はじめに

結論から言うと、同じ会社から源泉徴収票が2枚出ていて、そのうち1枚が乙欄の場合、年末調整に使えるのは甲欄の1枚だけで、乙欄分は原則として本人が確定申告で精算します。
乙欄が付くのは、退職後に支給された給与や、扶養控除等申告書が効力を失った状態で支払われた給与であり、会社側で年末調整に含めることはできません。
同じ会社から2枚発行されると「どちらかがミスではないか」「2枚とも年末調整に入れるのではないか」と不安になりますが、支給時期と申告書の有無によって扱いが明確に分かれています。甲欄と乙欄の違い、2枚になる理由、年末調整と確定申告の線引きを順に押さえれば、税金の計算を誤ることはありません。
まず結論|同じ会社で源泉徴収票が2枚・乙欄でもどう処理する?
会社側の処理は「甲欄のみ」で完結する
年末調整に使えるのは、扶養控除等申告書が有効な状態で支払われた甲欄の源泉徴収票だけです。
同じ会社から2枚出ていても、**乙欄が付いた源泉徴収票を年末調整に含めることはできません。**乙欄分は合算せず、本人へ返却する対応で足ります。
乙欄が付いた分は「確定申告」で精算する
乙欄は、退職後の給与や、申告書の効力がない状態で支払われた給与に付く区分です。
この区分で源泉徴収された税額は、年末調整では調整されないため、**本人が確定申告で年間所得に合算して精算します。**会社が追加で税額を計算し直す必要はありません。
2枚あること自体は異常ではない
同じ会社・同じ年でも、支給のタイミングや申告書の状態が異なれば、源泉徴収票が分かれるのは自然な処理です。
「2枚=ミス」ではなく、甲欄は年末調整、乙欄は確定申告と役割を切り分ければ、対応は迷いません。
そもそもなぜ?同じ会社なのに源泉徴収票が2枚になる理由
退職後に支給された給与があると分かれる
退職日以降に、在職中の勤務分に対する給与や手当が支給されると、その支払いは退職後扱いになります。
この時点では扶養控除等申告書の効力がなくなっているため、その給与は乙欄で源泉徴収され、在職中の甲欄分とは別の源泉徴収票として発行されます。
締日と支給日のズレが2枚発行の原因になる
月末締め・翌月払いなどの場合、年内に在職していた期間の給与でも、支給日が退職後や年明けになることがあります。
同じ勤務期間でも、支給日が異なるだけで税務上の扱いが分かれ、結果として2枚になることがあります。
在職中でも乙欄になるケースがある
扶養控除等申告書を提出していない、または提出先が別にある状態で支給された給与は、在職中であっても乙欄になります。
副業や一時的な雇用形態の変更があると、同じ会社・同じ年でも甲欄と乙欄が混在する形になります。
乙欄って何が違う?○が付くと何ができなくなる?
甲欄と乙欄は「扶養控除等申告書」が分かれ目
源泉徴収票の甲欄と乙欄は、給与を受け取る時点で扶養控除等申告書が有効かどうかで決まります。
申告書を提出し、その会社を主な勤務先として給与を受け取っている場合は甲欄になり、提出していない場合や効力が失われている場合は乙欄になります。
乙欄が付くと年末調整に入れられない
乙欄で源泉徴収された給与は、税率が高めに設定されており、年末調整で過不足を調整する前提になっていません。
そのため、乙欄の源泉徴収票を年末調整に含めることはできず、税額は確定申告で調整します。
退職後の給与が乙欄になる理由
退職すると、提出していた扶養控除等申告書の効力は終了します。
退職後に支払われる給与や手当は、在職中の分であっても申告書がない状態での支払いとなるため、自動的に乙欄扱いになります。
年末調整に入れていいのはどれ?迷わない判断軸
年末調整に使えるのは「甲欄の源泉徴収票」だけ
年末調整は、扶養控除等申告書が有効な状態で支払われた給与を前提に行われます。
その条件を満たすのは甲欄の源泉徴収票のみで、乙欄が付いた分は年末調整の対象外です。同じ会社から2枚出ていても、合算するのは甲欄の1枚だけになります。
乙欄を年末調整に入れると計算が崩れる
乙欄は、あらかじめ高めの税率で源泉徴収される仕組みです。
