辞める時の労働基準法のルールはどうなってる?退職するまでの手順を解説

目次

はじめに

「退職したいけれど、いつ辞められるの?」「会社に伝えてからどれくらいで辞められるの?」と不安になりますよね。

退職の時期は、実はむずかしい話ではありません。まずは自分が無期雇用なのか、有期雇用なのかを確認します。ここが分かると、次に取る行動がはっきりします。これから順を追って、迷わない形で整理していきますね。

正社員などの無期雇用の場合は、退職の意思を会社に伝えた日から2週間が経てば退職は成立します。たとえば4月1日に「辞めます」と伝えたなら、4月15日以降に退職できます。一方で、契約社員などの有期雇用の場合は、契約書に書かれている満了日が基本になります。まずは契約書を開いて終了日を確認します。もし満了日前に辞めたいときは、「やむを得ない事情」があるかどうかがポイントになります。

最初にすることは、雇用形態を確認することです。そのうえで「いつ申し出るか」「最終出勤日はいつにするか」をカレンダーを見ながら具体的な日付で考えていきます。日付を実際に書き出してみると、やるべきことがはっきり見えてきますよ。

労働基準法で辞める時のルールは正社員か契約社員かで変わる

会社を辞めるときのルールは、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。労働基準法や民法では、正社員のような「無期雇用」と、契約社員のような「有期雇用」とで扱いが分かれています。まずは自分がどちらの雇用形態に当てはまるのかを確認し、それぞれの退職ルールを押さえておきましょう。

無期雇用(正社員など)は2週間前の申出(申し出から14日)で辞められる

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雇用形態契約の種類退職の申し出から辞められるまで会社の承諾補足
正社員無期雇用14日後に退職可能不要民法627条1項
無期契約社員無期雇用14日後に退職可能不要名称が契約社員でも同じ
パート(無期)無期雇用14日後に退職可能不要雇用形態は関係なし
アルバイト(無期)無期雇用14日後に退職可能不要期間の定めがなければ同じ
試用期間中(無期)無期雇用14日後に退職可能不要試用期間でも無期なら適用

無期雇用で働いている正社員や期間の定めがない契約社員は、会社に「退職します」と伝えた日から14日が経過すれば辞められます。これは民法627条で定められているルールで、会社の承諾がなくても成立します。たとえば4月1日に退職の意思を伝えた場合、4月15日が経過すれば4月16日から出勤する義務はありません。

就業規則に「1か月前までに申し出ること」と書かれている会社もありますが、法律上は2週間前の申出で足ります。ただし、引き継ぎや貸与物の返却、社会保険の手続きなど実務上の調整があるため、現実には余裕をもって伝える人が多いです。

退職の意思は口頭でも有効ですが、「言った・言わない」のトラブルを避けるため、退職届を提出し、提出日が分かる形で控えを残しておくと安全です。

有期雇用(契約社員など)は契約期間の途中では原則辞められない

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雇用形態契約の種類途中退職できるか会社の承諾根拠・注意点
契約社員有期雇用原則できない原則必要民法628条(やむを得ない事由が必要)
パート(有期)有期雇用原則できない原則必要契約期間満了まで勤務が基本
アルバイト(有期)有期雇用原則できない原則必要短期契約も同じ
派遣社員有期雇用が多い原則できない原則必要派遣元との契約に従う
有期雇用(1年以上継続)有期雇用1年経過後は退職可能(14日後)不要労基法137条

有期雇用の契約社員やアルバイトは、「2026年4月1日〜2027年3月31日まで」のように契約期間が決まっています。この期間の途中、たとえば2026年10月の時点で自己都合により退職することは、原則として認められていません。民法628条では、やむを得ない事由がない限り、契約期間満了まで働くことが前提とされています。

やむを得ない事由とは、具体的には医師の診断書が出る病気やけが、家族の介護で就労継続が不可能になった場合、賃金が支払われないなど契約違反がある場合などです。「人間関係が合わない」「他に良い会社が見つかった」といった理由だけでは、法律上は途中退職の正当な理由とは扱われにくいです。

ただし、契約開始から1年を超えて働いている場合は、労働基準法137条により、申出から2週間経過すれば退職できます。たとえば1年6か月働いている契約社員が6月1日に退職を申し出た場合、6月15日が経過すれば6月16日から出勤義務はなくなります。

契約期間の途中で辞めたい場合は、まず契約書の期間と更新履歴を確認し、自分が「1年を超えているか」「やむを得ない事由に該当するか」を具体的に判断することが必要です。

就業規則と法律の優先されるのはどっち?

