はじめに
「就業規則には最低賃金について、どのように書けばいい?」
「最低賃金が改定されるたびに、就業規則も変更しないといけないの?」と迷っていませんか。
会社の就業規則を新しく作成したり見直したりするなかで、賃金に関する条文を確認しているものの、具体的な金額を書くべきか、最低賃金を下回らない旨だけを記載すればよいのか分からず、迷ってしまうことがありますよね。
この記事では、就業規則に最低賃金を記載するときの考え方やそのまま使える記載例、最低賃金が改定された場合に確認したいポイントまで、順を追って説明していきます。
就業規則に最低賃金を記載するときの基本的な考え方は?
就業規則に最低賃金について定める場合、「具体的な金額まで書くべき?」「最低賃金法に従うという書き方でもよい?」と迷うことがあります。
ここでは、それぞれの記載方法と改定時の注意点について順を追って説明します。
最低賃金額を具体的に記載する方法
就業規則に「1時間あたり1,100円」など、最低賃金額を具体的に記載する方法があります。
金額が明記されているため、就業規則を見れば適用する最低額を確認しやすくなります。
ただし、最低賃金が改定された場合は、記載した金額が新しい最低賃金を下回っていないか確認が必要です。
最低賃金法に連動する形で記載する方法
「賃金は最低賃金法に定める最低賃金額を下回らないものとする」など、具体的な金額を固定せず、法令に連動する形で記載する方法もあります。
この書き方であれば、最低賃金が改定されても、そのたびに金額を書き換える必要はありません。
ただし、実際に支払う賃金が、その時点の最低賃金以上になっているかは確認しましょう。
最低賃金額を固定すると改定時に見直しが必要になる
就業規則に最低賃金額を具体的な数字で記載している場合は、最低賃金が改定された際に内容を確認します。
新しい最低賃金が記載額を上回った場合は、古い金額をそのままにせず、就業規則の見直しを行いましょう。
改定後の金額だけでなく、適用される日もあわせて確認しておくと安心です。
就業規則の最低賃金の記載例
就業規則に最低賃金を定める場合は、実際にどのような文章で記載すればよいのか迷うことがあります。
ここでは、2つの記載例を確認したうえで、どちらの方法を選ぶべきか説明します。
最低賃金法に連動させる場合の記載例
最低賃金法に連動させる場合は、「従業員に支払う賃金は、最低賃金法に基づき適用される最低賃金額を下回らないものとする」と記載します。
具体的な金額を固定しないため、最低賃金が改定されても、その都度就業規則の金額を書き換える必要がありません。
具体的な最低賃金額を定める場合の記載例
具体的な金額を定める場合は、「従業員に支払う賃金は、1時間当たり○○円を下回らないものとする」と記載します。
就業規則を見れば最低額を確認しやすくなりますが、最低賃金が改定された際は、記載した金額が新しい最低賃金を下回っていないか確認しましょう。
具体額と法令連動型のどちらを使うべきか
最低賃金の改定ごとに就業規則を変更する手間を抑えたい場合は、法令に連動させる方法が使いやすいでしょう。
一方、就業規則だけで具体的な最低額を分かるようにしたい場合は、金額を明記する方法もあります。
どちらを選ぶ場合でも、実際の賃金が適用される最低賃金を下回らないよう確認することが大切です。
就業規則に記載する最低賃金を決めるときの注意点
就業規則に記載する最低賃金を決めるときは、単に地域の最低賃金額だけを確認すればよいとは限りません。
ここでは、適用される最低賃金の確認方法から、対象賃金の考え方、月給制の場合の確認方法まで順を追って説明します。
地域別最低賃金と特定最低賃金のどちらが適用されるか確認する
まずは、事業場がある都道府県の地域別最低賃金を確認します。
勤務する事業や職種が特定最低賃金の対象となる場合は、その金額も確認しておきましょう。
両方が適用される場合は、原則として金額が高いほうの最低賃金が適用されます。
特定最低賃金の対象になる業種や、地域別最低賃金との違いが分からない場合は、適用条件を確認しておきましょう。
▶地域別最低賃金と特定最低賃金の違いとは?適用されるケースを解説
最低賃金の対象になる賃金と対象外の手当を区別する
最低賃金と比較するときは、給与総額ではなく、最低賃金の対象となる賃金をもとに計算します。
臨時に支払われる賃金や賞与のほか、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは対象から除いて確認しましょう。
最低賃金の計算にどの手当を含めるのか迷う場合は、対象となる賃金の範囲を確認しておくと安心です。
▶最低賃金の計算に含まれる手当とは?対象外の賃金も解説
月給制でも時間額に換算して最低賃金以上か確認する
月給制の場合は、最低賃金の対象となる月給額を1か月平均所定労働時間で割り、時間額に換算して確認します。
たとえば、月給180,000円、1か月平均所定労働時間160時間なら、時間額は1,125円です。
この金額と適用される最低賃金を比較し、下回っていないか確認しましょう。
月給制で最低賃金を確認するときは、時間額への換算方法や計算例もあわせて確認しておきましょう。
▶月給制の最低賃金の計算方法は?時給への換算方法をわかりやすく解説
最低賃金が改定されたときは就業規則を変更する必要がある?
最低賃金が改定されたとき、「就業規則もその都度変更する必要がある?」と迷うことがあります。
ここでは、それぞれの場合の対応について説明します。
具体的な金額を記載している場合は規定を見直す
就業規則に「1時間当たり○○円」など具体的な金額を記載している場合は、最低賃金が改定された際に内容を確認します。
記載額が新しい最低賃金を下回る場合は、発効日に間に合うよう規定を見直し、改定後の金額以上になるよう対応しましょう。
法令連動型なら最低賃金改定のたびに金額を書き換える必要はない
「最低賃金法に基づき適用される最低賃金額を下回らないものとする」など、法令に連動する形で記載している場合は、改定のたびに金額を書き換える必要はありません。
ただし、実際に支払う賃金が、改定後の最低賃金を下回っていないか確認することは大切です。
業務改善助成金の事業場内最低賃金は通常の記載例と分けて考える
業務改善助成金に関して就業規則を整備するときは、通常の最低賃金に関する規定と同じ書き方でよいのか迷うことがあります。
ここでは、事業場内最低賃金を就業規則に記載するときのポイントを順に説明します。
事業場内最低賃金では具体的な金額と対象者を明確にする
業務改善助成金の事業場内最低賃金を就業規則に定める場合は、「1時間当たり○○円」のように具体的な金額を記載します。
あわせて、その金額が適用される労働者の範囲も明記し、金額と対象者を確認できるようにしておきましょう。
賃金引き上げ額と施行日が分かるように記載する
賃金を引き上げる場合は、引き上げ後の事業場内最低賃金額と施行日が分かるように記載します。
「事業場内最低賃金を1時間当たり○○円とし、令和○年○月○日から施行する」など、変更後の金額と適用開始日を明確にしておきましょう。
まとめ
就業規則に最低賃金を記載するときは、具体的な金額を明記する方法と、最低賃金法に連動させる方法があります。
金額を明記する場合は、最低賃金の改定に合わせて就業規則も見直しましょう。
また、地域別最低賃金や特定最低賃金の適用状況を確認し、月給制の場合も時間額に換算して最低賃金を下回っていないか確認することが大切です。
業務改善助成金を利用する場合は、事業場内最低賃金の金額や対象者、施行日も確認しながら、適切な内容に整えていきましょう。

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