離職票が届かないのは違法？理由と対処法を詳しく解説

はじめに

本調査の目的

本調査は、退職後に会社から離職票が届かない場合の法的な違法性と具体的な対処方法を分かりやすく解説することを目的とします。離職票は失業保険の申請に必須であり、届かないと手続きに支障が出ます。

離職票の重要性

離職票は、雇用保険に加入していた事実や離職の理由を示す公的な書類です。たとえば退職後にハローワークで失業給付を受ける際、離職票の提出が求められます。会社には発行義務があり、届かない場合は受給開始が遅れるリスクがあります。

本記事の構成と読み方

本記事は全7章で構成します。第2章で法的な扱い、第3章で会社の義務と期限、第4章で届かない主な理由、第5章で取るべき手順、第6章で受給への影響、第7章でまとめを示します。まずは離職票の重要性を理解してから読み進めてください。

離職票が届かないことは違法である

法律の根拠

会社が退職者から離職票の交付を求められたとき、それを正当な理由なく拒むことは違法です。雇用保険法（第76条第3項）および労働基準法（第22条）にその旨が定められています。

発行拒否が意味すること

離職票は失業保険の手続きに必要な公的書類です。会社が故意に発行を遅らせたり拒否したりすると、退職者が給付を受けられなくなります。例えば、会社の都合で手続きを放置する、金銭の未回収を理由に差し止める、といった行為は認められません。

刑事罰について

法律は違反に対して罰則を設けています。正当な理由なく離職票を発行しない場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。これは違法行為の抑止を目的としています。

実務上の注意点

書類不備や手続き上の一時的な遅れはあり得ますが、会社は速やかに対応する義務があります。受け取りが遅れていると感じたら、まずは会社に理由を確認してください。必要ならハローワークに相談することもできます。

会社の法的義務と期限

法的義務（概要）

企業は、退職者からの離職票交付請求に対して、退職日から10日以内に発行・交付する義務があります。これは退職者が失業給付を受けるために必要な手続きであり、会社の責務です。

期限の具体例

退職日が1日であれば、原則として11日までに離職票を発行します。企業は発行だけでなく、ハローワークへ必要書類を提出する期限も守る必要があります。期限は短いため、速やかな対応が求められます。

ハローワークへの提出と手続き

離職票のほか、賃金に関する書類などをまとめて提出します。書類不備があると手続きが止まり、退職者の給付開始が遅れます。企業は事前に必要書類を確認しておくと安心です。

罰則と企業のリスク

期限を過ぎると行政からの指導や罰則の対象になる可能性があります。行政処分以外にも、退職者への金銭的な損害が生じれば企業の信頼を損ない、訴訟になるおそれもあります。したがって、期限厳守が重要です。

退職者への影響と実務上の注意点

離職票が遅れると、失業給付の開始が遅れ、生活に直結する不利益が生じます。企業は交付請求を受けたら速やかに対応し、請求書の写しや送付記録を残すと後のトラブルを防げます。交付が難しい場合は早めにハローワークへ相談してください。

離職票が届かない3つの理由

1) 本人からの請求がない

会社は必ずしも自動で離職票を発行する義務を負うわけではありません。従業員が離職票の交付を希望する旨を伝えなければ、発行手続きが始まらないことがあります。例えば退職時に申し出を忘れた場合や、会社に口頭で伝えたが書面に残していない場合が該当します。請求方法は会社により異なるため、まずは書面やメールで正式に依頼するとよいです。

2) 会社が意図的に交付を拒否している

解雇や退職のトラブルで、会社が嫌がらせや報復の意図で離職票を渡さないケースがあります。この場合は交付の拒否自体が問題となる可能性があります。具体例として、退職理由をめぐる争いがある際に「渡さない」と言われることがあります。記録（メールやメモ）を残し、必要なら労働基準監督署やハローワークに相談してください。

3) 会社側の処理遅延

単純に事務処理が遅れていることも多い理由です。人事担当の引継ぎミスや、社会保険・雇用保険の手続きの理解不足で時間がかかる場合があります。ただし、離職後10日以内という実務上の目安を大幅に超える遅延は法的問題になる可能性があります。遅延が長引くときは催促し、それでも改善しない場合は公的機関に相談しましょう。

離職票が届かない場合の対処方法

段階的に進める基本方針

離職票が届かないときは、感情的にならず段階を踏んで対応します。まずは簡単な確認から始め、改善なければ正式な手続きを取ります。

1. 会社に確認・催促する

直属の上司や総務にまず口頭やメールで届いていない旨を伝えます。いつ誰が手続きをするかを具体的に聞き、記録を残してください。

2. 書面で正式に請求する

口頭で応じない場合は内容証明郵便や配達記録の付いた書留で請求します。請求書には届いていない事実と発行を求める旨、期日を明示します。

3. ハローワークに相談する

ハローワークは離職票に関する相談窓口です。状況を説明すると助言や手続きの代行方法を教えてくれます。

4. 労働基準監督署へ相談

会社の対応が悪質な場合は労働基準監督署に相談します。法令違反の可能性があると判断されれば調査や指導が入ります。

5. 弁護士に相談する

他の労働問題も絡む場合や金銭請求が必要なら弁護士に相談すると安心です。書類の作成や交渉を任せられます。

6. 証拠を保存する

電話・メール・訪問の日時、やり取りのコピーは必ず保管してください。後の相談や訴訟で重要になります。

失業保険受給への影響

離職票がないと申請できない

離職票は失業保険を申請する際に必須の書類です。手元に届かないと、ハローワークで受給手続きを始められません。例えば、会社の発行が遅れると申請自体が後ろにずれ込みます。

給付開始の遅れと生活への影響

離職票が遅れると給付開始も遅れます。給付が始まるまで収入が途絶えるため、生活費に影響します。家賃や公共料金の支払いがある場合は早めに備えを検討してください。

ハローワークの判断材料になる点

ハローワークは離職票の記載内容を基に、受給資格や給付日数を決めます。会社からの記載が不十分だと確認作業が増え、さらに時間がかかることがあります。

申請が遅れた場合の可能性と対応

離職票が遅れても、ハローワークが事情を確認できれば遡って給付が認められる場合があります。したがって、離職票が届かないときは早めにハローワークに相談し、給与明細や雇用契約書などの証拠を持参してください。

早めの行動が重要です

離職票が届かないときは、まず会社に発行を催促し、その記録（メールや書面）を残しましょう。同時にハローワークへ相談すれば、手続きの遅れや給付の扱いについて具体的な案内が得られます。

まとめ

ここまでの要点をわかりやすく整理します。

• 会社の義務：会社は離職後、原則10日以内に離職票を発行する義務があります。本人が請求すれば応じる必要があります。

• 離職票の重要性：離職票は失業保険を受給するために必須です。届かないまま放置すると受給開始が遅れます。

• 対処の優先順位：まずは会社に請求し、返答がない場合は書留で正式に催促してください。それでも解決しない場合は労働基準監督署へ相談し、必要に応じて弁護士に相談します。

• 実務的な注意点：請求ややり取りは日時・内容を記録し、書面や写しを保存してください。ハローワークに状況を伝えると、受給手続きの助言を受けられます。

迅速に対応すると不利益を避けやすくなります。まずは冷静に請求し、それでも進まないときは公的機関や専門家に相談してください。