はじめに
「退職届を誰かに代筆してもらえるのか」「書けない事情があるときはどうすればいいか」といった疑問を抱えていませんか?
本記事では、退職届の代筆に関する基本的な考え方と、実際に気をつけるポイントを分かりやすく解説します。法的な観点や書き方、郵送時の注意、代筆サービスや退職代行との関係まで、順を追って説明しますので、初めての方でも迷わず読み進められます。
特に次のような方に役立ちます。
- 何らかの理由で自分で書けない方
- 退職手続きを円滑に進めたい方
- トラブルを避けたい方
記事を読むと、退職届の代筆が原則どう扱われるか、代筆が必要な場合にどんな証拠や手続きが望ましいかが分かります。安心して手続きを進めるために、まずは基礎を押さえていきましょう。
退職届を代筆できるのか?法的な観点から
原則は本人が自筆で作成
退職届は本人の意思表示を明確に示す重要な書類です。原則として本人が自筆で作成し、署名や押印を行うべきです。会社側も本人の意思を確認できることを重視するため、第三者による代筆は基本的に認められません。
ただし例外もある
重い病気やけがなどで本人が字を書けない場合には、家族や代理人が代筆するケースがあります。この場合も、単に文書を渡すだけでなく、本人の意思が確かであることを示す証拠が必要です。
添付しておくべき書類
代筆で提出する場合は、次のような書類を添付すると安心です。
– 本人の委任状(誰が代筆・提出するかを明記)
– 医師の診断書や入院証明(本人が自筆できない事情を示す)
– 連絡がつく本人の連絡先や確認方法
実務上の注意点
代理で出す際は、代筆したことを明示する(文末に「代筆」や代理人の氏名を付記)と誤解を避けられます。会社が面談や確認書類を求める場合もありますので、柔軟に対応しましょう。不安がある場合は、労働相談窓口や弁護士に相談するのが安全です。
退職届の正しい書き方・必要項目
基本の書式
文書上部中央に「退職届」と記載します。冒頭には「私儀」または「私事」と入れて、敬意を保ちつつ簡潔に始めます。
必須項目(順不同でOK)
- 宛名:社長や会社名と代表者名を記載し、「殿」または「様」を付けます。例:株式会社●● 代表取締役 山田太郎 殿
- 表題:「退職届」
- 導入文:「私儀」など
- 退職理由:自己都合なら「一身上の都合により」と記載。
- 退職日:実際に退職する日を明記
- 提出日:提出した日を記入
- 所属部署・役職:所属と肩書きを書きます
- 氏名と押印:署名の代わりに押印をします(認印可)。シャチハタは避けてください。
日付・数字の書き方
- 縦書き:漢数字(令和三年四月一日)
- 横書き:算用数字(2021年4月1日)
押印と代筆についての注意
本人の自署または押印が原則です。代筆する場合でも本人の押印や同意を得ておくほうが望ましいです。
具体例(横書きの簡易例)
退職届
私儀 このたび一身上の都合により、2025年9月30日をもちまして退職いたします。
提出日 2025年9月1日
所属 営業部
氏名 山田花子 印
宛名 株式会社●● 代表取締役 山田太郎 殿
退職届の封筒・郵送時の注意点
封筒と郵送方法は、退職届を確実に、かつ失礼なく届けるために大切です。ここでは実務的な注意点を分かりやすくまとめます。
■ 封筒の書き方(封筒表と裏)
– 封筒表面の中央に横書きで「退職届」と黒いペンで目立つように書きます。余計な文言は書かないでください。
– 裏面の右下に所属(部署名)と氏名を記載します。読みやすくはっきり書き、押印したい場合は退職届本紙に押印しておきます。
■ 宛名・差出人の注意
– 郵送用の外封筒には会社名と宛名(例:株式会社○○ 人事部御中/代表取締役○○様)を正確に書きます。
– 外封筒に「親展」と赤字で添えると、機密扱いで受け取ってもらいやすくなります。
■ 送付方法と証拠の残し方
– 配達の証拠を残すため、簡易書留や配達記録のある方法を使うと安心です。発送時の控えを保管してください。
– 送付はできるだけ平日の午前中に行い、速やかに届くようにします。
■ 添え状(カバー文)
– 短い添え状を同封します。例:退職日と簡潔な一文、連絡先を記載しておくと親切です。
■ その他の配慮
