はじめに
目的
この文書は、退職日がわかる書類について調査した結果を分かりやすくまとめています。離職票、退職証明書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失証明書の役割や発行の流れ、法的根拠、用途の違いを整理しました。読者が必要な書類を把握し、実務で適切に扱えるようにします。
本書で分かること
- 退職日を証明する代表的な書類の種類と特徴
- 各書類の発行方法や受け取りのタイミング
- 書類ごとの主な使いみち（雇用保険手続き、年金・保険の資格確認、転職先への提出など）
対象読者
- 退職予定または退職直後の労働者
- 人事・総務担当者
- 転職支援や労働相談に関わる方
本書の構成
第2章〜第5章で各書類の内容と違いを詳しく説明します。第6章で退職時に受け取るべき書類一覧を示し、第7章で実務上の注意点を解説します。
注意事項
本書は一般的な説明を目的としています。個別の事例や最新の法改正については、専門機関や担当窓口へ確認してください。
退職日がわかる書類とは
概要
退職日を証明する書類は、退職後の手続きで非常に重要です。主に「離職票」「退職証明書」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失証明書」の3種類が使われます。これらは失業給付や転職先での手続き、年金や保険の手続きに必要です。
主な書類一覧
- 離職票：ハローワークへ提出するための書類。退職日や離職理由が記載されます。
- 退職証明書：会社が発行する退職日証明の書類。在籍期間や退職日がわかります。
- 被保険者資格喪失証明書：健康保険や厚生年金の資格がいつ失われたかを示す書類。
書類ごとの簡単な説明
- 離職票：会社がハローワークへ手続きをして作成されます。失業給付を受ける際に必要です。会社の手続きが遅れることがあるので、受け取り状況を確認してください。
- 退職証明書：退職者本人が会社に請求して交付してもらいます。転職先や市役所で提出を求められることがあります。
- 被保険者資格喪失証明書：社会保険の資格がいつ切れたかを示します。保険や年金の手続きで使います。
受け取り方と注意点
会社に発行を依頼する際は、いつまでに必要かを伝えてください。日付に誤りがあれば必ず訂正を求めましょう。原本は大事に保管し、必要に応じてコピーを用意しておくと安心です。
退職証明書について
退職証明書とは
退職証明書は、労働者が退職した事実や退職日、使用期間などを会社が証明する書類です。労働者が請求すれば会社は発行義務を負います。転職先や自治体、保険手続きなどで求められることが多い書類です。
記載される主な内容（具体例付き）
- 使用期間：例）2018年4月1日〜2022年3月31日
- 業務の種類・内容：例）営業（新規顧客開拓、既存顧客対応）
- 事業における地位：例）主任、課長代理など
- 賃金：例）基本給の記載や在籍中の平均賃金
- 退職の事由：例）自己都合退職、会社都合退職（解雇の場合は解雇理由も含む）
請求者は必要な項目だけを選んで請求できます。
発行の時期と請求期限
請求を受けたら会社は遅滞なく発行する義務があります。請求期限は退職日から2年以内ですので、早めに手続きするのが安心です。
発行拒否や遅延のリスク
正当な理由なく発行を拒んだり遅らせたりすると、罰金（30万円以下）の対象になります。書類が必要な場面で会社が応じない場合は、労働基準監督署などに相談するとよいです。
使いどころと実務的な注意点
離職票が届く前や紛失時に被保険者資格喪失の証明として使えます。請求は口頭でも書面でも可能ですが、後でトラブルにならないよう書面で日時と請求内容を残すと安心です。発行された内容に誤りがあれば早めに訂正を依頼しましょう。
離職票について
概要
離職票は雇用保険の給付を受けるときに必要な公的書類です。企業が「離職証明書」をハローワークに提出すると、ハローワークが離職票（離職票-1・離職票-2）を交付します。手続きは会社から始まりますので、退職後はまず会社に確認してください。
発行の流れと期限
会社は退職日の翌々日から10日以内に離職証明書をハローワークへ提出します。提出を受けてハローワークが離職票を作成・交付します。交付後は失業給付の申請に使います。
記載内容と性質
主な記載項目は被保険者番号、退職日、離職理由、直近6か月の賃金などです。記載は客観的事実に基づきます。離職票-1はOCR用紙で基本情報が印字され、離職票-2は会社が賃金支払状況や離職理由を記入し、本人が確認して署名します。
発行の可否と注意点
59歳以上の退職者には必ず発行されます。59歳未満は本人の希望がないと発行されない場合があります。離職票が届かない、記載に誤りがあるときは、まず会社に確認してください。会社側が対応しない場合はハローワークに相談すると、確認や指導をしてもらえます。
使い方のヒント
