有給消化20日を無理なく進めるための全知識と方法

目次

はじめに

本資料の目的

本資料は、有給休暇が20日付与された場合の取り扱いをわかりやすくまとめた解説です。付与される条件、実際の消化手順、法的な義務や期限、違反した場合の罰則、退職時の扱いまで幅広く扱います。具体例を交えて説明しますので、初めての方でも理解しやすくなっています。

想定する読者

・従業員として自分の有給を正しく使いたい方
・人事や管理職としてルールを整えたい方
・アルバイトやパートにも適用されるか知りたい方

本資料の読み方

各章は独立して読めますが、まずは付与条件(第3章)と付与日数一覧(第4章)を確認すると実務で役立ちます。事例や手順は実務で使えるよう具体的に示します。

注意点

法律の解釈や個別の事情で対応が変わることがあります。複雑なケースは労務の専門家に相談してください。

有給休暇とは何か

概要

有給休暇とは、会社が従業員に与える休暇で、休んでも給与が支払われる点が最大の特徴です。通常は一定の勤続期間や出勤実績を満たした従業員に年に一度以上付与されます。従業員が取得時季を指定して休むと、その分が「消化」された扱いになります。

主な特徴

  • 給与が支払われる休暇です。
  • 労働基準法に基づく権利で、会社が一方的に奪えません。
  • 取得の方法やタイミングは原則として従業員が決めますが、業務に支障が出る場合は会社が時季変更を求めることがあります。

誰がもらえるか(簡単な要件)

一般に、入社後一定期間(例:6カ月間)に所定労働日の8割以上出勤していれば付与されます。パートやアルバイトでも所定要件を満たせば対象になります。

取得の流れ(例)

  1. 従業員が休みたい日を申請します。
  2. 会社は業務を確認し、問題なければ承認します。
  3. 承認された日に給与を支払い休暇として扱います。

注意点

有給は権利ですが、会社と話し合って取得時期を調整することが大切です。消滅時効や扱いについては別章で詳しく説明します。

有給休暇が20日付与される条件

条件のポイント

有給休暇が最大20日まで付与されるには次の2点が必要です。
1. 雇入れ(入社)の日から6か月経過していること
2. その6か月間の全労働日の8割以上出勤していること
ただし、勤続年数に応じて付与日数が増えていきます。

出勤率の計算例

たとえば6か月間の所定労働日数が120日なら、出勤日数は120日×0.8=96日以上で要件を満たします。欠勤が多いと付与されない場合がありますので注意してください。

正社員の付与のしくみ

多くの企業では正社員に対して、初回(6か月経過時)に10日を付与します。その後は入社から1年ごとに1日ずつ増え、年間の付与日数が最大で20日になります。

具体例(2024年4月1日入社)

・2024年10月1日(入社から6か月): 付与=10日
・2025年4月1日(入社1年): 付与=11日
・2026年4月1日(入社2年): 付与=12日
このように毎年1日ずつ増え、最大20日に達します。

注意点

会社の規定や雇用形態で扱いが異なることがあります。詳しくは就業規則や人事担当に確認してください。

有給休暇の付与日数一覧

基本の付与日数

勤続年数に応じた有給休暇の付与日数は次の通りです。

  • 勤続6か月:10日
  • 勤続1年6か月:11日
  • 勤続2年6か月:12日
  • 勤続3年6か月:14日
  • 勤続4年6か月:16日
  • 勤続5年6か月:18日
  • 勤続6年6か月以上:20日

いつ付与されるか(具体例)

付与は「継続勤務期間」に応じて行われます。たとえば、入社日が4月1日の場合:
– 10日付与:同年10月1日(勤続6か月)
– 11日付与:翌年4月1日の6か月後(勤続1年6か月)
このように、入社日を基準に半年ごとの所定のタイミングで増えていきます。

注意点

  • 付与日数は継続勤務が前提です。欠勤や契約形態によって取り扱いが変わることがあります。
  • 事業所ごとの運用ルール(計画的付与の有無など)で取り扱いが異なる場合があります。必要な場合は就業規則や人事担当に確認してください。

