はじめに
この章では、本記事全体の目的と読み進め方をやさしくご説明します。アルバイトの採用時に「年金手帳」や「基礎年金番号通知書」が求められる場面に戸惑う人は多いです。本記事はそうした疑問を一つずつ解消することを目的としています。
対象は学生やフリーター、パートで働く方、また採用担当の方です。書類の意味や提出の必要性、2022年4月以降の制度変更（基礎年金番号の通知方法の変化）や、厚生年金への加入条件、紛失したときの手続きなど、実務で役立つ情報を中心に解説します。
各章は短く分かりやすくまとめています。まずは次章で「年金手帳とは何か」を確認してください。読みながら必要な手続きが分かるよう、具体例や簡単な手順も載せていきます。安心して読み進めてください。
年金手帳とは？バイトでも必要？
年金手帳とは
年金手帳は公的年金に加入したときに発行される書類で、基礎年金番号が記載されています。番号は生涯同じで、年金の記録管理や手続きで使います。文字通り “手帳” ですが、実務上は番号が重要です。
バイトでも必要か
アルバイトでも、雇用保険や社会保険（厚生年金）に関わる手続きがあると年金手帳や基礎年金番号が求められます。例えば、週の労働時間や賃金が一定以上なら厚生年金の加入対象となり、その際に番号の提示を求められます。
求められる場面の例
・雇用契約書の作成時
・社会保険加入手続き時
・給与や年金記録の照合が必要なとき
持っていない場合の対応
手帳を紛失したときは市区町村の年金窓口や年金機構で基礎年金番号の照会・再発行ができます。アルバイト先には番号が分かり次第提出すると伝えてください。
2022年4月以降の新制度と「基礎年金番号通知書」
概要
2022年4月1日から、年金手帳の新規発行が廃止され、新たに年金制度に加入する人には「基礎年金番号通知書（はがき）」が交付されます。従来の年金手帳を持つ人は引き続きその番号を使えます。
何が変わったのか
- 新規加入者は紙の手帳ではなく、番号が記載された通知書を受け取ります。
- 通知書には氏名と基礎年金番号が書かれており、採用時など身元確認で使えます。
既に年金手帳を持っている人へ
手帳はそのまま使えます。勤務先や役所で番号を伝える際、どちらでも問題ありません。
紛失した場合の手続き
紛失したら「基礎年金番号の通知書再交付」を市区町村窓口や年金事務所で申請します。本人確認書類が必要です。再発行には日数がかかるので早めに手続きを行ってください。
使うときの注意
基礎年金番号は個人情報です。不必要に他人に見せないようにし、雇用手続きの際は企業が求める範囲のみ提示してください。
アルバイト採用時に求められる書類一覧
アルバイト採用時に提出を求められる主な書類を、用途と注意点とともに分かりやすくまとめます。
年金手帳（または基礎年金番号通知書）
雇用保険・年金の手続きに使います。2022年以降は基礎年金番号通知書やマイナンバーカードで代用できる場合が増えています。持っていない場合は勤務先に相談してください。
マイナンバー（個人番号）
税・社会保険の手続きで必要です。個人番号カードがあれば身分証としても使えて便利です。番号通知カードや住民票の記載が指示されることがあります。
雇用保険被保険者証
前に雇われていて雇用保険に入っていた場合に提出します。初めて働く人は不要なことが多いです。
身分証明書
運転免許証、パスポート、在留カード、学生証などが使えます。原本を求められることが一般的です。
給与振込先口座情報
銀行名、支店名、口座番号、口座名義（フリガナ）を用意します。通帳やキャッシュカードの提示で確認する場合があります。
扶養控除等申告書・源泉徴収票
扶養に関する申告や、前職がある場合は源泉徴収票を提出します。税の扱いに関係しますので正確に記入してください。
※そのほか、職種によって資格証明書や健康診断書を求められることがあります。事前に採用担当に確認すると安心です。
アルバイトと年金制度の関係―国民年金と厚生年金
2階建てのしくみ
日本の年金は「国民年金（基礎年金）」と「厚生年金」の2階建てです。国民年金がすべての基礎となり、厚生年金は会社員など上乗せの役割を果たします。
バイトでも国民年金は原則必要です
