退職願・保管期間の法的基礎と管理の重要ポイントとは

目次

はじめに

目的と範囲

本調査は、退職願や退職届を含む退職関連書類の法的な保管期間と、実務上の管理方法を分かりやすく整理したものです。労働基準法に基づく保管義務の概要や、保管期間の起算日、具体的な保管手順、保管義務の対象者と罰則、さらにその他の労働関係書類の保管期間まで幅広く扱います。

なぜ重要か

書類の適切な保管は、トラブル発生時の証拠確保や、監督署からの指導対応に直結します。たとえば、退職日や退職理由で争いが生じた場合、退職届の写しや受領記録が重要な証拠になります。企業側と労働者側の双方にとって、不利益を避けるために管理が求められます。

読者対象と進め方

本稿は、経営者・人事担当者・総務担当者、そして退職手続きを控える労働者向けに書きました。以降の章で、法的根拠の説明と実務で使える具体的な方法を順を追って解説します。初めて管理ルールを整える方にも分かるよう、具体例を交えて丁寧に説明します。

退職願・退職届の保管期間の法的根拠と基本

はじめに

退職願・退職届の保管期間は労働関係の重要な基本です。ここでは法的な根拠と、なぜ保管期間が定められているのかをやさしく説明します。

法的根拠

労働基準法第109条が根拠です。2020年4月1日の法改正で、賃金の請求権(賃金債権)の消滅時効が延長されたことに伴い、退職関連書類の保存期間も原則5年間に延長されました。

なぜ5年になったのか

賃金や未払残業などをめぐる請求が長期化するおそれがあるため、労働者が権利を主張しやすくする目的です。書類が残っていれば、退職時の合意内容や手続きの事実を確認できます。

経過措置

改正の経過措置として、当面は3年間の保管でも差し支えない扱いが示されています。すぐに対応できない事業所でも段階的に移行できます。

実務上のポイント(簡単な例)

  • 退職届を受け取ったら写しを人事ファイルに入れておく。
  • 5年を目安に保管し、早めに廃棄するなら記録を残す。

以上が基本の考え方です。次章では保管の起算日について詳しく見ます。

保管期間の起算日について

法的な基準

退職願・退職届の保管期間の起算日は、労働基準法施行規則第56条によって定められます。カウントは従業員が実際に退職した日、または死亡した日を起点とします。書類を作成した日や契約の満了日が基準になるわけではありません。

よくある誤解と具体例

  • 退職届を提出した日が起算日になると思われがちですが、実際は退職日が基準です。例えば、1か月前に退職届を出し、退職日は4月30日なら、保管は4月30日から開始します。
  • 契約期間満了で退職する場合も同様で、満了日の翌日や最終出勤日が起算日です。
  • 従業員が在職中に死亡した場合は、死亡日が起算日になります。

実務上の注意点

  • 退職日を正確に記録してください。賃金台帳や出勤記録と照合すると誤りを防げます。
  • 電子データで保管する場合も、起算日は同じです。電子保存の開始日ではなく退職日を基準に保管期間を管理してください。

以上の点を押さえると、保管期間の管理がより確実になります。

退職願・退職届の具体的な保管方法と管理ルール

保管場所と原本管理

  • 紙の原本は人事ファイルに入れ、鍵付きキャビネットや施錠オフィスに保管します。アクセスは人事担当者と必要最小限の管理職に限定します。

電子データでの保管要件

  • スキャン保存や電子申請を行う場合、原本と同等に閲覧できること、改ざんを防ぐ措置(タイムスタンプやアクセスログ)が必要です。定期的なバックアップと復元確認を行ってください。

不備があった場合の対応

  • 記載漏れや署名不備があれば、速やかに本人に連絡し修正または再提出を求めます。修正履歴を残し、受領日時と担当者を記録します。

保管期限到来時の廃棄フロー

  • 廃棄は複数人(例:人事責任者+管理職)で確認し、廃棄証明を作成します。紙は細断、電子は安全消去を行い、廃棄日時と方法を記録してください。

アクセス管理と監査

  • アカウント権限を定期見直し、アクセスログを保存します。不正アクセスが疑われた場合は直ちに調査し記録します。

実務チェックリスト(簡易)

