労働基準法でわかる年間休日の基礎知識と重要ポイント

目次

はじめに

この記事の目的

本記事は、労働基準法に基づく「年間休日」の考え方と実務上の扱いを分かりやすく解説することを目的としています。特に「年間休日105日」という具体的な数字を軸に、法定休日と法定外休日の違い、最低ライン、業界ごとの実態、違反時のリスクなどを丁寧に説明します。

これから読む方へ

  • 経営者や人事担当者で、就業規則や休日設定を見直したい方
  • 労働時間や休日について知りたい労働者や転職希望者
  • 労働法の基本を実務に落とし込みたい方

具体例を交え、専門用語は最小限にして説明します。各章で「何を確認すればよいか」「会社として何を準備すべきか」を示しますので、実務にすぐ使える知識が得られます。

この記事の構成(全体像)

第2章以降で、法令上の定義、最低ライン、平均値や業界別実態、含まれる休日・含まれない休日、違反時の対応、設定と運用のポイント、よくある質問を順に解説します。

まずは第2章で、労働基準法が定める年間休日の基本から確認していきましょう。

労働基準法で定める年間休日とは

概要

年間休日とは、1年間に事業者が労働者に与える休日の合計日数です。法的に定められた「法定休日」と、会社が独自に定める「法定外休日(所定休日)」を合算して数えます。

法定休日(最低基準)

労働基準法第35条は、労働者に毎週少なくとも1回、または4週間に4回の休日を与えることを義務付けます。単純計算では年間で約52日が最低限必要です。

法定外休日(所定休日)

所定休日は会社がルールで決めた休日です。土日休み、祝日、年末年始、夏季休暇などが該当します。求人票の「年間休日120日」は、この所定休日と法定休日を合わせた数です。

数え方の例

・週休2日(土日)の場合:52週×2日=約104日(ここに祝日や長期休暇を加えると増えます)。
・交替制やシフト制では週単位での休日日数が変わるため、年間合計で計算します。

注意点

年次有給休暇(有給)は法律上の別制度で、通常の「年間休日」には含めません。求人票や就業規則でどう扱われているか必ず確認してください。

(まとめはこの章では不要)

年間休日の最低ラインは何日か

■ 要点
年間休日の最低基準は「105日」です。これは1日8時間、週40時間労働を前提に、週休2日(週5日勤務)で計算した場合に労働基準法に抵触しない目安です。

■ 算出方法(簡単な説明)
1年は365日。週5日勤務にすると、1年は52週×5日=260労働日になります。したがって、365日−260日=105日が年間休日の目安です。うるう年(366日)の場合は106日になります。

■ 具体例で見る影響
例えば年間休日が100日だと、労働日数は265日になり、1日8時間で計算すると265日×8時間=2,120時間/年です。一方、週40時間×52週=2,080時間/年ですから、年間で40時間超過します。超過分は時間外労働に当たり、割増賃金や労使の協定などが必要になります。

■ 例外・注意点
変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制などを採用している場合は、年間休日の目安が変わります。また、パート・アルバイトは労働時間の見込みで扱いが異なることがあります。年間休日が105日未満なら、就業規則や労務担当と照らして法的な調整が必要かを確認してください。

■ ひとことアドバイス
採用や就業規則で年間休日を決める際は、105日を基準に、それより少ない場合の労働時間管理や割増賃金の対応をあらかじめ検討すると安心です。

年間休日の平均・業界別の実態

平均値の目安

日本の企業で多く見られる年間休日は、企業や職種によって差がありますが、一般的には110日〜125日程度が多いです。目安として「年間休日120日以上」をホワイト企業の基準に挙げることが多く、週休2日制や祝日、夏季・年末年始休暇の有無で変動します。

業界別の実態(代表的な例)

  • 製造業:年間休日は110日前後が多く、交替勤務や繁忙期に左右されます。製造ラインの稼働状況で休日日数が変わります。
  • IT・ソフトウェア:115〜125日と幅があります。プロジェクト納期や残業の影響で実質的な休み方が異なります。
  • 金融・保険:120日前後の企業が多いですが、決算期など繁忙期の対応で変動します。
  • 小売・飲食・宿泊:90〜110日と少なめになりやすいです。土日祝の営業やシフト制が影響します。
  • 医療・介護:シフト制で年間休日は比較的少なめのことが多く、職種や施設によって大きく差があります。
  • 公務員・大手企業:125日以上のところもあり、祝日や夏季休暇がしっかり取れる場合が多いです。

