はじめに
背景
本調査は「年金手帳 通知」に関する制度改正と手続きの要点を分かりやすくまとめたものです。2022年4月から年金手帳の新規発行が廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が用いられるようになりました。これに伴い、申請や確認の方法にも変化があります。
本記事の目的
この章では、全体の見通しを示します。本記事は制度変更の概要、通知書の内容、年金申請に必要な書類、手続きの流れ、2025年の支給日、初回支給の注意点、手帳がない場合の対応までを順に解説します。
誰に向けているか
・これから年金を申請する方
・年金手帳を紛失した方
・制度変更を確認したい方
進め方について
各章で具体的な手順や書類の例を示します。実務で使えるよう、写真や実物がなくても分かるよう丁寧に説明します。次章からは「年金手帳は『基礎年金番号通知書』に変わります」について詳しく見ていきます。
年金手帳は『基礎年金番号通知書』に変わります
変更の概要
令和4年(2022年)4月から、年金手帳の新規発行が廃止されました。これまで20歳到達などで交付されていた年金手帳に代わり、新たに年金制度に加入する方や再発行を希望する方には「基礎年金番号通知書」が発行されます。
対象となる方
- 新たに年金制度に加入する方(例:20歳で初めて加入する場合)
- 年金手帳を紛失して再発行を希望する方
通知書の使い方
基礎年金番号通知書は、これまで年金手帳で管理していた番号などの情報を知らせる書類です。就職時の手続きや年金に関する各種申請で番号が必要な場面に使います。届いたら、原本を大切に保管してください。
身近な例
- 転職先で年金加入情報を確認するとき:通知書に記載の番号を伝えます。
- 年金に関する手続きを行うとき:書類の写しや番号を手元に用意すると手続きがスムーズです。
注意点
既に交付されている年金手帳をお持ちでも、新規発行は行われません。通知書が届いたら内容を確認し、紛失しないよう保管してください。必要な場面では通知書を使って手続きを進めてください。
基礎年金番号通知書について
概要
基礎年金番号通知書は、年金手帳に代わる書類で、基礎年金番号が記載されています。日本年金機構が年金制度に加入する際に交付します。年金の申請や手続きで、年金手帳の代わりに用います。
交付されるタイミング
主に初めて年金制度に加入するときや、手続き上の変更があったときに交付されます。例えば就職時に会社を通じて手続きが行われる場合や、市区町村で国民年金の加入手続きをしたときに届きます。
記載内容
通知書には基礎年金番号のほか、氏名や生年月日、交付日などが記載されることが一般的です。番号は年金の管理や申請で本人を特定するために使います。
申請での使い方
年金の受給申請や各種手続きでは、年金手帳の代わりにこの通知書を提示または提出します。窓口で番号を確認されることが多く、コピーを取られる場合もありますので原本を持参してください。
保管と紛失時の対応
大切な個人番号が記載されているため、通知書は安全に保管してください。紛失した場合は日本年金機構に連絡し、再発行方法を確認して手続きを行ってください。
年金申請手続きにおける必要書類
必要書類の一覧
- 年金請求書(所定の様式)
- 戸籍謄本または住民票(本人と受給対象者の続柄確認のため)
- 年金手帳または基礎年金番号通知書(基礎年金番号の確認)
- 本人名義の金融機関口座情報(通帳の写しやキャッシュカード)
- マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書と本人確認書類(運転免許証など)
各書類のポイント
- 年金請求書:所定の欄をもれなく記入してください。記入漏れは手続きの遅れにつながります。
- 戸籍謄本・住民票:氏名や続柄、生年月日が分かるものを用意します。住民票は現住所の確認に使います。
- 年金手帳・基礎年金番号通知書:番号が分かれば手続きがスムーズです。紛失時の対応は別章で説明します。
- 金融機関口座:本人名義であることが必要です。支店名、口座番号、口座名義(カナ)を正確に記載してください。
- マイナンバーと本人確認:本人確認書類は原本が必要な場合があります。事前に指定窓口に確認してください。
提出時期と注意点
受給開始年齢の誕生日前日以降に書類を提出します。期限に合わせて余裕をもって準備してください。書類は原本の提示を求められることが多いので、コピーと原本を両方用意すると安心です。
書類準備の流れ(例)
- 必要書類を一覧で確認する
- 本人確認書類とマイナンバーを用意する
- 金融機関の情報を正確に書く
- 提出窓口へ持参、または郵送の方法を確認する
不明点があれば、お住まいの年金窓口に相談してください。
