はじめに
本書の目的
本ドキュメントは、退職理由に「引っ越し」を記載する際の書き方を分かりやすくまとめます。履歴書や退職届での表現方法、記載時の注意点、「一身上の都合」との使い分け、やむを得ない事情としての伝え方、円満退職のためのポイントを扱います。具体例を交えて、誰でも使える言い回しを紹介します。
想定読者
転居や家族の都合で退職を検討している方、履歴書や退職届で適切に理由を伝えたい方、採用担当や上司に配慮した退職手続きを知りたい方を想定しています。
本書の構成
第2章以降で、履歴書に「引っ越し」を退職理由として書くことの可否、やむを得ない事情と個人的理由の区別、「一身上の都合」との使い分け、退職届での具体的な記載例、そして印象を良くする工夫を順に解説します。実際の文例を提示し、場面ごとに使い分ける方法を示します。
読み方のポイント
記載は正直かつ簡潔にすることを優先してください。詳細な事情は面談や退職手続きの場で説明できます。相手に配慮した言い方を心がけると、円満な退職につながりやすくなります。
履歴書に「引っ越し」を退職理由として書くのはOK
結論
履歴書に「引っ越しのため退社」「転居のため退職」と記載して問題ありません。明確に書くことで、退職がネガティブな事情ではなく、やむを得ない外的要因によるものだと伝えられます。
書き方のポイント
- 簡潔に事実だけを書く:長い説明は不要です。例:「転居のため退職」
- 嘘は避ける:面接でつじつまが合わなくなることを防げます。
- 必要なら補足を用意:面接で聞かれたら、時期や理由(配偶者の転勤など)を簡潔に説明します。
記載例(履歴書欄向け)
- 「転居のため退職」
- 「引越しに伴う退職」
- 「配偶者転勤による転居のため退職」
面接での対応
履歴書には短く書き、面接で詳しく聞かれたら正直に説明します。引っ越し後に就業可能であること、通勤や勤務形態に問題がないことを伝えると安心感を与えます。
注意点
詳細すぎる私的事情は書かない方が安全です。企業は事実確認と入社後の働き方を重視しますので、引っ越しが落ち着いていることを示す準備をしておくと良いです。
「やむを得ない理由」と「個人的な理由」の区別
概要
退職理由に「引っ越し」と書く場合、相手にとって納得できる「やむを得ない理由」か、自分の意思による「個人的理由」かを分けて考えます。記載可否は理由の性質で判断します。
やむを得ない理由に当たる例
- 配偶者の転勤で家族が全員移住する場合
- 親の介護や家族の転職に伴う転居が必要になった場合
これらはあなたの意思に関係なく転居が決まったため、履歴書や退職届に「引っ越し」と記載して差し支えありません。
個人的理由に当たる例
- 自分の都合で住まいや生活環境を変えるための引っ越し
- 上京や転居によるキャリアチェンジ目的の退職
これらは「やむを得ない」には該当しにくいため、理由として明記すると印象が分かれることがあります。
実務的アドバイス
- 相手が納得しやすい要点だけ簡潔に書くとよいです。例:「配偶者の転勤に伴う転居のため」。
- 個人的理由の場合は、説明を控えて「一身上の都合」などに留めても差し支えありません。面接で詳しく聞かれたら正直に説明してください。
「一身上の都合」との使い分け
概要
履歴書や退職届では、まず「一身上の都合により退職」と簡潔に書くのが基本です。特に自己都合退職では相手に余計な印象を与えず、形式的に済ませられます。
具体的な使い分け例
- 結婚・出産・育児:家庭の事情が明確なら「結婚のため」「育児のため」と具体的に書くと理解を得やすいです。
- 引っ越し:勤務地が変わる場合は「引越しのため」と書くと納得されやすいです。
- 体調や家族の介護:差し支えなければ「体調のため」「家族の介護のため」と記載します。
履歴書・退職届での表記例
- 履歴書(簡潔):「一身上の都合により退職」
- 履歴書(詳細):「結婚のため退職」や「引越しのため退職」
- 退職届:「一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。」
書き方のポイント
- 短く、事実に基づいて記載します。
- 面接で詳しく聞かれたら補足説明をする準備をします。
- 企業側に悪印象を与えない表現を選びます。
注意点
- 嘘や誤魔化しは避けてください。面接時に矛盾が生じると信頼を損ないます。
退職届での記載方法
段落構成