日数が変わる主な理由

祝日の取り扱い、夏季や年末年始の有無、交代勤務の有無、繁忙期の対応、労使協定や就業規則などが影響します。業界の特性と企業文化を合わせて見てください。

転職・就職時のチェックポイント

年間休日だけで判断せず、就業規則の「年次有給休暇」「代休」「有休取得率」や実際の休める雰囲気を確認してください。企業の年間カレンダーや面接で具体的な休日日数と取得状況を尋ねると安心です。

年間休日に含まれるもの・含まれないもの

概要

年間休日とは、会社が年間の休みとして扱う日数のことです。ここでは「何が含まれるか」「何が含まれないか」を具体例を交えて分かりやすく説明します。

含まれるもの(例と説明)

  • 法定休日
  • 労働基準法で定める週1回以上の休日の考え方に基づく日です。多くの場合は日曜日や企業が定めた週休の一部が該当します。
  • 所定休日(会社が就業規則で定めた休日)
  • 就業規則や雇用契約で「土日休み」「毎週水曜休み」などと定めた日。年間休日の基礎になります。
  • 会社が定めた臨時休業・固定の休暇
  • 祝日を会社が休業日にしている場合、年末年始や夏季休暇など会社が全員に与える休みも含まれます。

例:週休2日制(土日休み)で祝日と年末年始を休む会社は、土日分+祝日分+年末年始の日数が年間休日に含まれます。

含まれないもの(例と説明)

  • 年次有給休暇
  • 有給休暇は従業員が自由に取得する権利です。会社があらかじめ決める「年間休日」には通常含めません。
  • 特別休暇(慶弔休暇など)
  • 結婚・弔事など個別事情で与える休暇は年間休日とは別に扱うのが一般的です。
  • 育児・介護休業や産前産後休業
  • 法律で保護される休業で、年間休日の計算には含めません。
  • 欠勤や遅刻・早退
  • これらは休暇とは別扱いで、年間休日にカウントしません。

注意点

就業規則や雇用契約で何を年間休日としているかが最終決定になります。求人や雇用条件では「年間休日120日」と表記していても、何が含まれているかを確認してください。例えば、祝日を休むかどうか、夏季や年末年始の日数を明示しているかで実質の休みは変わります。

年間休日が最低ラインを下回る場合

概要

年間休日が105日未満でも、所定労働時間が1日8時間未満で週40時間以内であれば直ちに違法とはなりません。問題になるのは、所定労働時間や実際の労働時間が法定基準を超えている場合です。

法律で押さえるべきポイント

  • 法定労働時間は原則「1日8時間、週40時間」です。これを超えると時間外労働の扱いになります。
  • 変形労働時間制を導入している場合、日や週の上限が柔軟に運用されますが、導入手続きや労使協定の要件を満たす必要があります。
  • 時間外労働をさせるには36協定が必要で、割増賃金の支払い義務が生じます。

具体例

  • 例1: 1日7時間、週40時間以内で働き、年間休日が100日でも直ちに違法ではありません。
  • 例2: 1日9時間、週45時間で働く場合、年間休日が少ないと労基法違反の可能性が高くなります(36協定や割増未払いが問題となる)。

事業主が取るべき対応

  • 所定労働時間を明確にし、就業規則や労働契約書に反映してください。
  • 変形労働時間制を検討する場合は手続きを整え、労働者に周知してください。
  • 時間外が発生するなら36協定を締結し、割増賃金を支払ってください。

労働者ができる対応

  • 労働契約やタイムカードで労働時間・休日の記録を確認・保存してください。
  • まずは会社に相談し、それでも改善しないときは労働基準監督署や労働組合に相談してください。
  • 証拠となる勤務記録ややり取りを残しておくと対応がスムーズになります。

注意点

有給休暇や慶弔休暇などは年間休日のカウントと区別されます。疑問があれば早めに専門窓口に相談してください。

労働基準法違反時のリスク

概要

年間休日が法定基準を下回るなど労働基準法に違反すると、労働基準監督署(以下、監督署)の指導や是正勧告が入ります。指導に従わない、悪質・継続的な違反があると刑事罰の対象になることがあります。