20日の有給休暇を消化する際の順序

基本ルール

有給休暇は付与日から2年で消滅します。企業は、まず時効が近い有給から消化するのが一般的です。つまり、付与された順番で古いものから使う扱いになります。

具体例

例:入社3年目で毎年10日ずつ付与され、今年付与分が合計20日あるとします。古いもの(2年後に消滅するもの)を先に使えば、消滅を避けられます。

就業規則の優先

ただし、就業規則や労使協定で「当年度付与分から消化する」と明記している会社もあります。その場合は会社のルールに従います。企業独自のルールが優先されることがあります。

会社側の対応と社員の注意点

会社は消化順序を明示する義務はありませんが、就業規則に明記しているなら周知すべきです。社員は自分の有給の付与日と残日数を確認し、時効が近い日から優先的に取得するなど計画的に使うと安心です。

実務的な対処法

  • 就業規則を確認する。\n- 人事や総務に消化順序を問い合わせる。\n- 付与日と消滅日を一覧にして管理する。\n- 必要なら書面で申請や相談を残す。

特別制度の影響

計画的付与制度や会社が定める年休管理ルールがある場合、実際の消化順序はそれに合わせて調整されます。

年5日の有給消化義務化

概要

2019年4月の働き方改革関連法により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、使用者が年5日の年次有給休暇を確実に取得させる義務が課されました。付与日数が20日ある場合でも、最低5日は必ず取得させる必要があります。

対象者

付与日数が年10日以上の全ての労働者が対象です。管理監督者や有期雇用の労働者も含まれます。例外は原則としてありません。

使用者の義務と具体例

使用者は労働者に対して1年につき5日を取得させるために、まず労働者の希望日を聞き、調整を図る必要があります。労働者が希望日を申請しない場合や業務都合で取得が偏る場合は、使用者が時季を指定して取得させることができます。
例1(連続): 夏季休暇として5日をまとめて時季指定する。
例2(分散): 月ごとに1日ずつ取得させ、合計で5日にする。

実務上のポイント

  • 取得の記録を残すこと(書面や電子データで可)。
  • 業務の繁忙や病気等への配慮は必要ですが、使用者は取得を促す努力を怠ってはいけません。
  • 労働者の事情により取得が難しい場合は、相談のうえ柔軟に対応するとよいです。

義務化の趣旨は、労働者の休養確保です。職場で計画的に取得を進めることで、制度が円滑に運用できます。

パート・アルバイトへの適用

法律の適用範囲

パートやアルバイトも労働基準法の対象です。雇用形態に関係なく、同じ要件(雇入れから6か月経過し、出勤率が8割以上など)を満たせば有給休暇が付与されます。会社は取得を認める義務があります。

比例付与の考え方

週の所定労働日数や労働時間に応じて日数を比例配分します。週4日以下、または週所定労働時間が30時間未満の場合は比例付与になります。勤務日数が少ないと、初年度の付与日数が10日未満になることがあります。

具体例

例:週5日勤務→10日、週4日→8日、週3日→6日程度(勤続年数で増加します)。具体的な付与日数は就業規則や労基の表で確認してください。

年5日消化義務との関係

年5日の有給消化義務は、年間付与日数が10日以上の労働者が対象です。したがって、比例付与で10日に満たない場合は消化義務の対象外になります。

実務上の注意点

有給の請求や管理は書面やタイムカードで記録してください。事業主は時季指定や計画的付与で調整できますが、正当な理由なく取得を不当に拒んではいけません。疑問があれば労基署や社内担当に相談しましょう。

計画的付与制度の活用

■制度のポイント
計画的付与制度は、労使協定で定めることで有給休暇のうち「5日を超える部分」の取得日を会社があらかじめ指定できる仕組みです。年20日の付与がある場合、従業員はまず5日を自由に使え、残り15日を会社が計画的に付与できます。お盆や年末年始などの連休をまとめやすくし、消化率向上に役立ちます。

■導入の手順(簡潔)
1. 対象範囲を決める(全社員か一部か)
2. 労使協定を締結する(就業規則へ反映)
3. 付与日をあらかじめ決めて通知する
4. 記録を保存する

