はじめに
目的
本資料は、退職代行サービスを利用して退職する際のパソコンや貸与品の返却方法をわかりやすく説明するために作成しました。郵送での返却が可能か、注意すべきルール、梱包や書類の書き方などを具体的に解説します。
対象となる方
- 退職代行を使って退職予定の方
- 会社に出向かずに物品を返却したい方
- 返却手続きが不安な方
本資料で扱う主な内容
- パソコンや貸与品を郵送で返す方法
- 返却時のルールと注意点
- 返却すべき物の一覧
- 安全な梱包と配送方法
- 返却しない場合のリスクと対処法
- 直接手渡しや代行業者利用の選択肢
読み方の案内
各章は順に読めば返却の流れが把握できます。まずは第2章で郵送の可否を確認し、以降で具体的な手順や注意点を確認してください。
注意事項
会社の規程や貸与契約に従い、必要なデータ消去やパスワードの管理は事前に行ってください。個人情報や業務データの扱いには十分ご注意ください。
パソコン返却は郵送でOK
退職代行を使った場合でも、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの貸与品は郵送で返却できます。会社に直接行かずに手順を守れば、会社と直接やり取りしなくてもスムーズに返せます。
送る前の準備
- 個人データの退避と初期化:大切なデータは必ずバックアップを取り、クラウドや個人のメール、SNSからログアウトしてから工場出荷状態に戻します。写真やパスワード管理アプリなどの個人情報を残さないようにしてください。
- 付属品の確認:充電器、ケーブル、専用ケース、鍵、説明書など、貸与時に付いていたものを揃えます。SIMカードは会社所有か個人所有かを確認して取り扱います。
梱包と発送方法
- 梱包は本体を緩衝材で包み、壊れにくい箱に入れて隙間を埋めます。衝撃を吸収する素材を使ってください。
- 追跡ができる配送方法を選びます(宅配便やゆうパックなど)。高価な機器は補償(保険)を付けると安心です。
- 梱包前と封をした後の写真を撮り、発送伝票(追跡番号)の控えを保管します。
連絡と証拠の残し方
- 会社が指定する返却先住所や担当者名がある場合は、必ずその宛先に送ります。指定がない場合は総務や人事に確認した記録を残してください。
- 発送後は追跡番号を控え、会社宛に送付連絡(メールや退職代行を通じた通知)を行います。受領確認を依頼すると後のトラブルを防げます。
注意点
- 送料負担の扱いは会社によって異なります。着払いで送れるか事前に確認してください。確認が難しい場合は着払いを避け、自分で発送して領収書を保管する方が安全です。
- 破損や紛失があった場合に備えて、写真と発送記録を残しておきましょう。後で補償交渉が必要になったときに役立ちます。
郵送は手軽で会社に行かずに済む方法です。準備と記録をしっかりして、安心して返却してください。
返却時の重要なルール
元払いで発送すること(必須)
返却物は必ず元払いで送ってください。着払いは受け取り側に負担を強いるため非常識とされます。受取り拒否や郵送料請求のトラブルにつながることがあります。元払いで送った証拠(発送伝票の控えや追跡番号)は必ず保管してください。
データの取り扱いルール
会社から初期化の指示がない限り、パソコン内のデータは勝手に削除してはいけません。業務データや設定が残っている場合もありますので、そのまま返却します。個人的なデータは返却前に完全に消去することが推奨されます。消去する際は、会社の指示やIT担当者に相談して方法を確認してください。
実務的な注意点
- 梱包前に機器の型番・シリアル番号を控えておくと安心です。
- 破損を防ぐ緩衝材を使い、外箱に「精密機器」などと明記してください。
- 追跡可能な配送方法を選び、領収書や追跡番号は保管します。
- 不明点は事前に会社へ連絡し、受け入れ方法を確認してください。
返却すべき貸与品の種類
健康保険証(扶養家族分含む)
