はじめに
「退職予告手当を支払ったけれど、勘定科目は何を使えばいいの?」
「給与と同じように仕訳して、源泉所得税も計算すればいいの?」と迷っていませんか。
従業員の解雇にあたって退職予告手当を支給すると、通常の給与とは支給する理由が異なるため、給与台帳や仕訳を処理する際にどのように扱えばよいのか分かりにくいことがあります。
この記事では、退職予告手当に使う勘定科目の考え方から、実際の仕訳例、源泉所得税を計算・納付するときの処理まで、順を追って説明していきます。
退職予告手当の勘定科目は「退職金」が基本

退職予告手当を支給するとき、「勘定科目は退職金で処理していいの?」「通常の給与と同じように給料手当にするのでは?」と迷うことがあります。
ここでは、退職予告手当を「退職金」として処理する理由と、「給料手当」で処理する場合との違いについて順に説明します。
退職予告手当を「退職金」で処理する理由
退職予告手当は、30日前までに解雇を予告しない場合などに支給する金銭で、通常の勤務に対する給与とは性質が異なります。
そのため、会計処理では「退職金」の勘定科目を使い、実際の振込額や源泉所得税などを分けて仕訳するのが基本です。
「給料手当」として処理する場合との違い
「給料手当」は、従業員の通常の勤務に対して支給する給与を処理する勘定科目です。
一方、退職予告手当は解雇予告を行わないことに伴って支給するため、基本的には「退職金」として区分し、通常の給与とは分けて処理します。
退職予告手当の仕訳例
退職予告手当を支給する際、「実際の支給額はどのように仕訳すればいい?」「源泉所得税を差し引いた場合は、借方と貸方に何を記載するの?」と迷うことがあります。
ここでは、退職予告手当をそのまま支払う場合と、源泉所得税を差し引いて支払う場合の仕訳について順に説明します。
退職予告手当を支払ったときの仕訳
退職予告手当を現金や預金から支払った場合は、支給額を「退職金」の借方、支払った金額を「現金」または「普通預金」の貸方に計上します。
たとえば30万円を全額振り込んだ場合は、「借方:退職金30万円、貸方:普通預金30万円」と仕訳します。
源泉所得税を差し引いて支払う場合の仕訳
源泉所得税を差し引く場合は、支給額の全額を「退職金」の借方、振込額と源泉所得税を「普通預金」と「預り金」の貸方に分けて計上します。
たとえば支給額30万円、源泉所得税3万円なら、「借方:退職金30万円、貸方:普通預金27万円、預り金3万円」と仕訳します。
退職予告手当を仕訳するときの注意点
退職予告手当を仕訳するときは、通常の給与と同じ処理にせず、支給する手当の性質と源泉所得税の扱いを確認することが大切です。
ここでは、通常の給与との区分、源泉所得税の処理、支給額と振込額を分ける方法について説明します。
通常の給与と退職予告手当を分けて処理する
通常の勤務に対して支払う給与は「給料手当」、退職予告手当は「退職金」として分けて仕訳します。
それぞれ支給する目的が異なるため、同じ勘定科目にまとめず、支給内容に合わせて処理することが大切です。
源泉所得税は退職所得として処理する
退職予告手当は、所得税の計算上、原則として退職所得として扱われます。
源泉所得税を差し引く場合は通常の給与とは区分し、差し引いた税額を「預り金」として計上して管理します。
退職予告手当の源泉所得税を計算するときは、退職所得控除や「退職所得の受給に関する申告書」の扱いも確認しておきましょう。
▶退職所得の源泉徴収税額の計算方法|退職所得控除や申告書も解説
支給額と実際の振込額を分けて仕訳する
源泉所得税を差し引く場合は、退職予告手当の総支給額と実際の振込額を分けて仕訳します。
たとえば総支給額30万円、源泉所得税3万円なら、「借方:退職金30万円、貸方:普通預金27万円、預り金3万円」と計上します。
退職予告手当の処理で迷ったときに確認すること
退職予告手当を仕訳するとき、「退職金として処理してよいのか」「自社ではどの勘定科目を使えばよいのか」と迷うことがあります。
ここでは、退職金として処理する対象かどうかを確認する方法と、自社の会計処理・税務上の扱いを確認するポイントについて説明します。
退職金として処理する対象か確認する
仕訳をする前に、支給した金額が解雇予告を行わないことに伴う退職予告手当に該当するか確認します。
通常の給与や賞与とは支給する理由が異なるため、退職予告手当として支払った金額を分けたうえで、「退職金」の勘定科目で処理します。
自社の会計処理と税務上の扱いを確認する
退職予告手当は、会計上の勘定科目と税務上の所得区分をそれぞれ確認して処理します。
判断に迷う場合は自社の過去の仕訳や会計ルールを確認し、源泉所得税などの税務上の扱いについては税理士などに相談すると安心です。
退職予告手当から源泉徴収した税金をいつまでに納付するのか迷う場合は、納付期限や納付方法も確認しておくと安心です。
▶源泉所得税の納付期限はいつ?納期の特例や納付方法を解説
まとめ
退職予告手当は通常の給与とは支給する理由が異なるため、仕訳では基本的に「退職金」として処理します。
源泉所得税を差し引く場合は、総支給額を「退職金」、振込額を「普通預金」、差し引いた税額を「預り金」として分けておくと、支給内容を確認しやすくなります。
また、退職予告手当は原則として退職所得として扱われるため、通常の給与とは分けて税務処理を確認することも大切です。
仕訳に迷ったときは、まず支給内容を確認し、自社の会計ルールや過去の処理も参考にしながら進めてみてください。
税務上の扱いに不安がある場合は、税理士などに確認すると安心です。


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