はじめに
本資料の目的
本資料は、退職代行サービスの料金相場と運営元別の費用比較を分かりやすく整理することを目的としています。退職代行の基本的な仕組み、民間企業・労働組合・弁護士運営の違い、具体例やメリット・デメリットまで丁寧に解説します。
想定する読者
・退職を考えており代行サービスの利用を検討している方
・費用やサービス内容の違いを知りたい方
・家族や友人の相談に乗る立場の方
読み方のポイント
運営元やサービス範囲によって料金や対応内容が大きく変わります。後の章では代表的な料金帯や、実際に確認すべき項目(交渉可否、追加費用、返金規定、相談回数など)を具体例とともに示します。まずは全体像をつかんでください。
注意事項
本稿は一般的な情報提供を目的としています。個別の法的問題や労働問題がある場合は、弁護士など専門家へ相談することをおすすめします。
退職代行サービスとは
概要
退職代行サービスは、労働者本人に代わって第三者が会社に退職の意思を伝えるサービスです。本人が直接伝えにくい場合や、会社側とのやり取りを避けたい場合に利用します。雇用契約の定めがない従業員は原則、2週間前に申し出れば退職できますが、実務上はトラブルや引き止めが生じることがあります。
提供者の種類
- 弁護士:法的な交渉や損害賠償・未払い賃金の請求まで対応できます。
- 労働組合:団体交渉の力を借りて対応できます。
- 民間の代行業者:連絡代行や退職手続きの代行を行いますが、法的代理権はありません。
こんなときに使われます
- 上司に会うのが精神的につらいとき
- 会社が退職を認めない、引き止めが強いとき
- 有給消化や未払い残業代の確認・請求を同時に進めたいとき
- 出勤停止やパワハラで出社できないとき
利用の一般的な流れ
- サービスへ相談・申し込み
- 必要事項を伝え、代行内容を確認
- 料金を支払い(事業者により異なる)
- 代行側が会社に連絡し、退職手続きを進める
- 退職の確認と書類受け取り
留意点
民間業者は法的代理ができないため、未払い賃金など法的対応が必要な場合は弁護士に相談することを検討してください。
運営元別の料金相場
概要
退職代行は運営元によって料金と対応範囲が大きく異なります。目的に合わせて選ばないと後で手続きや費用で困ることがあります。以下で代表的な3種類の相場と特徴を分かりやすく説明します。
民間の代行業者(相場:1万円〜5万円)
価格が最も安く、連絡代行や退職意思の伝達を主に行います。例:会社への電話連絡やメール送信、退職届のテンプレート提供など。法的交渉や未払い賃金の請求はできません。手軽に辞めたい人向けですが、紛争がある場合は追加対応が難しい点に注意してください。
労働組合(相場:2.5万円〜3.5万円)
労働者側の団体として会社と交渉できます。退職条件や有給の消化、未払い賃金の交渉などを依頼可能です。裁判の代理人にはなれませんが、交渉で解決を目指す場合に有効です。具体例:残業代の請求交渉や退職金の取り決め交渉を代行します。
弁護士(相場:5万円〜10万円以上)
法律の専門家として代理や法的手続きに対応します。退職条件の交渉、未払い残業代の請求、損害賠償請求、必要なら訴訟まで進めます。着手金や成功報酬が発生することが多く、費用は案件の内容で変動します。
支払いと追加費用のポイント
着手金や成功報酬、書類作成や訴訟費用などが別途かかる場合があります。契約前に報酬規定や返金ルールを必ず確認してください。
選び方の目安
トラブルが深刻でなければ民間で十分です。交渉が必要なら労働組合、法的解決が必要なら弁護士を検討してください。費用だけで選ばず、対応範囲と実績を確認することをおすすめします。
平均的な料金相場
料金の目安
退職代行サービスの平均的な料金相場は、約3万円〜4万円が一般的です。低価格帯は約3万円前後、高価格帯は5万円以上になることが多いです。料金は業者の規模や対応範囲で変わります。
料金差が生まれる主な理由
- 対応者の種類:弁護士が対応する場合は高め、一般の代行業者は安めです。弁護士対応は交渉や法的問題の処理に強みがあります。
- サービス内容:会社への連絡のみか、残務整理・交渉・有給消化支援など込みかで料金が変わります。
- 緊急対応や深夜対応:即日対応や休日対応は追加料金がかかる場合があります。
支払い方法と契約時の確認ポイント
- 支払い方法:銀行振込、クレジットカード、電子決済などが多いです。
- 確認すること:料金に何が含まれるか、追加費用の有無、返金規定を書面で確認してください。
賢い選び方のコツ
- 料金だけで選ばず、実際の対応範囲を確認します。
