はじめに
本資料は「退職理由としての『一身上の都合』」について、面接での伝え方も含めてわかりやすく整理したものです。
目的
退職届や面接でよく使われる「一身上の都合」が、具体的に何を指すのか、どんな場面で適切かを明確にすることを目的とします。読者が自分の状況に合った表現を選べるように、使えるケースと使えないケースを区別して解説します。
想定読者
- 転職活動中で退職理由の伝え方に不安がある方
- 退職届を出す前に表現を整理したい方
- 面接官として応募者の説明を理解したい人
本章の内容
この「はじめに」では、資料全体の構成と読み方を案内します。以降の章で「一身上の都合」の定義、具体例、使えない場面、面接での説明方法、使う理由を順に解説します。各章は具体例を中心に書いていますので、自分のケースに当てはめて読み進めてください。
「一身上の都合」の基本的な意味と定義
意味
「一身上の都合」とは、個人の私的な事情や身の上に関する理由を指します。退職理由を詳細に説明したくないときに用いられ、私的な都合で退職することを簡潔に表します。
辞書的な定義
一般には、生活、健康、家庭など個人の事情に関連する都合と説明されます。退職届に「一身上の都合」と書くと、会社側では原則として自己都合退職として扱います。
含まれる主な例
- 家庭の事情（親の介護、子育てなど）
- 健康や体調の問題
- 転居や住環境の変化
- キャリアチェンジや学び直しなど私的な理由
取り扱いのポイント
詳細を明かさずに済む利点がありますが、退職の扱いや失業給付の条件などで影響が出る場合があります。必要ならば人事と相談して手続きを進めると良いです。
「一身上の都合」が使えるケースの具体例
1）家族の介護
介護が理由で退職する場合、「親の介護が必要になったため」などと説明できます。具体的に日常的な介助や通院の付き添いが必要で、勤務継続が難しいことを伝えると分かりやすいです。
2）結婚や家庭の事情
結婚による引越しや配偶者の転勤など、家庭の事情で働けなくなるときに使えます。「配偶者の転勤に伴い、居住地を移すため」などと述べます。
3）引っ越し
居住地の変更で通勤が困難になる場合です。単身での引越しも含めて「通勤時間が大幅に増えるため」と伝えれば適切です。
4）健康上の理由（本人や家族）
自身の病気や怪我、または家族の通院・療養が必要なケースです。症状の詳細は開示せずに「治療に専念する必要があるため」と表現できます。
5）通勤困難
公共交通機関の変更や介助の必要で通勤が困難になった場合に使えます。「通勤が著しく困難になったため」と説明します。
6）キャリアチェンジ
別分野への転職準備や資格取得に専念する場合です。「将来のキャリアのため」や「資格取得に集中するため」と伝えると自然です。
使い方のポイント：具体例を簡潔に伝え、詳細は求められたときにだけ補足します。退職届や面接では、相手が納得しやすい理由を示すと印象が良くなります。
「一身上の都合」が使えないケース
概要
「一身上の都合」は個人的な理由を表す言葉です。会社側に原因がある退職は該当しません。会社都合に当たる場合は「一身上の都合」として処理すべきではない点を分かりやすく説明します。
代表的なケース
- 企業倒産や事業廃止
会社の経営問題で職場がなくなった場合は会社都合です。個人の自由退職とは別扱いになります。 - 希望退職の募集に応じた場合
会社が募集をかけて応じたときは、会社側の事情による退職に該当します。 - ハラスメントや不当な扱い
パワハラやセクハラ、労働条件の著しい悪化などが原因で辞める場合は会社の責任です。安全で適正な職場環境が守られなかったことが問題となります。 - 労働契約と実際の勤務内容が大きく異なる場合
契約や採用時の説明と実務が大きく違い、改善が見込めないときは会社都合になります。
会社都合と手続きの違い
会社都合退職の場合、通常は従業員が退職届を自ら出す必要はありません。雇用保険の受給条件や給付日数も、自己都合退職とは扱いが異なります。誤って「一身上の都合」とすることで受給条件に不利になることがあるため、扱いは慎重に確認してください。
取るべき行動
会社の説明に疑問があるときは、労働相談窓口や社労士に相談しましょう。また記録（日時・発言・メール等）を残すと後で事実関係を説明しやすくなります。
面接での退職理由の説明方法
面接で「一身上の都合」と書いた退職理由を聞かれたら、簡潔で前向きな説明を用意してください。ネガティブな事情は事実に基づきつつ、改善点や学びに言い換えると印象が良くなります。
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伝えるべきポイント
1) 退職の主な理由（簡潔に）
2) その経験から得た教訓やスキル
3) 応募先でどう生かすか -
具体例（簡潔な言い回し）
- 「家庭の事情で通勤が難しくなり退職しました。時間管理や優先順位の付け方を見直し、貴社では効率的に業務に取り組みたいです」
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「部署の異動で業務内容が変わり、自分の志向と合わなくなったためです。顧客対応や調整力は磨けましたので、御社でその経験を活かしたいです」
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詳細を話すかどうかの判断
個人的・センシティブな内容は無理に詳細まで話す必要はありません。面接官が業務に関係するかを見ている場合は、業務に影響した点だけを共有してください。 -
準備のコツ
短く自然に話せるように練習し、想定質問（退職理由の深掘り、長期的なキャリアについて）への回答も用意しておきます。感謝と前向きな姿勢を必ず示してください。
「一身上の都合」を使う理由
なぜ「一身上の都合」を使うのか
この表現は角が立たず、職場との関係を保ちながら辞められます。個人的な事情を伏せつつ誠実さを損なわないため、多くの人が選びます。
主な利点
- 具体的な理由を明かさずに済むためトラブルを避けられます。
- 転職、家庭の事情、健康問題など、幅広いケースで使えます。
- 会社側も受け取りやすく、退職手続きが円滑に進みやすいです。
使うときの注意点
- 事実と大きく異なる理由で使うと信頼を失います。正直さは保ってください。
- 退職届や口頭説明では簡潔に伝え、深掘りされたら答えられる範囲で説明します。
表現例（退職届・面接）
- 「一身上の都合により退職いたします」
- 「家庭の事情のため、一身上の都合で退職を決めました」
必要以上に詳しく話す必要はありませんが、誠意を持って対応すると印象が良くなります。
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