はじめに
本記事の目的
この章では、退職後に必要となる「在職証明書」と「退職証明書」について、何が違うのか、いつどちらが必要になるのかをわかりやすく説明することを目的としています。テンプレートの使い方や発行依頼のポイントも順を追って解説します。
対象となる方
- 退職を控えている方や退職済みの方
- 転職や住宅ローン、各種手続きで証明書が必要な方
- 人事担当者で、証明書発行に不安がある方
本記事で得られること
- 在職証明書と退職証明書の違いがはっきりわかります
- 退職後でも使えるテンプレートを入手し、すぐに活用できます
- 発行依頼の際に相手に伝えるべきポイントが理解できます
読み進め方の目安
次章から順に読み進めると実務で役立つ知識が身につきます。必要な章だけ参照しても問題ありません。テンプレートは第4章と第6章で扱いますので、すぐに使いたい方はそちらを先にご確認ください。
在職証明書とは?退職証明書との違い
在職証明書とは
在職証明書は、従業員が現在その会社に勤めている(または過去に在籍していた)事実を証明する書類です。在籍期間・職種・所属部署などを記載し、転職先や各種手続き、保育園の入園申請などで求められます。たとえば、転職先が在籍確認で提出を求める場合に使います。
退職証明書とは
退職証明書は、退職したことと勤務期間、勤務内容、退職理由などを証明する書類です。労働基準法第22条により、請求があれば会社は発行しなければなりません。失業手当の手続きや退職後の証明で使います。
主な違いと使い分け
- 在職中か退職済みか:在職中は在職証明書、退職後は退職証明書を基本に使います。
- 記載内容:両者は重なる部分もありますが、退職証明書は退職理由や退職日を明記する点が重要です。
- 発行の義務:退職証明書は請求があれば義務、在職証明書は通常任意です。
具体例で理解する
- 転職活動中:現在勤務している証明が必要なら在職証明書。
- 退職後の失業手続き:退職日や理由が必要なら退職証明書。
在職中なら在職証明書、退職済みなら退職証明書や在職期間を明記した証明書を用意するとよいです。
退職後に必要となるケースと注意点
主な必要ケース
- 転職先への提出:入社手続きや雇用条件の確認で提出を求められます。入社日や前職の在籍期間が重要です。
- 失業保険や社会保険手続き:雇用保険などの受給や資格確認で在職期間や退職日を示す書類が必要になることがあります。
- 保育園・幼稚園の申請:保育利用の申請で就労状況の証明を求められる場合があります。退職後すぐに就労がない場合はその旨を明記します。
- 住宅ローンや各種審査:勤務期間や退職日を確認するための書類として提出を求められます。
在職証明書で代用できる場合
提出先によっては、正式な「退職証明書」ではなく「在職証明書(在籍期間記載)」で足りることがあります。特に在籍期間と退職日が明確に書かれていれば受理されやすいです。必ず先方にどの書類を求めているか事前に確認してください。
退職後に依頼する際の注意点
- 明記事項:在職期間(入社日〜退職日)、退職済みである旨、雇用形態、役職の有無をはっきり書いてもらいます。
- 署名・押印:受付側が求める場合は会社の担当者の署名または社判を忘れず依頼します。
- 依頼先とタイミング:人事や総務へ正式に依頼し、発行までに1〜2週間の余裕を見ます。会社の規定で発行不可の場合もあるため、早めに相談してください。
- 保管と写し:オリジナルは大切に保管し、提出用にコピーを用意しておくと安心です。
依頼時の一言例(簡潔)
「退職済みの在職期間を証明する書面の発行をお願いできますでしょうか。記載は入社日・退職日・雇用形態・役職でお願いします。」
必要な書類は提出先ごとに変わります。まずは相手が何を求めているかを確認し、それに合った内容で会社に発行を依頼してください。
退職後でも使える在職証明書テンプレート
概要
退職後に使える在職証明書は、在職期間や役職、勤務内容、雇用形態を明確に記載できる点が特徴です。備考欄で「退職済み」であることや退職日を示せると、受け手に誤解を与えません。会社名や社印、発行責任者名を正式に入れておくことが重要です。
必須項目(例)
- 会社名・所在地
- 被証明者の氏名・生年月日
- 在職期間(具体的な年月日)
- 最終役職・主な業務内容
- 雇用形態(正社員・契約社員など)
- 発行日、発行者名、社印
- 備考欄(退職日や用途の記載)
形式と配布
無料テンプレートはWord・Excel・PDFで配布されることが多く、使いやすい形式を選べます。PDFは改ざん防止に便利です。
カスタマイズ例