失業給付を受けるには原本が必要になるため、届いたら内容をよく確認し、コピーも保管してください。記載に不明点がある場合は、署名する前に会社とハローワークで確認を取ると安心です。
退職証明書と離職票の違い
退職証明書とは
退職の事実や使用期間、職務内容などを会社が証明する書類です。転職先や自治体などに提出するために用います。労働者が請求すれば会社に発行義務があり、書式は企業ごとに異なります。
離職票とは
失業給付の申請に使う書類で、ハローワークに提出します。雇用保険法にもとづくもので、会社が所定の様式で発行します。59歳未満の退職者は希望しない場合を除き発行義務があります。離職理由など給付判定に必要な情報が含まれます。
主な違い（ポイント）
- 目的：退職証明書は就職や各種手続きの確認用、離職票は失業給付の申請用です。
- 法的根拠と発行義務：退職証明書は労働基準法に基づき請求で発行、離職票は雇用保険法で原則発行されます。
- 書式：退職証明書は自由様式、離職票は所定様式です。
- 内容：離職票は離職理由や雇用保険の情報が記載され、給付に直結します。
どちらが必要か
転職先へは退職証明書、失業給付を受けるなら離職票が必須です。両方求められる場合もありますので、退職時に会社へ確認してください。
発行を依頼する際の注意点
請求は書面やメールで記録を残すと安心です。発行が遅れる場合はハローワークや労働基準監督署に相談できます。
退職時に受け取る書類一覧
退職時に会社から受け取る主な書類を、用途と受け取り時のポイントと合わせて分かりやすくまとめます。これらは転職先への提出、年末調整、各種社会保険手続き、失業給付申請などに必要です。
退職証明書
- 内容：在職期間や退職日、職務内容などを証明する書類です。
- 用途：転職先への提出、年金や就業状況の確認に使います。
- ポイント：自分で依頼しないと発行されない場合があります。必要な書式や記載事項を事前に確認しましょう。
源泉徴収票
- 内容：その年の給与と税額を示す書類です。
- 用途：年末調整や次の勤務先での手続き、確定申告で必要です。
- ポイント：年をまたぐ場合は翌年の初めに発行されることが多いので受け取り時期を確認してください。
健康保険資格喪失証明書
- 内容：健康保険の資格を喪失したことを証明する書類です。
- 用途：国民健康保険や新しい保険への加入手続きに必要です。
- ポイント：保険の切り替えは期限があるので、早めに受け取って手続きを進めましょう。
雇用保険被保険者証
- 内容：雇用保険の加入記録がわかる証明書です。
- 用途：失業給付申請や雇用保険の手続きで使います。
- ポイント：紛失しないよう保管し、必要時に会社から最新の情報をもらいましょう。
基礎年金番号通知書
- 内容：年金の基礎番号を確認する書類です。
- 用途：年金手続きや各種届出で必要になることがあります。
- ポイント：既に通知を持っている場合もありますが、番号が不明なら確認を依頼してください。
離職票
- 内容：離職理由や被保険者期間が記載された書類です（失業給付用）。
- 用途：ハローワークでの失業給付申請に必須です。
- ポイント：会社が手続きを行い発行されます。発行までに時間がかかることがあるため、手続き時期を確認しましょう。
その他、給与明細や在職証明書が必要になる場合もあります。受け取った書類は紛失しないよう整理し、転職先や役所から求められたら速やかに提出してください。
実務上の注意点
以下は実務で注意すべきポイントを分かりやすくまとめたものです。各項目は手続きの漏れや誤記を防ぐことを目的としています。
1. 事前確認と記録
退職証明書の記載希望項目は退職者に必ず確認し、確認日時と担当者名を記録します。口頭だけで済ませず、メールや書面でのやりとりを残すと後の争いを防げます。
2. 退職証明書と解雇理由証明書の扱い
退職証明書には退職の事由を簡潔に記載します。一方、解雇理由証明書は裁判などで使われることがあるため、事実を詳しく正確に記載します。
3. 離職証明書の記入手順
離職票（離職証明書）には、退職前1年間の給与支払状況や退職理由を記入します。本人の判断欄があるため、最終出社日前に本人に記入してもらうよう手配してください。
4. 未確認・不明点の対応
確認できない事項は空欄で提出する場合がありますが、その場合も確認できなかった旨を記録し、後日訂正があれば対応できるようにしておきます。
5. 保管と提出期限、個人情報保護
作成した書類はコピーを本人へ渡し、会社側も保存します。保存期間や提出期限を守り、個人情報は必要最低限にとどめて安全に管理してください。
6. トラブル防止の実務的なコツ
書式は統一し記入例を用意します。疑義がある場合は人事や法務に相談し、可能なら退職者にも確認の機会を設けると安心です。
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