はじめに
「有給を消化した日の賃金が、普段の時給より低いのは違法じゃないの?」
「給与明細を見たら、有給を取った日の金額が最低賃金を下回っているように見えるけれど、このままで大丈夫?」と不安になっていませんか。
退職前に残っている有給をまとめて取得したあと、通常勤務の日と比べて支給額が少なくなっていると、最低賃金違反ではないか、会社に確認したほうがよいのか迷ってしまいますよね。
この記事では、有給消化中の賃金が低く見える理由、最低賃金との関係、実際の計算方法、会社へ確認するときのポイントを順を追って説明していきます。
最低賃金と有給消化日の賃金は同じ基準で判断するのか

有給消化日の賃金が「普段の時給より低い」「最低賃金を下回っているように見える」と、最低賃金違反ではないか気になることがあります。
ここでは、有給消化日の賃金が低く見える理由と、最低賃金を下回っている場合に違法と判断できるのかを順に説明します。
有給消化日の賃金が最低賃金を下回って見える理由
有給消化日の賃金が普段の時給より低く見えるのは、必ずしも「時給×勤務時間」で計算されるわけではないためです。
有給休暇の賃金は、就業規則などで定めた方法により、平均賃金や通常の賃金、標準報酬日額を基に計算されます。
そのため、有給1日分の金額を勤務時間で割ると、普段の時給より低く見えることがあります。
最低賃金を下回っていても直ちに違法とは限らない
有給1日分の賃金を勤務時間で割った金額が最低賃金を下回っていても、それだけで直ちに違法とは判断できません。
最低賃金は実際に働いた時間に対する賃金を基準に確認するため、有給休暇を取得した日の支給額を勤務時間で割って比較するものではありません。
まずは、実際に勤務した日の賃金が最低賃金以上になっているかを確認しましょう。
有給消化中の賃金はいくら支払われるのか
有給消化中に受け取る賃金が「通常の勤務日と同じ金額になるのか」「時給制やパートでも計算方法は同じなのか」と気になることがありますよね。
ここでは、有給休暇の賃金に使われる3つの算定方法と、時給制・パートの場合の確認ポイント、会社が採用している計算方法の調べ方を順に説明します。
有給休暇の賃金には3つの算定方法がある
有給休暇の賃金には、「平均賃金」「通常の賃金」「標準報酬月額の30分の1」の3つの算定方法があります。
平均賃金は原則として直前3か月の賃金を基に算出し、通常の賃金は所定労働時間に対応する賃金を基に計算します。
標準報酬月額の30分の1を使う方法は、労使協定を締結している場合に採用できます。
時給制・パートの場合に確認したい計算方法
時給制やパートでも、有給休暇の賃金が必ず「時給×所定労働時間」になるとは限りません。
通常の賃金を採用していれば時給と所定労働時間を基に計算しますが、平均賃金を採用している場合は直前3か月の賃金などを基に算出します。
そのため、同じ時給で働いていても、会社が採用する方法によって有給1日分の金額が変わることがあります。
就業規則などで有給休暇の賃金計算方法を確認する
会社が採用している計算方法は、就業規則や賃金規程などで確認できます。
「年次有給休暇の賃金」などの項目を確認し、3つの算定方法のうち、どの方法が定められているかを見てみましょう。
給与明細に有給休暇分の金額が記載されていれば、就業規則などの内容と照らし合わせることで、支給額の計算方法も確認しやすくなります。
最低賃金より有給消化日の賃金が低くなるケース
有給消化日の賃金を確認すると、「普段の時給は最低賃金以上なのに、有給1日分にすると金額が少ない」と気になることがあります。
ここでは、時給と有給1日分の金額を分けて確認し、最低賃金より低く見える具体的なケースを順に説明します。
時給が最低賃金と同じ場合
時給が最低賃金と同じ場合でも、有給消化日の賃金を時給だけで判断することはできません。
有給休暇の賃金は、会社が定めた方法によって通常の賃金や平均賃金などを基に計算されるためです。
そのため、有給1日分の金額を所定労働時間で割り、最低賃金と単純に比較することはできません。
