はじめに
本資料は、退職届の正しい書き方と例文を分かりやすくまとめたガイドです。退職届と退職願の違い、必須の記載項目、基本的な構成、標準的な例文、即日退職時の例文、手書きとパソコン作成時の注意点、提出時のマナーと確認事項まで一通り解説します。
対象読者
– 退職を考えている方
– 退職届の形式が不安な方
– 人事担当や総務の初学者
本書の使い方
– 各章を順に読むと、準備から提出までの流れが分かります。
– 例文はそのまま使えますが、氏名・日付・部署名などは必ず自分の情報に書き換えてください。
注意点
– 会社の就業規則や口頭での合意内容は事前に確認してください。
– 即日退職や契約上の特別な事情がある場合は、法的な影響が生じることがあるため、必要なら専門家に相談してください。
退職届と退職願の違い
定義
退職届は「退職を確定する書面」です。提出すると会社に退職の意思を正式に伝えます。退職願は「退職の申し出や相談」です。承認を前提にお願いする形になります。
撤回の可否
退職届は原則として撤回できません。会社が受理すると手続きが進みます。退職願は承認前なら撤回や変更が可能です。口頭で相談してから書面にすることも多いです。
文末の表現（例）
- 退職届：「私事都合により、○年○月○日をもって退職いたします。」
- 退職願：「私事都合により、○年○月○日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」
表現は宣言型と願い型で異なります。前者は断定、後者は依頼のニュアンスです。
使い分けの目安
退職を決めて正式に手続きを進めるときは退職届を用います。まず上司と相談したい、社内調整を依頼したいときは退職願を使うとよいです。
注意点
提出前に就業規則や退職日、引継ぎ方法を確認してください。人事や上司と話して関係を保ちながら進めることをおすすめします。
退職届に必須の記載項目
必須項目一覧
- 表題：必ず「退職届」と記載します。
- 宛名（提出先）：会社名や代表者名（例：株式会社○○○○ 代表取締役 ○○ ○○ 様）。
- 氏名：正式なフルネームで記載します。
- 提出日：退職届を会社に提出する日を記入します。
- 退職日：実際に退職する具体的な日付（例：2025年6月30日）。
- 退職理由：簡潔に一行程度で記載します。詳述は不要です。
- 署名または捺印：自署の署名か、押印（会社の慣習に従う）。
各項目の書き方と例
- 表題は文書の上部中央に配置します。目立つようにします。
- 宛名は敬称を付けて右上または左上に書きます。個人名が分かる場合は代表者名を用います。
- 氏名は戸籍や身分証と同じ表記で書きます。読み仮名を付けても差し支えありません。
- 提出日と退職日は、和暦・西暦どちらでも可能ですが統一します。
- 退職理由は「一身上の都合により」など簡潔な表現で十分です。詳細は口頭で伝える機会に説明します。
- 署名は自筆を基本とします。捺印が慣習の会社では実印でなく認印で問題ない場合が多いです。
会社指定の様式がある場合
- 会社の所定用紙やフォーマットがあるなら、それを優先して使用します。項目が足りない場合は会社指定の欄に従って記入します。
書き方の注意点
- 日付や氏名の誤字脱字に注意します。読みづらい字は避けます。
- 退職理由を長々と書かないようにします。感情を交えた表現は避けます。
- コピーを一部保管しておくと、後で確認しやすくなります。
退職届の基本的な構成と書き出し
構成（順番）
- 表題：文書の最上部に「退職届」または「退職願」。
- 宛先：会社名と代表者名（上部、またはタイトルの下に）。
- 冒頭行：私儀／私事などの挨拶句。
- 本文：退職の意思と退職日。理由は簡潔に「一身上の都合」とするのが一般的。
- 提出日：本文の下に記載。
- 署名・捺印：氏名（フルネーム）、必要なら印鑑。
各部の書き方
- 表題：中心揃えで大きめに書くと見やすいです。特に決まった書式はありません。
- 冒頭行：「私儀 （ここに一文）」や「私事 （ここに一文）」と書きます。形式的な言い回しです。
- 本文：要点を先に書きます。例）「一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。」理由は詳細に書かず簡潔にします。
- 提出日：和暦・西暦どちらでも構いません。会社の慣例に合わせてください。
- 署名・捺印：自署（自分で書くこと）を基本とします。捺印は会社のルールに従います。
- 宛先：会社名・部署名・代表者名を正式な表記で書きます。
書き出しの文例（短め）
- 私儀 右記の通り退職いたします。
- 私事 ここに退職の旨を申し入れます。
- 本文例）一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。
必要最低限の内容を簡潔にまとめることが大切です。
