退職届とルールを徹底解説|提出時の注意点と対策完全ガイド

目次

はじめに

本資料の目的

この章では、本資料の目的と使い方をわかりやすく説明します。退職手続きは人生の中で大きな出来事です。気持ちよく次に進めるよう、退職届の作成・提出に関する基本的なルールやマナー、法的な考え方を丁寧にまとめました。

対象となる方

  • 会社を退職しようと考えている方
  • 退職届の書き方や提出方法に不安がある方
  • 人事担当や上司への説明を準備したい方

どなたでも読みやすいように、専門用語は最小限にし、具体例や手順を交えて説明します。

本資料の構成と使い方

全10章で、退職届とは何か、記載内容、提出時期、用紙や郵送の注意点、退職後に受け取る書類、労働基準法上の基本までを順に解説します。まずは第2章から順に読むと理解が深まりますが、必要な章だけ参照しても問題ありません。

注意点

会社ごとに就業規則や慣習が異なります。法的な扱いや具体的な期限は本資料で概略を示しますが、疑問がある場合は人事担当や労働相談窓口に確認してください。

退職届とは何か

定義

退職届は、労働者が退職の意思を正式に文書で示すための書類です。口頭とは別に記録を残す目的があり、会社に対する一方的な意思表示として扱われます。会社の承認がなくても効力を持つ点が特徴です。

退職願との違い

退職願は「お願い」の形で会社に退職の意思を伝える書面です。対して退職届は「届出」の形で、意思を確定させるものです。一般に、まず退職願で相談や調整を行い、内諾を得た後に退職届を提出する流れが多いです。

一般的な提出の流れ

  1. 上司に口頭で相談して退職時期を決める
  2. 退職願で意向を示す(調整用)
  3. 内諾を得たら退職届を提出して正式手続きとする

直接退職届を出す場面

急な事情で即日退職を希望する場合や、会社が交渉に応じない場合に直接退職届を出すことがあります。ただし、円満退職のためには事前の相談が望ましいです。

注意点(簡単な具体例)

例:4月30日で退職する場合は、届にその日付と氏名を明記し、控えを一通保管します。書面で出すことで「いつ退職の意思を示したか」が明確になります。

退職届の記載内容

記載すべき項目

退職届には次の項目を明確に書きます:提出日、宛名(会社名と代表者名)、所属部署・役職、氏名、押印または署名、退職日、退職理由。自己都合退職の場合は理由を「一身上の都合」と簡潔に記載するのが一般的です。

記入例(最低限の例)

退職届
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 殿

私は〇年〇月〇日をもって退職いたします。
退職理由 一身上の都合

所属部署:営業部
氏名:山田太郎(印)
提出日:〇年〇月〇日

書き方のポイント

  • 宛名は正式名称で書きます。部署名や役職が分かると丁寧です。
  • 退職日と提出日は別になることがあるため、両方を明確に書きます。
  • 押印は認印で問題ないことが多いです。実印は通常不要です。
  • ペンは黒のボールペンで、読みやすく楷書で書くと印象が良いです。
  • 理由は簡潔に。詳細は口頭で伝えるか、別途話し合います。

注意点

手書きが求められる場合があります。会社の規程を確認し、必要に応じてコピーを取っておきます。

提出時期と法的ルール

1. 法的な最低期間(民法)

民法第627条により、無期(期間の定めのない)雇用契約は、退職の申し出から2週間を経過すると終了します。つまり、法律上は少なくとも2週間前に伝えれば退職できます。ただし、契約期間の定めがある有期雇用の場合は、原則として契約満了まで働く必要があります。

2. 就業規則・雇用契約に従う

多くの会社は就業規則や雇用契約で退職の取り決めをしています。一般的には「1ヵ月前」「2ヵ月前」と定めることが多く、会社側はこれに基づいて引き継ぎや人員補充の準備をします。法的最低期間より長い期間を求める規定がある場合は、その規定に従って進めてください。

3. 実務上の目安

業務の引き継ぎや後任探しのため、実務上は退職希望日の1〜2ヵ月前に申し出るのが推奨です。早めに相談すれば、職場とのトラブルを避けやすくなります。口頭で伝えた後に書面を提出し、日付を明記して控えを残すと安心です。