  • 原本の保管場所は施錠されているか
  • 電子データにバックアップとログがあるか
  • 不備時の連絡・修正手順が文書化されているか
  • 廃棄は複数人で確認し記録しているか

上記を運用すれば、紛失・情報漏えいのリスクを下げつつ、必要時に書類を適切に取り出せます。

保管義務の対象者と罰則

対象者

保管義務は正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員など全ての雇用形態の従業員に及びます。退職した人の退職届や労働契約書なども、定められた保管期間は保存する必要があります。具体例として、退職願・退職届や雇用契約書、就業規則の同意書などが該当します。

誰が責任を負うか

書類の保管責任は会社(雇用主)にあります。日々の管理は総務・人事が担当することが多いので、担当者を明確にして保管ルールを決めてください。担当者不在時の引き継ぎ方法も決めておくと安心です。

罰則とリスク

保管義務に違反すると、30万円以下の罰金が科される可能性があります。また、保管期間内に誤って廃棄すると、重要な証拠を失い労使紛争や裁判で不利になる恐れがあります。記録の欠落は行政調査や労働基準監督署の指導にもつながります。

実務上の注意点(具体策)

  • 保管対象と期間を一覧にして明文化する
  • 保管責任者を決めてアクセス権を制限する
  • 紙は施錠、電子は暗号化と定期バックアップを行う
  • 廃棄は二人以上で確認し、廃棄記録を残す
  • 個人情報保護の観点から閲覧記録や申請手続きを整備する

これらを実行すると、誤廃棄や法令違反のリスクを大きく減らせます。

その他の労働関係書類の保管期間

概要

退職願・退職届以外にも、各種労働関係書類の保存期間が定められています。ここでは代表的な書類と保存期間、および実務上の管理のポイントを分かりやすく説明します。

主な書類と保存期間

  • 雇用契約書・労働条件通知書:退職願と同様に原則5年(当面は3年の経過措置)保存が必要です。例:雇用開始日ではなく、保存義務の法改正に基づく期間を確認してください。
  • タイムカード(出退勤記録):賃金の支払期日から3年(経過措置終了後は5年)。例:給与支払日が1月25日なら、1月25日から起算します。
  • 雇用保険関連書類:4年の保存義務があります。手続きや給付に関わる書類を対象とします。
  • 労働者名簿・賃金台帳:5年間の保存が必要です。賃金台帳は計算の根拠となるため、明確に保管してください。

保存方法と管理のポイント

  • 一元管理:紙・電子を含めて保存場所を統一すると検索が早くなります。
  • 電子化の注意点:スキャン時に改ざん防止とタイムスタンプを付け、原本の廃棄は法令に従って行ってください。
  • 廃棄手順:保存期間終了後もログを残し、いつ誰が廃棄したか記録します。

実務上の注意

  • 検査や社員からの照会に備え、すぐに提示できる状態にしておきます。
  • 個人情報の取り扱いに注意し、アクセス制限や暗号化を行ってください。

統一した管理体制を整えることで、義務を守りつつ業務効率も高められます。

まとめ

要点

  • 退職願・退職届の保存期間は原則5年、ただし現行の経過措置で3年とされています。起算日は退職日または死亡日です。
  • 企業は法的義務を理解し、適切に保管して将来の争いに備える必要があります。

実務的な対応(推奨)

  • 保管方針を文書化し、保存期間と廃棄手順を明確にします。
  • 保管責任者を決め、アクセス権限を管理します。施錠やログ管理で安全性を高めます。
  • 電子化する場合は改ざん防止とバックアップを必ず行います。
  • 廃棄時は記録を残し、法定期間を満了していることを確認します。
  • 定期的に運用を見直し、担当者に教育を行います。

注意点

  • 保管義務や罰則、他の労働関係書類の保存期間は文書ごとに異なります。分からない場合は労働基準監督署や専門家に相談してください。

最後に、明確なルールと確実な運用でトラブルを未然に防ぎましょう。したがって、日頃からの整備が重要です。

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