はじめに
この資料の目的
本資料は、会社都合退職の「正しい書き方」と注意点を、履歴書・退職届・職務経歴書ごとに具体例を交えて整理したガイドです。転職活動や公的書類での不利益を避け、採用担当や公的機関に誤解されない記載方法をわかりやすく伝えます。
読者想定
・会社都合退職を経験した方
・退職理由の書き方に不安がある方
・人事担当や転職支援に携わる方
本書の構成と使い方
第2章〜第5章で各書類ごとの書き方と記載例を示します。第6章は記載時の注意点、第7章はメリット・デメリット、第8章はよくある質問です。例文は実務で使えるよう具体的に記載します。
本文を読む前に、自分の退職事情(退職理由の経緯や時期)を整理しておくと、該当箇所をそのまま応用できます。必要があれば第8章のQ&Aや専門家への相談もご検討ください。
会社都合退職とは?意味と該当ケース
定義
会社都合退職とは、従業員本人の意思によらず、会社側の事情でやむを得ず退職することを指します。会社側の都合で雇用関係が終わるため、本人の自主的退職とは区別されます。
自己都合退職との違い
自己都合は「本人の意思」で辞める場合です。会社都合は「会社側の事情」による終了です。失業保険の給付開始時期や給付日数、再就職支援の内容で会社都合の方が有利になることが多いです。
主な該当ケース(具体例)
- 倒産・会社の解散:事業が続けられない場合。\
- 事業縮小・工場閉鎖:配置転換できない場合に退職になることがあります。\
- 業績不振によるリストラ:人員削減で雇用契約を終わらせる場合。\
- 退職勧奨で事実上辞めざるを得ない場合:強い勧奨や退職合意で実質的に会社都合になることがあります。\
- 勤務条件の重大変更で辞めざるを得ない場合:職務や勤務地が大幅に変わるなど。
確認すべきポイント
- 離職票の「離職理由」欄で会社都合か確認してください。\
- 会社とのやり取りや通知書は保存しておくと助かります。\
- 不明な点はハローワークや労働相談窓口に相談してください。
まずは離職票や社内通知などの書類を確認し、必要なら専門窓口で相談することをおすすめします。
履歴書の会社都合退職理由の書き方
基本の書き方
履歴書の職歴欄には、事実を簡潔に書きます。一般的には「会社都合により退職」と明記します。例:
2023年4月 株式会社〇〇 入社
2024年3月 会社都合により退職
短くはっきり書くことで読み手が混乱しません。
背景を補足する場合の例文
短期退職やネガティブに見える場合は、背景を一行で補足すると印象が和らぎます。
例1(業績悪化)
「2024年3月 会社都合により退職(業績悪化のため)」
例2(事業縮小)
「会社都合により退職(事業縮小に伴う雇用整理)」
備考欄や面接での対応
職歴欄が手狭なら備考欄に簡潔に記載しても構いません。面接では事実を落ち着いて説明し、次の仕事で何を目指すかを話すと好印象です。
書き方のポイント
- 主観を入れず事実のみを書く
- 否定的な表現は避け、背景を簡潔に補足する
- 書きすぎず一行で済ませると読みやすい
事実を冷静に示すことで、採用担当者に誠実な印象を与えます。
退職届の会社都合理由の書き方
はじめに
退職届の理由欄は「一身上の都合」ではなく、会社都合であることが分かる文面にします。簡潔で事実に基づいた表現を心がけてください。
基本の書き方
- 「会社都合である」旨を明記する(例:「会社都合により退職いたします」)。
- 退職日を具体的に記載する(西暦や年号、年月日)。
- 会社独自の様式があればそれに従う。
具体例文
- 業績不振・支店閉鎖:
「貴社の業績不振による支店閉鎖に伴い、△年△月△日をもって退職いたします。」 - 人員整理(リストラ):
「事業再編に伴う人員整理のため、△年△月△日をもって退職いたします。」 - パワハラ等会社側の問題:
「上司による継続的なパワーハラスメントが原因で、△年△月△日をもって退職いたします。」
※証拠や日時・内容の記録がある場合は保存しておくことを明記します。
書き方の注意点
- 感情的な表現は避け、事実を端的に書く。
- 詳細を別紙で添える場合はその旨を記載する(例:「詳細は別紙の通り」)。
- 提出時は印章または署名、受領者の記録を残す。
上記を参考に、会社都合であることを明確にした退職届を作成してください。
職務経歴書の会社都合退職理由の書き方
概要
職務経歴書では詳細な退職理由を長々と書く必要はありません。簡潔に「会社都合により退職」と明記するだけで、本人の意思による退職でないことが伝わります。
記載場所と書き方
- 職務内容や担当業務の末尾に「退職理由:会社都合(事業縮小のため等)」と一行で記載します。
