はじめに
本調査は、退職代行サービスの料金相場を分かりやすく整理したものです。運営元(行政書士・労働組合・民間企業など)による価格差、雇用形態ごとの料金設定、料金帯ごとのサービスの違いを中心にまとめています。実際に代表的なサービスを比較する表や、追加料金と決済方法の注意点も掲載し、利用前に確認すべきポイントを明確にします。
日常的な利用者にも理解しやすいよう、専門用語は最小限にし具体例を交えて説明します。たとえば「法律相談が含まれるか」「会社とのやり取りの代行範囲」「返金ポリシー」など、費用と内容がどう結びつくかを示します。
本章では、各章で何を学べるかを簡潔にご案内します。
- 第2章:運営元別の料金相場と特徴
- 第3章:正社員・派遣・パート別の料金差
- 第4章:価格帯ごとの提供サービスの違い
- 第5章:代表サービスの比較表での見方
- 第6章:追加料金や決済方法の確認ポイント
これにより、退職代行の費用面を冷静に比較し、自分に合った選択ができるようになります。次章から各項目を具体的に見ていきます。
運営元による料金相場の大きな違い
概要
退職代行の料金は運営元の種類で大きく変わります。同じ「退職代行」という名前でも、提供する権限や対応範囲が異なるため、価格帯が2倍以上違うこともあります。以下で代表的な3種類を具体的に説明します。
民間企業運営(目安:1万円〜5万円)
- 内容:電話・メールでの退職手続き代行や退職の意思伝達が中心です。弁護士は含まれないことが多いです。
- 長所:料金が安く、手続きが早い。初期費用を抑えたい場合に向きます。
- 短所:法的交渉や団体交渉はできません。未払い賃金や雇用契約のトラブルには限界があります。
労働組合運営(目安:2.5万円〜3万円)
- 内容:組合の団体交渉権を使って、有給消化や退職日、未払いの交渉が可能です。
- 長所:実務的な交渉力があり、会社と直接話し合いの場をもてます。費用は比較的中間的です。
- 短所:法的代理ではないため、法的措置が必要な場合は弁護士の連携が必要になることがあります。
弁護士運営(目安:5万円〜10万円以上)
- 内容:法的アドバイスや訴訟対応を含めた本格的な代理が可能です。未払い賃金請求など法的手段を取れます。
- 長所:法的リスクが高いケースでも安心して任せられます。証拠の収集や訴訟対応まで対応します。
- 短所:費用が高く、簡単な退職手続きには割高になることがあります。
選び方のポイント
- まず目的を明確にしてください。速やかに辞めたいだけか、未払い賃金や退職日の交渉が必要かで選び方が変わります。したがって、見積り時に対応範囲と追加費用の有無を必ず確認してください。
- 料金だけでなく、実績や返金規定、連絡の取りやすさも確認しましょう。
雇用形態別の料金相場
正社員
正社員向けの退職代行は、手続きや交渉が慎重になるため料金は高めです。一般に2万円~5万円が相場です。会社との最終調整や有給消化の相談など、細かい対応が必要な場合に費用が上がることがあります。
契約社員・派遣
契約社員や派遣社員は正社員より対応が簡潔になることが多く、料金は中間の設定になります。相場は約1.5万円~4万円です。契約期間や違約金の有無でサービス内容が変わる点に注意してください。
アルバイト・パート
アルバイトやパート向けは比較的安価で、1万円~3万円が目安です。退職手続きの代理だけで済む場合は下限に近く、未払い賃金など追加対応が必要だと上がります。
未払い賃金や争いがある場合
未払い賃金や複雑な交渉がある場合は、民間の代行業者より労働組合運営のサービスを選ぶとよいです。組合は交渉力が強く追加の法的手続きにも対応しやすいです。
料金の決め方と注意点
基本料金に加え、オプション(残業代請求、内容証明の作成など)で追加費用が発生します。見積もりを必ず書面で確認し、返金規定や対応範囲を明確にしておくことをおすすめします。
具体例(目安)
- 簡単な連絡代行:1万円~2万円
- 交渉を含むフルサポート:3万円~5万円
- 未払い請求がある場合:組合経由で追加費用発生の可能性あり
各社で範囲や料金体系が異なるため、複数の見積もりを比較して自分の状況に合うサービスを選んでください。
料金別サービス内容の違い
2万円台(コストパフォーマンス重視)
・基本的な連絡代行や退職意思の伝達、簡単なアドバイスが中心です。労働組合運営の場合は、有給消化や退職日の交渉まで対応できることが多く、費用対効果が高いです。例:会社への電話1回、メール送信、手続きの案内。
3万円〜5万円(標準〜上位プラン)
・個別相談や複数回の交渉、書類作成、継続的なやり取りを含むことが一般的です。退職金や引き継ぎ、細かい条件交渉まで踏み込めるため、安心感があります。例:交渉を重ねて有給消化と円満退職の取り付けを図る。
5万円以上(弁護士対応・法的問題対応)
・未払賃金やハラスメントなど法的に複雑な問題に対応するための価格帯です。弁護士が直接対応し、証拠収集や訴訟準備、書類の法的精査まで行います。着手金や成功報酬が別途発生する場合がある点に注意してください。
選ぶときのチェックポイント
・何が料金に含まれるか(連絡回数・交渉範囲・書類作成など)
・対応者の属性(一般業者・労組・弁護士)
・追加料金の有無と条件
・想定される対応期間と実績(口コミ)
用途や問題の複雑さに合わせて、費用とサービス内容を照らし合わせて選んでください。
実際のサービス比較表
代表的な退職代行サービスを、料金・運営元・主な特徴で比較しました。比較のポイントは「料金」「会社との交渉可否」「対応の範囲」「備考(追加費用や対応スピード)」です。