退職を考えたとき、「就業規則では1か月前と書いてあるけど、法律では2週間と聞いたことがある」と迷う人は少なくありません。会社のルールと法律のルールが違う場合、どちらが優先されるのかを整理しておくことが大切です。ここでは、法律と就業規則の関係を分けて確認していきます。

法律が優先される(無期雇用は2週間で退職できる)

就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」「3か月前に届け出ること」と書かれていても、法律に反する内容は優先されません。無期雇用の正社員や期間の定めのない契約社員は、民法627条により、退職の意思を伝えた日から14日が経過すれば退職できます。

たとえば5月1日に「5月15日で退職します」と書面で提出した場合、会社が「就業規則では1か月前だ」と言っても、5月15日をもって退職は成立します。会社の承諾は必要ありません。

就業規則は会社内のルールですが、法律より強い効力はありません。法律で認められている最低基準よりも労働者に不利な内容は無効になります。無期雇用の場合は「申し出から14日」で辞められるという法律のルールが優先されます。

就業規則が優先されるのは合意している場合だけ

就業規則が優先されるのは、その内容が法律に反しておらず、かつ労働契約として合意している場合だけです。たとえば入社時に雇用契約書へ署名し、「退職は1か月前に申し出る」と明記され、その内容が法律の範囲内であれば、その合意は有効になります。

ただし、法律よりも労働者に不利な内容は合意していても無効です。無期雇用であれば、民法627条により「申し出から14日」で退職できます。就業規則に「3か月前」と書かれていても、法律より不利なためその部分は効力を持ちません。

一方で、「退職届は書面で提出する」「貸与物は最終出勤日までに返却する」といった手続き面のルールは、法律に反していなければ有効です。就業規則が優先されるのは、法律の範囲内で具体的な手続きを定め、労働契約として成立している場合に限られます。

円満退職を目指すなら1ヶ月前相談を選びましょう

法律上は無期雇用であれば申出から14日で退職できますが、トラブルを避けて退職したいなら、退職希望日の1か月前に上司へ相談する方法を選びます。たとえば6月30日で退職したい場合は、5月末までに直属の上司へ口頭で伝え、その後すぐに退職届を提出します。

1か月前に伝えると、担当業務の引き継ぎ資料を作成する時間を確保できます。取引先への連絡、後任への説明、社内アカウントの整理などを計画的に進められます。最終出勤日までに有給休暇を消化したい場合も、早めに伝えたほうが日程調整がしやすくなります。

法律どおり2週間で辞めることは可能ですが、引き継ぎ不足や突然の退職は、職場との関係悪化や書類発行の遅れにつながることがあります。円満退職を目指すなら、退職日の1か月前に具体的な日付を示して相談する方法を選びます。

会社が認めなくても辞められる?

「上司が辞めさせてくれない」「退職届を受け取ってもらえない」と言われた場合、本当に辞められないのか不安になります。ですが、雇用形態によっては会社の承諾がなくても退職が成立するケースがあります。ここでは、会社の同意が必要かどうかを雇用形態ごとに整理します。

会社の承諾がなくても14日後に退職は成立する

無期雇用の正社員や期間の定めのない契約社員は、会社が「認めない」と言っても、退職の意思を伝えた日から14日が経過すれば退職は成立します。民法627条に基づくため、会社の承諾やサインは必要ありません。

たとえば7月1日に「7月15日で退職します」と書面で提出した場合、会社が受理を拒否しても、7月15日をもって雇用契約は終了します。7月16日以降は出勤義務はありません。

口頭で伝えるだけでも法律上は有効ですが、証拠を残すために退職届を提出し、コピーを保管します。内容証明郵便で送付すれば、到達日を証明できます。会社が受け取らない場合でも、配達記録が残れば「到達した日」から14日を数えます。

有期雇用は会社の承諾がないと途中退職できない

有期雇用の契約社員やアルバイトは、「2026年4月1日から2027年3月31日まで」のように契約期間が決まっています。この期間の途中で退職する場合、会社の承諾がなければ原則として退職は成立しません。民法628条では、やむを得ない事由がない限り、契約期間満了まで働くことが前提とされています。

たとえば契約期間が1年で、開始から6か月の時点で「来月で辞めます」と一方的に伝えても、会社が同意しなければ契約上は継続義務があります。無断で出勤しなくなると、損害賠償を請求される可能性もあります。

ただし、医師の診断書が出る病気やけが、賃金未払いなどの契約違反がある場合は「やむを得ない事由」に該当することがあります。また、契約開始から1年を超えている場合は、労働基準法137条により、申出から2週間で退職できます。まずは契約書の期間と、自分が働いた年数を具体的に確認します。

最後の給料と有給はどうなる?