■運用上の注意点と実務例
・事前通知は早めに行い、個別の都合を聞くと摩擦が減ります。たとえば、20日付与の社員について、会社が夏季5日、年末5日、その他5日と指定し、残りの5日は社員が自由に使えるようにすると連続休暇が作りやすくなります。
・計画的付与は休暇の一種ですので賃金扱いは通常の有給と同じです。
・どうしても都合が合わない場合は代替措置や個別対応を検討してください。

■活用のコツ
・年間カレンダーを早めに提示する
・繁忙期と閑散期を考慮して日程を決める
・従業員の声を反映し柔軟に運用する

これらを踏まえれば、計画的付与制度は休暇の取りやすさと業務継続の両立に役立ちます。

有給休暇の消滅時効

基本ルール

有給休暇の有効期間は労働基準法の時効により2年間です。付与された日ごとに2年の期限が決まります。つまり「一度付与された有休は、付与日から2年以内に使わなければ消えてしまう」仕組みです。

計算のしかた(例)

  • 例:2023年10月1日に10日付与された場合、時効期限は2025年10月1日です。期限を過ぎると残っている日数は消滅します。
  • 一部を消化した場合も同じ扱いです。たとえば2024年3月1日までに4日使えば残り6日になりますが、残りの6日も2025年10月1日に時効になります。

複数回の付与について

有給は付与ごとに別々に管理します。たとえば毎年付与される場合、それぞれの付与日から2年で時効となります。残日数は付与単位ごとに計算してください。

注意点と対応

期限切れになると権利は消失します。自分の有休残数や付与日を勤怠記録で確認し、期限をメモしておくことをおすすめします。会社が取得を認めないなど問題がある場合は、まず社内の担当者に相談し、必要なら労働基準監督署などの専門窓口に相談してください。

消化義務を果たさない場合の罰則

法的な位置づけと罰則

年5日の有給休暇取得の義務化に違反すると、労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。これは企業に課される刑事上の制裁であり、監督指導だけで終わらないことがあります。

監督署の対応の流れ

労働基準監督署は通報や調査で事実を確認します。状況に応じて是正勧告や改善命令を出し、改善が見られない場合は罰則の適用に進むことがあります。記録(休暇の申請・承認の履歴や社内通知)が重要になります。

企業が取るべき対応(実務上の注意点)

  • 取得状況を記録し、年5日の取得を確実に促すこと
  • 社員に対して具体的な日程提示や取得の再通知を行うこと
  • 計画的付与制度や半日単位の取得で柔軟に対応すること
    これらの措置を講じていることが、監督署の判断に影響します。

従業員ができること

まずは上司や人事に相談し、記録を残してください。改善が見られない場合は、最寄りの労働基準監督署や労働相談窓口に相談・通報できます。専門家に相談して権利を確認することも有効です。

具体例(イメージ)

小規模事業者が年5日の取得を促さず、監督署の調査で違反が認められれば、是正命令を受けた後、罰金刑が適用される可能性があります。日頃から取得状況の管理を行うことで、リスクを避けられます。

退職時の有給休暇の取扱い

概要

退職者にも年5日の時季指定義務が適用されます。年休が10日以上付与される労働者に対しては、付与日から1年以内に会社が取得時季を指定して取得させる必要があります。退職予定者であってもこの義務は変わりません。

会社の義務

会社は、付与された年休について、少なくとも5日分の取得時季を指定して取得させる必要があります。付与日から1年以内に指定する点を守ってください。退職時に近い社員であっても、同じ手続きを行います。

退職者が取るべき対応

退職を予定している場合は、早めに有給取得の希望を伝えましょう。会社が指定する日程に調整できるように協力するとトラブルが減ります。付与された日数や付与日を確認しておきましょう。

具体例

例:4月1日に年休が10日付与されたAさん。会社は翌年4月1日までに少なくとも5日の取得時季を指定する必要があります。Aさんが9月に退職予定でも、会社の指定義務は残ります。

注意点

退職時の扱いは会社ごとに運用が異なる場合があります。疑問があれば人事や労基署に相談してください。

退職の悩み、Yameriiにお任せください

もう無理しなくて大丈夫。
Yameriiがあなたの退職を全力サポート!


✅ 最短即日退職
✅ 会社とのやり取りゼロ
✅ 追加料金なしの明朗会計

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次