- 退職代行EXIT(20,000円)/民間企業
- 料金:20,000円(目安)
- 運営元:民間企業
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特徴:比較的安価で利用しやすい。即日対応をうたう場合が多い。会社への交渉は原則行いません。
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退職代行ガーディアン(19,800円~29,800円)/労働組合
- 料金:19,800円~29,800円
- 運営元:労働組合
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特徴:労働組合が運営するため会社との交渉(未払い賃金や条件交渉など)が可能な場合があります。プラン差に注意。
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退職代行OITOMA(24,000円)/労働組合
- 料金:24,000円(目安)
- 運営元:労働組合
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特徴:交渉対応が可能。利用者の声でサポートの手厚さが評価されることが多いです。
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退職代行Jobs(27,000円~29,000円)/労働組合
- 料金:27,000円~29,000円
- 運営元:労働組合
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特徴:交渉対応あり。料金プランによりサービス範囲が異なります。
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退職代行ニコイチ(27,000円)/民間企業
- 料金:27,000円(目安)
- 運営元:民間企業
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特徴:民間運営で比較的標準的な代行サービス。会社交渉は原則不可です。
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弁護士法人みやび(27,500円~77,000円)/弁護士
- 料金:27,500円~77,000円
- 運営元:弁護士法人
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特徴:法的対応や強い交渉力が期待できます。労働問題で争う可能性がある場合に適します。料金は高めです。
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アディーレ法律事務所(33,000円~77,000円)/弁護士
- 料金:33,000円~77,000円
- 運営元:弁護士事務所
- 特徴:法的手続きまで含めた対応が可能。費用はケースにより幅があります。
注意点:労働組合と弁護士は会社との交渉が可能な点で差があります。民間企業は原則交渉不可のため、未払い賃金など法的問題がある場合は労働組合や弁護士を検討してください。料金表示は変動することがあるため、申し込み前に最新の費用と追加料金の有無を確認してください。
追加料金と決済方法の確認の重要性
料金比較では基本料金だけで判断しないでください。見積もりに含まれない追加料金が後で大きく響くことがあります。契約前に追加費用と支払い方法を必ず確認しましょう。
追加料金の種類
- 初期設定費:導入や初回作業にかかる費用(例:設定作業3,000円〜)。
- 交通費・出張費:現地対応がある場合に発生します(例:実費精算)。
- 時間外・延長料金:営業時間外や作業延長で割増がつくことがあります。
- キャンセル料:直前キャンセルで全額請求などのルールがある場合があります。
- 資材・部品代:実際に部品を交換した場合は別途請求されます。
- 税金・事務手数料:表示価格に含まれないケースがあるので確認が必要です。
決済方法と注意点
- クレジットカード:即時決済でポイントが付く利点があります。分割や自動課金の有無は確認してください。
- 銀行振込:振込手数料は利用者負担が基本で、入金確認に時間がかかる場合があります。
- コンビニ決済:小額の支払いに便利ですが支払期限が短いことがあります。
- 現金翌月払い(請求書払い):事後精算が可能ですが、支払遅延や与信審査の可能性を考慮してください。
- 電子決済(スマホ決済等):対応状況と手数料を事前に確認してください。
契約前に必ず確認するポイント
- 見積りに追加費用の項目が明記されているか。
- キャンセル規定と発生条件を確認すること。
- 支払期日・手数料負担・領収書発行方法を明確にする。
- 自動更新や定期課金がある場合の停止方法を確認する。
- 不明点は書面やメールで残す。口頭のみで済ませないでください。
小さな実践アドバイス
- 不安がある場合はトライアルや小額の注文でサービス品質や請求の流れを試してください。
- 見積もりは複数社で比較し、追加項目を突き合わせてください。


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