はじめに
本記事の目的
本記事は、退職日が土曜日や日曜日にあたる場合の扱いをわかりやすく解説します。法的な観点、給与計算の考え方、社会保険手続き、そして有給休暇の取り扱いまで、日常で疑問になりやすい点を具体例を交えて説明します。
読者の想定
・退職を控えている方
・人事や総務の実務担当者
・退職手続きに不安を持つ家族や友人
専門用語は必要最小限にし、具体例で補足します。たとえば「退職日が日曜でも給与はどうなるのか」を、例を使って示しますので、法的知識がなくても理解できます。
本記事の流れ
第2章以降で順に扱います。第2章で退職日に平日・休日の区別が不要な理由を説明し、第3章で土日でも給与に影響がない点を例で示します。第4章では有給の取り方の注意点を、第5章と第6章で最終出社日や退職予告の計算を整理します。第7章で社会保険の手続き上の扱いを解説します。
まずは全体像をつかんでいただき、以降の章で必要な箇所だけ読み進めてください。
退職日に平日・休日の区別は不要
前提
退職日は、労働者と会社が合意した日付です。会社の休日カレンダーやその日の曜日に関係なく、希望する日を退職日として設定できます。社会保険や雇用契約上も、合意された日付を基準に扱います。
理由と扱い方
雇用関係は、当事者の合意で終了します。したがって、退職日が土日・祝日であっても、法的にその日を退職日とすることに問題はありません。年金・健康保険の資格喪失や雇用保険の手続きも、原則として事業主が届け出た退職日を基に進みます。
具体例
・退職日を7月31日(土)に設定した場合、手続き上は7月31日が退職日です。7月30日にはなりません。
・会社がその日を休業日でも、退職日を変更する必要はありません。
手続き上の注意点
退職日を決めたら書面やメールで会社に伝え、給与や有給の扱いを確認してください。最終出社日と退職日が異なる場合は、給与計算や保険の手続き方法を事前に確認すると安心です。
退職日が土日でも給与に影響はない
概要
退職日が土曜日や日曜日といった会社の休日であっても、基本的には給与に特別な影響はありません。雇用契約や就業規則で別段の定めがない限り、通常どおり最終給与が支払われます。
給与計算の扱い
給与は働いた日数や労働時間を基準に計算します。最終出社日と退職日が異なる場合でも、未払いの給与や手当は精算されます。例えば月末退職で最終出社が金曜、退職日が土曜でも、残業代や日割りの基本給は支給されます。
具体例
1) 月給制で3月31日(退職日が日曜)の場合、3月分の給与は通常どおり支払われます。2) 日給制で土日が退職日でも、実際に働いた日数に基づいて清算します。
注意点
有給や休日出勤手当の扱いは別です。未消化の有給は取得や賃金精算が必要になるため、事前に人事に確認してください。書面で退職日を確認するとトラブルを防げます。
有給休暇は労働日にのみ取得可能
概要
有給休暇は、会社で本来働くべき日に対して付与される休暇です。週休が土日になっている場合、その土日を有給にあてることは原則できません。退職前に有給を消化する際も、土日を除いた平日のみが対象です。
具体例
- 例1: 月末が土曜日で退職日が月末の場合。金曜日から有給を使いたいときは、金曜を有給扱いにできますが、土曜・日は会社の休日なので消化日には含めません。
- 例2: シフト制で土曜が勤務日の場合。会社がその日を労働日と定めていれば、土曜を有給にできます。
注意点と手続き
- 就業規則や出勤予定表で自分の労働日を確認してください。2. 有給の申請は会社が定める手続きに従って行います。3. 退職に伴う有給消化では、土日を含めて連続で休む場合でも、会社が出勤義務のある日だけが消化対象になります。
相談のポイント
不明点は人事・総務に相談しましょう。会社の規定や勤務形態で取り扱いが異なるため、申請前に確認すると安心です。
最終出社日と退職日が異なるパターン
概要
有給休暇を退職直前に消化すると、最終出社日(実際に出社する最後の日)と退職日(雇用関係が終わる日)が異なります。例として、12月15日を最終出社日とし12月16日〜31日を有給で消化し、12月31日が退職日になるパターンがあります。
土日が含まれる場合の扱い
有給消化期間に土日が含まれても問題ありません。ただし、有給として会社がカウントするのは、社員が本来働くはずの日、つまり平日です。週末は勤務予定がない日なら有給日数に含まれず、日数の計算に注意が必要です。
給与・手続きの注意点
有給期間中は通常どおり給与が支払われます。最終給与には未消化有給の買い取りや未払い残業の清算が含まれることがあります。月途中で退職する場合は日割り計算になることがあるので、給与担当と具体的な計算方法を確認してください。
実務上の流れ(例)
1) 退職届と有給消化の希望日を提出する
2) 最終出社日で引継ぎや備品の返却を行う
3) 有給期間について給与計算の確認をする
4) 退職日に書類手続きが完了する
備考
最終出社日と退職日を会社と文書で合意しておくと誤解が生じにくくなります。給与や保険の扱いは会社ごとに細部が異なるため、総務や給与担当に必ず確認してください。
退職予告期間の計算
法的な基本
正社員の場合、民法627条1項により、労働者は2週間前の予告で退職できます。これは暦日で14日間を数える考え方です。会社の就業規則や雇用契約でより長い予告期間が定められている場合は、その規定が優先します。
具体例(7月21日に退職願を提出した場合)
- 提出日:7月21日
- 最短退職日:7月21日から14日後の8月4日
この例では、土日や祝日を除外せずに日数を数えます。よって8月4日を退職日とすることが可能です。
計算のポイント
- 日数は暦日ベースで数えます。土日や祝日を飛ばさないでください。
- 提出日がカウントに含まれるかどうかは、会社との合意や慣行で異なります。安全を期すなら「翌日から14日後」を基準にしてください。
- 郵送やメールで申し出る場合は、会社に届いた日が基準になります。到達日を明確にしておきましょう。
注意点
- 会社が同意すれば、早めの退職日を設定できます。逆に就業規則で事前に長い予告を求める場合は、その規則に従う必要があります。
- 退職日や手続きで不安がある場合は、まず人事に相談してください。
社会保険手続き上の扱い
資格喪失日は退職日と一致します
退職日として会社に届け出た日付が、そのまま健康保険・厚生年金の資格喪失日になります。土日・祝日であっても区別せず扱いますので、届け出た日付を基準に手続きが進みます。
保険料の計算について
社会保険料は原則として月単位で計算されます。退職日が月末の土日であれば、当月分の保険料が徴収される扱いになります。日割りで自動的に減額されるわけではありませんので、最終給与明細で保険料の記載を確認してください。
会社と本人が行う手続き
会社は所定の様式で資格喪失届を年金事務所や協会けんぽへ提出します。従業員は健康保険証の返却や、退職後の保険の選択(任意継続加入・国民健康保険への加入・家族の被扶養者に入るなど)について市区町村や保険者に相談してください。
具体例
例:4月30日(土)を退職日に届け出た場合、資格喪失日は4月30日です。4月分の保険料は通常通り扱われます。届出の遅れがあると保険者の処理時点で扱いが変わることがあるため、会社に早めの手続きを依頼してください。


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