はじめに
概要
この文書は、年の途中での源泉徴収票の発行について、従業員・退職者・人事担当者が知りたい情報を分かりやすく整理したものです。源泉徴収票の役割や、いつ・どのように発行されるかを丁寧に解説します。
読者対象
- 退職・転職を考えている従業員
- 年の途中で給与に疑問がある方
- 人事・総務担当者で実務を担当する方
本章の目的
本章では、本書全体の狙いと読み方を示します。以降の章で扱う具体的なルールや実務手順を、どの順で読めばよいかを案内します。たとえば、退職時の発行義務をまず確認したい場合や、会社側の手続きを先に知りたい場合の読み方を提示します。
読み進め方のヒント
まずは第2章で源泉徴収票の基本を押さしてください。その後、状況別(年末・年の途中・依頼時)の章を順に読むと理解しやすくなります。実務担当者は第7章を最後に読むと実務フローの全体像がつかめます。
源泉徴収票とは?年の途中でも必要になる重要書類
源泉徴収票は、その年に支払われた給与や賞与の総額と、給与から差し引かれた所得税(源泉所得税)を一枚にまとめた書類です。年末調整後に最終的な税額が反映され、所得の証明として使えます。
対象期間
原則としてその年の1月1日から12月31日までに支払われた給与・賞与が対象です。年の途中で退職した場合は、退職日までに支払われた金額が記載されます。
主な利用場面
- 年末調整での確認
- 自分で確定申告をする際の証明
- 転職先での年末調整に前職分を伝えるため
- 住宅ローンや保育園申し込みなど、収入証明が必要な手続き
年の途中で必要になるケース(具体例)
例:6月に退職し8月に転職した場合、新しい会社が年末調整で前職の支払額を確認するため源泉徴収票が必要です。別の例として、退職後すぐに住宅ローンを申し込む際にも在職時の収入証明として求められます。
受け取り方と注意点
通常は年末に全社員へ配布されますが、退職時には請求すると発行してもらえます。手元にない場合は、まず前職の人事・給与担当に連絡してください。書類は原本が望ましく、紛失した場合は再発行を依頼しましょう。
源泉徴収票はいつ発行される?基本の3パターン
源泉徴収票の交付タイミングは大きく3つに分かれます。以下でそれぞれわかりやすく説明します。
1. 年末調整を行った後(年末〜翌年1月)
会社が年末調整を行った後に、その年の給与や税額をまとめた源泉徴収票を交付します。年末調整は通常12月に行い、交付は翌年1月ごろに行われることが多いです。たとえば12月末まで在籍していた場合、翌年初めに前年分の源泉徴収票を受け取ります。
2. 年の途中で退職したとき
年の途中で退職した場合、退職時にその年に支払われた給与をもとに源泉徴収票を交付するのが一般的です。6月に退職したら6月までの給与と税額が記載された源泉徴収票を受け取ります。退職後に必要になった場合は、会社に再発行を依頼できます。
3. 従業員から発行を依頼されたとき
住宅ローンの手続きや転職先での年末調整など、従業員が必要とすれば会社に発行を依頼できます。会社は依頼に応じて発行するのが原則です。内容に誤りがあると感じたら、訂正や再発行を申し出てください。
年末分の源泉徴収票の発行期限と実務上のタイミング
概要
年末分の源泉徴収票は、その年の給与について支払者が作成し、翌年1月31日までに税務署へ1通を提出し、もう1通を従業員に交付する義務があります。ここでは法律上の期限と、実務でよくあるタイミングを分かりやすく説明します。
法的な期限(原則)
- 作成者:その年の給与支払者(会社など)が作成します。
- 提出先と期限:税務署へは翌年1月31日までに1通を提出します。
- 従業員への交付:従業員にも同じく翌年1月31日までに交付する必要があります。
実務上のタイミング(一般的な流れ)
多くの会社は年末調整を12月から翌年1月にかけて行います。年末調整の結果を反映して源泉徴収票を作成するため、交付は次のようになることが多いです。
– 12月末:年内に年末調整を終えられる従業員には12月末に交付
– 1月上旬〜中旬:実務処理や集計の関係で1月に交付する会社が多い
実務では、年末調整の追加処理や修正が生じることもあります。正しい金額を記載するため、ぎりぎりの集計が終わってから交付するケースが多いです。
発行方法と注意点
- 交付方法:手渡し、郵送、電子交付(社員の同意が必要)などがあります。
- 訂正がある場合:訂正が発生したら、正しい内容で再交付します。税務署への提出も修正して対応します。
年の途中での発行と関連性
年末分の発行ルールを踏まえると、年の途中で源泉徴収票が発行される主なケースは退職時や従業員からの依頼時です。これらは別章で詳しく扱います。
