退職予告手当と勘定科目の基本知識と具体的会計処理

目次

はじめに

ブログの記事をどう書けばいいかわからない、という悩みをお持ちではありませんか?本記事は、退職予告手当(解雇予告手当)の勘定科目と会計処理について、実務ですぐ使える形でわかりやすく解説します。

本記事で学べること

  • 退職予告手当の法的な背景や意味
  • 実務上多い勘定科目の扱い方と考え方
  • 具体的な仕訳例と税務上のポイント
  • 支払わなかったときのリスク

対象読者

経理・人事担当者、社長や小規模事業者、税理士の補助をする方など、日常の会計処理で判断に迷う方に向けています。専門用語は最小限にして、具体例を交えて説明します。

本記事の構成

第2章以降で、勘定科目の基本、給与処理と退職給付の違い、仕訳例、リスクまで順に解説します。迷ったときに手元で確認できる実務的なガイドを目指しました。まずは全体像をつかんでください。

退職予告手当(解雇予告手当)の勘定科目と会計処理

概要

退職予告手当は、労働基準法に基づき30日前の解雇予告をしなかった場合に支払うべき手当です。会計では発生主義で処理しますので、支払義務が確定した時点で費用として計上します。

勘定科目の使い分け(基本)

  • 費用科目:通常「退職予告手当」または「給与手当(賃金)」として人件費に計上します。営業損益上は人件費に含めます。
  • 負債科目:支払いが未了の場合は「未払給与」や「未払金」を使って負債計上します。

仕訳の例(わかりやすく)

1)解雇を決め、支払いをまだ行っていない場合(発生時)
 借方:退職予告手当(人件費) xxx/貸方:未払給与 xxx

2)実際に支払ったとき
 借方:未払給与 xxx/貸方:現金(預金) xxx

3)支払時に一括で計上する場合
 借方:退職予告手当 xxx/貸方:現金(預金) xxx

税務・保険の取り扱い(注意点)

退職予告手当は賃金に該当するため、源泉所得税や社会保険料の対象となる場合があります。具体的な計算や扱いは税理士や社労士に確認してください。

実務上のポイント

  • 支払義務が明らかになった期に費用計上するのが原則です。
  • 支払い方法や他の退職金と合算する場合は、内訳が分かるようにしておくと良いです。

後の章で、給与扱いと退職給付扱いの違いや具体的な仕訳例をより詳しく説明します。

退職予告手当とは何か?

概要

退職予告手当(解雇予告手当)は、会社が従業員を解雇する際に、少なくとも30日前に予告しない場合に支払う法定の手当です。従業員の生活を守るために定められており、通知を行わない期間分の賃金(原則として30日分)を補償します。

支払われる場合とされない場合

支払われるのは、会社側の都合で解雇する場合です。従業員が自主的に退職する場合は原則適用されません。懲戒解雇や重大な過失がある場合は例外もありますが、判断には注意が必要です。

金額の考え方(簡単な例)

基本は解雇予告をしなかった日数分の平均賃金です。たとえば平均日額1万円なら30日分で30万円となります。

目的とポイント

目的は生活保障と雇用の安定です。会社は解雇の際、まず予告を行うか、予告ができないときは退職予告手当を支払うことを意識してください。

勘定科目の基本的な考え方

概要

退職予告手当の勘定科目は主に2つの考え方に分かれます。支払いの性質と発生時点を見て、どちらが適切か判断します。

1)給与手当(人件費)として扱う

短期間の補償や解雇予告に伴う未払賃金的な性格が強い場合は、給与手当(未払賃金や給与手当)で処理します。発生主義に基づき、従業員が働くべき期間の賃金に対応する費用として認識します。例:30日分の賃金相当額を支払うケース。

2)退職給付費用(退職金)として扱う

制度的に退職一時金に近い性格を持ち、将来給付の一部として扱うべき場合は退職給付費用に計上します。継続的な仕組みや計算方法が退職金と同様ならこちらが適切です。

判断のポイント

・発生時点(即時か将来の給付か)
・性質(賃金代替か退職一時金か)
・社内規程や就業規則の記載
・税務・社会保険上の取扱い

実務上の注意

一度採用した取扱いは継続的に運用し、根拠(就業規則、支給ルール)を明確にしておくことが重要です。次章で仕訳例を紹介します。

給与手当として処理する(一般的な実務)

