はじめに
本書の目的
この章では、本ドキュメント全体の目的と読み方をやさしく説明します。結婚を理由に退職する方が、再就職や転職の際に不利にならずに自分の事情を伝えられるように、履歴書や職務経歴書の書き方、面接での話し方、円満退職の方法を具体的にまとめます。
想定する読者
・結婚を機に退職した、またはする予定の方
・復職や転職を考えている方
・人事担当として扱い方を知りたい方（参考）
本書の構成と読み方
各章で実例と文例を示し、書き方や伝え方のコツを解説します。第2章は履歴書の記載方法、第3章は職務経歴書の表現、第4章は面接での伝え方と復職理由の整理、第5章は配偶者の転勤に伴うケース、第6章は円満退職の手続きと伝え方、第7章は「寿退社」という言葉の背景解説です。必要な章だけを読み返して実践してください。
心構え
結婚退職は特別な理由ではなく一般的な事情です。正直で前向きな表現を心がければ、採用側に理解されやすくなります。以降の章で具体的な例を挙げて丁寧に説明します。
結婚退職の履歴書への記載方法
はじめに
結婚を理由に退職した場合、履歴書には詳しい事情を書く必要はありません。一般的には簡潔で礼儀正しい表現を使います。
基本的な書き方
- 退職理由欄には「一身上の都合により退職」と記載します。自己都合退職として扱われ、人事担当者もこの表現を理解しています。
- 退職年月と勤務先名は正確に書きます。職種や担当業務は職務経歴書で詳述します。
具体例（例文）
- 退職理由：一身上の都合により退職
- 退職年月：2023年3月
備考と対策
面接で詳しく聞かれた場合は、簡潔に「結婚のため一時的に退職しましたが、現在は働く準備が整っています」と伝えると良いです。家族の事情や転居などが関係する場合は、正直に、かつ復職意欲を示す説明を用意してください。
職務経歴書での記載方法
基本の考え方
職務経歴書では履歴書より詳しく事情を書けます。退職理由は簡潔かつ前向きに記載します。たとえば「一身上の都合により退職」のほか、「結婚を機に退職」「結婚にともない転居したため退職」といった具体的な表現も許容されます。
書き方の例
-
短く中立に：
2018年4月〜2021年3月 ○○株式会社 営業
退職理由：結婚に伴う転居のため退職 -
活動を添える（ブランクを有意義に）：
退職後にWebデザイン講座を受講し、HTML/CSSの基礎を習得。副業で簡単なサイト制作を経験。
ブランク期間の説明方法
資格取得、オンライン講座、ボランティア、在宅での業務経験など、具体的な行動を記載すると評価されます。期間（何年何月〜何年何月）と内容、そこから得たスキルや成果を短くまとめてください。
注意点
個人的すぎる詳細は避け、事実を簡潔に。面接で深掘りされることを想定しておくと安心です。
職務経歴書は事実と前向きなアピールを両立させる場です。ブランクがあっても、行動を示せば有利になります。
面接での伝え方と復職理由の明確化
正直に伝える
結婚に伴う退職は隠さずに伝えます。理由を正直に話すことで面接官との信頼が築けます。ポイントは事実を簡潔に述べ、その後で復職の意欲を示すことです。
復職理由を明確にする
「なぜ今働きたいのか」をはっきりさせます。例：配偶者の転勤が落ち着いた、家庭の状況が安定した、子どもが保育園に入るなど。理由を具体的に伝えると納得感が高まります。
具体例と話し方
・配偶者の転勤：”転勤で退職しましたが、勤務地が定まり通勤可能になりました。御社で長く働きたいと考えています。”
・家庭の落ち着き：”家事の負担が軽くなり、仕事に集中できる環境が整いました。”
・子どもの保育園：”保育園が決まり、週5日で勤務可能です。”
簡潔で前向きな表現を心掛けます。
職場への意思表示と準備
長期勤続の意思や働ける時間帯、サポート体制を伝えます。ブランクを説明する際は、身に付けたスキルや資格、短期の経験を示すと安心感を与えます。
よくある懸念への対応
“すぐ辞めるのでは”という印象には、具体的な家庭の状況や将来の見通しを話して払拭します。面接の最後に応募先での貢献意欲を改めて伝えて締めくくりましょう。
配偶者の転勤に伴う退職の場合
概要
