はじめに
うつ病で退職を考えると、不安や迷いが強くなりやすいです。まずは安全と健康を最優先にしてください。感情だけで決めず、医師や家族、信頼できる同僚と相談しながら、法律や手続きに沿って進めることが大切です。本章では基本的な心構えと、本記事全体の流れを簡単にご案内します。
大切にしたいこと
- 自分の体調を第一に考えること。無理を重ねないでください。
- 医師の意見や診断を受けること。診断書は後の手続きで役に立ちます。
- 会社の就業規則や雇用契約を確認すること。休職制度や退職の扱いが書かれています。
- 記録を残すこと。症状ややり取りの日付をメモしておくと安心です。
この記事で扱う内容
第2章 退職前に確認したいこと(給付、休職、診断書など)
第3章 一般的な退職の流れ(退職届、退職日、引き継ぎ)
第4章 伝え方と「うつ病」を言うかどうか(伝えるメリットと注意点)
第5章 即日退職・つらくて動けないときの対応(緊急時の選択肢)
第6章 退職後にやることの例(手続きや生活の準備)
読み進める際は、一度に全部読まずに必要な章を参照してください。今つらい場合は第5章を先にご覧いただくと役立ちます。
退職前に確認したいこと
診断と主治医への相談
まず心療内科・精神科で正式な診断を受け、現在の症状や治療計画を主治医と丁寧に話してください。医師と「今後どのように働けそうか」「復職見込み」「休職や通院しながらの勤務の可否」を具体的に相談します。診断書や意見書は手続きで役立ちます。
会社に相談できる内容と伝え方
会社には上司だけでなく人事や産業医にも相談できます。相談の際は「業務量の調整」「部署異動」「時短勤務」「休職制度の利用」など、具体案を示すと話が進みやすいです。電話より文書やメールで要点を残すと後で確認できます。
退職以外の選択肢を検討する方法
すぐ退職する前に、部署異動や業務内容の見直し、勤務日数の削減などを検討しましょう。たとえば在宅勤務や繁忙期のみの休暇設定など、会社と折衝して負担を減らす方法があります。主治医の意見を基に会社と交渉すると説得力が増します。
退職後の生活を支える制度(概要)
退職後に備えて、傷病手当金(健康保険からの給付)、失業給付(雇用保険)、障害年金や自治体の医療費助成などを大まかに確認してください。多くは医師の診断書や給付申請書が必要です。手続きを早めに調べ、窓口(保険組合、ハローワーク、年金事務所、自治体)に相談しましょう。
事前に準備する書類とタイミング
準備すると安心な書類は、診断書、医療の記録・領収書、給与明細、雇用契約書、就業規則、健康保険証などです。退職を決める前にこれらを揃え、相談先へ持参または提示できるようにします。
メンタル面での配慮
無理に決断せず、体調の波を優先してください。一人で抱えず家族や信頼できる人、専門窓口に相談しましょう。必要ならば退職の判断を一時保留にして、まずは休養期間を確保する選択も有効です。
一般的な退職の流れ
1. 主治医に相談する
まず主治医に退職のタイミングについて相談します。体調や治療計画を踏まえ、いつ頃なら退職しても負担が少ないか意見をもらいましょう。必要なら診断書や休職の診療情報を頼めます。
2. 直属の上司・人事に意思を伝える
退職を決めたら、直属の上司にまず口頭で伝えます。次に人事に必要な手続きやルールを確認します。例:退職の申し出は何日前までか、退職届の様式など。
3. 退職届の提出
会社のルールに従って退職届を提出します。書き方に迷ったら人事や労務担当に見本を聞きましょう。提出後も業務の引継ぎや最終出勤日の調整を行います。
4. 有給休暇の消化
有給が残っていれば、心身の休養のためにできるだけ消化することをおすすめします。例:最終月にまとめて休む、毎週1日ずつ休むなど会社と調整してください。
5. 引継ぎと手続き
業務の引継ぎメモを作成し、関係者に説明します。会社からは健康保険や年金、最終給与の案内が出ます。会社支給品の返却や退職証明書の受取りも忘れずに行ってください。
6. 小さな注意点
急に体調が悪化したら無理せず医師に相談し、上司や人事に状況を伝えましょう。必要なら退職日を調整したり、診断書を提出して配慮を求めてください。
伝え方と「うつ病」を言うかどうか
概要