標準的な退職届の例文
基本の例
退職届
私事、一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。
令和○年○月○日
○○部 （氏名） （印）
株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○ 殿
上の文は最も基本的な形式です。会社名・氏名・退職日を正しく入れてください。感情表現は避け、簡潔に記載します。
例文（退職希望日を明確にする場合）
退職届
私事、○○の事情により、令和○年○月末日をもって退職いたしたく、ここに届出いたします。
令和○年○月○日
○○部 （氏名） （印）
株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○ 殿
理由は簡潔に短く触れる程度にとどめます。詳しい説明は口頭や別文書で行います。
記入時の注意点
- 日付は採用する元号か西暦で統一します。書式に合わせてください。
- 署名は自筆で押印を求められる場合が多いです。会社のルールを確認してください。
- 退職日を会社と合意しているなら、その日付を記載します。未確定なら「一身上の都合により」として相談後に調整します。
例文をもとに、会社の慣習に合わせて丁寧に作成してください。
即日退職の場合の例文
即日退職を希望する場合の書き方と例文をいくつかご紹介します。急な申し出となるため、謝罪と了承を求める文言を必ず入れてください。短くても丁寧に伝えることが大切です。
書くときのポイント
- 退職日を明確に書く（本日など）
- 理由は簡潔に（私事、一身上の都合など）
- 迷惑をかけることへの謝罪を入れる
- 引継ぎや連絡先を簡単に示すと印象が良い
例文：書面（正式）
私事、一身上の都合により、本日令和6年3月1日をもって退職いたします。急なお申し出となり、皆様にはご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。引継ぎについては〜（簡単な対応）いたします。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
例文：社内メール（簡潔）
件名：退職のご連絡（即日）
本文：お疲れ様です。私事で恐縮ですが、本日令和6年3月1日をもって退職いたします。急なご連絡となり申し訳ございません。引継ぎは○○に依頼済みです。ご確認のほどお願いします。
備考
手渡しの場合は一言添えて渡すと誠意が伝わります。メールの場合は件名を明確にし、上司宛に送るのが基本です。必要に応じて連絡先を残してください。
手書きとパソコン作成時の注意点
手書きのポイント
退職届は手書きが一般的で、縦書きが見慣れた形式です。丁寧な字で書くと誠意が伝わります。用紙はA4一枚にまとめ、日付や宛名は上部に書きます。ボールペンは黒または濃い青を使い、消えにくいインクを選んでください。誤字は訂正せず、新しい用紙で書き直す方が無難です。
パソコン作成の注意点
パソコン作成も受け入れられることが増えています。横書きでも構いませんが、会社の習慣に合わせてください。フォントは明朝体やゴシック体の読みやすいものを選び、余白や行間を整えて一枚に収めます。印刷品質が悪いと印象を損なうため、インク切れや汚れがないか確認してください。
署名と押印について
署名欄は手書きの署名と印鑑が正式とされます。パソコンで作成した場合でも、印刷後に自署（名前を書き入れる）して押印するのが望ましいです。印鑑は実印である必要はないことが多いですが、会社の規定に従ってください。
文言の扱いと会社規定
文中に「私儀」や「私事」を使う企業もあります。どちらを使うかは堅さの違いで、社内の慣例や就業規則を確認してください。提出前に総務や上司に形式を相談すると安心です。
提出時のマナーと確認事項
退職届を提出する際は形式と誠意が大切です。以下の点を確認して、正式で失礼のない手続きを心がけてください。
年号と宛名の確認
会社の規定に従い、年号は西暦か元号のどちらかで統一します。宛名は会社名と代表取締役社長の氏名を記載し、敬称は「殿」を使います。
内容の最終チェック
誤字脱字、日付、氏名、所属部署、退職日などの記載漏れがないか必ず確認します。署名や押印が規定なら忘れずに行ってください。
提出方法とマナー
提出は原則として直属の上司や人事に手渡しし、事前に面談の場を設けます。郵送する場合は普通郵便より追跡できる方法や内容証明を検討します。
受領確認と控えの保持
受領印や受領書をもらい、控えを保管します。電子メールでのやり取りでも送受信履歴を保存してください。
退職日までの対応
引継ぎ資料を準備し、業務の整理や関係者への挨拶を行います。誠意ある対応が最後まで信頼を守ります。
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