会社が発行した健康保険証は必ず返却します。本人分だけでなく、扶養家族分も忘れずにまとめてください。コピーや個人情報は破棄・削除してから渡すと安心です。
社員証・社章・名刺
社員証や社章は入館や身分確認に使われます。名刺は在庫が残らないように会社の指示に従って返します。紛失した場合はその旨を連絡してください。
パソコン・携帯電話(スマホ)
業務用の端末は初期化やデータ削除が必要なことが多いです。個人データはバックアップ後に消去し、充電ケーブルやアダプタも一緒に返却します。
制服・作業着
クリーニングしてから返却するのがマナーです。汚れや破れがある場合は事前に報告しましょう。
通勤定期券
退職日までの精算や払い戻し手続きが必要です。会社のルールに沿って処理してください。
その他の会社支給品
鍵、ICカード、工具、書籍、専用ソフトのライセンスカードなど会社から支給された物はすべて確認して返却します。返却先や期限が決まっている場合は必ず守ってください。
安全な郵送方法と梱包のポイント
発送前の準備
発送前に返却物すべての写真を撮影します。外観、シリアル番号、付属品を別々に撮って証拠を残します。個人データはバックアップしてから初期化してください。
梱包の基礎
適度に余裕のある段ボールを用意します。プチプチや発泡スチロールなどの緩衝材で本体をしっかり包み、箱の中で動かないよう隙間を埋めます。濡れ対策にビニール袋で包むと安心です。
精密機器の梱包手順(例:ノートパソコン)
- 電源を切り、バッテリーに注意します。取り外し可能なら外して別に保護します。
- 防静電袋や布で本体を包み、さらに緩衝材で囲みます。
- 充電器やケーブルはまとめて小袋に入れ、本体と分けて梱包します。小さなネジやUSBメモリは密閉袋に入れて明示します。
添え状と外箱表示
丁寧な添え状を同封します。氏名、社員番号、返却品の明細(型番・シリアル)、返却日、連絡先を記載してください。外箱にも「貸与品返却」などと分かりやすく明示します。
送付方法と受領確認
追跡番号のある配送を使い、補償や受取確認が可能なサービスを選びます。渡した証拠として配送控えと写真を保管してください。到着後に受領確認をもらうと安心です。
退職代行業者の役割
概要
退職代行業者は、利用者に代わって会社と連絡を取り、退職手続きや貸与品の返却に関する調整を行います。利用者は自宅にいながら返却先や期限を知らされ、指定の住所へ貸与品を郵送するだけで手続きが完了することが多いです。
利用の流れ(具体例)
- 業者に依頼する
- 業者が会社へ連絡し、返却品の一覧・返却期限・宛先を確認する
- 利用者へ返却先の住所や注意事項を通知する
- 利用者が貸与品を梱包し、追跡付きで郵送する
- 業者または会社が受領を確認して手続き完了
業者が対応すること・しないこと
- 対応すること:会社との連絡、返却方法の調整、退職手続き全般の代行
- 対応しないこと:本人の代わりに実際に荷物を梱包・発送する(返却代行サービスを別途提供する場合を除く)
返却代行サービスについて
業者によっては、梱包や発送を代行する有料サービスを用意しています。忙しい人や外出が難しい人は利用を検討すると便利です。料金や範囲は業者で異なるため事前に確認してください。
注意点
- 追跡番号や領収書は必ず保管する
- 個人情報や重要データが入った機器は初期化やパスワード管理を行う
- 費用負担(送料や代行手数料)を誰が負うかは事前に確認する
以上の点を押さえれば、直接会社と連絡を取らずに安全に返却できます。
返却しないことのリスク
概要
会社から貸与されたパソコンや周辺機器は、返却する義務があります。返却を怠ると、返還請求や損害賠償請求、法的手続きに発展する場合があります。早めに対応することが大切です。
主なリスク
- 返還請求・督促:会社から請求書や督促状が届き、回収費用や送料を請求されることがあります。