退職届は2〜3段落で簡潔にまとめます。第一段落で退職の意思と退職予定日を明記します。第二段落で退職理由(転居)を短く記載します。第三段落で現在の担当業務の引継ぎ方と協力の意思を示します。
宛先と日付
宛先は直属の上司の氏名を記載します。提出日を左上に、署名・捺印を右下に入れるのが一般的です。会社に様式がある場合はそれに従ってください。
記載すべき具体項目
- 退職予定日:具体的な年月日を明記します(例:〇年〇月〇日)。
- 退職理由:簡潔に「転居のため」と書き、必要なら口頭で詳細を補足します。
- 引継ぎ内容:担当プロジェクト名、現状の進捗、後任候補や引継ぎ期限、資料の保管場所を記します。
- 連絡先:引越し後に連絡が必要な場合のみ記載します。
書き方の注意点
感情的な表現は避け、礼儀正しく書きます。会社の就業規則や退職手続きの期日を確認し、退職日が規程に沿っているかを確認してください。必要な場合は上司と事前に相談して調整します。
提出後の進め方
退職届を提出したら、引継ぎ計画を具体化し、関係者とスケジュールを共有します。転居はやむを得ない事情で正当な理由と考えられるため、誠意ある対応を続ければ円満に退社できる可能性が高いです。
具体的な記載例
例文(退職届向け・フォーマル)
この度、[転居理由]により[転居先]へ転居することになり、[現在の居住地]での勤務を継続することが困難となりました。つきましては、誠に勝手ながら[退職日]をもって退職いたしたくお願い申し上げます。入社以来のご厚情に深く感謝申し上げます。
具体例(実際の記載)
この度、妻のポモナ大学博士課程への進学に伴いカリフォルニア州クレアモントへ引っ越すことになり、ニューヨークでの勤務を続けることができなくなりました。つきましては、[退職日]をもちまして退職いたしたくお願い申し上げます。
短めの表現(履歴書向け)
「引越しのため」「転居に伴うため」など簡潔に記載します。具体的な住所や私的事情は省略して問題ありません。
書き方のポイント
- 個人情報は最低限にする(具体的な新住所は不要)
- 感謝の一言と退職希望日を明確に書く
- 引継ぎや連絡先を添えると印象が良くなります
必要なら、用途別(公文書向け・口頭説明向け)の別例もご用意します。
ポジティブな印象を与える工夫
引っ越しを理由に退職する場合でも、伝え方次第で前向きな印象を与えられます。ここでは実践的な工夫を分かりやすく紹介します。
表現の工夫(文面)
- 短く明確に記載します。例:「転居のため退職」「配偶者の転勤に伴う転居のため」。過度な説明は不要です。
- 感謝と配慮を添えます。例:「在職中はお世話になりました。円滑に引き継ぎます」など、誠意を示します。
- ポジティブな要素を加えます。例:「培った経験を新しい職場で活かしたい」といった前向きな姿勢を示します。
面接での伝え方
- 理由は簡潔に述べ、詳細な私生活情報は控えます。
- 退職理由の後に必ず意欲や貢献意識を述べます。例:「転居に伴い退職しましたが、これまでの経験を生かして貢献したいです」
- 引き継ぎや退職時期について配慮を示すと信頼感が増します。
具体例(履歴書/面接)
- 履歴書:”転居のため退職(配偶者の転勤)”
- 面接:”家庭の事情で転居しましたが、前職で培った顧客対応力を御社で活かしたいと考え応募しました。”
注意点
- 住所や詳細な家族情報は記載しないでください。
- 会社への批判やネガティブな事情は避けます。
- 必要なら退職時の対応や引き継ぎの意思を具体的に伝え、誠実さを示してください。
まとめ
引っ越しを退職理由にする場合の要点を、分かりやすくまとめます。
-
やむを得ない事情は具体的に書く
配偶者の転勤、家族の介護、子どもの進学など事情が明確な場合は、履歴書や退職届に簡潔に書くと誠実さが伝わります。例:「配偶者の転勤に伴う引っ越しのため退職いたしました。」 -
個人的な引っ越しは「一身上の都合」で問題ない
プライベートな理由であれば詳しく触れず「一身上の都合」と記載して差し支えありません。無用な詮索を避けられます。 -
面接・退職時は簡潔かつ前向きに伝える
感謝の言葉と協力姿勢を示し、前職での経験や今後の意欲を強調すると良い印象になります。 -
正直さと配慮を忘れない
事実と異なる説明は避け、必要なら問い合わせに応じられる範囲で説明します。円満な退職と次の転職活動の成功を目指してください。


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