はじめに
本資料は、退職理由の書き方をわかりやすく整理したガイドです。履歴書や退職届、面接など場面別に適切な表現と具体例を紹介します。特にネガティブな理由を印象を損なわずに伝える方法や、よく使われる表現「一身上の都合」の扱い方に重点を置いています。
本章の目的
- この資料の全体像を示します。
- 読み進め方と活用方法を案内します。
想定する読者
- 退職を考えている方
- 転職活動中で退職理由に悩む方
- 人事や管理職で部下の退職対応をする方
本資料の構成と使い方
- 第2章〜第5章で書き方の基本、場面別表現、ネガティブ対応、伝え方のまとめを扱います。第6章に例文集を用意し、コピペで使える文例を掲載します。
- 例文はそのまま使える形に整えていますが、状況に合わせて言葉を調整してください。
- 誠実さと簡潔さを重視してください。相手に伝わりやすく、無用な誤解を招かない表現を心がけると良いです。
注意点
- 退職理由は事実に基づいて書いてください。不正確な記載はトラブルの原因になります。
- 社内規定や就業規則に従って手続きを進めてください。必要に応じて人事窓口に相談してください。
続く章で、場面ごとの具体的な表現と例文を丁寧に解説します。
退職理由を書くべき場面と書き方の基本
概要
履歴書や退職届では、詳しい理由を書く必要はありません。一般的に「一身上の都合」と書けば十分です。読み手に余計な不安を与えず、手続きをスムーズに進められます。
履歴書・退職届に書くとき
・基本は「一身上の都合」。
・会社都合(倒産、事業撤退、リストラなど)の場合は「会社の都合」や「事業所の閉鎖」と明記します。理由が法的な根拠に関わるときは、正確な表現を心がけます。
職務経歴書に書くかどうか
職務経歴書には原則、退職理由は不要です。応募先から求められた場合や、短期間の離職が目立つ場合は簡潔に「一身上の都合」と記載します。詳細は面接で説明します。
面接での伝え方
面接では簡潔かつ前向きに伝えます。例:「キャリアを整理したく退職しました」「家庭の事情で通勤が難しくなったためです」短く事実を述べ、次の職場で何をしたいかに話をつなげます。
書き方の基本ルール
・簡潔に。長文は避ける。
・ネガティブな表現は控える。
・嘘は避けるが、プライバシーは守る。
退職理由の具体例と使い分け
基本の定型表現
退職届や口頭で無難に使えるのは「一身上の都合により退職させていただきたく存じます」です。短く丁寧で理由を細かく説明したくない場合に適します。
体調・病気の場合
例文:
・「健康上の理由により、治療と静養に専念する必要があるため退職いたします。」
使いどころ:医師の診断がある場合や休職を試みたが継続が難しいとき。詳しい病名は伝える必要はありません。
家庭・育児・介護の場合
例文:
・「家庭の事情により退職いたします。」
・「育児に専念するため退職させていただきます。」
使いどころ:子育てや親の介護で勤務継続が難しいとき。時短や部署異動が可能か相談したうえで決めると印象がよくなります。
配偶者の転勤
例文:
・「配偶者の転勤に伴い転居が必要になったため、退職いたします。」
使いどころ:転居で通勤が困難になる明確な理由がある場合に使います。
キャリアチェンジ・学び直し
例文:
・「専門性を高めるため学業(または別職種)に専念することにしました。」
使いどころ:次の目標がある場合。前向きな印象を与えやすいです。
表現の使い分けポイント
・公的書類や社内手続きは簡潔に記載します。
・上司への報告は状況に応じて一言説明すると誠実です。
・過度な詳細は避け、必要な理由だけ伝えます。
ネガティブな本音はどう伝える?注意点とNG例
なぜ注意が必要か
退職理由でネガティブな本音をそのまま言うと、印象が悪くなったりトラブルに発展したりします。事実でも感情的な表現は避け、相手に配慮した伝え方が重要です。
伝え方の基本ルール
- 事実は正直に、感情は抑えて伝える
- 個人攻撃や会社批判をしない
- 必要以上に詳細を話さない
言い換えの具体例
- 「給料が安かった」→「給与面での将来性を考えた結果」
- 「人間関係が悪かった」→「職場の雰囲気と自分の働き方が合わなかった」
- 「残業が多すぎた」→「ワークライフバランスを整えたくて」
これらは嘘にならない範囲で前向きに聞こえる表現です。
NG例(面談・書面とも共通)
- 「あの上司が最悪だった」→感情的で印象が悪い
- 「給料が低すぎて我慢できない」→交渉の余地を潰す
面談でのコツ
- 事前に伝えるポイントを箇条書きにする
- 事例や数字を挙げる場合は簡潔にする
- 相手の質問に冷静に答える
これらを意識すると、ネガティブな本音を伝えても角が立ちにくく、円満退職につながります。
退職理由の伝え方・書き方まとめ
退職届・履歴書での書き方
- 公的書類や履歴書では「一身上の都合」で十分です。簡潔に書くことで相手に余計な詮索をさせません。
- 事情により記載が必要なら、短く具体的に「家庭の事情のため」「健康上の理由のため」などとします。
面接・口頭での伝え方
- 前向きな理由を中心に、簡潔に伝えます。例: 「キャリアの幅を広げたい」「専門性を深めたい」。
- やむを得ない退職は事実を簡潔に。長く話さず、次のステップに意欲を示します。
ネガティブな本音の言い換え例
- 「人間関係が辛かった」→「職場の体制と自分の適性が合わなかった」
- 「残業が多すぎた」→「ワークライフバランスを整えたく、より効率的に働ける環境を求めた」
注意点
- 前職の批判は避け、事実に基づく表現にする。
- 詳細は面接官に求められた場合のみ簡潔に答える。余計なネガは印象を下げます。
退職理由の例文集(コピペOK)
基本の定型文
- 退職願・退職届向け
- 一身上の都合により、退職させていただきたく存じます。
- 家庭の事情により、現職を続けることが難しくなりましたため、退職を希望します。
- 健康上の理由により療養が必要となったため、退職させていただきます。
- 今後のキャリアアップを目指し、新たな環境に挑戦したく退職を決意しました。
- 配偶者の転勤に伴い、転居することとなりましたので退職いたします。
口頭・メールで伝える例
- お忙しいところ失礼します。私事で恐縮ですが、一身上の都合により退職させていただきたく存じます。
- 家庭の事情により通勤が難しくなりました。退職についてご相談させてください。
- 医師から療養を勧められましたため、業務に専念できない状況です。退職を希望します。
- キャリアを広げるため、新しい分野に挑戦したく退職を考えています。調整のご相談をお願いします。
- 配偶者の転勤で転居します。退職の手続きをお願いできますでしょうか。
書き換えのポイント
- 理由は簡潔に書き、詳細な個人情報は省略してください。
- 最後に「これまでお世話になりました。誠にありがとうございました。」など感謝を添えると印象が良くなります。


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