はじめに
本調査の目的
本調査は、在職証明書の依頼に関する礼儀や具体的な手順を、わかりやすくまとめることを目的としています。依頼文の書き方やお礼の表現、発行時の注意点まで、実務で役立つ情報を丁寧に解説します。
誰に向けた記事か
在職中の方、退職後に書類を依頼する方、人事担当者や上司に依頼文を作成する必要がある方に向けています。初めて依頼する人でも実践できるように構成しました。
本書の構成(全章の概要)
第1章 はじめに(本章)
第2章 在職証明書とは何か
第3章 在職証明書が必要な場面
第4章 在職証明書と退職証明書の違い
第5章 依頼文の基本構成とお礼の表現方法
第6章 依頼時の注意点と発行義務
第7章 退職後の依頼方法
読み方のポイント
実例やテンプレートを後半に用意しています。まずは自分の状況に合う章から読み、具体的な文例を参考にしてください。必要な情報を整理してから依頼すると手続きがスムーズになります。
在職証明書とは何か
定義
在職証明書は、本人が会社に在籍している、または過去に在籍していたことを証明する書類です。法的に決まった名称や書式はなく、会社ごとに様式が異なります。
呼び方の違い
在籍証明書、就労証明書、勤務証明書などと呼ぶことがあります。呼び方が違っても、基本的な役割は同じです。
発行者
主に人事課や総務部が発行します。担当窓口や申請方法は会社の規程に従ってください。
記載される主な項目
雇用期間、勤務形態(正社員・契約社員など)、役職、勤務地、採用年月日、氏名、生年月日、住所、給与・年収(依頼により)などが一般的です。
具体例
「在職期間:2018年4月〜在職中」「役職:課長」「勤務形態:正社員」など短く明確に記載されます。
注意点
法的な統一様式はないため、必要な項目は依頼時に明確に伝えてください。個人情報の扱いには会社のルールがあります。
在職証明書が必要な場面
概要
在職証明書は、勤務先で在職中であることを会社が証明する書類です。賃貸契約、住宅ローン申請、転職、保育園入園、そして外資系企業への転職などで提出を求められます。転職の際は在職証明書か退職証明書のいずれかが必要になる場合があります。
主な提出場面と理由
- 賃貸契約: 家主や不動産会社が収入と勤務の継続性を確認します。滞納リスクを下げるためです。
- 住宅ローン申請: 金融機関が返済能力を審査します。勤務先の正式な証明が信用に繋がります。
- 転職: 新しい職場が現職の在籍や雇用形態を確認します。雇用条件の照合にも使います。
- 保育園入園: 保育料や優先度の判定で勤務状況を確認する自治体があります。
- 外資系企業: 採用時に雇用期間や役職を厳密に確認するため、英文の在職証明を求められることがあります。
転職時の注意点
在職中に依頼する場合、会社に知られたくないときは相談窓口や人事担当と事情を共有すると対応が柔軟になります。提出期限や必要な記載項目を事前に確認しておくとスムーズです。
早めの準備を
必要になる場面は多いため、発行方法や必要事項を早めに確認し、余裕を持って依頼してください。
在職証明書と退職証明書の違い
定義
- 在職証明書:現時点でその企業に在籍していることや職務内容、雇用形態を証明する書類です。主に在職中に発行します。
- 退職証明書:退職した事実を証明する書類で、退職の年月日や理由などが記載されます。退職後に発行します。
発行時期と用途
- 在職証明書は在籍確認が必要な場面で使います。例:住宅の審査、保育園の入園手続き、ローン申請など。
- 退職証明書は退職後の手続きで使います。例:転職先への提出、年金や保険の手続き、失業保険の申請など。
記載内容の違い(具体例)
- 在職証明書:氏名、在籍期間(在籍中は入社日)、所属部署、役職、勤務形態、給与(必要な場合)など。
- 退職証明書:氏名、在籍期間(入社日と退職日)、退職理由、最終の役職や職務内容など。
発行手続きと注意点
- 依頼先は人事・総務が一般的です。必要事項と提出先を明確に伝えます。
- 在職証明書は在籍が前提なので、退職後は発行できない旨を確認してください。
- 退職証明書は退職後に請求できます。理由の記載は会社の方針によるため、事前に確認します。
利用シーンの分かりやすい例
- 新居の審査で勤続を証明したい場合は在職証明書を用意します。
- 失業手当を受ける際や年金の手続きでは退職証明書が必要になります。
以上の点で、目的とタイミングに応じてどちらの書類が必要か判断してください。
依頼文の基本構成とお礼の表現方法
在職証明書の依頼文は、相手にわかりやすく失礼のない構成にすることが大切です。ここでは順序ごとに具体例を交えて説明します。
基本の構成
