退職時に有給消化できないのは違法?権利と対処法解説

目次

はじめに

目的

本資料は、退職時に有給休暇を消化できない場合の法的扱いを分かりやすくまとめることを目的としています。実務で起きやすい事例を想定して、どのような権利があるか、会社の対応が違法かどうか、取るべき対応などを順に解説します。

対象読者

会社を辞める予定の方、そのご家族、また人事や労務担当者など、有給休暇の扱いを知りたいすべての方に向けています。法律の専門家でなくても理解できるよう平易に説明します。

本資料の構成と進め方

第2章以降で「有給の権利」「会社の拒否が違法か」「対処法」「年5日の取得義務」「買取の可否」「不利益取り扱いの禁止」を順に解説します。各章で具体例と対応手順を示しますので、実際の場面で役立ててください。

注意点

個別の事情で扱いが変わることがあります。必要な場合は専門家に相談することをおすすめします。

退職時の有給消化は法的権利である

法的な根拠

退職時に有給休暇を使うことは、労働者の権利です。労働基準法第39条が根拠で、一定の要件を満たした労働者には有給休暇が付与されます。会社が一方的に「退職時は使えない」と決めることはできません。

取得要件

有給休暇は、原則として「入社後6ヶ月以上」で、期間中に出勤率が一定(一般に8割程度)を満たしていることが必要です。付与日数は勤続年数で増えていきます。これらの要件を満たしていれば、退職時であっても残日数を消化できます。

退職時の取り扱い

退職前に残っている有給を申請して消化することは認められます。会社は業務の都合を理由に時期の調整を求めることはできますが、正当な理由なく消化を拒むことは原則として認められません。

実務的な手続きと注意点

  • まずは書面やメールで有給取得の希望日を伝え、控えを残してください。
  • 引継ぎや業務調整は話し合いで決めます。無理な要求があれば記録を残しましょう。
  • 消化に関するトラブルは別章で対処法を詳しく説明します。必要なら労働基準監督署や労働相談窓口に相談してください。

会社による有給消化の拒否は違法

違法となる基本的な考え方

有給休暇は労働基準法に基づく労働者の権利です。会社が正当な理由なく取得を拒むことは違法になります。単に「繁忙期だから」「人手が足りないから」といった理由だけで拒否することは認められません。

会社側がよく挙げる理由と実際

例として「引継ぎが終わっていない」「業務に支障が出る」などがあります。これらは会社の事情であり、取得の度合いや時期調整は必要ですが、正当な根拠がないまま一方的に拒むことはできません。会社は時季変更権で時期を変更できますが、行使には合理的な理由と具体的な代替案が必要です。

退職直前の有給消化について

退職を理由に有給取得を希望する場合でも、原則として権利は消えません。特に退職直前の有給取得について、会社が一方的に時季変更権を行使して拒否することは認められない場合があります。退職までの期間や引継ぎの実情を踏まえて、会社は無理のない対応を検討する必要があります。

取得を理由とした不利益取扱いは厳禁

有給を取得したことで降格・減給・解雇など不利益な扱いをすることは違法です。もし不利益な扱いを受けた場合は、記録を残し、まずは社内の担当窓口に相談してください。必要であれば労働基準監督署など公的機関に相談することもできます。

有給消化できない場合の対処法

拒否理由をまず確認する

会社から断られたときは、理由をはっきり聞きましょう。例えば「業務が忙しい」「引き継ぎが終わっていない」といった説明があります。口頭だけでなくメールで確認すると後で証拠になります。

退職日の調整を検討する

退職日を少し延ばすことで有給を消化できることがあります。例えば退職を1週間先延ばしにして有給を使う方法です。会社と合意できるかを最初に相談してください。

分割取得を提案する

まとまった休みが難しければ、数日に分けて取る案を出しましょう。半日や数日ずつなら業務に与える影響を抑えられます。

上司・人事へ相談し記録を残す

上司や人事に正式に申し出て、やり取りはメールや書面で残します。例:「○月○日から有給を消化したいので承認をお願いします。」

労働基準監督署に相談する

自分の権利が守られていないと感じたら、最寄りの労働基準監督署へ相談できます。相談は無料で、必要書類(有給の申請記録、就業規則、退職届の控え)を持参するとスムーズです。

