はじめに
本記事は、残業代が支払われないことを理由に退職を考えている方向けに、具体的で実践的な情報を分かりやすくまとめた入門編です。
こんな方に読んでほしい
- 残業代が支払われず生活に影響が出ている方
- 「残業代が出ない」を退職理由にしてよいか悩んでいる方
- 面接での伝え方や未払いの請求方法を知りたい方
本記事の狙い
退職の正当性、面接での伝え方、未払い残業代の請求や証拠の集め方、業界別の事例、退職後の転職成功のポイントまで順を追って解説します。各章で具体例や手順を示しますので、自分の状況に当てはめながら読み進めてください。
読み方のポイント
まず第2章で法律面や正当な退職理由かを確認してください。第3章以降で面接や請求の実務、実例を扱います。必要な行動がすぐ分かるように、チェックリストや注意点も用意します。安心して次のステップへ進めるよう、丁寧に解説します。
残業代が出ないのは正当な退職理由か?
概要
残業代が支払われないことは労働基準法に反します。時間外・休日労働には割増賃金の支払いが義務付けられており(労働基準法第37条)、支払いがない場合は正当な退職理由になり得ます。名ばかり管理職でも支払い義務が生じる場合があります。
法的なポイント
- 会社が時間外労働を命じ、賃金を支払わない場合、労働者は未払賃金を請求できます。
- 退職の理由として「未払い」がある場合、労働基準監督署への相談や労働審判・訴訟で対応できます。
実務上の対応(具体例を含む)
- 出勤簿やメール、チャット履歴で労働時間を記録します。例:終業時刻や休日出勤の指示メール。
- まず社内で支払いを求め、証拠を残します(書面やメール)。
- 改善が無い場合は労基署へ相談、または弁護士に相談します。
退職時の注意点
- 未払いが理由で退職する旨を伝える際は、感情的にならず事実を整理して伝えます。
- 退職後も未払賃金は請求可能です。証拠を整理してから辞めると有利です。
相談先
労働基準監督署、労働相談窓口、労働問題に強い弁護士へ早めに相談してください。
面接で「残業代が出ない」と伝える際の注意点
面接での注意点
前職の不満だけを強調すると、感情的に見られがちです。面接官は職場でのトラブルメーカーや適応が難しいと懸念することがあります。退職理由は事実と前向きな動機を組み合わせて伝してください。
伝え方のコツ(構成)
- 事実(短く):残業代が支払われなかった事実を簡潔に述べる。
- 影響(具体的に):仕事や生活にどう影響したかを伝える。
- 前向きな理由:なぜ転職を決めたか、今後どう働きたいかを示す。
使える例文(場面別)
- 簡潔に伝える場合:「前職では残業代が支払われないことがあり、継続が難しいと判断しました。」
- 前向きな志向を強調:「残業代が支払われない実態が続き、職務のやりがいや成長に集中できないため、労働環境の整った職場で専門性を高めたいと考え退職しました。」
- 深掘りされたら:「具体的には残業時間が多くても賃金が反映されず、長期的にパフォーマンス維持が難しくなってきたためです。」
採用担当者の印象と対応
面接官は事実確認と対策を知りたがります。感情的にならず、会社の改善点を求めるのではなく、自分が次にどう貢献したいかを話してください。場合によっては詳細確認のために前職の雇用形態や労働条件の説明を求められます。
表情・態度のポイント
冷静に、簡潔に答えることを心がけてください。批判に終始せず、学びや今後の意欲を伝えることで印象が良くなります。
残業代未払い会社を辞める前後にやるべきこと
はじめに
残業代が支払われない会社を辞める前後は、証拠の確保と手続きが何より重要です。ここでは、退職前・退職時・退職後にやるべき具体的な行動を分かりやすく説明します。
退職前にやること(証拠の収集)
- タイムカードや勤怠システムの画面を印刷・スクリーンショットで保存する。
- 給与明細や振込履歴をコピーして保管する。
- 業務日報や業務指示のメール、チャットのやり取りを保存する。
- 同僚や上司の証言が得られそうなら、後で連絡できるよう氏名と連絡先を控える。
- 労働契約書や就業規則の写しを手元に置く。
退職時に気をつけること
