就業規則で押さえる年次有給休暇の基本と運用ルール

目次

はじめに

ブログの記事をどう書けばいいかわからない」「記事がうまくまとまらない……」というような疑問や悩みをもっていませんか?本資料も同じように、「就業規則における年次有給休暇(以下、年休)の規定と運用」をわかりやすく整理するために作成しました。

目的

本資料は、年休の付与要件や日数、取得手続き、パートタイマーへの対応、不利益取扱いの禁止など、就業規則に記載する際のポイントを具体的に示します。人事担当者や経営者、現場の管理者が実務で迷わないようにすることを目的とします。

対象読者

人事・総務担当者、経営者、労務管理を任された管理職、就業規則を整備したい事業主などが主な対象です。初めて就業規則を作る方でも読み進められるよう、専門用語は最小限に抑え、具体例で補足します。

本資料の使い方

各章で基礎知識、法的要件、記載例、運用ルールを順に説明します。まず第2章で基本を押さえ、第3章以降は実務に直結する内容を参照してください。実際の書き方例も示しますので、就業規則作成や改定の際にそのまま活用できます。

この章では、全体の見通しをつかんでください。次章から順に読み進めることで、実務で使える知識が身につきます。

年次有給休暇の基礎知識

概要

年次有給休暇(有給休暇)は、労働者が給与を受け取りながら休める権利です。雇い入れから6か月継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に10日が付与されます。

付与される条件(具体例)

  • 例:4月1日に入社した場合、同年10月1日に10日付与(6か月後)。
  • 期間中に欠勤や遅刻が多いと出勤割合が下がり、付与されないことがあります。出勤率は出勤日数÷所定労働日数で計算します。

付与日数の増え方(イメージ)

1年ごとに勤続年数に応じて日数が増え、最大で20日になります。たとえば勤続1.5年なら11日、3年半で15日など、表で定められています。

ポイント

  • 有給は労働者の権利です。会社は原則として取得を妨げられません。
  • 細かい計算やルールは就業規則に明記しましょう。

年次有給休暇の付与日数と対象者

基本条件

年次有給休暇は原則として、雇い入れから6か月経過し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に付与されます。付与日数は勤続年数に応じて増えます。企業は法定に沿って付与しますが、より有利なルールを設けることもできます。

正社員(フルタイム)の付与日数

フルタイムの正社員は法定の基準で付与されます。通常は雇入れ後6か月で10日、その後勤続年数に応じて11日・12日・・・最終的に20日まで増えます。

パート・アルバイトの扱い

週の所定労働時間が30時間以上、または週5日以上勤務する人は正社員と同じ基準が適用されます。それ以外の短時間・短日数勤務者は、所定労働日数・時間に応じた日数を法に基づき算定して付与します。

具体例(イメージ)

  • 週5日・フルタイム:正社員と同じ(6か月後10日)
  • 週3日勤務のパート:所定日数に応じて10日未満になることが多い

注意点

付与の細かい算定方法は就業規則に明記し、労働者に周知してください。条件の変更や特別な取扱いは労使で調整するとよいです。

就業規則における記載例

はじめに

就業規則には、労働基準法や厚生労働省のモデルに沿った明確な条文を載せます。以下は実務で使いやすい記載例と、運用時のポイントです。

記載例(条文案)

  1. 付与の要件
    「採用日から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した者に10日の年次有給休暇を付与する。」

  2. 以降の付与日数
    「その後の付与日数は、勤続年数に応じて次のとおりとする。採用後1年6か月経過時11日、2年6か月経過時12日、3年6か月経過時14日、4年6か月経過時16日、5年6か月経過時18日、6年6か月経過時20日。」

  3. 取得の時季
    「年次有給休暇は、従業員が請求する時季に取得させる。ただし、事業の正常な運営に支障がある場合は、使用者は時季を変更することができる。変更する場合は、速やかに理由を明示して通知する。」

  4. 繰越と消滅
    「当年の未消化分は法定どおり次年度に繰り越すものとし、繰越した日数は2年間で消滅する。」

  5. 手続きと管理
    「取得申請は所定の様式で行い、会社は出勤簿等により管理する。年次有給休暇の残日数を従業員に対し定期的に通知する。」

運用上の注意点

  • 申請方法や申請期限(任意で○日前など)を就業規則に定めると運用が安定します。
  • 時季変更の際は代替勤務や業務調整の説明を記録しておくとトラブルを防げます。
  • パート・契約社員の扱いは別章で明確にすることを推奨します。

年次有給休暇の取得・運用ルール

概要

有給休暇は労働者が希望する時季に取得を請求できます(時季指定権)。会社は業務運営に著しい支障がある場合に限り、時季を変更できます(時季変更権)。取得時の賃金や手続きは就業規則で明確にします。

時季指定権(労働者側の手続き)

  • 取得したい日や期間を事前に指定して請求します。書面、口頭、または電子申請でも構いません。
  • 可能なら早めに申請し、業務調整の余地を残すと円滑です。

時季変更権(会社側の対応)