- 社印欄を大きくして押印しやすくする
- 備考欄を増やして退職理由や証明の用途を記載
- 勤務期間を年単位ではなく日付まで明記
- 用途別にレイアウトを変え、賃貸用・金融機関用などに分ける
注意点
文面は簡潔にし、事実のみを記載してください。証明書は会社の公式書類ですので、発行前に社内承認を得るようにしてください。
書き方と発行依頼のポイント
必須記載項目
- 個人情報:氏名、生年月日、住所(在職時の情報で可)
- 在籍期間:入社日・退職日(在職中なら「在職中」と記載)
- 役職・業務内容:職種や担当業務を具体的に記載
- 雇用形態:正社員、契約社員、派遣など
- 作成日、会社名・所在地、発行責任者名、社印
書き方のポイント
- 読む相手を意識して簡潔に書く。余計な表現は避ける。
- 日付は和暦・西暦のどちらかで統一する。
- 業務内容は箇条書きにすると分かりやすい。
- 証明の目的がある場合は用途を明記すると発行がスムーズです。
発行依頼の方法
- 電話:担当窓口に用件と必要書類を伝え、受取方法(郵送・窓口)を確認します。本人確認書類の提示が必要です。
- メール:件名に「在職証明書発行依頼」と明記し、氏名、在籍期間、用途、送付先、連絡先を記載します。
- 郵送:申請書と本人確認書類のコピー、返信用封筒(切手貼付)を同封します。
退職後の依頼文例(メール)
件名:在職証明書発行依頼(氏名)
本文:お世話になります。私は○○年○月に退職した○○(旧姓:△△)です。在職期間の証明書をお願いしたくご連絡しました。用途は○○で、送付先は〒□□□-□□□□ 住所です。本人確認書類の提示方法と発行手数料があれば教えてください。よろしくお願いします。
添え状テンプレート(郵送用)
同封物:①在職証明書申請書 ②本人確認書類コピー ③返信用封筒(切手貼付)
備考:発行希望日や窓口受取の有無を明記してください。
テンプレートのダウンロードとカスタマイズ例
概要
各サイトではWord・Excel・PDF形式でテンプレートをダウンロードできます。用途に応じて形式を選び、社内で編集して使うのが一般的です。
ダウンロード方法(簡単手順)
- Word/Excel: 編集しやすく、印刷前提の書類に向きます。
- PDF: そのまま配布や保存するのに便利。編集性は低いのでフォーム化が必要です。
カスタマイズ例と手順
- 社印欄の拡大: 印鑑の直径や枠を広げ、捺印位置を明示してください。Wordは図形で枠を作り、余白を確保します。
- 電子印対応: 電子署名を入れる欄を追加し、署名画像や電子署名の注記を入れます。PDFであれば署名フィールドを設定します。
- 退職済み欄の追加: “在職中/退職済み”のチェック欄を設け、提出時の状態を一目で分かるようにします。
- 備考欄の追加: 任意の補足事項(雇用形態の詳細や特記事項)を記入できるスペースを作ります。
- 業務内容・勤務日数欄の拡張: 箇条書きで主要業務を3〜5項目、週の勤務日数や平均労働時間を記載できる欄を用意します。
- 提出先・宛名欄の追加: 表示先(学校、金融機関など)や宛名を入れる欄を設けると提出時に便利です。
実務上の注意点
- WordやExcelで編集したものは最終版をPDFで保存して配布してください。
- PDFをフォーム化する際は入力項目の必須・任意を分け、誤記防止の注記を付けてください。
- 変更前に総務や発行窓口と確認し、書式ルール(社印の大きさや文言)を統一しましょう。
在職証明書・退職証明書の使い分けまとめ
簡潔な違い
- 在職証明書:在職中に発行する在籍の証明書。勤務先名、役職、在籍期間などを示します。主にローン審査や賃貸契約など在職を確認したい場面で使います。
- 退職証明書:退職時や退職後に発行する退職の事実を示す証明書。退職日や在籍期間が明記され、法的に発行を求められる場面もあります。
使い分けのポイント
- 提出先の指定が最優先です。金融機関や行政がどちらを求めるか確認してください。
- 退職後に在職期間だけ証明したい場合は、在職証明書を在籍期間の記載に合わせてカスタマイズして使うことができます。
- 退職の事実そのものを示す必要があるときは退職証明書を選びます。
実務上の注意点
- テンプレートを利用すると速く作成できますが、氏名・日付・書式に誤りがないか必ず確認してください。
- 発行依頼は早めに行い、必要なら原本か写しのどちらを求められているかを確認します。
最後に
用途と提出先の指示に従い、正確で読みやすい書類を準備してください。
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