- 退職理由は記録に残るよう文書で提出する(感情的にならず事実を簡潔に)。
- 退職届・退職願の写しは必ず保管する。
- 離職票・源泉徴収票は退職後すぐ受け取れるよう手続きを確認する。
退職後にやること(請求と相談)
- 未払い残業代は退職後2年以内に請求する必要がある(早めに対応してください)。
- まず会社に内容証明郵便で請求書を送る方法があります。
- 会社が応じない場合は労働基準監督署や労働組合に相談してください。
- 専門家が必要なら労働問題に強い弁護士へ相談し、労働審判や民事訴訟を検討します。
証拠の残し方と計算のポイント
- スクリーンショットは日付を含めて保存し、複数の媒体にバックアップしてください。
- 残業時間は勤務開始・終了の記録から合計し、賃金単価をかけて概算を出します。具体例は就業形態で変わりますので、記録を丁寧に残してください。
会社都合退職になる可能性について
- 未払い残業代が賃金の3分の1を超えるなど、労働条件の重大な変更がある場合は会社都合退職と認められることがあります。該当するかどうかは個別事情で判断しますので、証拠を整えて相談してください。
業界・職種別の事例とよくある退職理由
以下は業界・職種ごとの典型例と、退職につながる主な理由、対応のポイントです。
税理士・会計事務所
残業代の未払い、昇給や評価の不透明さが多く報告されます。タイムカードの早押しを強要されたり、繁忙期の長時間労働が常態化します。退職理由は「労働時間の長さ」「評価が見えない」「私生活の確保ができない」などです。対応では出勤簿やメールの記録、給与明細を保存し、上司へ改善を求めることが役立ちます。
IT・ベンチャー
プロジェクト単位での長時間労働や、裁量が名目だけで実態は管理が厳しい場合があります。未払い残業や36協定の運用不備もあります。退職理由は「業務過多」「燃え尽き」など。労働契約や就業規則を確認し、作業ログを残してください。
飲食・小売
シフトの不規則さ、サービス残業、休憩が取れないといった問題が多いです。体力的な負担や休日確保の難しさで辞める人が多いです。レジやタイムカードの記録、同僚の証言が証拠になります。
医療・介護
夜勤や持ち帰り業務、人手不足による長時間勤務が続きます。心身の疲労や安全面の不安が退職理由です。勤務表や業務指示の記録を残し、施設管理者と相談してください。
面接での伝え方の例
「長時間労働や未払いが続き、改善が難しかったため退職しました」と事実を簡潔に伝えると印象がよくなります。具体的な数字や改善要求の経緯を準備しておくと信頼性が上がります。
残業代未払い会社を辞めるべき理由と転職成功のポイント
■辞めるべき理由
残業代の未払いは法律違反であり、長期的に続けば生活と健康に大きな悪影響を与えます。具体例:毎月残業が30時間なのに支払われない場合、収入が減り生活が苦しくなりますし、疲労で集中力も落ちます。職場が改善の意思を見せないなら、退職を検討する合理的な理由になります。
■転職活動での伝え方(正直かつ前向きに)
面接では「残業代の未払いによる労働条件の改善が見込めなかったため」と簡潔に説明します。ネガティブな批判を避け、次の職場での働き方(労働時間の管理、適正な評価など)やキャリアの目標を前向きに話すと印象が良くなります。例:「ワークライフバランスを整えつつ、専門性を高めたいと考え退職しました」
■証拠の確保と法的対応の準備
タイムカード、出勤表、メールのやり取り、給与明細などを保存してください。必要なら労働基準監督署や弁護士に相談すると、未払い分の回収が可能です。まずは証拠を整理しておくことが重要です。
■転職成功の実践ポイント
– 履歴書や職務経歴書で実績を強調する
– 面接で状況説明は簡潔に、次の職場で何を実現したいかを明確にする
– 求人票の労働条件を必ず確認し、面接で労働時間や残業手当の扱いを尋ねる
これらを実行すれば、未払い問題から離れて安全で納得できる職場に移る可能性が高まります。必要なら専門家に相談しながら進めてください。


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