  • 会社は「業務に著しい支障」がある場合のみ変更できます。単なる繁忙は該当しないことが多いです。
  • 変更する場合は理由を説明し、代替日を提示するなど配慮します。

取得日に支払う賃金と就業規則への明記

  • 取得日には通常の賃金、平均賃金、または健康保険法の標準報酬日額のいずれかを支払います。どれを基準とするかを就業規則で定めてください。

具体的な運用例

  • 申請は原則○日前までに提出、承認は□□日以内に通知など運用ルールを決めます。
  • 繁忙期は代替案を求める、急病は速やかに承認するなど柔軟に運用します。

注意点

  • ルールが不明瞭だとトラブルになります。就業規則や社員への周知を徹底してください。

パート・アルバイトの場合の取り扱い

概要

パート・アルバイトの有給休暇は、週の所定労働時間や勤務日数に応じて日数が決まります。週30時間以上または週5日以上であれば、正社員と同じ付与基準が適用されます。週の労働が少ない場合は比例付与になります。

比例付与の考え方

比例付与とは、働く時間や日数に応じて有給の日数を按分する方法です。例えば、正社員が年間10日付与される場合、週3日勤務の人はその割合に合わせて日数を減らします。計算は就業規則や労基法に基づきますが、簡単に説明します。

具体例

  • 週5日(正社員と同等): 例)入社半年で10日
  • 週3日: 3/5の割合で10日→実際には端数処理で調整(6日になることが多い)
  • 週2日: 2/5の割合で10日→4日程度になることが多い

手続きと注意点

  1. 労働契約書や就業規則に付与の基準を明記してください。例を入れると従業員が分かりやすくなります。2. 給与計算や勤怠管理システムで比例付与を正確に反映してください。3. 端数の扱いは事前に取り決めるとトラブルが減ります。

よくある疑問

  • Q: 勤務日数が変わったら?
    A: 変更後の契約に合わせて日数を再計算します。勤務形態の変更は書面で残してください。
  • Q: 契約期間が短い場合は?
    A: 契約期間が6か月未満でも条件を満たせば日数が発生する場合があります。

不利益取扱いの禁止

年次有給休暇を取得したことで、賃金を減らしたり、降格や解雇、賞与の不支給など不利益な扱いをしてはなりません(労働基準法第39条)。この章では具体例と対応方法をやさしく説明します。

  • 禁止される例(具体例)
  • 有給を取った日に対して日給を減額する。
  • 有給取得後に評価を下げて昇進や賞与を不当に減らす。
  • 有給を理由に勤務時間やシフトを不利に変更する。
  • 上司からの嫌がらせや退職勧奨など間接的な圧力。

  • 許される範囲

  • 業務上の正当な理由での配置転換や就業条件の変更は、客観的で合理的なものであれば可能です。労働者の休暇取得を理由にした明白な不利益は違法です。

  • 問題が起きたときの対処法

  • まず就業規則や雇用契約書を確認します。上司と冷静に話し合い、記録を残してください。
  • 社内で解決できない場合は、労働基準監督署や労働相談窓口に相談しましょう。必要に応じて弁護士に相談する方法もあります。

職場で安心して有給を使えることが大切です。不利益な扱いを受けたら、早めに相談することをおすすめします。

就業規則作成・改定時の注意点

労働基準法に違反した就業規則は無効になります。法定を下回る規定に意味はありません。作成・改定の際は、実務に沿った運用を意識し、次の点を確認してください。

法令確認を最優先に

有給休暇の付与日数や対象、時季指定の権利など、法定基準をまず押さえます。具体例:付与日数を就業規則で法定より少なく規定してはいけません。

実態に合わせる

規則は書面通りに運用できることが重要です。例えば、シフト制や短時間勤務の労働者が多い職場では、所定労働日数に応じた有給の算定方法を明記します。

分かりやすい文言にする

曖昧な表現はトラブルの元です。「入社6か月経過後に10日付与」など具体的に記載してください。取得手続きや申請期限も明示します。

労働者の意見聴取と周知

就業規則の作成・改定時は、労働者の意見を聴くこと、周知することが大切です。書面や電子で周知し、従業員が見られる場所に掲示するなど具体的な方法を決めます。

届出と記録の管理

改定したら所轄の労働基準監督署への届出や、周知した記録を保管します。運用実績(有給取得状況や時季指定の記録)を保存し、問題があればすぐ修正できるようにします。

定期的な見直し

勤務形態や業務量が変わったら、すぐに規則を見直します。実際の運用と規則が乖離している場合は、運用ルールを整備してから改定してください。

実務チェックリスト(例)

  • 法定基準を満たしているか
  • 実態に合わせた算定方法か
  • 文言は具体的か、誤解を招かないか
  • 労働者の意見を聴取したか
  • 周知・届出を行ったか
  • 運用記録を保管しているか

以上を確認することで、無効やトラブルのリスクを減らせます。必要があれば専門家に相談して進めると安心です。

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