- 損害賠償:機器を紛失・破損していると、修理費や買い替え費用を請求されます。
- 法的手続き:未返却が続くと小額訴訟や民事訴訟に発展し、裁判費用や手間が増えます。
- 給与控除や財産への影響:最終給与から差し引かれる、最悪の場合は差し押さえの可能性があります。
- 個人情報漏えいのリスク:機器内に残るデータが原因で、会社に損害を与えることがあります。
具体例
- 退職後にノートパソコンを返却しなかったため、会社から損害賠償を請求され、和解金を支払った例があります。
- データを消去せずに返さなかったことで、情報漏えいの疑いがかかりトラブルになった例があります。
対処法
- まずは会社に連絡し、返却方法と期限を確認してください。
- 郵送する場合は追跡番号を付け、発送記録を必ず残してください。
- 返却の証拠(伝票や写真、メールのやり取り)を保存してください。
- 不当な請求や不安がある場合は、弁護士や退職代行に相談してください。
直接手渡しでの返却も可能
概要
郵送ではなく直接会社の担当者に手渡しで返却する方法です。対面で渡せるため、その場で確認を受けられ、誤解や紛失のリスクを減らせます。
事前準備
- 返却物リストを作成し、品目と状態を明記します。
- 返却日時と場所を担当者と事前に調整します。メールやチャットで記録を残すと安心です。
- 本人確認書類(社員証や身分証)を用意します。
当日の手順
- 到着後、担当者に返却物リストを見せ、内容を一緒に確認します。
- 担当者にリストへ受領印またはサインをもらいます。可能ならリストを二部用意し、片方に受領印をもらって持ち帰ります。
- その場で短い点検(電源が入るか、外観の損傷など)を一緒に行うと安心です。
受領の証拠を残す方法
- 受領印やサインを必ずもらうこと。
- 返却時の写真(機器と受領サインが一緒に写る)を撮影します。
- 受領書をスキャンまたは写真で保存し、メールで担当者に送って受信確認を得ます。
- 第三者(同僚や上長)の立ち会いを依頼しておくとさらに確実です。
注意点
- 担当者が不在の場合は、安易に放置せず日時を再調整してください。
- 返却物の状態について言い分が出る場合もあるので、渡す前に写真を撮り記録を残すことをおすすめします。
- 何かトラブルがあれば、事前のメール記録や受領証を基に対応できます。
会社に行かずに返却する方法
会社に残した私物や貸与品は、会社に行かなくても返却できます。ここでは安全に、かつ証拠を残しながら行う方法を分かりやすく説明します。
1)着払いで自宅へ受け取る
私物は会社に着払いで送ってもらえます。会社へ「着払いで送ってください」と明確に伝え、送り先住所・受取人名を確認してください。受取時は印鑑や身分証を用意します。
2)退職代行や弁護士の活用
連絡が難しい場合は退職代行業者や弁護士に依頼できます。業者が会社と交渉して荷物の引取りや発送手続きを代行します。精神的負担を減らせますし、法的な問題が絡むときは弁護士が適切です。
3)発送前の準備(証拠を残す)
返却対象の写真を撮り、リストを作成してください。鍵や付属品も忘れず明記します。データ消去が必要な機器は手順を確認し、消去後の記録を残します。
4)梱包と配送方法
壊れやすい物は緩衝材で保護し、外箱に品名を簡潔に記載します。着払いの場合、伝票に着払いの旨を明確に書いてもらい、配送業者の領収書や追跡番号を会社に送ってもらうよう依頼します。
5)受取後の確認と保管
受取時は箱を開けて中身を確認し、破損や不足があれば写真を撮っておきます。受領書や配送伝票は必ず保管してください。
6)費用負担やトラブル時の対処
原則として貸与品の返却に伴う送料負担は会社側と交渉します。会社が負担しない場合は請求手続きや証拠を整えて対応します。紛争化したときは弁護士に相談してください。


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