退職日が決まると、「最後の給料はいつ振り込まれるのか」「残っている有給は消えてしまうのか」と気になる人が多いです。お金と休暇の扱いは、退職後の生活にも直結します。ここでは、最終給与の支払い時期と有給休暇の扱いについて具体的に確認します。

最後の給料は退職者が請求すれば7日以内にもらえる

退職する人が「退職日までの賃金をすぐに支払ってください」と会社に請求した場合、会社は請求日から7日以内に支払わなければなりません。これは労働基準法23条で定められています。

たとえば8月20日に退職し、同日に書面やメールで賃金の支払いを請求した場合、会社は8月27日までに、8月分の未払い賃金や残業代を支払う義務があります。通常の給料日が翌月25日であっても、請求があれば7日以内の支払いが必要です。

請求しない場合は、会社の通常の給料日に支払われることが多いです。早く受け取りたい場合は、「労働基準法23条に基づき、7日以内の支払いをお願いします」と具体的に伝えます。

退職前に残りの有給はすべて使える

退職日までに残っている有給休暇は、在職中であればすべて使えます。有給休暇は労働基準法39条で認められた権利のため、会社は原則として拒否できません。

たとえば退職日が9月30日で、有給が10日残っている場合、9月21日から9月30日まで10日連続で取得できます。退職日より後に有給を使うことはできないため、最終出勤日を前倒しして、その後を有給消化期間にします。

会社が「忙しいから認めない」と言っても、退職が決まっている場合は時季変更権は実質的に使えません。すでに退職日が確定していると、会社側が別の日に変更しても消化する日がなくなるためです。残日数は退職前に具体的な日付を指定して申請します。

退職勧奨や引き留めを受けたらどう対応する?

退職の意思を伝えたあとに、強く引き留められたり「もう一度考えてほしい」と説得されたりすることがあります。退職勧奨といっても、必ず応じなければならないものではありません。ここでは、引き留めを受けたときにどう判断し、どう対応すればよいのかを整理します。

退職勧奨は断っても問題ない

退職勧奨は「会社からのお願い」であり、命令ではありません。本人が同意しなければ退職は成立しません。上司や人事から「今月末で辞めてほしい」「合わないと思う」などと言われても、その場で承諾する義務はありません。

断る場合は、「退職の意思はありません」「継続して勤務します」とはっきり伝えます。口頭だけでなく、メールで「本日お話があった退職勧奨について、退職の意思はありません」と送って記録を残します。

何度も呼び出される、長時間説得される、「辞めないなら評価を下げる」と言われるなどの行為は違法になる可能性があります。録音やメモで日時・発言内容を残します。退職勧奨は断っても問題ありません。本人が同意しない限り、雇用契約は続きます。

条件変更の提案を受けるかどうかは自分で決める

退職を伝えたあとに「給料を上げる」「部署を変える」「在宅勤務を認める」などの条件変更を提案されることがあります。これを受けるかどうかは、会社ではなく自分が決めます。承諾しなければ、これまでどおり退職の意思は有効です。

たとえば月給を2万円上げると言われた場合、その条件が書面で提示されるか、いつから反映されるのか、評価制度はどう変わるのかを具体的に確認します。口約束だけで退職を撤回すると、後から条件が変わることがあります。

「一度持ち帰って検討します」と伝え、家族や第三者と相談してから判断します。すでに次の会社が決まっている場合は、内定条件や入社日も踏まえて比較します。条件変更を受けるかどうかは、提示内容を具体的に確認したうえで、自分の判断で決めます。

まとめ

退職を決めたら、まず自分の雇用形態を確認します。正社員などの無期雇用であれば、退職の意思を伝えた日から14日が経過すれば退職は成立します。たとえば10月1日に申し出た場合、10月15日が経過すれば10月16日で退職できます。会社の承諾は必要ありません。

契約社員などの有期雇用は、契約書に書かれている満了日が基本です。契約期間の途中で辞める場合は、医師の診断書が出る病気や賃金未払いなどの「やむを得ない事情」があるか、契約開始から1年を超えているかを具体的に確認します。

次に、退職日を日付で確定させます。退職届は書面で提出し、提出日が分かる形で控えを残します。最後の給料は請求すれば7日以内に支払われます。残っている有給休暇は退職日までにすべて使えます。

進め方は、①雇用形態の確認、②退職日の決定、③退職届の提出、④最終賃金と有給残日数の確認、の順です。この4つを日付ベースで整理すれば、法律に沿って退職手続きを進められます。

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