はじめに
この文書は、年の途中で退職や転職をした場合に知っておくと役立つ「源泉徴収票」について、基本的な知識と実務での扱い方をわかりやすくまとめたものです。
- 目的:年の途中で働き方が変わったときに、源泉徴収票がどの期間をカバーするか、いつもらえるか、どこへ提出するかを明確にします。
- 想定読者:会社を辞める人、転職する人、人事担当者、税務手続きを初めて行う人。
各章では具体例を交えながら、次の項目を順に説明します。
- 源泉徴収票の基本(対象期間は1月1日〜12月31日であること)
- 対象期間と年度途中の扱い
- 発行タイミングのルール
- 退職時の記載範囲
- 転職時の前職・現職それぞれの扱い
この第1章では全体の位置づけと読み進め方を示しました。以降の章で実務的な手続きや具体的な例を丁寧に解説しますので、順にお読みください。
源泉徴収票とは何か ― 年度ではなく「1月1日〜12月31日」の書類
概要
源泉徴収票は、その年の1月1日から12月31日までに支払われた給与や賞与、天引きされた所得税などを一覧にした公的書類です。会社が従業員に交付するもので、対象期間は暦年(カレンダー年)です。会社の会計年度(多くは4月〜翌3月)とは別に扱われます。
主な記載内容
- 支払金額:給与や賞与の合計
- 源泉徴収税額:天引きされた所得税の合計
- 社会保険料等の金額:本人負担分の健康保険・厚生年金など
- 各種控除額:基礎控除や配偶者控除など
- 支払者・受給者の情報:会社名や氏名
使いみち(具体例で説明)
- 年末調整:会社が税額を調整する際に使います。
- 確定申告:副収入がある場合や還付を受ける際に添付します。
- 証明書類:ローン審査や自治体手続きで収入証明として提出できます。
ポイント
源泉徴収票は「その年の暦年分」をまとめた書類です。会社の年度区切りに惑わされず、1月から12月の集計だと覚えておくと便利です。
源泉徴収票の「対象期間」― 年度途中でも1〜12月で区切られる
対象期間の基本
源泉徴収票に記載される「対象期間」は、その年の1月1日から12月31日までに“支払われた”給与・賞与です。会社の事業年度や会計処理の区切りに関係なく、税法では暦年(カレンダー年)で統一されています。例えば令和7年分の源泉徴収票には、2025年1月1日〜2025年12月31日に支払われた金額が載ります。
支払日が基準です
重要なのは「いつ支払われたか」です。給与が働いた月ではなく、実際に振り込まれた日や支給日が対象になります。たとえば12月の労働分でも支給が翌年1月に行われれば、その金額は翌年分の源泉徴収票に含まれます。
実務上の注意点(具体例)
- 年末に支払日が変わる場合:12月28日に支給が予定されていたが、振込が年明け1月4日になれば翌年分です。
- 賞与の扱い:賞与も支給日ベースで判定します。年末賞与が年内に支払われれば当年分、年明け支払いなら翌年分になります。
会社側と個人の確認ポイント
- 給与明細の支給日を確認する
- 年末調整や退職時の処理で支払日扱いがどうなっているかを確認する
誤解しやすい点は「働いた期間」ではなく「支払われた期間」が基準になることです。これを押さえておけば、源泉徴収票の見方がより明確になります。
源泉徴収票をもらえるタイミングの基本ルール
受け取るタイミングは大きく2パターン
源泉徴収票の発行・交付は主に次の2つの場面で行われます。①年末調整を受けた社員に対する年明けの交付、②年度途中で退職した人に対する退職時の交付です。日付の区切りはカレンダー年(1月1日〜12月31日)であることを前提に考えましょう。
1)年末調整後に受け取る場合
1年間ずっと在籍し、会社で年末調整が済んでいる場合は、通常は年末調整後に会社から源泉徴収票が渡されます。多くの企業は年末から翌年1月中旬頃に配布します。例:2024年分は2025年1月ごろ受け取るイメージです。
2)途中で退職した場合
退職した人には、その退職時点までの収入が記載された退職者用の源泉徴収票が発行されます。交付は最終給与明細と一緒にもらうか、後日郵送されるのが一般的です。法律上は退職後1か月以内に交付することが求められています。
受け取りが遅れる・紛失したとき
交付が遅れる、あるいは紛失した場合は勤務先の人事・総務に連絡してください。再発行を依頼できます。税務署に相談することも可能です。
年度途中で退職した場合の源泉徴収票 ― どこまでの期間が記載される?
記載される期間
年の途中で退職した場合、源泉徴収票にはその年の1月1日から退職日(実際に勤務が終わった日)までに支払われた給与・賞与・源泉徴収税額が記載されます。退職時にもらう源泉徴収票は年末調整前の概算額が載ることが多いです。
具体例
例えば9月に退職した場合、通常は1月から9月までに支払われた給与・賞与と源泉徴収税額が記載されます。10月〜12月分の支払いは、次の勤務先や別の支払者の源泉徴収票に反映されます。
受け取り時の注意点
- 最終給与の振込日が退職後にずれ込むと、その支払日が属する年の源泉徴収票に記載されることがあります。
- 退職時の源泉徴収票は年末調整が済んでいないため、税額が確定していません。必要なら確定申告で調整できます。
年末調整との関係
退職時にもらう源泉徴収票は年末調整前の扱いになります。翌年の確定申告で過不足を清算する場合があるので、大切に保管してください。
年度途中で転職した場合 ― 前職・現職それぞれの源泉徴収票の扱い
前職の源泉徴収票
退職した会社は、退職時点までの給与と所得税を記載した源泉徴収票を発行します。期間はその年の1月1日から退職日までです。受け取ったら保管してください。
転職先への提出
転職後はできるだけ早く前職の源泉徴収票を現職に提出します。現職は前職の金額を合算して年末調整を行うため、提出が遅れると年末調整で正しい控除や税額が反映されない場合があります。
現職での年末調整の流れ
現職は、前職の源泉徴収票に記載された給与・徴収税額を自社のものと合算して年末調整を行います。年末調整の結果は現職が発行する源泉徴収票に反映されます。
複数回転職した場合や源泉徴収票が間に合わない場合
前職が複数あるときはそれぞれの会社から源泉徴収票を受け取ります。もし提出が間に合わない、あるいは前職が発行できない場合は、自分で確定申告をすることで正しい税額の調整ができます。
具体例
例えば、1月〜7月にA社、8月〜12月にB社で働いた場合、A社は1月〜7月分の源泉徴収票を発行します。B社はA社分を合算して年末調整を行い、B社が最終的な源泉徴収票を発行します。


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