配偶者の転勤で転居が必須になる場合、退職理由として企業に伝わりやすいです。ここでは履歴書や面接での伝え方、退職時の注意点、代替案について具体的に説明します。
履歴書・職務経歴書での書き方例
- 短く事実を示します。「配偶者の転勤に伴い転居のため退職」など。余計な私情は書かない方が好まれます。
- 転職理由欄には復職意欲や貢献できる点を併記すると良いです。
面接での伝え方
- 正直に、簡潔に伝えます。例：「配偶者の転勤により20XX年X月に転居しました。現在は新しい勤務地で長く働きたいと考えています。」
- 仕事への意欲や通勤可否、勤務開始可能時期を明確に伝えます。
退職のタイミングと手続き
- 可能な限り引き継ぎを行い、退職日は双方で調整します。早めに上司と相談するとスムーズです。
- 企業によっては在籍証明や住民票の提示を求める場合があります。必要書類は事前に確認しましょう。
代替案や交渉ポイント
- 在宅勤務や社内の別支店への異動を希望する旨を伝える選択肢があります。
- 復職を考えている場合は、将来的な転居先での勤務意欲や条件を簡潔に示すと良いです。
伝える際の注意点（例文）
- 「配偶者の転勤に伴い、X年X月に転居するため退職いたしました。現在は新住所での勤務を希望しており、早期に貢献できる自信があります。」
- 誠実に、簡潔に、仕事への意欲を添えて伝えてください。
円満退職のための手続きと伝え方
退職意思は3か月前までに伝える
結婚で退職する場合は、少なくとも退職予定日の3か月前に上司へ意思を伝えます。早めに話すと業務調整や後任探しがスムーズになります。
上司への報告の順序と具体例
- まず面談の時間を取る（「お時間よろしいでしょうか」）。
- 結婚が決まったことと退職希望を伝える。例：「私事で恐縮ですが、このたび結婚することになり、退職を希望しております。退職日は◯月◯日を考えています。」
- 結婚式や引越し時期など、具体的なスケジュールを共有する。
引き止められたときの伝え方
退職を止められたら、追加の理由を伝えると納得されやすいです。例：配偶者の転勤の予定、家事や育児に専念する意向、通勤が困難になるため等。具体例を挙げて誠意を持って説明してください。
手続きと引継ぎ準備
退職願の提出、業務引継書の作成、後任への引継ぎ研修を計画します。業務リスト、進行中の案件、連絡先、重要なパスワード（社内規定に従う）を整理しましょう。休暇の消化や最終給与、社会保険の手続きも確認してください。
社内・同僚への伝え方と当日のマナー
直属の上司報告後に同僚へ伝えます。部署内での報告会やメールでの挨拶を用意し、感謝の言葉を添えましょう。退職日までプロとして責任を持って業務を遂行する姿勢が大切です。
退職後の連絡と関係維持
希望があれば個人連絡先を共有し、必要に応じて引継ぎ後の問い合わせに対応する旨を伝えます。円満に辞めることで、将来の再就職や紹介に良い影響を与えます。
「寿退社」という言葉の背景
意味と語感
「寿退社」とは、結婚をきっかけに退職することを指します。語感は祝福を含み女性の退職を前提にした言葉で、温かいニュアンスを持ちます。
歴史的背景
かつては結婚後に専業主婦になることが社会的に一般的でした。働く女性は結婚で退職することが自然視され、企業側や家族もその流れを受け入れていました。生活様式や性別役割の期待が強く影響しました。
現代の変化と現場での受け止め方
近年は共働きやキャリア志向の人が増え、結婚＝退職の図式は崩れています。職場や業界によって受け止め方は異なりますが、「寿退社」という言葉は時に古風で性別を固定化する印象を与えます。あらかじめ退職理由や今後の予定を整理しておくことが大切です。
求職・面接での扱い方（具体例）
履歴書や面接では率直に、かつ簡潔に伝えると好印象です。例：
– 履歴書：結婚に伴う退職（2019年4月）
– 面接：「結婚を機に家庭の準備を優先し一度退職しました。現在は状況が落ち着き、仕事を続けたいと考えています。」
言葉としての「寿退社」は理解されますが、中身を明確に伝えることが何より重要です。
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