行政対応の流れと具体例

監督署はまず調査し、違反があれば書面で是正を求めます。指導に沿って改善計画を提出・実行することが一般的です。例えば、休日が法定日数未満の場合は、休日の追加や勤務表の見直しを求められます。

刑事罰と金銭的リスク

悪質な場合は、6か月以下の拘禁または30万円以下の罰金が科される可能性があります。また不足分の賃金や残業代の支払い、遡及しての未払い分請求が発生することがあります。

企業にとっての影響

法令違反は労使トラブル、社会的信用の低下、採用や取引先との関係悪化を招きます。長期的には業務継続に支障が出ることもあります。

対処法(早めの対応が重要)

違反を指摘されたらまず記録を整え、速やかに是正措置を実行してください。監督署とのやり取りは誠実に行い、必要なら社労士や労働問題に詳しい弁護士に相談すると安心です。職場内の勤務記録や就業規則を見直し、再発防止の仕組みを整えましょう。

年間休日の設定・運用のポイント

目的を明確にする

年間休日は労働者の健康管理とワークライフバランスを守るために設定します。採用や定着にも影響するため、企業方針として位置づけてください。

就業規則と雇用契約で明記すること

・年間休日数(例:年間120日)
・休日の扱い(週休、祝日、会社指定日)
・代休・振替休日のルール
・休日出勤時の割増や手続き
具体例を示すと誤解が減ります。

カレンダー管理と運用方法

年間の休日カレンダーを作成して全員に周知します。繁忙期は代替要員や交代制で調整してください。

有給との関係と注意点

年次有給は別枠で扱い、取得促進の仕組みを作ります。代休や振替と混同しないように運用ルールを統一してください。

見直しと労使コミュニケーション

定期的に運用実績を確認し、従業員の意見を取り入れて見直します。透明な説明と記録を心がけるとトラブルが減ります。

よくある質問

以下は企業と働く人によくある疑問とその答えです。分かりやすく短くまとめています。

Q1. 年間休日と有給休暇は別ですか?
A. はい。年間休日は会社が定めた休日の合計です。有給休暇は労働者が申請して取得する休暇で、付与日数や用途が異なります。表記やカウントは別になります。

Q2. 年間休日が105日未満でも違法にならないケースは?
A. 1日の所定労働時間が8時間未満で、週の労働時間が40時間以内であれば、必ずしも違法とはなりません。就業時間の設定によって必要な休日数は変わります。

Q3. 法定休日と所定休日の違いは?
A. 法定休日は労基法で定める週1日の休日のことです。所定休日は会社が就業規則で定める休日で、法定休日と重なる場合もあります。

Q4. 有給を年間休日に含めて書いてよい?
A. 原則として別に扱います。求人などで明示する場合は、どちらを含むかを明確にしてください。

Q5. 休日出勤の扱いは?
A. 振替休日を与えるか、割増賃金を支払う必要があります。会社と取り決めがある場合は就業規則を確認してください。

Q6. 年間休日が書かれていない場合はどうする?
A. 採用時や就業規則で確認してください。口頭だけで済ませず、書面で明示を求めると安心です。

まとめ

本書で触れた要点を、やさしく振り返ります。

  • 労働基準法は「週1回以上の休日」を義務づけます。年間では少なくとも52日以上が必要です。
  • 1日8時間・週40時間労働の標準的な場合、1年は365日で、年間の所定労働日数は約260日となります。よって年間休日の最低ラインは105日です(365日-260日=105日)。
  • 有給休暇や慶弔・育児などの特別休暇は、年間休日とは別扱いです。求人票や雇用契約では両者の違いを必ず確認してください。
  • 企業は業界特性や業務量に応じて休日数を決めますが、最低ラインは守らなければなりません。就業規則で明確にし、従業員に周知することが大切です。
  • 年間休日が基準を下回る疑いがある場合は、まず会社に相談し、改善されないときは最寄りの労働基準監督署に相談してください。

最後に、転職や採用の際は「年間休日」と「有給の付与条件」を両方確認すると安心です。自分と会社の働き方に合った休日制度かを基準に選んでください。

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