年の途中で退職した場合の源泉徴収票発行ルール
法律上の期限と会社の義務
従業員が年の途中で退職した場合、会社は退職日から1か月以内に源泉徴収票を作成し、同じ内容で税務署へ提出するとともに本人にも交付する義務があります。年の途中で退職したからといって発行されないということはありません。
誰に発行されるか(アルバイト・派遣も含む)
正社員だけでなく、アルバイト・パート・派遣社員にも原則として発行義務があります。給与から所得税が源泉徴収されている場合は発行を依頼できます。派遣社員の場合は雇用主である派遣元の会社に請求してください。
実務上の具体例(簡単なタイムライン)
例:6月15日に退職した場合
– 会社は7月15日までに源泉徴収票を作成・税務署へ提出
– 同日に退職者へ交付(郵送でも可)
受け取れないときの対応
交付されない場合はまず会社の総務・給与担当へ請求してください。派遣社員は派遣元に連絡します。それでも解決しないときは、お近くの税務署に相談すると対応方法を教えてもらえます。
年の途中でも「依頼すれば発行」されるケース
在職中でも従業員の依頼があれば、会社は源泉徴収票を発行してくれます。給与担当向けの考え方では「年末調整後」「退職時」「従業員からの依頼時」が交付タイミングですから、年の途中でも必要なら請求可能です。
発行される主なケース
- 住宅ローンや賃貸契約で在職証明や年収確認が必要なとき
- 副業の確定申告や税務署への提出書類が求められたとき
- 奨学金や公共手続きで直近の収入証明を求められたとき
内容の性質
依頼時に交付される源泉徴収票は、その時点までの給与・源泉徴収税額を記載した途中経過の書類です。年末まで勤務して最終的に行う年末調整後の数値と異なる点に注意してください。年末に正式な源泉徴収票が改めて交付されます。
依頼の手順と注意点
- 給与・人事へ口頭かメールで依頼します。理由(用途)と対象期間、送付方法(紙/PDF)を伝えると手続きが早まります。例:「2025年1月〜6月分の源泉徴収票を住宅ローン申請のためPDFでお願いします」
- 発行までの目安は数日〜2週間程度です。急ぎならその旨を伝えてください。会社は正当な理由があれば発行するのが一般的です。
会社側の実務フロー:退職者に源泉徴収票を発行する手順
概要
退職者に源泉徴収票を渡す際の、実務上の手順をわかりやすく整理します。給与・人事担当者向けに、ミスを防ぐための確認ポイントも示します。
手順(ステップ)
- 必要データを確定する
- 退職日までの給与・賞与の総額を確定します。
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社会保険料や雇用保険料の控除、源泉徴収された税額を正確に集めます。
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計算とチェック
- 給与計算ソフトや会計ソフトで年途中の所得を計算します。
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総支給額、各控除、源泉税額が明細と一致しているか二重チェックしてください。
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源泉徴収票を作成する
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ソフトで自動作成するか、紙で作成します。様式の記入漏れに注意します。
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交付と説明
- 退職者に源泉徴収票を交付します。受取りのサインや控えを残すと安心です。
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記載内容について質問があれば簡潔に説明します。
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保存と提出
- 会社用の控えを保存します。税務署への提出が必要な場合は社内ルールに従って速やかに手続きしてください。
注意点
- 計算ミスがあると退職者の年末調整や確定申告に影響します。必ず二重チェックを行ってください。
- 退職時にすぐ発行できない場合は、理由と発行予定日を明確に伝えましょう。


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