- 時候の挨拶:簡潔で丁寧に。例「拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」
- 氏名の名乗り:自分の名前と所属を明記します。例「○○部の山田太郎と申します。」
- 日頃のお礼:一言で感謝を伝えます。例「公私にわたりお世話になりましたことを厚く御礼申し上げます。」
- 依頼の要点:何を、いつまでに、どのように受け取りたいかを明記します。必要な記載事項(在職期間、役職、用途、提出期限、送付先、連絡先)を列挙してください。
- 結びの挨拶と署名:丁寧な結びと連絡先を添えます。
お礼の表現例
- フォーマル:「公私にわたりお世話になりましたことを厚く御礼申し上げます。」
- シンプル:「これまでご指導いただき、ありがとうございました。」
- 一言添える例:「つきましては何卒よろしくお願い申し上げます。」
具体的な依頼文(例)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
私、○○部の山田太郎と申します。これまでご指導いただき、誠にありがとうございました。
誠に恐れ入りますが、下記内容で在職証明書の発行をお願い申し上げます。
・氏名:山田太郎
・在職期間:2018年4月〜2025年3月
・用途:住宅ローンの申請のため
・希望納期:2025年12月10日
送付先・連絡先:〒000-0000 電話:090-xxxx-xxxx
お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
上記の流れを守れば、相手に迷惑をかけずスムーズに発行を依頼できます。必要な情報を漏らさないことが大切です。
依頼時の注意点と発行義務
発行義務の有無
従業員が在職証明書の発行理由を伝える義務はありません。会社側にも法的な一律の発行義務はないため、企業によって対応は異なります。とはいえ、一般的には実務上対応することが多いです。
依頼時に伝えると良い情報
依頼をスムーズにするために、次の点を添えると親切です。必須ではありませんが対応が早くなります。
– 氏名・社員番号
– 在職期間(例:2018年4月〜現在)
– 所属部署・役職
– 証明書の用途(任意。例えば銀行提出など)
– 希望する発行日や提出期限
– 連絡先(メール・内線)
例:「○月○日までに銀行へ提出するため、在職証明書の発行をお願いできますでしょうか。必要な情報があればお知らせください。」など丁寧に依頼します。
自作の証明書について
従業員が自分で作成した書類は、会社の押印や担当者の署名がなければ正式な証明として認められないことが多いです。押印や会社名の記載があるものを求められる場面が多いため、自己作成は避けた方が安全です。
トラブルを避けるための注意点
- 期限に余裕をもって依頼する。数日〜数週間の余裕を見てください。
- 社内ルールを確認する(人事窓口や社内規程)。
- 担当者が不明なときは上司や人事に相談する。
- 個人情報の取り扱いに配慮する(不要な情報は書かない)。
円滑な手続きのために、丁寧な依頼と必要情報の提示を心がけるとよいです。
退職後の依頼方法
概要
退職後に在職証明書を依頼する場合、依頼文の構成は在職中とほぼ同じです。ただしより丁寧な表現と感謝の言葉を添えると印象が良くなります。保育士など職種によっては原本提出が原則のことが多い点に注意してください。
依頼文のポイント
- 依頼の冒頭で自分の氏名と在籍期間、退職日を明記します。
- 在職中のお礼を一言添えます。例:「在職中は大変お世話になりました」
- 使用目的(例:転職先への提出、資格申請)と希望する書式(原本またはコピー)を伝えます。
- 返送先住所、連絡先、希望期限を明記します。
添付物と送付方法
- 返信用封筒(切手貼付・宛名記入)やメールアドレスを同封すると受け取りがスムーズです。
- 身分証のコピーを求められることがありますので、事前に確認してください。
保育士の場合の注意
保育士は原本の提出を求められることが多いです。コピーでは受理されない職場があるため、原本での発行を依頼し、返送方法を明確にします。
依頼後の対応
依頼後1週間ほどして連絡がなければ、電話で丁寧に確認します。記録を残すために、やりとりはメールか文書で行うと安心です。
例文(簡潔)
拝啓 お世話になっております。元〇〇課の山田太郎と申します。在籍期間は20XX年X月〜20XX年X月です。転職手続きのため在職証明書(原本)を1通ご発行いただけますと幸いです。返送先は〒XXX-XXXX 住所、連絡先:090-XXXX-XXXX、希望期限:20XX年X月X日。何卒よろしくお願い申し上げます。


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