20歳以上60歳未満の人は原則として国民年金に加入します。アルバイトで会社が厚生年金に加入させない場合は、自分で国民年金の保険料を納めます。学生であっても年齢条件に当てはまれば同様です。
一定条件でバイトも厚生年金に加入します
勤務時間や雇用形態が一定の条件を満たすと、パートやアルバイトでも厚生年金の加入対象になります。厚生年金の保険料は会社と本人で折半しますので、給与から天引きされます。
保険料の支払い方と困ったときの対応
厚生年金は給与天引き、国民年金は口座振替や窓口・コンビニで納付します。収入が少ないときは市区町村で保険料の免除や納付猶予の申請ができますので、早めに相談してください。
将来への影響
保険料を納めることで将来の老齢年金や障害年金、遺族年金の受給に影響します。未納期間があると受給額が減ったり受給資格に影響しますので、勤務先と手続きを確認してください。
パート・バイトが厚生年金に加入する条件
加入が義務になる基本ルール
雇用形態がパートやアルバイトでも、勤務時間・日数が正社員の4分の3以上であれば、事業主は厚生年金に加入させる義務があります。具体的には、正社員が週40時間なら、その4分の3である週30時間以上が目安です。
短時間労働者（短時間勤務者）の要件
以下のすべてを満たす短時間労働者も加入対象になります。
– 週の所定労働時間が20時間以上
– 賃金の月額が88,000円以上
– 勤務の見込みが2か月を超える
– 学生でない
これらを満たすと、事業主は厚生年金の手続きを行います。
2024年10月からの適用拡大
2024年10月以降は、従業員数が51人以上の事業所でも短時間労働者の加入対象となります。これにより、より多くのパート・アルバイトが厚生年金の対象になります。
例で確認
- 正社員40時間の会社で週30時間働くAさん→加入対象
- 週20時間で月給9万円、雇用見込み3か月のBさん（学生でない）→加入対象（事業所が51人以上の場合は特に該当する可能性が高い）
加入の確認方法と注意点
雇用契約書や給与明細で「社会保険」や「厚生年金」の記載を確認してください。加入・非加入について不明な点があれば、人事や総務に相談しましょう。学生は条件を満たしても対象外になる点に注意してください。
年金手帳（基礎年金番号通知書）が必要となる具体的な場面
採用手続き（アルバイト・パート開始時）
雇用契約を結ぶとき、勤務先が年金番号を確認することがあります。社会保険に加入するかの判定や給与計算のため、年金手帳や基礎年金番号通知書の提示を求められます。
社会保険（厚生年金・健康保険）や雇用保険の加入手続き
勤務時間や賃金が加入条件に当てはまる場合、会社は被保険者として手続きをします。その際、基礎年金番号が必要です。手続きは会社が行いますが、書類提出は労働者側の協力が必要です。
転職・再就職時の手続き
退職後に再就職するとき、前の加入履歴と結び付けるため基礎年金番号を使います。会社が過去の年金記録を確認するため、番号を伝えることがあります。
国民年金の納付確認や各種給付の申請
国民年金の未納確認や免除申請、将来の年金受給権を確認するときに番号が必要です。市区町村の窓口で手続きする場合、基礎年金番号の提示を求められることがあります。
アルバイト特有の場面
短時間や掛け持ちで働く場合、勤務先ごとに年金手続きの有無を判定します。社会保険に該当しない場合でも、給与支払いや記録のため番号提示を求められることがあります。
提示時のポイント
原本を持参できれば手続きがスムーズです。無い場合は基礎年金番号通知書や、市区町村での照会方法を案内されますので、早めに確認してください。
年金手帳がない・紛失した時の対応
まず確認してほしいこと
- 勤務先が預かっていないか確認してください。退職時に会社が保管している場合があります。
- 自宅の書類や卒業時にもらった封筒、以前の給与明細などを探してください。基礎年金番号が記載されていることがあります。
再発行の手順
- 年金手帳を見つけられない場合、最寄りの年金事務所（日本年金機構）で「基礎年金番号通知書」の再発行を申請します。
- 電話で相談窓口に連絡すると、必要な窓口や手続き方法を案内してくれます。窓口へ行けない場合は郵送で対応できることもあります。
準備する書類
- 本人確認書類（運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など）