これを年末調整に含めると、税額が二重に調整されたり、本来不要な還付や不足が出たりします。会社側で扱わない前提だからこそ、確定申告で一本化する流れが保たれます。
会社がやるべき対応は「切り分けて返す」だけ
会社側の対応はシンプルです。
甲欄は年末調整に反映し、乙欄は本人へ返却して確定申告の案内を行う。
乙欄分の再計算や年末調整への組み込みは不要で、この切り分けを守れば処理に迷いません。
これで確認|2枚の源泉徴収票が正しいか見分ける方法
支払金額が重複していないかを最初に見る
2枚の源泉徴収票を並べたとき、まず確認すべきなのは支払金額です。
それぞれの金額が異なり、合計すると実際に受け取った給与総額と一致する場合は、**分けて発行されているだけで誤りではありません。**一方で、同じ金額が両方に記載されている場合は、二重計上の可能性があります。
摘要欄や支給内容で対象を切り分ける
源泉徴収票の摘要欄には、退職日や支給対象となる期間、調整外支給などが記載されることがあります。
ここに退職後支給や特別な支給内容が書かれていれば、甲欄と乙欄に分かれている理由が明確になります。
年間の受取額と感覚が合うかで最終確認する
2枚の合計金額が、その年に実際に受け取った給与の感覚と大きくずれていなければ、処理としては自然です。
逆に、合計しても多すぎる、または少なすぎる場合は、計上漏れや重複の可能性があるため、早めに会社へ確認したほうが安全です。
そのまま放置するとどうなる?よくある失敗パターン
乙欄分を確定申告しないまま終わると税額が確定しない
乙欄で源泉徴収された税金は、年末調整で精算されません。
このまま確定申告をしないと、本来合算すべき年間所得が未確定のままになり、払い過ぎた税金が戻らない、または不足分が後から指摘される状態になります。
乙欄を年末調整に入れてしまうと修正が必要になる
誤って乙欄の源泉徴収票を年末調整に含めると、税額計算が前提から崩れます。
この場合、年末調整のやり直しや修正申告が必要になり、会社側・本人側の双方に余計な手間が発生します。
後から気づくと手続きの負担が一気に増える
源泉徴収票の扱いを誤ったまま年度を越えると、確定申告や修正申告で過去分をさかのぼる必要が出てきます。
早い段階で甲欄と乙欄を切り分けておけば、余計な手続きや税務上の不安を避けられます。
会社・本人それぞれの正しい対処手順
会社側は「甲欄だけ処理して、乙欄は返す」で完了する
年末調整では、甲欄の源泉徴収票だけを使って計算を行います。
乙欄が付いた源泉徴収票は、年末調整に含めず、そのまま本人へ返却します。会社側で税額を調整し直したり、合算したりする必要はありません。乙欄は確定申告で精算する前提の給与として切り分けて扱います。
本人は乙欄分を確定申告で合算する
乙欄の源泉徴収票がある場合、甲欄分と乙欄分を合算して確定申告を行います。
年末調整で処理された甲欄分も含め、その年の給与所得をすべて申告することで税額が確定します。乙欄で多めに引かれていた税金があれば、この段階で還付されます。
再発行や修正が必要になるのは限られたケースだけ
2枚の源泉徴収票の金額が明確に重複している、合計しても実際の受取額と合わないといった場合は、会社へ確認します。
一方で、甲欄と乙欄に分かれている理由が説明でき、金額も整合しているなら、再発行や修正は不要です。そのまま年末調整と確定申告に進んで問題ありません。
まとめ
同じ会社から源泉徴収票が2枚出ていて、そのうち1枚が乙欄でも、処理の考え方は一貫しています。
年末調整に使えるのは甲欄のみで、乙欄分は確定申告で精算します。この役割分担を崩さないことが、最も安全で間違いのない対応です。
2枚になる背景には、退職後支給や締日・支給日のズレ、扶養控除等申告書の効力切れといった明確な理由があります。
支払金額が重複しておらず、合計が実際の受取額と一致していれば、2枚発行そのものは問題ではありません。
甲欄は年末調整、乙欄は確定申告。
この切り分けを守れば、税金の計算で迷うことも、後から修正に追われることも避けられます。


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