概要

多くの会社は退職予告手当を給与手当として処理します。従業員に支払う賃金の一部とみなし、源泉所得税や社会保険料も通常の給与と同様に控除します。

なぜ給与扱いにするか

退職予告手当は労働基準法上の賃金性が高く、支払時点で従業員の所得とみなされやすいため、実務上は給与で処理するのが一般的です。

源泉所得税・社会保険の扱い

支払額から源泉所得税を控除し、社会保険料も該当すれば天引きします。会社は源泉徴収や社会保険の手続きを通常の給与と同じように行います。

役員の場合の注意

役員については役員報酬として処理します。ただし、役員の解雇予告手当は原則認められていない点に注意してください。

仕訳例(簡略)

支払総額100,000円、源泉5,000円、社会保険等15,000円、支払現金80,000円の場合:
借方: 給与手当 100,000円
貸方: 預り源泉税 5,000円/預り社会保険 15,000円/現金 80,000円

実務上のポイント

  • 支払通知や計算書を残す
  • 給与台帳へ記録する
  • 税務上の取り扱いに疑問があれば税理士等に確認する

退職金(退職給付費用)として処理するケース

どんな場合に当てはまるか

解雇予告手当を「退職金の一部」や「退職給付」と捉えるケースです。たとえば、就業規則や退職金規程で解雇時の支給が明確に定められ、実務上も退職金と同様の扱いをしているときに該当しやすいです。

会計処理の考え方

発生主義に基づき、退職給付費用として損益に計上します。支払いが将来にわたると見込まれる場合は退職給付引当金(負債)を設定します。発生時点で費用を計上し、支払時に引当金で精算する形です。

税務上のポイント

退職所得扱いになると退職所得控除や分離課税の適用が問題になります。源泉徴収や年末調整の取り扱いに影響しますので、税理士と相談して判断してください。

仕訳イメージ

(1) 発生時:退職給付費用/退職給付引当金
(2) 支払時:退職給付引当金/現金(預金)

実務上の注意点

就業規則や合意内容を文書で残すこと、会計基準と税務の取り扱いが一致しない可能性を確認すること、外部専門家に相談することをおすすめします。

どちらの処理が多いか・実務上のポイント

概要

実務では、退職予告手当を「給与手当」として処理するケースが圧倒的に多いです。支給が給与支払の一環として扱いやすく、源泉徴収・社会保険の処理や会計上の取扱いが分かりやすいためです。

実務上の傾向と理由

  • 給与扱いにすると給与計算システムで処理しやすく、従業員への説明も簡単です。
  • 税務調査で問題になりにくく、会社側のリスクが小さい点が選択理由になります。

退職金扱いにするケース

  • 労働契約や就業規則で明確に退職金として位置づけている場合
  • 支給額が通常の給与を超え、退職給付に準じた性格を持つ場合

実務上のポイント(チェックリスト)

  • 支給の根拠(就業規則・解雇通知など)を残す
  • 顧問税理士と方針をそろえる
  • 給与扱いにする場合は源泉・社会保険の手続きを忘れない
  • 退職金扱いにする場合は退職給付会計や税務上の取り扱いを確認する

具体例

解雇に伴う30日分の解雇予告手当は多くの企業で給与(解雇予告手当)として処理します。就業規則で退職金規定がある場合は退職金扱いとする判断がありえます。

最後に

どちらにするかは会社の方針と顧問税理士の判断が最終になります。実務面では手続きの簡潔さと税務リスクの小ささから給与扱いが無難です。

第8章: 退職金・退職給付費用との違い

概要

退職金・退職給付費用は、定年退職や自己都合退職など労働契約の終了に伴い支給する慣行的・規程的な給付です。一方、解雇予告手当(退職予告手当)は労働基準法に基づく救済的な性格が強く、性質が異なります。

支給目的とタイミングの違い

  • 退職金:勤続年数や規程に応じて支給する報酬です。例)勤続20年で一時金を支給。
  • 解雇予告手当:解雇時に30日以上の予告ができなかった場合に給付する補償で、解雇の直後に発生します。例)即日解雇で1か月分の賃金を支払う。

