労働基準法に基づく有給休暇の時間単位制度を詳しく解説

目次

はじめに

年次有給休暇の基本

年次有給休暇は、働いた日数に応じて労働者に与えられる休暇です。原則として「1日単位」で取得する仕組みが基本になります。一方で、労使で合意すれば一部を「時間単位」で取得できる制度(時間単位年休)があります。本稿では、その制度への導入や利用のイメージをやさしく説明します。

制度が生まれた背景と目的

短時間の通院や子どもの学校行事など、半日や数時間だけ職場を離れる必要がある場面が増えています。日単位だけでは調整が難しいため、業務と私生活の両立を支えるために時間単位の取得が認められました。働きやすさの向上や無給欠勤の減少が期待されます。

利用イメージ(具体例)

  • 午前中に病院を受診するため、2時間の年休を取得する
  • 子どもの参観日で3時間だけ休む
  • 通勤が遅れるため、始業から1時間だけ遅刻扱いで年休を使う

まず確認すべきこと

  • 会社に時間単位年休の取り扱いがあるか
  • 申請の方法や最小取得単位(例:1時間、30分など)
  • 年休全体の扱いに変更がないか(総日数が減らないか)

続く章で、制度の具体的なルールや注意点を分かりやすく説明します。

制度の概要

制度の狙い

年次有給休暇は本来1日単位で付与・取得されますが、労使協定を結ぶことで年5日を上限に時間単位で取得できるようになります。働き方に柔軟性を持たせ、短時間の私用や通院などに対応しやすくすることが狙いです。

対象と範囲

この制度で時間単位取得できるのは、あくまで年次有給休暇の一部です。全てを時間単位に切り替える必要はありません。対象となるのは年次有給休暇を付与されている従業員で、事業所ごとに労使で協定を結ぶ必要があります。

取得方法と手続き

まず使用者と労働者側で労使協定を作成・締結します。協定では時間単位取得の上限(日数換算で年5日まで)、1回あたりの最小時間単位、手続きの流れなどを定めます。従業員は所定の申請方法に従って取得を申請し、事業者は取得の記録を残します。

上限と注意点

時間で取得できるのは年間で年5日分が上限です。例えば1日の所定労働時間が8時間なら、1時間取得は年休の1/8に相当します。賃金の扱いは原則として年次有給休暇と同様に扱いますが、運用ルールは協定で明確にしてください。

具体例(イメージ)

・通院で午前中2時間だけ休む場合、時間単位で申請して消化できます。
・年度を通じて合計が年5日分(時間換算)を超えないよう管理します。

主なポイント(キーワードの観点)

年次有給休暇(原則)

年次有給休暇は日単位で付与・取得するのが原則です。付与日数や発生時期は勤続年数などで決まります。実務では「何日分あるか」と「いつまでに消化するか」を把握することが基本です。

時間単位年休(特例)

時間単位年休は、労使協定を結んだ事業場でのみ使えます。年5日分までを時間数に換算して取得できます。例えば所定労働時間が1日8時間の会社なら最大40時間まで時間単位で取れます。1時間単位や30分単位など、単位は協定で定めます。

労使協定の役割

時間単位年休の有無・使い方は協定と就業規則で決まります。協定で取得単位、申請方法、管理方法を明確にしてください。会社ごとに運用が異なるため、まず就業規則や協定書の確認が重要です。

実務上のポイント

  • 取得方法:従業員は所定の手続きで申請し、会社は記録を残します。
  • 記録管理:消化日数や残日数、時間数を正確に管理してください。
  • 給与計算:年休の時間分は原則給与控除しませんが、扱いは就業規則に従います。

注意点(従業員向け)

  • まず就業規則と労使協定を確認すること。
  • 申請単位や締切、承認フローが職場で違います。
  • 年5日分の上限を超える分は日単位での取得となります。

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