4. 例外と注意点

・試用期間中は短めの期間で退職できることが多いです。
・会社が同意すれば、申し出から2週間より短く退職することも可能です。したがって、希望がある場合は早めに相談してください。
・無断で当日退職すると、就業規則違反として懲戒対象になったり、損害賠償を請求されるリスクがあるため避けましょう。

5. 提出時の実務的ポイント

まず就業規則と雇用契約書を確認し、人事や上司と日程をすり合わせます。書面は日付・名前・退職希望日・捺印(必要なら)を忘れずに記入し、提出後は控えをもらうようにしてください。

用紙形式と作成方法

用紙の種類とサイズ

退職届は白無地の便箋やA4用紙が一般的です。和紙や装飾のある用紙は避け、落ち着いた白い紙を選びます。縦書きでも横書きでも受理されますが、会社の慣例に合わせると安心です。

手書きとパソコン作成

どちらも受理されます。マナーとしては手書きでの提出が多いです。理由は正式さと誠意を伝えやすいためです。パソコンで作成する場合は、印刷して最後に自署(直筆署名)と押印を行うと良いです。

レイアウト例(順序)

  • タイトル:中央上に「退職届」
  • 日付:右上に年月日
  • 宛名:会社名と代表者名(敬称)
  • 本文:簡潔に退職の意思と退職日
  • 氏名と押印:右下に氏名、必要なら捺印

例文イメージ:
退職届
2025年○月○日
株式会社○○ 代表取締役 ○○ 様
一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。
山田 太郎(印)

書き方のポイント

  • 黒の万年筆や油性ボールペンで丁寧に書きます。鉛筆は不可です。
  • 修正液は使わず、誤字があれば新しい用紙に書き直します。訂正印を使う場合は会社のルールに従ってください。
  • 文字は読みやすく整えて書きます。略字や俗字は避けます。

押印・署名・保管

会社によっては押印を求められます。押印する場合は署名の近くに朱肉で押します。提出前に控えをコピーし、自分の控えを保管してください。郵送する際は記録が残る方法(簡易書留など)を検討します。

郵送時の注意点

準備するもの

  • 退職届(原本)と自分用の控え(同じ書面を1部)
  • 添え状(短い謝辞・提出の旨を記載)
  • 封筒(A4を折らずに入れられる角形2号が望ましい)
  • 切手・郵送記録が残る発送方法(書留やレターパックなど)
  • 筆記用具(黒インクのペン)

添え状の書き方(例)

  • 宛先(会社名・部署名・担当者名)
  • 挨拶と提出の意図(「お世話になっております。退職届を送付いたします。」)
  • 提出日と自分の氏名・連絡先
  • 短く丁寧にまとめるとよいです。添え状を付けることが礼儀とされます。

封筒の書き方と注意点

  • 表面に宛先を正確に書く(会社名・部署名・担当者名まで)
  • 左上または裏面に差出人の住所・氏名を記載
  • 封筒中央に「退職届 在中」と目立つように書くと担当者が分かりやすいです
  • 黒インクで丁寧に書き、汚れや誤字がないようにする

送付方法と受領の証拠

  • 書留やレターパックプラスなど、追跡・受領確認が取れる方法を推奨します
  • 郵便局で受領印のある受領証(控え)を必ず受け取って保管してください
  • 会社に控えを受け取ってもらい、押印して返送してもらうために、返信用封筒(切手を貼り宛名記入済)を同封する方法も有効です

実務的な注意点

  • 提出期限や退職希望日が決まっている場合は、余裕を持って発送してください
  • 送付前に宛名・日付・署名欄などの記載漏れがないか最終確認する
  • 退職理由の詳細は添え状に長々書かない。必要なら別途相談する旨を記載する

