就業規則と義務の基本を詳しく解説する重要ポイント

目次

はじめに

目的

本調査は、企業が従業員と働くルールを明確にするために必要な「就業規則」について、作成・届出・周知の法的義務をわかりやすく整理したものです。実務でよくある疑問に丁寧に答え、適切な対応をとれるようにすることを目的とします。

対象読者

人事・総務担当者、経営者、労務担当の士業の方、これから就業規則を整えたい中小企業の方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例を交えて説明します。

本書の構成と読み方

全9章で構成します。第2章で就業規則の基本を確認し、第3章で義務が発生する企業の基準を示します。第4章は企業に課される3つの義務(作成・届出・周知)、第5章は違反時の罰則を扱います。第6章では必ず記載すべき事項を挙げ、第7章で実務的な作成・届出・周知の流れを解説します。第8章は従業員10人未満の企業の考え方、第9章はパワーハラスメント対策との関係を説明します。

読み進める際の注意点

本書は一般的な解説を目的としています。具体的な法的判断や重要な対応が必要な場合は、専門家に相談してください。

就業規則とは何か

定義

就業規則とは、企業が従業員に適用する労働条件や職場のルールを文書にまとめたものです。賃金の計算方法、勤務時間、休暇、退職手続き、懲戒のルールなど、働くうえで重要な事項を明確にします。

目的

従業員と企業の間で期待や義務をはっきりさせ、トラブルを防ぐことが目的です。たとえば、残業代の計算方法を示すと、後で誤解が生じにくくなります。

主な項目(具体例)

  • 賃金:支払い日、計算方法、手当の種類
  • 勤務時間:始業・終業、休憩、遅刻・早退の扱い
  • 休暇:有給休暇の取得方法、特別休暇
  • 退職・解雇:申し出期限や手続き、退職金の方針(ある場合)
  • 懲戒・服務規律:注意・減給の基準など

誰が作るか・変更のポイント

通常は会社側が作成しますが、従業員にとって分かりやすくすることが重要です。具体例やケーススタディを盛り込み、曖昧な表現を避けると運用が楽になります。変更する際は、影響を受ける従業員に説明する配慮が必要です。

就業規則が必須となる企業の基準

概要

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成が法律で義務付けられます。ここでいう「労働者」には正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトも含まれます。

判定の単位

判断は事業場ごとに行います。たとえば同じ会社でも、店舗ごとや工場ごとに従業員数が分かれていれば、それぞれ別の事業場として数えます。

人数の数え方(具体例)

  • 正社員5人、パート4人の店舗は合計9人で、法律上の作成義務はありません。
  • 正社員6人、アルバイト5人の事業場は合計11人で、就業規則の作成が必要です。
    契約形態や勤務日数ではなく、雇用契約に基づく労働者としてカウントします。

10人未満の事業場の扱いと実務上の注意

10人未満の事業場には作成義務がありませんが、就業ルールを文書化するとトラブルを防げます。例えば、休暇や賃金の取り扱いを明確にすると誤解が減り、採用や労務管理が楽になります。

企業に課せられる3つの義務

1 作成義務

労働基準法により、常時10人以上の労働者を使用する事業場は就業規則を作成する義務があります。パートやアルバイトも人数に含まれるため注意してください。就業規則は労働時間、賃金、休暇など基本的な労働条件を明確にするためのものです。

2 届出義務

就業規則を作成または変更した場合、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。書式は定められており、提出しないと行政から指導を受けることがあります。変更時は変更後の規則を速やかに届け出ましょう。

3 周知義務

作成・変更した就業規則は労働者に周知させる義務があります。周知方法には掲示(見やすい場所)、書面交付(入社時や変更時)、イントラネット掲載(全員が閲覧可能な設定)などがあります。実務上は書面交付に確認サインをもらう、掲示物の位置や更新日を明記するなどして周知の証拠を残すと安心です。

違反した場合の罰則

罰則の種類

就業規則の作成義務を怠ると、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金が科される可能性があります。例:労働者10人以上なのに就業規則がない場合、事業主が処罰対象になります。

周知・届出義務の違反

作成だけでなく、労働基準監督署への届出や従業員への周知を怠ることも違反です。届出を出していなかったり、変更を周知していなければ、同様に罰則が及ぶ場合があります。

刑事責任と企業リスク

違反は刑事罰につながり得ます。罰金だけでなく、企業の信頼低下や監督指導の強化といった実務的リスクが生じます。取引先や従業員との関係悪化に発展することもあります。

事例と対応策

事例:就業規則を社内イントラでのみ公開しており、紙面での周知がなく指摘を受けたケース。対応:速やかに書面での配布や説明会を行い、届出を行うことが有効です。日付や配布記録を残すことも大切です。