– 封筒の外側に退職理由は書かないでください。個人情報や感情的な文言は本紙の中だけに留めます。
以上を守ると、相手に失礼なく確実に退職届を届けられます。
退職届の代筆サービスの利用実態と流れ
サービスの種類
書道家や筆耕業者が、毛筆(筆)または硬筆(ペン)で退職届・退職願を代筆します。宛名書きや封筒の筆耕をセットにしている業者も多く、見た目を重視する場合に選ばれます。
依頼時に伝える情報
氏名(旧字体や表記の指定があれば明記)、提出日、会社名・所属部署、宛名の敬称、本文の文面(テンプレート利用可)を依頼時に伝えます。署名・捺印は業者が代行しない旨がほとんどなので、空欄で仕上げてもらうか、押印位置を指示してください。
作成・発送方法
業者が便箋や封筒を用意して作成します。完成品は普通郵便で発送されますが、速達や配達記録(追跡)などのオプションを選べます。受け取り後、必ず本人が署名・捺印してから提出してください。
利用する人の特徴と注意点
見た目の美しさを求める人や、字に自信がない人が利用します。重要書類なので、署名や押印は本人が行う必要があります。会社が手書きの原本を求める場合にのみ使い、電子提出や代理提出の可否は事前に確認してください。
依頼の流れ(簡潔)
問い合わせ→書体・用紙の決定→必要情報の提出→制作→発送→本人が署名・捺印→会社へ提出。最後に控えの保存と発送記録の確認をおすすめします。
退職代行サービスと退職届の関係
退職代行を使っても退職届が必要なことが多い
退職代行サービスは「会社への意思表示を代行」しますが、社内手続きの都合で退職届の提出を求められることが多いです。書面は退職日や有給の精算などを明確にするため、会社側の事務処理に役立ちます。口頭やメールで済む場合もありますが、書面があると後のトラブルを防げます。
代行会社ができること・できないこと
代行会社は退職届の文案作成、郵送(普通郵便や内容証明)の代行、会社とのやり取り窓口を担えます。具体例として、本人に代わって退職届を作成して内容証明で送付するサービスがあります。一方で、本人の署名や捺印を勝手に偽造することはできません。偽造は法的問題になりますので、代行会社も行いません。
署名・捺印がない場合の対処例
・委任状を用意して代理送付する(会社の受け入れ可否は要確認)。
・本人が内容証明郵便で自ら退職の意思を示す。
・メール送信の記録や通話録音を証拠として残す。
・受理されない場合は労働相談窓口や弁護士に相談する。
利用時の注意点
代行を頼む前に、何を代行するか(書類作成、郵送方法、証拠の残し方)を確認してください。料金体系とトラブル時の対応、守秘義務の有無も重要です。退職が成立したら、受領書や確認メールなど書面で完了を受け取ることを忘れないでください。
まとめ:退職届の代筆は「原則不可」、やむを得ない場合は証明書類を添付
結論
退職届の代筆は原則として認められません。退職は本人の意思表示が重要だからです。署名(署名の代替となる押印含む)は必ず本人が行うようにしてください。
理由と注意点
- 退職届は本人の意思を示す文書です。代理の筆跡だけでは意思の有無が不明確になります。
- 代筆を認めるとトラブルや紛争の原因になります。会社側が受理を拒む場合もあります。
やむを得ない場合の対応
- 本人が病気や海外滞在などで署名・押印できないときは、医師の診断書や入院証明、渡航証明など本人の意思を裏付ける書類を添付してください。電子メールやメッセージでのやり取りを添えると意思の一貫性を示せます。
- 可能なら委任状(代理権を示す書類)を用意すると、相手先の理解が得られやすくなります。
実務上のポイント
- 代筆は清書や筆耕サービスの利用に留め、署名・押印は本人が行うことを徹底してください。
- 退職届を郵送する場合は配達記録が残る方法(簡易書留や配達証明、メールの送信記録)を使うと安心です。
- 退職代行サービスを使う場合でも、会社の手続きとして退職届の提出を求められることが多い点にご注意ください。
退職は人生の節目です。形式と法的効力を押さえ、証明書類を整えてトラブルなく手続きを進めましょう。
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