえば持分50%ずつなら、年末残高や控除額も各50%で記載します。

記入例(簡単)

本人が年末残高3,000,000円でその年の控除額が300,000円の場合、内訳欄に氏名・年末残高3,000,000円・控除額300,000円を記入します。

注意点

  • 控除がない場合は空欄にするか「0」と明記してください。
  • 金額は証明書に基づいた円単位で記入し、虚偽の記載は避けてください。必要書類は保存しておきます。

支払者(事業者)情報の入力

記載する項目

源泉徴収票の下部には、次の情報を記入します。マイナンバー(個人)または法人番号、住所・所在地、氏名・名称、電話番号です。従業員に渡す控えにはマイナンバーの記載は不要です。

マイナンバー/法人番号

個人事業主はマイナンバー(12桁)、法人は法人番号(13桁)を正確に記入してください。番号は桁数を確認して入力し、誤記がないように注意します。従業員交付用の用紙ではマイナンバーを省略して問題ありません。

住所・所在地

法人は本店所在地、個人は事業所または自宅の住所を記入します。郵便番号から都道府県、市区町村まで正式な表記で書いてください。変更があった場合は最新の住所を使います。

氏名・名称

会社名や事業主の氏名は登記や開業届にある正式な名称で記載します。略称や愛称は避け、必要なら代表者名も併記してください。

電話番号

市外局番を含めた連絡先を記入します。例:03-1234-5678。内線がある場合は備考欄に書くと相手が連絡しやすくなります。

入力時の注意点

番号や住所の誤記、旧名称の使用、全角半角の混在に注意してください。手書きの場合は読みやすく書き、入力システムではコピー&ペーストで桁抜けが起きないか確認します。従業員用の交付では個人番号の扱いに配慮して、不要なら記載しないようにしてください。

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