- 再発行申請書（窓口で入手、または機構の案内に従い郵送）
注意点
- 再発行は原則無料です。
- 仕事開始時に年金番号が必要な場合は、勤務先に紛失を伝え、代替の本人確認書類で対応を相談してください。
- 個人情報を扱うので、基礎年金番号は必要以上に第三者に知らせないでください。
手続きはシンプルです。まずは落ち着いて職場や書類を確認し、見つからなければ年金事務所に連絡して案内に従ってください。
学生バイトや短期バイトの場合の注意点
概要
学生バイトや短期のアルバイトは、原則として厚生年金の対象にならないことが多いです。ただし、勤務時間や雇用の形態が一定の要件を満たすと、加入対象となる場合があります。20歳以上の学生は国民年金への加入義務がある点にも注意してください。
具体的な例と目安
- 週の労働時間や勤務日数が多く、正社員に近い働き方をしている場合は厚生年金に加入する可能性があります。例えば、長期間・定期的に週の労働時間が多いケースです。
- 短期や繁忙期だけの短時間勤務（例：数週間〜数か月の短期）は、一般に厚生年金の対象になりにくい傾向があります。
学生が取るべき対応
- 採用時に雇用契約の勤務時間や社会保険の適用について確認してください。
- 年金手帳または基礎年金番号通知書を求められたら速やかに提出しましょう。20歳以上なら国民年金の加入状況も確認してください。
- 給与明細で保険料の天引きがあるかを時々確認し、疑問があれば人事や雇い主に相談してください。
注意点
- 「短期だから大丈夫」と自己判断しないでください。勤務実態で判断されます。もし加入すべきなのに手続きがされていない場合は、市区町村の窓口や年金事務所に相談してください。
職歴詐称や手続き不備のリスク
なぜ発覚しやすいのか
アルバイトやパートの勤務歴は、年金手帳（基礎年金番号）や雇用保険の記録で確認できます。企業は採用時や社会保険の手続きでこれらの情報を照合するため、経歴の食い違いは見つかりやすいです。例：前職の雇用保険記録に勤務期間が残っている場合、面接での申告と合わないと判明します。
発覚した場合の影響
内定取り消しや解雇、信用の失墜などの不利益が生じます。賃金や保険給付に関する手続き不備が見つかると、過去の加入記録を訂正する必要があり、手続きが長引くことがあります。年金加入漏れがあれば将来の受給額にも影響します。
よくある手続き不備と対処法
- 年金番号の未提出：基礎年金番号通知書や本人確認書類を早めに提出する。
- 雇用保険の未登録：ハローワークに相談して記録を確認、必要な届出を行う。
- 給与明細や雇用契約書がない：過去の勤務先に再発行を依頼する。
日常でできる予防策
雇用契約書や給与明細、年金関係の書類は大切に保管してください。経歴に不安がある場合は、面接前に書類で確認して正直に伝えましょう。早めの対応がトラブルを小さくします。
よくあるQ&A
以下はアルバイトと年金手帳（基礎年金番号通知書）についてよくある質問とその答えです。
Q1: 年金手帳は本人が保管？会社が保管？
A: 原則として本人が保管します。採用時に一時的に会社が預かることはありますが、その場合は返却時期を確認し、預り証などをもらうと安心です。
Q2: 年金手帳がなくてもバイトできる？
A: バイト自体は可能です。ただし社会保険や雇用保険の手続きで基礎年金番号が必要になります。マイナンバーで代替できる場合もありますが、事前に確認してください。
Q3: 紛失したときはどうする？
A: 年金事務所に再発行や番号照会の手続きをしてください。本人確認書類が必要です。採用手続き中なら会社に相談して手続きの猶予を求めましょう。
Q4: 会社が番号を聞いてくるが不安です
A: 基礎年金番号は雇用や社会保険のために使います。提示に抵抗がある場合は利用目的を確認し、必要最小限の情報共有を求めてください。
Q5: 学生や短期バイトの注意点
A: 所得や勤務時間により社会保険加入の要否が変わります。短期でも手続きが発生することがあるため、雇用契約時に確認してください。
ご不明点があれば、具体的な状況（学生か、雇用期間、雇用形態など）を教えていただければ詳しくお答えします。
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