有給1日分の金額が通常の勤務日より少ない場合
有給1日分の金額が通常の勤務日より少なくても、それだけで最低賃金違反になるとは限りません。
たとえば、通常は時給1,200円で8時間働いて9,600円を受け取っていても、平均賃金で計算する会社では、有給1日分が9,600円より少なくなることがあります。
まずは、会社がどの方法で有給休暇の賃金を計算しているか確認しましょう。
有給休暇の賃金が普段より少ないと、「有給を取ると給料が減るの?」と気になる方は、こちらも確認してみてください。
▶有給休暇を取ると給料は減る?給与が少なくなる理由と計算方法
有給消化の賃金が最低賃金より低いときの確認方法
有給消化日の賃金が最低賃金より低く見える場合は、すぐに違法と判断せず、通常の勤務日に支払われる賃金と有給休暇分の賃金を分けて確認することが大切です。
ここでは、通常の勤務日の賃金、給与明細、有給休暇の計算方法を順に確認していきます。
通常の勤務日の賃金が最低賃金以上か確認する
まず、実際に勤務した日の賃金が、勤務先に適用される最低賃金以上になっているか確認します。
時給制であれば、給与明細などで時給を確認し、最低賃金額と比較しましょう。
有給1日分の金額が低く見えても、それだけで最低賃金を下回っているとは判断できません。
給与明細で有給休暇分の賃金を確認する
給与明細では、有給休暇を取得した日数と、有給休暇分として支給された金額を確認します。
「有給休暇」「年休」などの項目があれば、通常勤務分の給与と分けて計上されているか見てみましょう。
金額だけでは計算方法が分からない場合は、就業規則などもあわせて確認します。
就業規則などで計算方法と根拠を確認する
就業規則や賃金規程では、有給休暇の賃金をどの方法で計算するのか確認します。
平均賃金、通常の賃金、標準報酬月額の30分の1のうち、会社が採用している方法を確認し、実際に支給された金額と照らし合わせてみましょう。
有給消化の賃金に納得できないときの対応
有給消化日の賃金を確認しても計算方法や金額に納得できない場合、「会社にどう確認すればよいのか」「会社の説明を聞いても解決しないときはどこへ相談すればよいのか」と迷うことがあります。
ここでは、会社への確認方法と、説明だけでは解決しない場合の対応を順に説明します。
まず会社に計算方法と根拠を確認する
有給消化日の賃金に疑問がある場合は、給与担当者や人事・総務に、1日分の金額と計算方法を確認しましょう。
あわせて、就業規則や賃金規程のどの内容を基に計算しているのか聞いておくと、支給額の根拠が分かりやすくなります。
取得した日数や支給額を具体的に伝えると、会社側も確認しやすくなります。
会社の説明で解決しない場合は相談先を検討する
会社から説明を受けても疑問が残る場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーへの相談を検討します。
給与明細や有給休暇の日数が分かる資料、就業規則などを用意しておくと、実際の支給額と計算方法について相談しやすくなります。
会社に確認しても賃金の計算に疑問が残る場合は、未払い賃金にあたるケースや相談方法も確認しておくと判断しやすくなります。
▶給料の未払いはどこに相談する?労働基準監督署への相談方法と必要なもの
まとめ
有給消化日の賃金が普段より少なく見えても、それだけで最低賃金を下回っているとは限りません。
有給休暇には会社が定めた賃金の計算方法があるため、まずは給与明細や就業規則を確認し、どのように金額が決まっているのかを確かめることが大切です。
計算方法が分からない場合や、確認しても金額に疑問が残る場合は、給与担当者や人事・総務に聞いてみましょう。
それでも解決しないときは、給与明細や就業規則などを用意したうえで、労働基準監督署や総合労働相談コーナーへ相談すると安心です。


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