手続きのタイムライン
概要
65歳の誕生日に向けた年金請求手続きは、届く書類と提出、決定通知、支払案内、実際の支給という流れで進みます。ここでは到着時期と注意点を順を追って説明します。
1 年金請求書の送付(約3か月前)
日本年金機構が受給開始年齢の約3か月前に年金請求書を送ります。届かない場合は住所変更の有無を確認し、早めに問い合わせてください。
2 年金請求書の提出(誕生日前日以降)
請求書は原則、受給開始年齢の誕生日前日以降に提出します。提出は郵送や年金事務所の窓口で行えます。本人確認書類や振込先口座情報など必要書類を同封してください。
3 年金証書・年金決定通知書の到着(提出後1〜2か月)
提出後、1〜2か月で年金証書や決定通知書が届きます。記載内容(受給開始月・年金額)を確認し、誤りがあればすぐに連絡してください。
4 お支払いのご案内(さらに1〜2か月)
決定の後、さらに1〜2か月で支払い開始の案内が届きます。初回振込日や振込口座が記載されますので保存してください。
5 支給開始と注意点
案内の後に年金支給が始まります。届出漏れや書類不備があると遅れることがありますので、書類は控えを保管し、期限内に提出しましょう。到着が遅い場合や不明点があれば、早めに日本年金機構へ問い合わせてください。
2025年の年金支給日
支給日の基本ルール
年金は原則として偶数月の15日に支給されます。15日が土日や祝日の場合は、その直前の平日に繰り上げて支給されます。
2025年の具体的な支給日
- 2月14日(金)
- 4月15日(火)
- 6月13日(金)
- 8月15日(金)
- 10月15日(水)
- 12月15日(月)
当日の注意点
支給日は金融機関の処理により着金の時間に差が出ます。通常は朝に振り込まれますが、銀行によっては反映が遅れることがあります。振込が確認できない場合は、まずご利用の銀行の入出金明細を確かめてください。それでも不明な場合は年金事務所や窓口へお問い合わせください。
口座・受取に関する確認例
- 振込先の口座番号に誤りがないか
- 口座が凍結されていないか
- 受給権利の変更届出が出ていないか
支給日はあらかじめ把握しておくと、生活設計が立てやすくなります。
初回支給のポイント
初回は支給日がずれることがある
初回支給に限り、手続きのタイミングによっては奇数月の15日に振り込まれる場合があります。通常の支給日と違うことがあるため、通知書の記載を必ずご確認ください。
支給の仕組み(かんたんに)
年金は原則として2ヶ月分をまとめて振り込みます。したがって「支給対象の月」と「振り込まれる月」がずれる点に注意が必要です。例:1月・2月分がまとめて振り込まれるのは3月というイメージです。
金融機関ごとの反映時間
金融機関によって口座への反映時間が異なります。ゆうちょ銀行では夕方になってから残高に反映されることもあります。振込当日は夕方まで確認するとよいでしょう。
実務的なチェックリスト
- 年金振込通知書や案内を確認する
- 口座情報に誤りがないか確認する
- 振込当日の夕方まで口座を確認する(ゆうちょなど)
- 反映されない場合は、翌営業日まで待ってから年金事務所または銀行へ問い合わせする
これらを押さえておくと、初回の受け取りで慌てずにすみます。
年金手帳がない場合の対応
対象者
2022年4月以降に初めて年金制度に加入した方は、従来の「年金手帳」を受け取っていません。その場合でも年金の申請や手続きは可能です。
年金申請時の対応
年金申請時には、年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」を提出します。基礎年金番号通知書があれば、年金記録の確認や申請に支障は出ません。例えば、Aさん(2023年加入)は年金手帳がありませんが、通知書を添えて申請できます。
年金手帳を紛失した場合
以前に年金手帳を受け取っていたが紛失した場合でも、再発行ではなく基礎年金番号通知書が交付されます。窓口で必要事項を申請すると、基礎年金番号が確認できる書面を受け取れます。
手続きの一般的な流れ(例)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)を用意する
- 年金事務所の窓口または問い合わせダイヤルで状況を説明する
- 必要な申請書に記入し、基礎年金番号通知書の交付を受ける
注意点
- 事前に電話予約や受付方法を確認するとスムーズです。省略できる情報は少なく、窓口での確認が必要な場合があります。
- 個人番号(マイナンバー)など機微な情報は、案内に従い安全に扱ってください。


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