はじめに
目的
本資料は、退職に関する手続きを分かりやすく整理するために作成しました。退職前の準備から従業員側・企業側の流れ、必要書類や期限まで網羅し、手続きの抜け漏れを防げるようにまとめています。
本資料の構成
- 第1章（本章）: ガイド全体の使い方と注意点
- 第2章: 退職前の準備（上司への報告、有給や引継ぎの考え方など）
- 第3章: 従業員側の手続き（退職願、社会保険、雇用保険、年金など）
- 第4章: 企業側の手続き（離職票の発行、保険資格の喪失手続きなど）
想定読者
退職を検討している従業員、退職手続きを担当する人事担当者、上司として部下の退職対応をする方を想定しています。初心者でも理解できるよう具体例を交えて説明します。
読み方のコツ
まず全体をざっと確認し、該当する章を詳しく読んでください。たとえば有給の残日数や引継ぎ資料は第2章で扱います。必要書類は第3章・第4章で一覧化しています。
注意点
手続きには期限があります。書類は必ず控えを残し、分からない点は早めに人事や最寄りの窓口に確認してください。
退職前の準備段階
就業規則と退職手続きの確認
まずは会社の就業規則を確認します。退職予告期間（例：14日または1カ月）、退職届の提出先や様式、引継ぎに関する規定が書かれています。わからない点は人事に問い合わせておくと安心です。
有給休暇の確認と取得方法
有給休暇の残日数を確認し、可能であれば消化を検討します。消化が難しい場合は、未消化分の取り扱いや買い取りの有無を確認してください。具体例：月末に有給が5日残っているなら、退職日を調整して消化する方法があります。
退職の意思表示とタイミング
直属の上司に口頭で伝え、その後書面で提出するのが一般的です。業務の繁忙期や引継ぎ期間を考えて、適切な時期を選びましょう。期限内に伝えることでトラブルを避けられます。
退職後の生活計画
収入源（貯金、失業給付、次の就職先）と毎月の生活費を明確にします。次の就職が決まっていない場合は、必要な資金と見通しを立て、役所手続き（国民健康保険、年金）を調べておくと安心です。
引継ぎと書類準備
引継ぎ資料を作成し、重要書類（雇用保険被保険者証、健康保険証、源泉徴収票など）の所在を確認します。パソコンデータや私物の整理も忘れずに。
各項目を事前に整理することで、退職手続きがスムーズになります。分からない点は早めに相談してください。
従業員側の退職手続きの流れ
退職の意思表示
退職は原則、退職希望日の1〜3ヶ月前に直属の上司に口頭で伝えます。例えば、3月末退職なら12月〜2月の間に相談します。早めに伝えるほど余裕を持って調整できます。
退職願・退職届の提出
会社の規定に従い、退職願または退職届を1ヶ月前までに提出します。書式が決まっている場合はそれを使い、書けない項目は人事に相談します。
業務の引き継ぎ
引き継ぎは通常2週間〜1ヶ月程度かけます。具体的には業務マニュアル作成、担当者への操作説明、重要なメールの転送設定などを行います。引き継ぎリストを作ると抜け漏れが減ります。
取引先への挨拶と貸与品の返却
取引先には上司と相談のうえで挨拶します。名刺や設備、PC・IDカードなどの貸与品は退職日までに返却します。返却チェックリストを用意すると便利です。
必要書類の受け取り
離職票、源泉徴収票、健康保険・年金の手続きに必要な書類を人事で確認して受け取ります。受け取り時にコピーを保管しておくと安心です。
最終出勤日の過ごし方
最終日は同僚へ感謝を伝え、引き継ぎ資料と貸与品の最終確認をします。挨拶は短めに、連絡先交換は任意で行います。
企業側の退職手続きの流れ
退職前（企業側の準備）
- 退職届の受理と書面保管：退職願・退職届を受け取り、原本を人事で保管します。口頭での申し出があれば書面にしておきます。
- 秘密保持誓約書の確認：在職中に結んだ合意内容や重要情報の扱いを再確認します。
- 手続き説明と引き継ぎ計画：最終出勤日、残務処理、有給休暇の消化方法を本人に説明します。
- 貸与品の回収：ノートPC、社用携帯、IDカード、制服などをリストで管理して回収します。回収後はアカウントや入退室権限を停止します。
- 退職金・最終給与の準備：最終給与の計算（未払い残業代、有給の買い上げ等）と退職金の算定を行います。
退職日当日の対応
- 引き継ぎの確認と受領書の取得：引き継ぎ資料を受け取り、受領サインをもらいます。
- 備品確認とアクセス停止：貸与品の状態確認、社内システムのログアウト・パスワード変更を行います。
退職後の法定手続き（期限に注意）
- 社会保険の資格喪失届：退職日から5日以内に手続きを行います。
- 雇用保険の資格喪失届：退職日の翌日から10日以内に手続きを行います。
- 離職票の発行：必要書類を揃え、離職票を作成して従業員へ送付します。失業給付の申請方法も案内します。
これらを社内チェックリストにまとめ、担当者を明確にすると手続き漏れを防げます。
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