送付後の対応

  • 受領の連絡が来ない場合は、追跡番号で状況を確認し、必要なら電話連絡する
  • 会社から返送された控えは退職手続きの証拠になりますので大切に保管してください

提出前の確認事項

1. 文書の基本チェック

誤字脱字がないか、日付や宛名、あなたの氏名・押印(署名)が正しいかを必ず見直してください。例:会社名に旧字や略称が混ざっていないか確認します。

2. 退職日と最終出社日の確認

退職日が就業規則や上司との話し合いと一致しているか確認します。最終出社日や引継ぎ期間が明確なら、トラブルを防げます。

3. 提出方法と宛先の確認

手渡し、郵送、メール添付のいずれで提出するか決め、宛先(上司・人事部)を正確に記載します。郵送時は書留や配達記録を使うと安心です。

4. コピーと受領確認の準備

提出前に控えを一部保管し、受領印やメールの受信確認をもらってください。後の証拠になります。

5. 引継ぎ・社有物の準備

引継書、パスワードや業務資料の整理、PCや名札などの返却物をリスト化しておきます。

6. 労務・給与に関する確認

有給消化の扱い、最終給与、賞与、社会保険や源泉徴収の手続きについて人事に確認してください。

提出前の心構え

冷静に、記録を残す習慣をつけると安心です。疑問点は口頭だけで済ませず、メールなどで確認を取っておきましょう。

退職届と退職願の使い分け

「退職願」と「退職届」は目的と効力が異なります。まず要点を押さえます。

主な違い

  • 提出時点:退職願は従業員の意思表明として早めに出します。会社から承認や合意を得て退職日が決まった段階で退職届を出します。
  • 撤回の可否:退職願は原則として撤回の余地があります。対して退職届は一方的な意思表示とみなされ、撤回が難しくなります。
  • 形式と目的:退職願は相談的書面、退職届は確定的な通知です。

具体例

  • 例1(転職先が決まっていない):まず口頭や退職願で上司に相談します。日程調整後、合意が取れたら退職届を提出します。
  • 例2(退職日が確定している):最初から退職届を出すと、会社側が受理した時点で取り消しが困難になります。

実務上の注意点

  • 会社の就業規則や慣行を確認してください。企業によって扱いが異なります。
  • 上司とまず話し、書面は控えを残してください。
  • 撤回を検討する場合は、退職願の段階で行ってください。退職届を出す前によく検討します。

必要なら、例文や提出時期の具体的な目安もお作りします。

退職後に受け取るべき書類

概要

退職後は会社からいくつかの重要書類を受け取ります。これらは失業給付や年金・健康保険の手続き、新しい職場での手続きに必要ですので、大切に保管してください。

離職票

雇用保険の手続きに必要です。ハローワークで失業給付を申請するときに提出します。会社が離職理由を記載して発行します。

雇用保険被保険者証

雇用保険の加入記録が分かる書類です。再就職先で使う場合や過去の加入期間確認に役立ちます。

源泉徴収票

その年の給与と税額が記載された書類です。年末調整や確定申告、次の勤務先への提出に必要です。

健康保険資格喪失証明書・保険証

会社の健康保険が終了した証明です。国民健康保険や任意継続被保険者制度の手続きで求められます。

年金手帳・基礎年金番号通知書

年金の記録に使います。転職先や市区町村での年金手続きに必要です。

退職証明書・在職証明書

退職日や職務内容、在職期間を証明する書類です。転職先や金融手続きで求められることがあります。必要なら会社に発行を請求してください。

その他の書類

最終の給与明細、賞与明細、各種控除の証明など。何が必要か事前に確認しておくと安心です。

受け取りの注意点

届かない・内容に誤りがある場合は人事担当に速やかに連絡してください。書類は紛失しないようコピーを取り、保管しておきましょう。

労働基準法上の規定

法的義務

労働基準法第22条は、労働者が請求したとき事業主に退職証明書を発行する義務を定めています。法律上の発行期限は明記されていませんが、事業主は遅滞なく対応する必要があります。

証明できる主な事項

  • 使用期間:入社日と退職日を明確に記載します(例:2015年4月1日〜2020年3月31日)。
  • 業務の種類:具体的な仕事内容を短く書きます(例:営業、事務、製造)。
  • 地位:役職名や職種を記載します(例:課長、一般職)。
  • 賃金:基本給や支払期間を示します。給与の全額を細かく書く必要はありません。
  • 退職の事由:退職理由を記載します。解雇の場合はその理由も含めて記載できます。

請求方法と注意点

請求は書面やメールで行うと証拠が残ります。請求時に「記載してほしい項目」を具体的に示すと発行がスムーズです。請求の控えは必ず保管してください。

発行を拒否された場合の対応

事業主が正当な理由なく発行を拒むときは、最寄りの労働基準監督署に相談してください。監督署は助言や指導を行いますし、必要に応じて対応を促します。

実務的な例

請求文の一例:「退職証明書の発行をお願いいたします。記載項目は使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職事由です。ご対応よろしくお願いします。」

これらを踏まえ、必要な情報は明確に伝え、発行された書類は大切に保管してください。

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