労働組合や弁護士にも相談を

会社と話が進まない場合、労働組合や労働問題に詳しい弁護士に相談すると解決の糸口が見えます。費用や手続きについて事前に確認してください。

記録を必ず残す

申請した日付、やり取りの内容、会社の回答を保存してください。後で権利を主張するときに重要な証拠になります。

年5日の取得義務と消化しない場合

年5日取得義務とは

年10日以上の有給が付与される労働者に対して、会社は年間で最低5日分の有給取得を確保する義務があります。これは労働者が健康や生活のために最低限の休暇を取れるようにするためです。会社は労働者と相談して日程を決めるか、労働者が取得しない場合は会社が時期を指定して取得させることができます。

具体例

たとえば、有給が年12日の社員がいるとします。会社はそのうち最低5日を取得させる義務があります。残りの7日は社員が自分で使うか保留するか選べます。社員が「取りたくない」と言って取得しない場合でも、会社は業務を調整して時期を指定することができます。

年5日を超える有給を消化しない場合の扱い

年5日を超える有給を消化しないのは、基本的に労働者の判断で問題ありません。会社が超過分の取得を強制したり、逆に取得を妨げたりすることは正当ではありません。会社は最低5日を確保する責任を果たせば、超過分の扱いは労使の合意に委ねられます。

会社が義務を果たさないときの対応

まず就業規則や有給の付与記録を確認し、会社に取得計画の提示を求めましょう。それでも改善がなければ、労働基準監督署に相談するか、労働組合や弁護士に相談してください。記録ややり取りを保存しておくと対応がスムーズです。

注意点

年5日の取得は法の最低基準です。会社が時期を指定する際は業務状況を踏まえて調整する義務があります。取得の扱いや不利益な取り扱いについて疑問があれば、早めに相談すると安心です。

有給休暇の買取について

概要

有給休暇の買取(買い取り)は原則として認められていません。ただし例外として、退職時に消化できなかった有給については金銭で補償することが違法ではありません。働いている間に自由に有給を取得できていたことが前提になります。

原則と例外

原則として企業は有給を現金で買い取れません。例外は退職時のみで、残日数を金銭で支払うことが認められる場合があります。この取り扱いがあるかは就業規則や労使協定で確認してください。

補償の計算例

一般的には「日割りの平均賃金×残日数」で計算します。例:日割りが1万5千円で残5日なら7万5千円を目安にします。正確な算出方法は就業規則や給与計算の基準に従います。

請求の手順

  1. 残日数を確認(年休管理表や給与明細)
  2. 会社に書面で請求する
  3. 交渉で合意できなければ労働基準監督署や弁護士に相談する

注意点

退職前に意図的に有給取得を妨げられていなかったか確認してください。買い取りが認められるのは退職時に限られるため、在職中に勝手に現金化を求めると却下されることがあります。就業規則や労使協定の文言を必ず確認しましょう。

不利益な取り扱いの禁止

■ 法律の趣旨
有給休暇を取得したことを理由に、会社が解雇・降格・減給・賞与不支給・不利な人事評価などをすることは原則として禁止されています。労働者が休暇を取る権利を実際に行使できるようにするためです。

■ 具体的な不利益の例
– 有給を取った直後に業務から外される
– 昇進や昇格で不利に扱われる
– ボーナスや手当の支給を減らされる
– 契約更新の拒否や雇止めをちらつかせる
これらは事実として不利益であることが明らかなら問題になります。

■ 最高裁判例の考え方
最高裁は「有給取得と不利益処分の因果関係があるか」「会社に正当な理由があるか」を個別に判断します。そのため不利益扱いが直ちに無効になるとは限りません。会社側の説明責任や合理性が重要になります。

■ 労働者が取るべき対応
– 有給申請や許可の記録を残す(メールや書面)
– 不利益な扱いがあれば日時・内容をメモする
– まずは上司や人事に事実確認を求める
– 労働組合、労基署、弁護士に相談する
場合によっては労働審判や訴訟で救済を求めることが可能です。

■ 実務的な注意点
会社は業務運営上の合理的理由を示せる場合があります。したがって、対応では証拠を整え、冷静に事実関係を示すことが重要です。早めに相談すると解決がスムーズになります。

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