- 見積りは複数社で比較し、サービス内容を照らし合わせて判断します。
- 即日対応や交渉が必要であれば、多少の上乗せを検討する価値があります。
以上が平均的な料金相場と選び方のポイントです。必要に応じて、具体的な業者比較の方法もご案内できます。
運営元ごとのサービス内容の違い
一般企業(民間業者) — 料金目安:1万〜5万円
- 主な内容:退職意思の伝達、退職手続きの案内や書類作成のサポートを行います。会社への連絡を代行して短時間で対応します。例:電話やメールで「退職します」と伝える代理対応。
- 特徴:最も安価でスピード重視。法的交渉や未払い賃金の請求は対応できません。
労働組合 — 料金目安:2.5万〜3.5万円
- 主な内容:使用者との交渉が可能で、未払賃金や残業代について話し合うことができます。団体交渉の権限をもち、実務的な交渉を進めます。例:上司と給与未払いの解決を交渉する。
- 特徴:法的な裏付けがあり、個人より強い立場で交渉できます。手続きに時間を要することがあります。
弁護士 — 料金目安:5万〜10万円以上
- 主な内容:法的交渉、労働審判や訴訟対応、残業代請求、損害賠償請求など専門的な手続きを行います。例:未払い残業代を裁判で請求する。
- 特徴:費用は高めですが、法的手段を含めた包括的な対応が可能です。
選び方の目安:単に退職を伝えたい場合は民間業者、未払いなどの紛争は労組や弁護士を検討してください。料金以外に対応範囲やスピード、証拠の有無も判断材料になります。追加費用(書類作成料や出張費)が発生することもありますので、事前に確認しましょう。
民間業者の退職代行サービスの限界
1. 民間業者が主にできること
- 退職の意思を会社に伝える代理連絡(電話、メール、書面の送付など)。
- 会社との直接接触を避けたい人の心情的な負担を軽くするサポート。
2. 民間業者ができないこと(代表例)
- 退職条件の交渉(退職日や退職金の交渉)はできません。具体的には「有給をどう消化するか」「引き継ぎ期間の調整」「退職金の額」の交渉です。
- 未払い残業代や慰謝料の請求、交渉、訴訟行為。これらは法的代理や書面作成、裁判手続きに関わるため弁護士の仕事です。
3. なぜできないのか(非弁行為の問題)
弁護士でない者が報酬を得て交渉や請求を代行すると「非弁行為」となり、罰則や業務停止などのリスクがあります。業者側も法的制約で行動範囲を限定しています。
4. 利用時の注意点と対処法
- 契約前に「対応範囲」を必ず確認してください。何をしてくれるか、何はできないかを書面で確認すると安心です。
- 有給消化や未払い賃金の問題がある場合は、早めに弁護士や労働組合に相談しましょう。業者は会社に「退職します」と伝えるだけで、交渉が必要な事案では力になれません。
- 証拠(タイムカードやメール、業務日誌)は自分で保存しておき、後から弁護士に見せられるようにしてください。
民間業者は心の負担を減らす役割で有効ですが、法的な解決を求める場面では限界がある点を理解して利用してください。
弁護士への依頼がおすすめの理由
概要
弁護士に依頼すれば、退職の意思表示だけでなく、有給休暇の消化や未払い残業代の請求まで任せられます。法律の専門家として、トラブル回避や退職条件の整備、未払い問題への対応が可能です。
弁護士に依頼する主なメリット
- 法的に有効な内容で会社と交渉します。証拠の整理や法的根拠に基づく請求を行います。
- 有給の取得や退職日、引継ぎの範囲など条件を明確にします。後戻りしにくい合意書を作成します。
- 未払い残業代や未払い給与の計算・請求を代行します。必要なら労働審判や訴訟まで対応します。
- 会社からの不当な引き留めや報復に対して法的措置を検討し、リスクを減らします。
具体的な対応例
- 弁護士から会社へ内容証明を送付し、交渉の窓口を一本化します。
- 出勤停止や懲戒を巡る争いでは、証拠を整理して主張を立てます。
依頼の流れ(簡単)
初回相談→証拠の確認→内容証明・交渉→合意書作成(または訴訟手続き)
費用の考え方と判断基準
費用は相談料、着手金、成功報酬の組合せが一般的です。未払い額が大きい、会社が応じない可能性が高い場合は弁護士費用の投資に見合います。
どんなときに特におすすめか
- 未払い残業代があると疑うとき
- 退職でトラブルが予想されるとき
- 会社と直接交渉したくないとき
注意点
弁護士も得意分野があるため、労働問題に強い弁護士を選ぶことをおすすめします。


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