- 在籍期間(入社年月〜退社年月)のすぐ下に置くと分かりやすいです。
表現例(使いやすい短文)
- 退職理由:会社都合により退職(事業縮小)
- 退職理由:会社都合(雇用契約終了)
在籍期間が短い場合の補足
短期間の在籍は不安を招くため、一行で補足すると安心感が増します。例:「在籍期間が短いのは事業再編による配置転換の中で雇用調整があったためです。」と事実を淡々と示します。
注意点と面接準備
- 事実に基づき簡潔に書くこと。感情論や批判は避けます。
- 履歴書や退職届と記載を合わせます。
- 面接で質問される可能性が高いので、同じ説明を口頭で短く準備しておきます。必要なら離職票の内容と齟齬がないか確認してください。
会社都合退職理由の記載における注意点
1. 事実を正確に・簡潔に書く
会社都合退職の理由は、事実を正確に、簡潔に書くことが最優先です。感情や推測を交えず、起きた出来事や会社からの説明を元に記載します。例:「会社の事業縮小による雇用調整のため退職」
2. 嘘や誤記を避ける
虚偽の記載は後のトラブルや信用失墜につながります。面接や行政手続きで矛盾が出ると不利になります。必要があれば、上司や人事に確認してから記載してください。
3. 書き方のポイント
- 公的書類(離職票など)では「会社都合」を選び、具体的事情欄に簡潔に説明します。
- 履歴書・職務経歴書では詳細すぎず「事業縮小のため」「雇用契約の終了のため」など客観的表現を使います。
4. 証拠と保存
退職通知書、メール、面談記録などの書面を保管しておくと安心です。失業給付や後の問い合わせに備え証拠が役立ちます。
5. 提出前のチェックリスト
1) 事実確認は済んでいるか
2) 表現は客観的か
3) 関係書類を保存しているか
4) 記載に矛盾はないか
記載は分かりやすさと正直さを重視してください。必要であれば専門家に相談するのも有効です。
会社都合退職のメリット・デメリット
メリット
- 失業保険の手続き・給付で有利になることが多いです。会社都合退職は給付制限がかからず、受給開始が早まります。例:自己都合で3か月の待機がある場合でも、会社都合ならすぐ手続きが進むケースがあります。
- 転職時に短期退職の説明がしやすくなります。履歴書や面接で「会社都合」と明記すると、採用担当者の不安を和らげられます。具体例:部署閉鎖や工場の縮小での離職は納得されやすいです。
デメリット
- 会社側に問題がある場合、証拠がないと主張が認められにくいです。口頭だけでは不十分なので、記録を残す必要があります。例:パワハラを理由にするならメールや第三者の証言を用意します。
- イメージの誤解が生じることがあります。「問題があったのでは」と推測される場合があるため、伝え方に注意が必要です。
- 手続きや争いが発生すると時間と労力がかかります。ハローワークでの確認や雇用保険の申請、場合によっては労働基準監督署や弁護士とのやり取りが必要です。
対処法(簡単な行動指針)
- 証拠を残す:通知文、メール、タイムカード、給与明細などを保管してください。
- ハローワークで早めに相談する:給付や手続きの進め方を確認しましょう。
- 面接では事実ベースで説明する:感情的にならず、退職理由とその後の対処を簡潔に伝えると良いです。
会社都合退職でのよくある質問
Q1: 「一身上の都合」と書いてはいけないですか?
A: はい。会社都合で退職した場合は「会社都合による退職」と明記してください。「一身上の都合」は自己都合扱いになる恐れがあります。例:事業縮小での解雇なら「会社都合(事業縮小のため)」と書きます。
Q2: 履歴書・職務経歴書・退職届はどこに書く?
A: 履歴書は職歴欄の末尾、職務経歴書は最終勤務先の説明の最後、退職届は理由欄に明記します。例文:”会社都合による退職(事業縮小のため)”。
Q3: 失業手当への影響は?
A: 原則として会社都合の方が受給開始が早く、給付制限がかかりにくいです。細かい条件はハローワークに確認してください。
Q4: 会社が離職理由を間違えたら?
A: 離職票の記載は重要です。誤記があれば会社に訂正を求め、応じない場合はハローワークや労働基準監督署へ相談してください。
Q5: 面接でどう説明すれば良い?
A: 短く事実を述べ、前向きに話します。例:「会社都合(事業縮小)のため退職しました。前職では○○を担当し…」
Q6: 証拠になる書類は?
A: 離職票、退職届、就業規則、社内の通知(解雇・配転の案内)などが証拠になります。必要ならコピーを保存してください。


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