退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。うつ病の診断があっても、必ずしも病名を詳細に伝える必要はないです。給付を受けたい場合は医師の診断書を用意し、「治療に専念するため」と伝えると手続きが進めやすくなります。
伝える相手とタイミング
まずは直属の上司に口頭で伝えます。感情が高ぶる場合は、落ち着いて話せる時間を取ってもらいましょう。人事(総務)には書面やメールで正式に提出します。休職や傷病手当金を検討するなら、退職前に人事と相談してください。
「うつ病」を言うかどうかの判断基準
- 公的給付(傷病手当金など)や労災を申請するなら診断書が必要です。医師の指示に従いましょう。
- 職場の理解を得たい場合は「体調不良」や「治療に専念するため」と伝えるだけで十分です。
- プライバシーを守りたい場合、詳細は限定した相手にのみ伝えます。
伝え方の例文
- 退職を伝えるとき:「私事で恐縮ですが、一身上の都合により退職させていただきます」
- 休職や給付を申請するとき:「治療に専念するため、休職(または退職)を希望します。診断書は用意できます」
プライバシーと配慮
診断書や病名の開示は本人の判断です。職場に説明する際は短い表現で十分伝わります。迷うときは医師、産業医、人事、労働組合などに相談してください。
即日退職・つらくて動けないとき
症状が重いと判断されたら
医師が「就労継続は危険」と診断すれば、診断書は退職や休職の強い根拠になります。まずは医師に現在の状況と希望(休職・退職・時期)を正直に伝え、診断書に就労不可や安静が必要といった記載を求めてください。
会社への連絡方法(自分で動けない場合)
- 家族や信頼できる人に同席してもらう。電話や面談で伝えてもらえます。
- 書面やメールでの連絡も有効です。診断書の写しを添えて送ると忘れにくくなります。
- 証拠を残したいときは内容証明郵便を検討してください。
退職代行サービスの利用を考えるとき
自分でやり取りが難しい場合、退職代行サービスを使う選択肢があります。手続きの代行や交渉を行いますが、費用や対応範囲を事前に確認してください。医療情報は原則不要で、診断書があるとスムーズです。
会社が応じない・不安がある場合
応じないときは労働相談窓口や医療機関、必要なら弁護士に相談してください。体調が最優先ですので、通院や投薬は中断しないでください。
すぐやることチェックリスト
- 診断書を取得し写しを保存
- 家族や信頼者に連絡して協力を得る
- 会社への連絡方法(電話/メール/郵送)を決める
- 退職代行を使う場合は業者を比較・契約
体が動かないときは無理をせず、周囲の助けを使って手続きを進めてください。
退職後にやることの例
保険・年金の切り替え
- 健康保険:勤務先の保険が使えなくなります。任意継続、国民健康保険、家族の扶養に入るなど選択肢があります。手続き先は市区町村か勤務先の保険組合です。早めに確認してください。
- 年金:厚生年金から国民年金への切替が必要になる場合があります。年金事務所や市区町村で手続きを行います。
給付の申請(失業給付・傷病手当金など)
- 失業給付:ハローワークで申請します。離職票や身分証明書が必要です。療養中で求職できない場合は注意が必要なので、まず相談してください。
- 傷病手当金:会社の健康保険で受けられる場合があります。医師の証明や診療記録を準備して、保険者に申請します。
治療と休養を優先する
- 主治医と相談し、治療計画と回復の目安を決めましょう。無理に再就職を急がず、体調を最優先にしてください。
再就職の時期・働き方の検討
- 再就職を考える際は、時短勤務、在宅勤務、障害者雇用などの選択肢を検討します。主治医と働ける時間や負担を確認し、ハローワークや支援機関に相談しましょう。
日常の手続きと備え
- 離職票や源泉徴収票の保管、住所変更届、口座・保険の名義変更などを済ませておきます。書類は控えを取っておくと安心です。
まずは治療と休養を優先しつつ、必要な手続きをひとつずつ進めてください。手続きや働き方について迷ったら、窓口や主治医に相談することをおすすめします。


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