はじめに
退職届に記載する「退職日」は、読み手にも本人にも影響する重要な情報です。本記事は、特に「月末(末日)退職」と「月途中退職」の違いに焦点を当て、社会保険料の扱いや実務上の注意点を具体例でわかりやすく解説します。
この記事の目的
- 退職日と最終出勤日の違いを整理します。
- 退職届に「末日」と書いてよいかどうかを考えます。
- 月末にするか月途中にするかで生じる損得のポイントを示します。
想定する読者
- 退職を考えている会社員
- 人事に相談する前に基礎知識を知りたい方
本文では、専門用語をなるべく避け、具体例を交えて丁寧に説明します。書き方の注意点や手続きで慌てないための実務的なヒントも紹介しますので、どうぞ最後までお読みください。
退職届に書く「退職日」とは何か?最終出勤日との違い
定義と重要性
退職日とは、会社との雇用契約が正式に終了する日です。社会保険の資格喪失日や退職金、有給休暇の精算などの基準になります。人事や年金の手続きでは、この日をもとに計算します。
最終出勤日との違い(具体例付き)
最終出勤日は、実際に出社する最後の日です。たとえば、4月25日まで出社し、4月26日から5月10日まで有給を消化して5月11日が雇用終了日なら、最終出勤日は4月25日、退職日は5月11日になります。給与や有給の扱い、保険資格の喪失日は退職日で決まります。
退職届に書くべき日付
退職届には次の3つを明確に書くのが基本です。
– 提出日(退職届を出す日)
– 退職希望日(退職日)
– 最終出勤日(出社する最後の日)
会社の規則や就業規則に従い、所定の予告期間が必要か確認してください。
実務上の注意点
有給を使う場合や引き継ぎ期間を設ける場合、退職届の退職日と最終出勤日が異なることを必ず明記します。年金や健康保険の資格喪失日は退職日付近で変わるため、人事に確認すると安心です。
退職届に「末日」と書いてよい?書き方の考え方
なぜ「末日」は避けるべきか
「末日」は一見わかりやすい表現ですが、曖昧さが残ります。会計や給与、社会保険の処理は実際の日付で行われます。例えば「3月末日」と書いても、会社側が最終出勤日を3月30日と扱うのか3月31日と扱うのかで扱いが変わる可能性があります。退職金や有給の計算にも影響するため、トラブルの原因になりやすいです。
代わりに記載すべき表現(具体例)
- 推奨:2026年3月31日をもって退職いたします。というように年と月日まで明記します。具体的な日付は処理に余計な手間を生じさせません。
- 調整中の場合:〇年〇月末(最終出勤日確定次第、書面で連絡します)と補足を付けると実務上安心です。あらかじめ会社の同意を得ておきましょう。
就業規則や会社が「末日」を認める場合
就業規則で末日扱いが明記されているなら、会社ルールに従えます。ただし口頭だけで済ませず、書面で「末日扱いでよい」との確認を取ってください。給与や保険の計算基準がどうなるかも合わせて確認すると安心です。
実務上の一言アドバイス
最終的に具体的な年月日を書く習慣をつけてください。会社と合意がある場合は、確認書を残すと後々の誤解を防げます。
退職日を「月末(末日)」にするかどうかで何が変わる?
社会保険料の負担が大きく変わります
社会保険(健康保険・厚生年金)は、退職日の翌日が属する月を基準に資格喪失月が決まります。そのため、月末に退職すると退職月の保険料が満額発生し、会社と本人で折半して負担します。月の途中で退職すると資格喪失月が退職月となり、退職月分の保険料は発生しないケースが多いです。
給与の手取りへの影響
社会保険料は給料から天引きされます。月末退職だとその月の社員負担分が差し引かれ、手取りが減ります。月途中退職なら保険料の天引きがなくなるため、同じ月でも手取りが多くなる可能性があります。最終給与の支払い時に控除されるかどうかは会社の給与処理規程によります。
具体例で考える
例えば月の社会保険料合計が30,000円であれば、会社・本人で15,000円ずつ負担します。月末退職なら本人負担の15,000円が差し引かれるので手取りがその分減ります。月途中退職ならその月は差し引かれず、手元に残る金額が増えることになります。
実務上の注意点
・最終給与の支給日と保険料の控除タイミングは会社によって違います。必ず総務・給与担当に確認してください。
・退職後は国民健康保険への切替や年金の手続きが必要です。保険料負担の変化だけでなく、次の手続きも見越して退職日を決めると安心です。
いつ月末にするか迷ったら
経済的な余裕を優先するなら「月途中退職」を検討すると保険料で得する場合があります。手続きや最終給与の扱いを確認したうえで、会社と相談して決めてください。


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