会計・勘定科目上の違い(簡潔に)

  • 退職金・退職給付費用:長期的な給付で、退職給付に関する費用や引当金で処理することが多いです。企業年金や確定給付型の場合は会計基準に基づき計算・計上します。
  • 解雇予告手当:通常は給与手当として扱い、支払いが見込まれる時点で未払金や給与費として処理します。

実務上の判断ポイント(具体例)

  1. 支給理由を確認する:規程に基づく退職金か、予告手当かで科目が変わります。
  2. 支払いの性格:恒常的な給付なら退職給付費用、救済的・突発的なら給与扱いが原則です。
  3. 計上タイミング:退職金は発生基準や引当の確認が必要です。解雇予告手当は解雇発生時に処理します。

以上を基に、まず事実関係(規程の有無、支給理由)を確認して勘定科目を判断してください。

仕訳の具体例

給与手当として処理する場合(例)

  • 前提:退職予告手当(支給額)300,000円、社会保険(被保険者負担)30,000円、源泉所得税5,000円、住民税10,000円

  • 発生時(負担が確定したとき)

借方:退職予告手当(給与手当) 300,000
貸方:未払給与 300,000
  • 支給時(従業員に支払うとき)
借方:未払給与 300,000
貸方:現金預金 255,000
貸方:預り金(源泉所得税) 5,000
貸方:預り金(住民税) 10,000
貸方:預り金(社会保険料) 30,000
  • 会社負担の社会保険は別途処理します(例:法定福利費30,000円)
借方:法定福利費 30,000
貸方:未払金(社会保険料) 30,000

退職金(退職給付)として処理する場合(例)

  • 前提:退職金支給額1,000,000円、退職所得控除後の源泉徴収税額50,000円

  • 既に引当金を計上している場合(支払時)

借方:退職給付引当金 1,000,000
貸方:現金預金 950,000
貸方:預り金(源泉所得税) 50,000
  • もし引当をしていない場合は、支給時に費用計上して未払金で処理します。
借方:退職金支払(退職給付費用) 1,000,000
貸方:現金預金 950,000
貸方:預り金(源泉所得税) 50,000

ポイント

  • 給与手当として処理する場合は、各種控除(社会保険、源泉税、住民税)を差し引いて支給する点を意識してください。
  • 退職金扱いのときは、退職所得控除後に源泉徴収するため、控除額や源泉税計算が異なります。
  • 実務では発生時点での計上(引当)と支払時の処理を分けて考えると整理しやすいです。

支払わない場合のリスク

概要

退職予告手当を支払わないと、労働基準監督署への申告や訴訟につながります。刑事罰として「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。企業にとっては法的・経済的・社会的な影響が出ます。

主なリスク

  • 行政対応:労働基準監督署(労基署)からの調査や是正指導が入ります。
  • 刑事罰:法令違反が認められると、懲役や罰金の対象になります(上記)。
  • 民事対応:従業員による労働審判や訴訟で支払い命令や損害賠償を請求される場合があります。
  • 信用低下:取引先や採用に悪影響が出ることがあります。

実務上の注意点と対応策

  • まずは従業員と話し合い、事情を記録してください。
  • 労基署から連絡があれば速やかに対応し、必要なら社労士や弁護士に相談してください。
  • 未払いがあれば速やかに支払いと記録の是正を行うことが被害拡大を防ぎます。

事前にルールを整え、従業員へ丁寧に説明することで多くのトラブルを未然に防げます。

第11章: まとめ

退職予告手当の勘定科目は、一般的には給与手当として処理します。ただし、自社の運用や税理士の判断によっては退職金や退職給付費用として扱う場合もあります。したがって、まずは就業規則や社内規程、税務上の取扱いを確認してください。

実務上は次の点を意識すると安心です。

  • 処理方針を文書化し、経理や人事で共有する。
  • 仕訳は方針に合わせて統一する(例:給与計上/退職給付計上)。
  • 税務申告に影響するため、疑問があれば税理士に相談する。

しかし、支払わない、あるいは誤った科目で処理すると、労働者とのトラブルや税務リスクが生じます。適切な判断と記録を心がけ、必要があれば専門家の助言を受けてください。

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