実務上の注意点

早めに就業規則を整備し、届出・周知の手続きを習慣化してください。労働基準監督署への相談や社会保険労務士への相談も有効です。

就業規則に記載すべき絶対的必要記載事項

はじめに

就業規則には法律で必ず記載すべき項目があります。これらは労働者の権利を守るために重要です。具体的に何をどう書くべきかを分かりやすく説明します。

1. 始業・終業の時刻

・出勤時刻と退勤時刻を明示します。例:始業9:00、終業18:00。変形労働制を採る場合はその運用方法も記載します。

2. 休憩時間

・日中の休憩の取り方を決めます。例:6時間超で45分、8時間以上で60分など。休憩の取り方(一斉・分割)も書きます。

3. 休日

・法定の休日と会社の所定休日(週休二日制の曜日など)を示します。休業日の扱いも明記してください。

4. 休暇

・年次有給休暇、育児・介護休暇、特別休暇などの付与条件と取得方法を示します。例:入社6か月後に10日付与など。

5. 賃金の決定・計算・支払い方法

・賃金の決定基準、計算方法(基本給+手当の内訳)、支払日、支払方法(振込など)を具体的に書きます。欠勤控除や割増賃金の計算も明記します。

6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

・自己都合・会社都合の扱い、退職手続き、解雇事由(懲戒解雇を含む)を明確にします。解雇理由は具体的に記載しておくと争いを避けやすいです。

書き方のポイント

・具体的で分かりやすく、運用と矛盾がないようにします。・変更時は労働者への説明と届出を忘れないでください。

就業規則の作成・届出・周知の実務的プロセス

案の作成

まず人事担当者や経営陣が現行の労働実態を整理し、就業規則の骨子を作ります。賃金、労働時間、休暇、懲戒など必須項目を含め、実務に即した表現で案をまとめます。具体例としては、始業・終業時刻の明記や遅刻・早退の取り扱いルールです。

意見聴取(労働組合・従業員代表)

従業員10人以上の事業場では、労働組合または従業員代表の意見を聴取します。聴取は面談や書面で行い、主な争点を記録します。意見が出た場合は理由を明らかにして対応案を検討します。

修正と確定

意見を踏まえて案を修正し、最終版を作成します。重要な変更点は条番号や改定日を明記してください。雇用契約書や労働条件通知書との整合性も確認します。

労働基準監督署への届出

最終版が確定したら、管轄の労働基準監督署へ届出を行います。届出書類は規則本文と届出書を揃え、事業所ごとに提出します。届出のコピーを社内で保管します。

周知方法

従業員への周知は複数手段を組み合わせるのが効果的です。具体的には掲示板への掲示、書面配布、イントラネット掲載、説明会の開催です。新規採用者には雇用時に必ず説明と配布を行います。

改定時の実務ポイント

改定理由と施行日を明示し、過去の版は保存してください。重大な不利益変更は個別同意が必要な場合があるため、労使で協議して進めます。

保存・記録

届出書の写し、意見聴取の記録、周知の証拠(配布リストや掲示写真)を保存しておくと、後のトラブル予防になります。

従業員10人未満の企業における就業規則の考え方

背景

従業員が10人未満の企業には、法律上の就業規則の作成義務はありません。ただし労働条件を明確にし、トラブルを防ぐために作成をおすすめします。簡単なルールでも実務上は大きな効果があります。

作成をすすめる理由(具体例で説明)

  • 労働条件の明確化:勤務時間・休憩・賃金の支払日・有給の取り扱いを文書化すると、誤解が減ります(例:月給・残業代の計算方法)。
  • トラブル防止:口頭の約束で揉めるより、書面で合意した方が解決が早くなります。
  • 将来の備え:従業員が増えた際に規則を整備しやすくなります。

簡易ルールの作り方

  • 必要最小限の項目に絞る(勤務時間、休憩、賃金、休暇、退職・解雇の扱い、懲戒の考え方)。
  • 難しい文言は避け、具体例を添える(例:遅刻の扱いは●回で注意、等)。
  • 雇用契約書や労働条件通知書と合わせて整備する。

運用と周知

  • 全員に説明し、書面で配布・保管します。説明は面談形式が分かりやすいです。
  • 変更があれば速やかに説明し、同意を得ておきます。

注意点

  • 作成義務が無くても、最低賃金や年次有給休暇などの労働基準法上の権利は適用されます。違反しない運用を心がけてください。

気軽に作れる簡易版の就業規則でも、職場の安心感はかなり高まります。まずは現場での困りごとを洗い出して、必要な項目から整えていきましょう。

パワーハラスメント対策との関連

はじめに

近年、パワーハラスメント対策は就業規則に明記することが求められています。目的は働きやすい職場づくりと従業員の保護です。

なぜ就業規則に必要か

就業規則に記載すると事業主の方針が明確になり、対応の一貫性が保てます。例えば「上司による侮辱的な発言」や「過度な長時間業務の強要」などを禁止すると、具体的な行為を減らせます。

記載すべき具体事項(例)

  • パワハラの定義と具体例:言葉の暴力、過度な業務命令、人格否定など。
  • 相談窓口:社内担当者名や外部相談先、連絡方法。
  • 調査と対応の流れ:申告→聞き取り→事実確認→必要措置(配置転換・懲戒など)。
  • 被害者保護:秘密保持、報復禁止、不利益取扱いの禁止。
  • 再発防止策:教育・研修、職場環境の見直し。

相談・調査の具体例

相談を受けたら速やかに聞き取りを行い、関係者から事情を聴取します。事実が確認できれば、加害者に対する指導や配置転換、場合によっては懲戒を行います。

実務上のポイント

  • 就業規則だけでなく、周知(説明会、ポスター、イントラ)を必ず行ってください。
  • 相談記録は書面で残し、時系列で管理すると後の対応が楽になります。
  • 小規模事業所は外部の専門家に相談すると負担が軽くなります。

以上を就業規則に反映させることで、職場の安全性が高まり、トラブルを早期に解決できます。

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