はじめに
退職日を「月の途中」にするか「月末」にするかで迷う方は多いです。給料や保険、ボーナスの扱い、職場での引き継ぎや印象まで、影響は意外と幅広く出ます。本記事は、そうした「中途半端な退職日」がもたらす損得や注意点を、わかりやすく整理してお伝えします。
この記事の目的
- 社会保険や税金、給与の扱いがどう変わるかを、具体例を交えて説明します。
- ボーナスや退職金の受け取り方、時期による違いを分かりやすくします。
- 引き継ぎや職場との関係を考えた、円満な退職日の決め方を提案します。
読者の想定
転職や退職を検討していて、退職日をいつにするか悩んでいる方を想定しています。労働時間や社会保険の手続きに詳しくない方でも読み進められる内容にします。
読み方のポイント
本記事は全6章です。第2章で退職日の決め方の基本を示し、第3〜5章で具体的な不安や金銭面の影響を検証します。最後の章で「いつ退職すると得か」を総合的に考えます。まずは全体像をつかんでから、気になる章だけ読むのもおすすめです。
そもそも「退職日」とは？誰が決めるものか
退職日の意味
退職日とは、その会社に在籍する最終日を指します。退職届に書く日付は通常、この「在籍最終日（最終出社日）」です。給与や社会保険の扱い、引き継ぎの区切りにも関わるため、日付は重要です。
法律上の考え方
民法上、期間の定めのない雇用は本人の申し入れで終了できます。原則として2週間の予告で退職できますが、実務では余裕を持って伝えるのが一般的です。会社が一方的に退職日を決めることは原則できませんが、合意があれば会社側が最終日を調整することは可能です。
実務上の慣行
多くの会社では1〜2カ月前に申し出るのが普通です。理由は引き継ぎや後任探し、業務整理のためです。部署や職種によってはもっと前に知らせることを求められる場合もあります。
会社が決める場合の例外
契約期間の定めがある場合は契約終了日が退職日になります。整理解雇や懲戒解雇など会社側の理由で退職日を設定されるケースもあります。
実務での進め方（例）
・まず上司に口頭で相談し、時期の希望を伝えます。
・書面（退職届）に退職日を明記して提出します。
・会社と調整して合意できれば正式な退職日が決まります。
早めの相談と合意形成が円滑な退職につながります。
「中途半端な退職日」はなぜ気になる？代表的な不安
はじめに
月の途中で退職を考えると、金銭面や周囲への影響、将来の見栄えなどが気になります。ここでは代表的な不安を「金銭面」と「キャリア・人間関係面」に分けて分かりやすく解説します。
金銭面での不安
- 社会保険・税金：月の途中で辞めると保険料や税の扱いが気になります。たとえば給与が日割りになる月は、社会保険の加入・喪失のタイミングで手続きが発生しますが、多くの場合大きな損にはなりません。詳しい計算は会社や市町村の窓口で確認しましょう。
- 退職金や有給：勤続年数の端数で計算される制度では端数が気になります。就業規則を確認し、必要なら人事に相談すると安心です。
キャリア・人間関係の不安
- 業務の引き継ぎ：プロジェクトが途中だと周囲に負担をかける不安があります。段階的に引き継ぎ資料を作り、後任と面談することで負担を減らせます。
- 履歴書や面接での見栄え：中途半端な月の退職は印象に残りやすいですが、理由を明確に伝えれば問題になりにくいです。自己都合やキャリアアップといった前向きな説明を用意しましょう。
対策のポイント
- まず就業規則と給与明細を確認する
- 人事や上司と早めに相談する
- 引き継ぎ計画を具体的に作る
これらを踏まえると、中途半端な退職日への不安はかなり軽減できます。
社会保険から見た「中途半端な退職日」は損か得か
基本ルール
社会保険（健康保険・厚生年金）は「月末時点でどの会社に所属しているか」で負担先が決まります。月の最終日に在籍していれば、その月の保険料は会社が負担します。逆に月の途中で退職すると、月末に在籍していないため会社の扶養から外れます。
具体例で考える
・退職日が今月末（例：5月31日）→5月分の保険料は従来の会社負担。翌月から新しい保険に切り替われば自己負担が増えにくい。
・退職日が5月15日で新しい会社の入社が6月20日→5月末にどこにも所属していない期間が生じます。任意継続や国民健康保険へ加入する必要があり、場合によっては2カ月分の自己負担が発生します。
転職先が決まっている場合
入社日の前日を退職日にすると理想的です。月末の所属が途切れなければ、保険の切れ目がなく、自己負担を抑えられます。
転職先が未定の場合
月末退職をおすすめします。自己負担期間を最小化できる可能性が高いです。ただし給与の締め日や入社日の開始時期で最適な日が変わるため、事前に会社の総務や転職先と確認し、簡単なシミュレーションをしてください。
注意点
任意継続は会社加入時の扶養条件や期間制限があり、自己負担は高めです。国民健康保険は自治体ごとに手続きと金額が異なります。具体的な金額や手続きは早めに調べましょう。
ボーナス・退職金から見た「中途半端なタイミング」の注意点
ボーナス（賞与）の注意点
多くの企業は「支給日現在で在籍している人」に支給します。たとえば支給日が6月30日であれば、6月末の退職日を1日でも早めると対象外になる可能性が高いです。ボーナスを確実に受け取りたい場合は、支給日翌日以降の月末退職を検討してください。
退職金の注意点
退職金は勤続年数の区切りで計算表が設けられることが多いです。例として勤続3年、5年、10年などで計算率が上がる場合、1〜2か月の差で大きく変わることがあります。中途半端なタイミングで退職すると、区切りを超えられず金額が小さくなるリスクがあります。
具体的にやるべきこと
- 就業規則や退職金規程を確認する。2. 人事にボーナスの在籍要件と退職金の計算方法を確認する。3. 支給日や勤続年数の区切りを踏まえて、退職日を調整する。
確認と調整を行えば、思わぬ損を避けられます。
「何月に退職すると得か」：年度・求人動向・区切りの観点
求人のピークは3月と9月
求人や採用は3月（年度末）と9月（中間期）に増えます。企業が予算や組織の区切りで人を補充するためです。転職活動はピークの2〜3カ月前から始めると、選択肢が多くなりやすいです。例えば3月退職を目指すなら1月頃から準備します。
年度末・月末で区切るメリット
年度末（3月末）や月末で退職日を合わせると、書類手続きや保険の扱いが分かりやすくなります。ボーナスや退職金の算定基準が「在籍しているか」で決まることが多いため、支給月をまたぐ退職は損を避けやすいです。
ボーナスと退職金の注意点
夏季・冬季ボーナスがある会社では、支給月の後に退職すると受け取りやすくなります。退職金は規定により計算方法が異なるため、社内規定を確認してください。
具体的な退職スケジュール例
- 6月・12月にボーナスが出る会社：ボーナス受取り後の月末退職を検討
- 3月決算の会社：3月末退職で年度区切りの恩恵を受けやすい
最終チェックリスト
- ボーナス支給日と退職日の関係を確認する
- 就業規則や退職金規定を読む
- 社会保険・雇用保険の資格喪失時期を確認する
- 転職市場のピークに合わせて応募を始める
これらを踏まえ、自分の優先順位（収入重視か早期転職か）を明確にして退職日を決めてください。
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